皆様お久しぶりです。2月29日に行いましたオンラインセミナーの見逃し配信が2か月間自由にご覧いただけます。スウェーデンのインクルーシブ教育について、知りたい方、是非、ご覧ください。また、講演資料もダウウンロードいただけます。
ページの下の方にこんな感じで見逃し配信があります。
※当該資料の二次利用や転用、関係者以外への共有はお控えください。
事前に申し込みをしていない方も自由に見れますので、ぜひ、お知り合いの方でインクルーシブ教育に興味関心のある方にも情報をお伝えいただければと思います。
スウェーデンの首都ストックホルムの公立基礎特別支援学校で教員、主任教員として働く毎日からお伝えする、スウェーデンの教育と特別支援教育、福祉の最新情報。スウェーデンの特別支援教育士資格有り。「医療・福祉・教育・社会がつながるスウェーデンの多様な学校~子どもの発達を支える多職種協働システム」出版。
皆様お久しぶりです。2月29日に行いましたオンラインセミナーの見逃し配信が2か月間自由にご覧いただけます。スウェーデンのインクルーシブ教育について、知りたい方、是非、ご覧ください。また、講演資料もダウウンロードいただけます。
ページの下の方にこんな感じで見逃し配信があります。
※当該資料の二次利用や転用、関係者以外への共有はお控えください。
事前に申し込みをしていない方も自由に見れますので、ぜひ、お知り合いの方でインクルーシブ教育に興味関心のある方にも情報をお伝えいただければと思います。
旧ブログの中でも、何回かスウェーデン語の習得に関して書いていました。私はスウェーデンに住み始めて20年以上になるし、仕事をしていることもあって、スウェーデン語はそれなりにできますが、完ぺきなスウェーデン語ではないですし、間違いも多いです。今日は、そんなスウェーデン語習得と多国籍なスウェーデンの学校の職場についてです。
スウェーデンは、もう50年以上前から、労働移民や難民を多く受け入れてきた歴史を持っており、学校は本当に多国籍です。生徒たちには、移住してきたばかりの子もいれば、2世、3世という子どももいます。職員もしかりで、いろんな国籍の人、いろんな外国の背景を持つ人々と一緒に働いています。
多国籍になると多言語になり、聞こえてくる言葉は、いろいろあります。生徒たちが話す言葉はともかく、職員間では、「学校ではスウェーデン語を話す」というルールがあります。個人的には、このルールが明確に書面で書かれて出てきたときは驚きましたが、実際に教師をしていると、スウェーデン語を話してほしいと思う現場に直面することもあり、必要なルールなのだと思います。
言語も文化も違う同僚たちと働くことは、いろいろ学びがあります。スウェーデン語の習得もしかり。私は、性格的なものや、おそらく文化的なものもあり、10年前とかは、どちらかというと、あまり発言しないし、無駄なことは言わないようにしてました。しかしながら、徐々にスウェーデン語ができるようになり、だんたんともともとの性格に戻っていったような印象があります。これが、人によっては、スウェーデン語の習得かかわらず、おおらかな人もいて、見ていて清々しい。特にアシスタントなどは、話すことが中心なので、読み書きに苦労してきた私とは少し違うなと感じることもあって、いろんな人のスウェーデン語の習得の過程を見ながら、人それぞれでいいなあと思います。
自分のスウェーデン語の習得を振り返り、いろんな同僚を見てきて思うのは、スウェーデン語を使って何をしたいかによって変わるし、言語はスウェーデン語に関わらず、使って磨いていかないと錆びるということです。昔の先生の同僚に、2世の人がいたのですが、彼が自分のスウェーデン語について完ぺきではないという話をしていたのが印象的でした。私から見ると、不自由なく読み書きでき、話もしているように見えますが、本人は、幼少期に過程ではスウェーデン語を話してなかったことによる2世家庭の難しさを感じているようで、その話は大変勉強になりました。
多国籍な職場は、いろいろと問題が起こることもありますが、楽しいことも多いですし、学びも多いです。チームワークで、多少の誤解も乗り換えながらやっていける仲間に今学期は恵まれたように思うので、充実した春学期になればと思います。また、ブログは、日本語維持のためにもと思って復活させたので、立ち寄ってくださる皆様、つたない文章ですがお付き合いくださり、本当にありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。
スウェーデンの学校教育の中で問題があり、改善する必要があると思われるのが、学校がもらえる国の補助金制度です。私はこの制度自体は、利にかなっていると思っているのですが、教育システム全体から見ると、「入れ替わりが激しいスウェーデンの学校の校長先生」にも書きましたが、組織が脆弱であると、利用しにくいシステムであると感じています。基礎自治体の教育課のトップがそれなりにしっかりしていれば、多少校長が変わっても申請を見逃さなかったり、自治体の方針として何かしらの補助金申請を行い研修をしたりしていますが、国内の学校教育の均一性が取りにくい原因の一つであることは確実であると思っています。
毎年、各学校が基礎自治体を通じて申請してもらえる補助金がかなりあります。例えば私が特別支援教育士になるために、学校を週1で休んでいた時に出たお給料なんかもこの補助金の申請をしてもらいます。私個人がするのではなく、学校がするので、私は何もしていないのですが、組織として計画的に動く必要があります。いろいろある中で昨年より私が申請したいなあと個人的に思っているのが、「特別支援教育を学びに」というもので、学校庁にある研修サイトを利用して、学校中で特別支援教育をいかに普段の教育に取り入れるかというところを理論から実践まで1年かけて行うもので、その研修を受け持つ先生の労働時間に対する補助金が出るものです。他にもたくさんあるので、各学校が何を発展成長させたいかによって、申請するものを決めます。
これら補助金は使い道が決まっており、国家予算の中で、方針が決まり、それが使われます。なので、当然ですが、せっかく予算計上したのに、半分も使われなかったということでニュースになることもあります。もらえる金額や、使い道もきちんと明記されており、それに沿って、来年度の研修年間計画などを立てて利用します。ちゃんと目的に沿って使われるように、例えば、年間で時間数でこれだけ行う場合は、この金額といったような感じで決まっており、それらは人件費に回すことなども決まっている場合も多いです。
使っているところは使っていると思いますし、学校で話題になることも多いです。ストックホルム市は教員向けのサイトがあるし、支援学校は支援学校の関連サイトがあるので、それに情報が流れてくることも多いです。ヘッドティーチャーなので、そういう情報を見ながら、校長たちに相談することもあります。学校庁のサイトに情報もありますし、オンラインでの情報提供会もあります。また、使用後の報告義務もあります。
この補助金制度、じゃあ、どう改善するとよいのかと聞かれると、なかなか回答が難しく、このままの方法がやっぱり妥当なのかなとおも思います。限られた予算をばらまいても、各学校にはそれぞれの事情があるので、お金は国が意図しないところに使われてしまうだろうしと思います。これ以外にも、様々な基金が出しているところにお金を申請していくといったこともすることがあります。
スウェーデンも教員不足が問題となって、もう長いです。私が先生をするようになったことから聞こえていたことなので、かれこれ、15年とかになります。様々な対策が打たれており、多少改善したといわれていますが、それでも、やっぱり、足りません。しかしながら、教員のお給料が上がったことにより、わざと有資格者を雇わない学校も出たりと、問題は多いのが現実です。今日は組合のメールにあった、各国の状況を見ながら、考えてみたいと思います。
ここ数年減っていた、教員養成課程の希望者が増えてきた。有資格の先生を田舎の学校や低年齢の教育で見つけることが難しい。
有資格の先生の不足が、就学前教育と基礎学校で予想される。高校は、教科によっては有資格の先生に問題がないが、足りない教科もある。
高齢化していく教員と教員養成課程入学者の減少の影響により、ここ10年で、約半数の教員不足が見込まれる。
教員養成課程入学希望者の減少と、新しい教育法の導入により、有資格の教員の必要性が高まる見込み。
国は、現在教員免許なしで教えている先生が数年後には、有資格になると見込んでいる。
とまとめています。どの国も教員不足の傾向はあるようですね。需要と供給がきっちりと会うことはないので仕方がないと思うのですが、教育の中で最も重要なものの一つが、教員の教える力、教員の能力によるので、教員不足の抱える問題は、多岐にわたると思います。
スウェーデンは特に北部などのある一定の地域での有資格者不足が長らく言われています。私が働くストックホルムなどは、公立学校だと100%有資格者というのは、珍しくないのですが、やはり郊外や地方では難しいというのも理解ができます。これに関して、組合としては、国が責任を持つべきであるという声を上げています。一時期のように、学校教育の管轄を国にという声は、今は下火に見えますが、国による教員への研修制度の見直しや、国の中での教員配置の何かしらのシステムなどが案としては聞こえてきます。
今日は、スウェーデンのインクルーシブ教育についてのオンラインセミナーのお知らせです。このブログでも、インクルーシブ教育関係の投稿は人気があります。今回は、自治体国際化協会のロンドン支部の主催でオンラインセミナーを行いますので、このブログを読んでくださる方で、興味のある方は、是非ご参加ください。セミナーは無料で、見逃し配信もありますので、多くの方とオンラインでお会いできることを楽しみにしております。多くの自治体関係者が参加してくださると聞いているので、自治体ができることなどを中心に話ができればとも思っています。がんばります!詳細はいかになります。
今週のスウェーデン教育界のニュースで大きかったのが、「入れ替わりが激しい校長」により、多くの学校が課題を抱えているというものです。スウェーデンでの教員経験がもうすぐ20年になろうとしていますので、これは事実であり、私も何度も体験してきています。
まず、簡単にスウェーデンの学校の校長職の雇用に関して説明しておく必要があります。スウェーデンは、日本のように地方公共団体などに雇われる形での雇用ではなく、基本的に配置換えもありません。多くのほかの職業同様に求人案内が出るので、それに応募します。求人案内は、「この学校の校長先生」という風に出て、そこには、詳しくこの学校での今の校長に求められるスキルが書かれており、自分で決めて応募することになります。これは教員なども同様なので、私も求人案内は常にチェックして、希望のポストが空くと応募するということを繰り返しています。日本のようにあっちの学校にこの校長先生というような計画配置は行われません。もちろん、優秀な方にヘッドハンティングのような形で声がかかる、声をかけるということはありますが、その人も他の方と同様に応募することになります。また、基礎自治体の中で、例えばストックホルムだと、母体が大きいので、過剰雇用で余ってくる校長や副校長、教員などは、市内での移動もあります。
今回の学校庁のレポートは、もうだいぶ前から言われており、校長になりたがる人が少ない、定着しない、キャリアの一環で違う仕事に移っていってしまう、教員経験のない校長が来て大混乱(今は法改正されているのでおこりません)など、校長にまつわる問題課題は議論され続けてきました。その流れで、調査をすることになり、その結果が以下のように出ました。
校長が定着しないことによる問題は数多くあります。上記のように各学校に合わせて雇用され、何年勤務するといったような見通しもないので、校長先生は、新しい仕事が見つかると辞めていきます。スウェーデンの場合、やめるということを伝えてから3か月後にやめるというのが一般的なので、辞めるという連絡があって、すぐに新しい校長先生の募集にかかります。校長、副校長職となると、新しい人の採用の過程が長く、時間がかかるので、新しい人を採用しても、その人が現職をやめることができる日を待っての採用になるため、結局は半年ほどごたごたするというのは、ざらにある話です。やっと、様々な過程を経て採用できた好調だけど、3か月から6か月でやめてしまうと、また振出しに戻り、その間、ほかの学校に関する様々な活動や会議などが、停滞するという事態に陥ります。多くの場合、副校長が代理の校長となって学校を仕切りますし、副校長の仕事が下に回されるということも珍しくなく、私に待ってくる仕事も増えたりします。この校長不在による学校の発達の停滞が最大の問題であろうと思います。
スウェーデンの学校で重要なキーワードは、「学校の発達」です。学校を発達、発展させていくことが重要であり、そこには、未来を担う若者を育てていくために学校が変わっていくべき、発達させていくべき課題を見据えていく必要があるという気合であり、各学校には、その学校に置かれる生徒の問題や課題、学校の組織発展などの課題があり、それを発展させていく必要があるとされています。この重要な仕事を仕切って、リードしていくのが校長です。校長がいかに普段から学校の実態を把握し、学校庁や基礎自治体、政治の方針に従って、その学校の発達を考え、組織していくかは大変重要な仕事であり、校長不在になるとこの部分が機能しなくなります。これにより、荒れる学校、教員がやめていく学校などは、良く見聞きします。上記のように、教員も自由に転職できますので、校長の入れ替わりが大きいと、教員も変わっていってしまうというのもよくある話です。
レポートには、校長の責任と事務仕事の増加によるストレスの影響が書かれています。校長職の仕事の多さや責任の大きさは、私もやる価値があるか悩むところで、特に近年の財政削減により、校長が行わなければならない人員整理などの仕事は、大変だろうなあと思います。一応中間管理職になるので、校長の仕事をじかに見てきて、苦悩される姿も多く見てきて、いろいろと思うことはあります。
学校庁からの助言提案としては以下の内容が上がっています。
旧ブログの内容をリライトしながら、春学期最初の1週間を振り返りたいと思います。
金曜日の今日はどうなるかわかりませんが、とりあえず、穏やかな春学期のスタートを切れてうれしく思います。秋学期は新しい生徒も入ってくるし、新年度だし、バタバタするのは当然なのですが、それに比べると春学期は、少し手直しながら再スタートを切る感じです。この穏やかな学期に重要なのが、やっぱり一緒に働く同僚です。ということで、今日は生徒のアシスタントと働くスウェーデンの学校についてです。
20年ほど前に日本で養護学校の講師をしていたころは、学校の中には、教員免許を持った人が中心に働いていました。養護教諭や宿舎の人、事務員のような方もいました。最近では、補助員や看護師、介護士などがいたりと日本でも変わってきているようです。こちらスウェーデンでは、基本的に学級には、クラス担任が一人(二人制のところもある)、そのほかに生徒アシスタントが何人かつきます。基礎学校であると、1人とか、半日、数時間というのもありますが、支援学校であると、3名とか5名とか生徒の人数とぞのニーズに合わせて、その数が決まります。
2022年7月16日に、初の単著「医療・福祉・教育・社会がつながるスウェーデンの多様な学校~子どもの発達を支える多職種協働システム」を刊行。是非ご一読を😊
様々な人と連携、協力しながら、学校教育を行うのは日本でも同じですが、教室の中から、それをしていく必要があり、とてもチームワークが重要になります。私は、3名のアシスタント、木金は4名、来週からは仕事復帰のトレーニングに来る人が入るので、5名の同僚たちと学校教育に当たります。そこには、教員としてのリーダーシップに加えて、チームのリーダーとしてまとめていく力が必要になりますし、スウェーデン語はとても重要です。そして、ソーシャルスキル。働きだした18年前は大変でしたが、今は、まあ、こんなものかなと思えるまでにはなりました。アシスタントになる人は、移民の背景を持つ人が多いので、スウェーデン語はいろんな意味で重要です。日本も今後なっていくと予想されますが、スウェーデンでは、すでに外国からの移民がいないと医療や保育など成り立たなくなってきており、教育のその中に入ってきています。
学校の先生は教員養成の課程を経た人が中心ですが、なり手がいなかった時代などは、どんな人でもなれたようです。現在は、免許制度も導入され、変わってきましたが、それについては、また別に書きたいと思います。生徒アシスタントは、幼稚園の先生だったり、看護系の学校を出た人だったり、アシスタントの教育を受けた人だったりとさまざまです。資格として多いのは、保育士、生徒アシスタント、介護支援教育士、准看護士のような資格です。資格の全くない人もいます。
スウェーデンでも、デジタル化教育は重要な課題となっています。ストックホルム市では、今年度の教員の研修に「AI」を取り入れており、秋学期から継続的に、デジタル化教育、AI、プログラミングなどが行われています。勤務校では、基礎学校の先生とともに、学校発展グループが6つあり、教員は全員どれかに所属しています。私は、生徒が安心して学校で生活できるようにと働きかけるグループで、その内容も興味深いので、またまとめて紹介できればと思います。このグループの中に、デジタルグループがあり、そこが中心となってデジタル化教育の発展を担っています。今日はそのデジタル化教育について紹介します。
これは、もうスウェーデンでは質問されることがなくなっています。デジタル化教育自体は、90年代終わり、2000年代に入ったころから盛んに言われており、タブレットの導入やパソコン生徒1台などは、20年ほど前から推進されており、デジタル化教育は、当然のものとなっています。この歴史により、デジタル化教育についての研究もかなりされています。私は、良い点も悪い点も見てきたし、その議論にもかかわってきていますので、話し出せばきりがないデジタル化教育です
スウェーデンの学校庁が示している、児童生徒に育てていくべきデジタル能力は以下となっています。
スウェーデンのデジタル化は、1教科が担うものではなく、「すべての教科」で行うものとされており、学校の研修も全職員で行い、デジタル化教育、AI、プログラミングをキーワードに職員の能力向上を行い、上記の能力を育てていく授業を構築していきます。
デジタル化教育の推進を受けて言われてきたのが、「デジタルな教室」。パソコン1台やタブレットを使うことにとどまらず、いかにデジタルな教室を作り上げていき、デジタルを学びの中に取り入れていくかを目的としています。これには、電子黒板や、アクティブボードなどのデジタル化された黒板をいかに使いながら、授業をし、授業のどこでデジタルを取り入れるかなどが入ってきます。こちらも、まだ月曜に同僚に話をしたところです。(私はヘッドティーチャーもしているので研修を受け持ったりしています。)
プログラミングは、技術などを教えている先生はともかく、多くの先生がまだまだ教えるには研修が必要という回答を昨年したので、今年は、課題としてみんなで取り組んでいます。デジタル化教育は全教科でとなっていますか、このプログラミングは、算数と技術で教えることが義務化されており、教える内容に含まれています。
学校庁にもデジタル化教育やプログラミングのサイトがありますし、いくつか参考にできるサイトがあり、私も春学期の授業では、集中的に教える予定です。クリスマス前の会議で、各先生が何かしら簡単なものでもいいので実行するということになり、私は秋学期にあまり技術の授業をしなかったので、春学期は集中的に行うことにしました。
デジタル化教育についても、カリキュラムなども紹介できればと思います。
私はスウェーデンの教育と福祉に興味関心があり、教員をしているので、このブログは、幅広く教育や福祉について取り上げています。その中で、最近検索が多いのが、スウェーデンの学童保育についてです。学童保育についても、いくつか投稿をしているので、ここにそれらの記事をまとめておきたいと思います。
「スウェーデンの学童保育って、どう?」2022年7月の投稿です。スウェーデンの基礎学校の学童保育についてまとめられているので、ざっと知るにはよいのではと思います。
「スウェーデンの学校教育システム」についてざっと知りたい方はこちらの記事を。スウェーデンは義務教育に併設して学童保育があるので、各学校に学童保育があります。
少し古い記事になるので、新しいものをまた準備したいと思いますが、「スウェーデンの学童保育の職員密度は?」で、2018年のものが見れます。
「日本の放課後等デイサービス見学」の記事では、日本で見学した際に思ったことをまとめながら、スウェーデンの障害児のための学童保育についてまとめています。
「スウェーデンの特別支援学校の学童保育とは」にも、支援学校での実態をまとめましたので、ぜひ。
「スウェーデンの学童保育の現状」2018年12月投稿
「質の低下が危惧されるスウェーデンの学童保育」2014年7月投稿
スウェーデンの学童保育についてのコメントや質問などあれば、お気軽にお尋ねください。
「スウェーデンの教育の特徴~不可がある教育」で、少し書いたのですが、スウェーデンでは、6年生から成績が付きますが、4年生からも成績をつけることができます。(特別学校は5年より)その法案が出たときのブログの投稿を振り返りながら、今日は4年生からつけられる成績について書きます。旧ブログの日付は2014年、今から10年前です。光陰矢の如しとはよく言ったものです。
スウェーデンでは、2012年の秋学期に6年生から成績が付くようになりました。2010年の学校改革の中の一つだったもので、それ以前は、8年生からだったので、日本の中学2年生になるまで、評価は出ても成績は尽きませんでした。2012年のものが現在も使われていますので、評価は、5段階、ABCDEの5段階にFという不可があります。ちなみにFX とかもありますし、成績を出すことができない場合には、「ー」というのもあります。
当時のブログには、今振り返っても思うのですが、PISAの結果のショックからか、次々と出てくる教育関係の改革案に、「教員のお給料をバーンと上げるという案がでるといい」とか書いています(笑)。この2014年当時に案として出されたのが、4年生からの成績を希望する学校には許可するというものでした。法制度が実現したのは、2021年4月1日ですので、案が出てから、実現するまでに調査や議論が重ねられ、実験校で実施し、その結果をまとめ、実現の運びとなりました。これにより、2021年秋学期より、4年生より成績を出しいる学校があることになります。
4年生で成績を出すためには、各学校は毎年その申請を学校庁にする必要があります。春学期に毎年します。どの学校が、4年生から成績をだしているかは、学校庁のホームページから確認することができ、2023年度は53校です。うち6校が公立の学校ですので、ほとんどが民営、私立の学校です。リストには、未来の女王様であるエステル王女の通う学校も入っています。民営化の影響は、また別に書きたいと思いますが、やはり、成績を早くからつけてという学校は民営が多いですし、それを売りにする学校もあるように思います。逆に考えると、公立には、アンチ派の声も聞こえますし、これまでの議論もどちらかというと批判できな声が多く、初年度に実施したのは、20校ちょっとで、ほとんどが民営の学校だったと記憶しています。あれから、倍以上になり約9割が民営ということになります。
なぜ、4年生からで、1年生からではないかのかとか、いろいろ思われる方がいるかと思います。もともとは8年生からついていた成績が6年生に下がったのは、ピサの学習到達度調査がさがったPISAショックの影響が大きいのですが、これにも反対の声があったので、そうなると一気に1年生ということはあり得ないのです。これに加えて、スウェーデンのカリキュラムは、1年から3年、4年から6年、7年から9年せいというように、3年ごとに一区切りとして教える内容や到達目標を設定しているので、これらの区切りのいいところで、4年生というのが妥当な案であると思います。
法案が出されたのが、2014年。その後、法律化されたのは2021年で、その間に、試験的に導入して行った学校の調査結果がまとめられており、読むことができます。行ったのは、2017年から、12の学校責任者の下で、15校で実施されました。結果を簡単に一言でいえば、授業の仕方に多少の変化はあったが、大きな影響を与えるような変化などはなく、アンケート結果でも、良い影響とそうでない影響があったということでした。こう言った結果であったので、法制度化しても問題ないとなったのです。
旧ブログの投稿では、どうなるだろうかと私も書いていますが、ふたを開ければ、大きな影響は日常に受けることはないということになります。しかしながら、導入している学校の多くが民営の学校で、民営の学校と公立学校の間にある大きな溝というか、違いは、スウェーデンの学校教育が抱える大きな問題であり、こうした影響は、おそらく何十年もたった後とか、、大学教育とか、大きなところを見ないと影響はわからないとも思います。
スウェーデンの大学で成績などの研究をしている有名な教授たちが意見を出しましたが、反対意見が多かったように思います。理由としては、一校長にその判断をゆだねるという法制度。これは私も大きな疑問を持っています。スウェーデンの学校の校長は突然変わることもあるし、一校長が判断して毎年申請して行うという制度は、現場の教員を混乱させる可能性が高いように思います。また、成績を早期につけることが、学力向上につながるという研究結果がないというのも大きな理由です。そういった研究が簡単にできるものではないのですが、研究結果がないのに、見切り発車のような感じで、法律を変えたことに対する反対の声は多かったです。こうしたことから、公立学校の導入は極めて少なく、民営の学校がある一定の傾向を持った子どもを集めることに利用できるという形になっているようにも思います。
基礎特別支援学校でも成績は同様に6年生から出ます。出るのは、教科学習コースのカリキュラムで勉強していて、保護者が成績を出してほしいという申請をした子どものみです。私もクラスに数名いるので、成績を付けます。成績付けのながらもいつか別の投稿でまとめたいと思います。
明日から仕事です。明日は生徒はお休みで、会議や研修を行う日になっており、私も1時間半ほど研修と会議を受け持つので、その準備をしたいと思います。
スウェーデンは教育費を含む子どもにかける国家予算の多い国として有名です。その国で教員をして、もうすぐ20年になろうとしています。年末の投稿では2回にわたり、「ストックホルム市の教育予算削減その1」と「ストックホルム市の教育予算削減その2」を書きましたが、旧ブログを振り返ると、予算削減を愚痴っている内容は多いことがわかります。2009年の投稿をリライトしながら、今一度予算削減の影響を考えます。
2009年の投稿を読んでも、人件費の削減が最も大きく、1500人もの先生が解雇されるという情報を書いています。3市に2市は、削減するともあります。やり方もあまり差がなく、正規雇用ではない短期や代替教員の継続雇用をしない、定年の教員の補充をしないなどが上がっていました。こうした人員削減は一般的なもので、予算削減に関わらず、生徒数の動向に沿ってもよく行われていると思います。
では、今までの予算削減と大きく違うのはどんな点かというと、スウェーデンでは風邪などの病気の場合は医師の診断書なしで休める病気休暇が1週間あるのですが、そういった病気休暇や子どもの病気看護休暇で休む職員が出た場合に、補充が入らない。ということはどういうことかというと、いつもと同じ仕事を少ない人数でこなすことになります。そして、1クラス当たりの人数を増やす。これも就学前学校から基礎学校まで、本当に増えたと思います。
スウェーデンの学校教育に関わっていて思うのが、地方政治から国政まで、とにかく政治と直結していると感じることが多いことです。今回の教育予算削減も、他国に比べれば、穏やかなデモが行われたことにより、ストックホルム市は予算の見直しをおこない、学校予算は少し回復しました。その影響はあまり大きくは出ないにしても、透明感が命のスウェーデンの学校教育では、ここにお金が使われたといったような報告が入りました。また、組合との交渉で、健康促進のための補助金が削減されるなど、多方面で互いに協力し合って何とか乗り切ろうとしていることがわかります。
教員が足りないのはスウェーデンも日本と同じなのですが、教員免許を取得しても仕事がないという人もいます。これには様々な要因がありますが、要因免許有資格者はお給料が高いので、わざわざ雇わないというところも。学校形態によって傾向は様々で就学前学校などでは、幼稚園教諭の資格を持った人が少なく、これには、資格保有者の数ではなく、労働環境が劣悪で働きたい資格保有者が減っているともいわれています。これに対して年齢が上がっていくと、資格があっても仕事がないというところも増えていきます。支援学校は、資格者も少なく、なりても少ないです。。。
もう何年にもわたって教育予算が削減傾向にあるスウェーデンでいわれているのが、学校の巨大化です。スウェーデンは、その昔、「村の学校」と呼ばれるような小さめな学校が主流で、そういった学校では、複式学級が一般的で、学校中のみんなが互いを知っているような家庭的な学校が多く存在しました。しかし、学校の民営化が進み、学校に関わる法律が変わり、学校を維持していくには、それなりの大きさが必要になってきたことにより、学校の巨大化が進みました。この学校の巨大化による教育費の関係も気になるところです。
あげだしたらきりがないと思いながら書いています。こうした問題を少しずつブログで書きながら、深堀していけたらいいなあと思う2024年です。教育予算の削減は大きな話題になりますが、増減も話題になるのがスウェーデン。増えたお金はここに使ったと明確にすることで、削減の時にはそこが一番に削減されることが多いです。また、教育予算と現場に与える影響などを書きたいと思います。
現在のスウェーデンの基礎特別支援学校、もしくは、支援学校の高校に入学するには、それぞれの専門家による以下の検査結果により、知的障害があると判定された生徒のみが入学の許可を与えられます。これは、許可が与えられるだけなので、絶対に入らなければならないということではなく、基礎学校で基礎特別支援学校のカリキュラムに沿って学んでいる生徒は、支援学校対象児童生徒のうち、約2割前後毎年います。必要な検査は以下の通りです。
上記の検査は、7歳で基礎特別支援学校に入学するときと、15歳くらいで特別支援学校の高校に入学する際に新たに行うことが義務化されています。高校入学の際の検査は、それまでに、上記の検査が再度行われており、日付が新しいものがあれば、それで代用することもできます。私は9年生を受け持っているので、秋学期が始まるとすぐにこれらの検査書類の確認と作成にかかるという大きな仕事が待っています。
スウェーデンのインクルーシブ教育の現場に関わってきて、18年になろうとしています。1990年代のサラマンカ宣言を受けて変化改革を続けてきたスウェーデンの現場を実際にこの場で見ながら、学びの場の選択の難しさを感じ、最善を尽くしつつも失敗も重ねてきた現実を見てきました。この失敗の中には、知的障害がないにも関わらず、基礎特別支援学校に通った生徒たちがいたということも入っています。2010年の学校改革前は、自閉症のみの児童生徒も支援学校に通うことができましたし、今よりも支援学校への配置は緩やかでした。私はそのころからスウェーデンの支援学校教育に関わっているのですが、今ほど、スウェーデン語ができない生徒に対する制度が整っていませんでしたので、言語の困難さが学力と社会性に大きな影響を与え、最終的に支援学校配置措置になったという話もありました。人間が人間を検査するのですから、その時の子どもの状態や検査した人のやり方や感覚などによって、検査結果が左右されることはあり得るように思います。その子が成長していくと、障害がなかったということは今でも起こりうることであり、ここには、障害が個人のみならず、環境要因も大きいということであると思います。こうした人によるミスや子どもの成長を見据えて、障害判定は数年後に必ず再度行われるべきであるという考え方があります。法制度はされていませんが、発達障害系ならば、2から5年をめどに、知的障害であれば、高校入学時に再度検査されますので、この時に検査結果により、「これが最後の検査になります」といった言葉が聞かれることもあります。これは年齢により、知的障害が明確になり、今後検査をし直す必要はない、言い換えれば、検査にはお金がかかるので、公的には再度行いませんという意味でもあります。
診断名は、スウェーデンのような福祉国家といわれるシステムを築き上げた社会には必要であり、それなりに意味があると思います。しかしながら、それは完ぺきなものではなく、システムの狭間で苦しむ人も多く、選択肢を与えられた素晴らしさもありますが、選択の責任と難しさを各個人が背負っている社会でもあると感じます。
日本のインクルーシブ教育の議論をスウェーデンから見ていると、良く取り上げられるのがイタリアのフルインクルーシブ教育です。スウェーデンでは、あまりイタリアの例は紹介されないし、どちらかというと、成功例としては取り上げられないと感じています。近隣諸国としては、ノルウェーが近い感じで取り上げられますが、「じゃあ、ノルウェー型にしていこう」という声は聞いたことがありません。スウェーデンにも、もちろん、「なぜ、スウェーデンには、インクルーシブ教育の思想がないのか。なぜ、特別支援学校の学校形態を残し、知的障害のある生徒を分けて教育しているのか」という疑問の声はありますし、時折メディアでも取り上げられることもあります。私も長くこの部分は疑問に思い、いろんな人に聞いたり、自分で大学で勉強したりとしてきました。今もこれが答えというものはないのですが、一つ分かったことは、インクルーシブ教育は完成形があるものではなく、どの国にもその国の過程があり、そのうえで作り上げていく、終わりのない戦いなのである」ということです。こう考えると、スウェーデンのインクルーシブ教育における支援学校の役割は大変大きいと感じますし、保護者の思い、教員や職員の思いも深く理解できます。そして何より、生徒たちの健やかな成長と、障害のみに関わらない、移民や難民、HBTQにギフテッドの生徒まで、広い意味でのインクルーシブ教育の実現に向けて努力している形であると思います。
今日も長くなりましたが、このあたりで今回のインクルーシブ教育の一考を終えたいと思います。2月の終わりにスウェーデンのインクルーシブ教育に関してオンラインで講演をする予定です。興味のある方は、ぜひオンラインでお会いしましょう!
スウェーデンの12時の夕日です。美しいです。
新たな年は、新しい始まりと希望をもたらしてくれ、希望とエネルギーを感じます。皆様、今年もよろしくお願いします。この「スウェーデンの教育って」のブログも、旧ブログから数えると、思い出せないほど長い間書いてきており、どんな方が足を運んでくださっているのだろうと想像しながら、また、このブログを通じてあった数多くの素晴らしい出会いに思いを馳せます。2023年、そしてブログを書いてきた長い年月に感謝しながら、2024年最初のブログに今年の目標と抱負を書き記しておこうと思います。ブログを読み返すと、年によって新年のあいさつと抱負を書いた年もあれば、ない年もあり、読み返すと、その当時とあまり変わっていない自分に驚きつつも、よい記録であるとも感じます。2024年の目標と抱負がどのくらい実行できるか、大変楽しみです。では、行ってみましょう!
年齢もアラフォーになりましたし、怒りやイライラに左右されることなく、自分の機嫌は自分でとって、ご機嫌に健康に暮らし、パートナーを支える1年にします。アンガーマネジメントやご機嫌に暮らす方法を書いた本などを読んで勉強していきます。
遅々と進まぬマスター論文ですが、あきらめずに頑張ります。そして、移住以来、20年以上続けている学業に一区切りをつけ、新たなステージに入ります。
年末に書き綴ったように、いろいろある職場ですが、国の支援学校の3年プロジェクトを責任をもってやり切ります。この支援学校のプロジェクトは、スウェーデンでもとてもユニークなもので、関われたことに感謝してやり切りたいと思います。
AACの更なる普及に向けて、活動しているISAACで今年は会議を行うので、その会議の成功をさせるように、頑張ります。何分、小さな会で、ボードメンバーも数が少なく、仕事は山のようにありますが、がんばります。
日本に夏に行くことになっており、スウェーデン人の大親友の家族と一緒に旅行をする予定でもあり、それを兼ねて5年ぶりの日本での夏を楽しみます。その計画を今から練り、特にやりたいことリストは思いついたときに作成しないと、忘れてしまうので、楽しみです。コロナ禍で知り合い、あったことがない方も多くいるので、この夏に初めてリアルで会える方々、大変楽しみです。
2024年の目標と抱負を心に刻み、百戦錬磨で頑張っていきますので、今年もよろしくお願いします。