スウェーデンの教育が低下傾向にある話は何度も書いてきました。PISAの統計でもその調査ごとに結果が低下していっています。これに関して、組合が行った調査があり、そこから、少し話をしていきたいと思います。
教員1000人に行った調査によれば、近年教育効果があがらない、結果が出ない理由は、
1.職員(教員)の減少 52%
2.教員が教える形での授業の減少 23%
3.そのほかの要因
4.学校選択の自由化
というように出ています。
この傾向は90年代に入っておきたものらしいですね。スウェーデンの教育は90年代に大きく変わりました。何が変わったかというと、
94年に出されたカリキュラム
学校選択の自由化
私立学校の自由化
学校が地方公共団体レベルの運営になった
なとでがあがります。ここで、書き連ねてもこんなに多くの変革をしてきたのかと思わずにはいられません。これにより、吉と出たか凶とでたかが今問われているというところでしょか。
ひとつずつ見ていくと、1の教員の密度についてですが、それまでの、高度成長期から経済の波が変わり、教育にお金をかけられなくなったことにより、教員や学校職員にかけられるお金ががたっとへったようですね。これに追い討ちをかけるように、国が支配していた学校を地方公共団体レベル(コミューンレベル)にかえたためにお金に余裕がなく、今のような金、金、金の学校になってしまった。。。教員が増えて、人の手、目の数が増えれば、もちろん、ぎりぎりでついてきている子どもたちや障害のある子どもたちに手が回るようになり、最終的に教育効果があがってくるだろうとも思えます。
2の教師が行う授業が減ったというのは、スウェーデンの教育は、グループワークや自主学習に力をいれたために、いわゆる一斉授業が減り、これにより、個人の能力に頼りすぎて、できない子はよりいっそうできなくなり、できる子は退屈になったというような感じでして、これも、今後見直しが必要な点だと思われます。
3のほかの要因というのは、詳しく書かれていないので飛ばします。まあ、カリキュラムが悪いとか、いろいろありそうですが。。。
4の学校選択の自由化、これは、特に都心部では大きな問題を巻き起こしていたりします。田舎はそんなに選ぶ余地がないので、あんまり関係ないかも。。。
よくあるパターンが、クラスに移民の子どもが多すぎると感じた親や、ほかにいい学校を見つけた親が、ほかの学校に移る。そうすると、その子どもについて、友達が数人ついていく。少したつと、またそのクラスでも移民が増えすぎていたりして、いやだとなり、次の学校へ。。。といった具合に、ぐるぐるぐるぐる子どもが転校を繰り返す。。。これが、学期末ならまだしも、学期途中でも繰り返される。
こんな状態では、子どもも落ち着かないし、教師も出て行く子、入ってくる子の対応に追われ、なかなかその子どもの発達を促すまでにおいつかない。。。
といった感じで、ストックホルムの有名な学校で働く方は嘆いていらっしゃいました。これも確かに一因かも。
こんなにいろいろあったら、なかなか教育効果あがりませんよね。見直し必要ですよ、スウェーデンの教育!