2015年2月28日土曜日

国によって違いがある成績のあり方

 先日「4年生から成績を出すと教育がどう変わるかという事件を行う国」を書きました。まだ、読んでいない方は、そちらもぜひ!
 
 今日の新聞に小学1年生から普通に成績をもらっている国、お隣のフィンランドの話が載っていました。興味深い内容だったので、早速書いておこうと思います。同じ記事に、各国の成績のあり方が載っていたので勉強がてら見ていきたいと思います。

スウェーデン:6年生から成績が出されます。試験的に100校まで4年生から成績を出すことができるようになりました。

フィンランド:小学校1年生から成績があり、最初は記述での成績のみで、3年もしくは4年生から数字による段階的な成績が出ます。

ドイツ:最初から最後のクラスまで成績があり、1がもっともよく、6が不可。ドイツでは16の地方自治体が教育を取り扱っており、その州によっては、最初の2年間は記述での成績評価にしているところもあるそうです。教育はよく取り上げられるそうですが、成績に関してはそうでもないとあります。

イギリス:北アイルランドは4歳、その他の地域は5歳から義務教育が開始され、それと同時に成績もつけられるそうです。いわゆる段階的な成績は、11歳になって中学校にあたるような学校に行くようになってで、A* というのが一番よく、Gまであり、Uが不可になるそうです。北アイルランド、スコットランド、ウェールズにはそれぞれのシステムがあり、イギリスの教育議論の中心は、成績ではなく、子供達の知識の状況についてとあります。

イタリア:イタリアでは小学1年生から成績がつき、年2回渡されます。1から10までの段階で6までが 合格となるようです。。1年生に出される成績は、子供を不可にすることが目的ではなく、早めに支援援助を開始することが主旨で行われ、成績は、書式で親に渡されます。学校が近代化していれば、インターネットにパスワードを入れて読むこともできると。

アメリカ:州によって差があるが、基本的には、成績はA-Fでつけられている。開始学年にも地域差があるが、多いのは、5年、6年、7年で、高校入学の数年前というのが多いとあります。アメリカの教育議論の中心は、全国統一の知識の段階評価の導入に関してだそうで、すでに州によっては導入されているともあります。

フランス:つい最近パリであったテロ事件が影響を与えたとあり、他の国と比べると書かれている内容が少し違います。低学年の成績評価をなくす動きがあったようですが、あのテロにより風向きが変わったとあります。


国によって成績のあり方も違うことがわかりますが、短い記述の中にも、その国流れがわかり、大変興味深いです。次は本題のフィンランドの話を書こうと思います。

読んだ新聞記事:Inga strider om betyg redan i ettan, DN, 20150228

2015年2月27日金曜日

問題を抱えた親のもとに生まれた子どもたち

 だいぶ日が長くなってきたスウェーデン、ストックホルム。今日は天気もよく、散歩に何回も行きました。もうすぐ春がやってくるなあと感じる日でした。
 スウェーデンにも薬物中毒問題やアルコール中毒問題があります。そういった問題を抱えた親のもとに生まれて育つ子どもは、約8%。この数字ですが、統計上のことなので、問題を抱えて治療を受けた親のもとに育つ子どもとなります。そうなると、現実にはもっとたくさんの子どもたちがそういった問題を抱えた親と生活をしていると考えられます。また、この8%の中の3%の子供たちは、家族の世話をするために週に最低1回は学校を休んでいるとあります。この事実が子供の将来に与える影響は、思っている以上に深いと思います。
 8%を実際の子供の数に置き換えると、最低でもスウェーデン国内に6万人の子供がそういった状況で生活をしていることになり、事実が重く感じられます。親と書きましたが、どちらかの親が問題を抱えている場合に統計に上がっているそうで、両親である場合もあるかと思います。また、これはつい最近出された統計の結果で、1973年から1978年に生まれた人から集めた結果であるとあります。

 親が問題を抱えていると、子供は自分の問題と向き合うことができず、例えば、親が死んでしまうのではないか、入院してしまうのではないか、家族が一緒に暮らせなくなるのではないかといった心配事を抱えて生活していかなくてはなりません。そして、兄弟がいれば、兄弟の面倒をみて、家事をして、時には問題を抱えた親の世話までして暮らしていると。
 こんな環境で育つ子供は、普通の家庭で育った子供に比べて約7倍、親と同じ問題を抱えるリスクがあるそうです。また、義務教育を不完全な状態で終える危険性も、倍以上。宿題があっても、親が見てくれる可能性は低く、宿題を落ち着いてやれる環境にもない。余暇活動に充てる経済的な余裕もなければ、時間もない。交友関係を深める余裕も時間もない。親を残して、仕事や勉強のために引っ越すこともできない。。。そんな中で人生の重要な時期である幼児期から成人期までを過ごす子供が6万人もスウェーデンにいることに、危機感を感じずにはいられません。

 こういった子供たちに対する対策が強化されていく必要が有ります。新聞には、すでに子供と家族のためのプロジェクトが始まっているとあり、中毒症と保護者のありかたといった内容で、関わる人々に研修等行われているようです。まだまだ数は少ないようですが、コミューンでも力を入れ始めているようです。できる限り早くこういった問題を抱えた人に援助や治療が行われ、そこで暮らす子どもたちが、できる限り健全に暮らせることは、とても重要なことであると思います。

 読んだ新聞記事:Barn tillmissbrukare tvingas hjälpa sina föräldrar; DN, 20150205

2015年2月22日日曜日

4年生から成績を出すと教育がどう変わるかという実験を行う国

スポーツ休暇に入り、ちょっと一休みです。といっても、たまっているスウェーデン語の課題をこなし、学校以外の仕事をこなしていると、一週間はあっという間に終わってしまいそうです。

 2月11日に、現政府は元政府との和解案として、実験的に最高100校までの学校で4年生から成績を出すという決定をしました。この決定、驚きました。こういう案が出てくることに驚きました。スウェーデンらしいなあとさらに思ったのが、導入される学校について。政府が選ぶのではなく、学校側の主導であること。学校側が導入の意思を見せた場合に保護者を含めて導入されるか検討され、早いところではこの秋から導入が始まり、5年後の2020年に見直しをするということでした。
 もともと4年生からの成績には反対の声が強く聞かれ、現場もさることながら、研究者側からも声があがっていましたし、組合も強く出ていました。一時期はかなりテレビでも討論が行われましたが、この決定後はピタッと声が聞こえなくなりました。新聞の記事も対して出ていなくって、忙しいついでに書くのを待っていたけれど、特に目立った動きなし。

 昨年12月に再選挙がなくなり、「12月の合意」が出された後、いつだったかに、教育分野でも対話を増やし合意をしていくということがニュースになりました。やっときたかと思ったのもつかの間、出たのがこの案で、こういうのありなんだと思いました。本格的に話が進んだのは2月初旬のようです。結局のところ、スウェーデン民主党の力を借りれば、なんとか4年生からの成績を国会で可決することができる野党側のことを考慮して、折衷案?ではないが、前政府に花をもたせたような形だと理解しました。

 今後、この4年生からの成績導入にどのくらいの学校が手をあげるのかが気になるところです。私としては、せっかく行うのならば、研究者を巻き込んでしっかりデータをとってほしいと思うのですが、そこまで組織的に動くには、2月で今年の秋導入って早すぎる気がします。こんな実験的なことやってもいい国ってすごいなあとも思います。だいたい、生徒の出入りが激しいスウェーデンの学校で、これによってどのくらい明確なことがわかるのか、とも思ってみたり。続きがで次第、また報告したいと思います。

 最後に、3月の終わりに予定されている日本週間、日本文化系の内容は、今のところ月曜日と火曜日に予定されています。詳しい内容は以下から。興味のある方、是非、ご連絡くださいね。