2019年12月8日日曜日

スウェーデンのPISAの学力テストの結果

 PISAの学力テストの結果が先週でました。これに際して、数週間前から、日本の文部科学省にあたる学校局からメールが届いており、どんな結果なのか大変興味深く待っていました。2013年のPISAショックが大きく、その後のスウェーデンの学校教育に大変大きな影響を与えたこともあり、今回の発表も大きな関心を集めました。結果は、前回の結果よりもよいという、前向きな結果になりました。これには、ほっとした関係者が多かったのではないかと察します。しかしながら、この結果にはいくつか問題点もあり、覚書がてら、ブログにまとめておこうと思いました。

 まず、結果を見ていくと、スウェーデンの15歳の生徒たちは、OECD加盟国の平均をどの分野でも上回っており、この結果が2006年の結果と同じ水準に戻ったということです。ご存じの通り、PISAの学力テストは、読解力、数学、自然科学の3分野で行われます。

読解力:2018年は506ポイント、2015年500ポイント、2012年483ポイントで、わずかですが、2015年の結果よりも上昇しました。OECD加盟国の平均値は487ポイント。ちなみに日本は504ポイント、お隣フィンランドは、520ポイントでした。

数学:2018年は502ポイント、2015年494ポイント、2012年478ポイント。OECD加盟国の平均は489ポイントでした。数学は日本がトップで527ポイント、フィンランドが507ポイントでした。デンマークは509ポイント。

自然科学:2018年は499ポイント、2015年493ポイント、2012年485ポイント。OECD加盟国の平均が489ポイントでした。こちらも日本は高く529ポイント、フィンランドが522ポイントでした。


 男女間の学力差が見られたのですが、こちらも多少回復したようです。しかしながら、北欧の国々の中では、最も教育システムに平等さが欠けているという結果となり、こちらに関しては大きくその後も話題となっています。
 また、最も大きな問題とされているのが、学力テストから除外された生徒のパーセンテージ。PISAの学力テストは、以下の条件に当てはまると、テストを除外され、統計から外されます。その条件とは、
  • 中度、もしくは重度の永続的な肢体不自由がある場合
  • 認知行動的、もしくは、情緒的な障害がある場合
  • スウェーデン語を母国語としない、スウェーデン語の知識に限界があり、スウェーデン語の授業を1年受けていない場合
 この条件により、テストから除外された生徒が、今回は、約11%と、平均的な4%をかなり上回っているのです。この理由として、2015年に難民をかなり受け入れたことが挙げられています。平均値よりもかなり上回っていることに、今回の結果が、前向きなものであるとしながらも、その問題点を指摘する声が後を絶ちません。

 今回は、この説明でもなんとか乗り切れるだろうが、3年後に同じ説明はできないため、今後更なる抜本的な改革をさらにしていく必要があると思われます。学校間の差をいかになくしていくか、という大きな課題に対する、教育大臣の考えを次回はまとめてみたいと思います。




2019年7月14日日曜日

幼稚園でもデジタル機器の使用を義務化に

 この7月1日から、日本の幼稚園や保育園にあたる、スウェーデンの就学前学校で、デジタル機器の使用が義務化になりました。これに合わせて、当然のことながら、心理学者などが、早期にデジタル機器を使用し始めることに対する危険性、とくにあまりどのような影響をもたらすかということに関して研究が進んでいないということで、今回のカリキュラムの改訂をに警鐘を鳴らしています。

 小中学校にあたる基礎学校においてのデジタル教育の義務化はすでに始まっています。今回は、就学前学校においての改訂ということで、義務教育の学校のようにTeknikという時間があって、プログラミングを教えるといったような明確な定義はされていません。では、どのように書かれているかというと、

「コミュニケーションや、何かを創造したり、作成をしたりするときに、成長や学びを促す方法で、子どもたちがデジタル機器を使用するように」

といったような感じで、このデジタル機器の導入によるコストなどについても特に上がっていないようですし、大きな変化を求めるというよりは、もうすでに現場で使われているデジタル機器を引き続き、より教育に生かす形で使用していくというようなイメージを受けます。私が気になっているのは、これに合わせて、少し前にでた学校庁のネットの研修。就学前学校向けのなので、おそらく私の現場にも合うのじゃないかと。少し時間ができたら、ゆっくり見てみようと思います。

 話を戻して、今のところ、低年齢の子どもがデジタル機器を長く使用することにはよい影響がないというのは、私でも理解できるところで、子どもたちには、機械の前でじっとしていることよりも、人と触れ合うこと、子ども同士で遊んで社会性を身に着けること、創造性豊かに遊ぶこと、体を動かすこと、そうしたことで、自分とその世界を学んでいくことなどが重要であると思います。そんなこの子たちが住む、学ぶ世界には、デジタル機器が存在するので、長く使用する必要はなく、就学前教育の中で教員により教育的使用の意図を明確にして、適切に使用していくことは、私はよいことであると思います。家庭での使用時間を考えると確かに園ではやめてくれっていう親の気持ちもわからないではないのですが、上手に使用する方法を模索していく必要性は、あるかと思います。

 就学前学校でのデジタル機器の使用、今後も注目していきたいところです。

2019年7月13日土曜日

スウェーデンに来る人、去る人

 日本から母と叔母が遊びに来てくれました。10日間ほどの短い滞在でしたが、ストックホルムを回ったり、家のそばの島に行ったり、ダーラナ地方まで遊びにいったりと楽しい日々を過ごしました。毎回のことですが、帰ってしまうと、ちょっと放心状態。寂しく感じますが、また日常に戻りました。気分転換にブログの模様替えしてみましたが、いかがでしょうか。

 今日のテーマは、スウェーデンに来る人、去る人としてみました。この間、新聞にスウェーデンからインドネシアのバリ島に移住したという人の話が載っていました。たまに見かけます、スウェーデンから出ていく人の記事。気になるのがほかの国に移住する理由。毎日の生活に忙しく追われてしまい、消費生活にも疲れ、そこから抜け出し、新しい生活がしたいというものなんかは、一般的な理由かと。これに加えて、ここ数回、(まだ数回だけど)聞いたのが、

 スウェーデンの学校教育に対する不信感

というもの。そうだよね、あるよね、と思ってしまいました。違う教育が受けさせたいというもの。スウェーデンの教育は、選択肢が少ないと私も感じているので、ある意味、この教育に不信感とまではいかなくても、違う教育を受けさせたいと思うと、海外移住という選択肢も可能な方にはあるのだろうとおもいます。

じゃあ、そんなに学校教育わるいのか、悪くなったのかというと、そんなには悪くなっていないのではないかと推測します。ただ、多様な社会の多様なニーズに対応できにくくなっているかなあとは感じます。

逆にこの国に移住してくる人も多いし、最近は、日本からの労働移住も珍しくなくなっている気がするし、日本への移民も増えているし、ああ、グローバル化ってこうやって実感することもできるんだなあと感じています。

2019年6月27日木曜日

国からの給付金返還請求が出される

  興味深い内容がニュースとなっていたので、勉強がてらご紹介を。Skolverketという、スウェーデンの文部科学省が2400万クローネの返還を要求したと。どこに返還要求出したのか興味があり、まとめてみました。

 2018年に学校均等化にかかわる国からの給付金を申請は651件でした。2019年春にその給付金の使用結果を提出する必要があり、これにより問題があると指摘されたのは8件でした。どんな問題化というと2015~2017年に生徒一人当たりにかけた経費より、2018年の経費が削減されたというものです。今回は、まず、6コミューンと私立1校に対しての返還請求で約2400万クローネが返還されるとのことでした。

 少し詳しく書くと、こういった国からの給付金は、その目的のために使用されないといけないという決まりがもちろんあり、この給付金をもとに(明確ではないにしろ)生徒一人当たりの経費が減らされてはいけないのです。線引きがしっかりしているスウェーデンなのですが、例外が許されないわけではなく、何かしらの理由があればもちろん了承される場合もあります。今回の返還要求も、この例外が考慮されないか試され、きちんと書類でその例外を証明できたコミューンは返還義務は課されませんでしたが、それができなかったところは、返還請求となったようです。

 ここ1年ほど、財政状況が悪化しているコミューンが多いのか、学校運営にかかるお金が増加しているのか、教育費削減傾向が目につき、教員組合がスウェーデン各地でデモを行ったこの春学期、こういったお金の使用に関しては、教育局も組合も、教員もとても関心があります。今回の返還請求の決定に関しても、コミューン側の言い分としては、コミューンからの経費削減命令に沿って、経費を削減したことによる、トータルの削減であり、国からもらった給付金はその目的で使用されたとありますが、認められませんでした。今回の返還要求は私立を除き、各学校にされるのではなく、コミューンの最高責任者に出されるものなので、この理由が通らないのもよくわかります。

 これで終わりではなく、秋に引き続き、調査をしていくそうで、こうした学校局の対応は重要であると思います。国がいくら予算計上して、政策を立てても、地方分権化が進み、教育が地方に降りているスウェーデンでは、そこでしっかりと教育が行われるかがカギとなります。また、民営化が進み、私立の学校が利益を上げることができるスウェーデンの学校システムでは、こうした給付金を得て、利益を上げているようなことがあれば、やはり問題かとも思います。


2019年6月25日火曜日

スウェーデンの学校、携帯電話禁止となるか

 スウェーデンの教育関係の最近の話題で外せないのが、携帯電話の使用に関してです。学校での携帯電話の使用を禁止するという動きがあり、どの学校区分で、どの程度禁止とするのかなど、その禁止の度合いについて話題となっています。


 この携帯電話禁止もしくは使用の制限に関しては、前々から時折出ていたので珍しい話ではないのですが、本格的に議論される大きな理由は、現政府の組閣にかかわって、社会民主党と環境党が、中央党と自由党の支援を受けるために受け入れたいくつかの条件の中の一つに、この内容があったというのが大きいかなと思います。もともとは、もちろん、学力低下と教室での学習環境の悪化があり、そこを法をもって何とかしようという政党の考えが、この携帯電話禁止の方向に動いています。


 私が見聞きする範囲では、特別支援教育関係者は、やはり携帯電話がもたらす恩恵の方に目を向け、支援機器として考えると、法で禁止する方向は反対の姿勢を示している反応を見受けます。法できっちり禁止すること自体があまりスウェーデン的でない印象を私も受けるので、やはり同じようにそこまでしなくても、現場が決めていけばいいというような意見も多々。最初にこの話題が出たころに比べれば、議論が進み、徐々に緩和されたというか、寄り添った案となりつつあり、好意的な意見を述べる人も増えてきた気がします。

 
 個人的には、デジタル化教育の推進を掲げ、カリキュラムも改定したのに、携帯電話の禁止を学習環境を整えるためという理由であっても導入するのは、時代の流れに反する気がします。今後デジタル化社会は進んでいくのであり、そこに生きていく子どもや若者を育てていくのですから、それにあった知識を与え、教育を行うべきであると思います。禁止をしなくても、やり方はいろいろあるように思うのです。こういった議論が行われることは大変良いことで、これにより、いくつかユニークな試みが行われました。そんな動きもご紹介できればと思います。




2019年6月24日月曜日

スウェーデン夏期講習導入

 国際学力テストでスウェーデンが順位を落とし始め、どのようにしてより多くの生徒に基礎学力をつけていくかという議論が何度となく行われ、もう永遠のテーマという感じですが、その一環として、数年前から始まったのが、夏休みの講習。スウェーデン語では、「Sommarlovsskola(ソンマルローブススクーラ)」と言います。直訳すれば、「夏休みの学校」。

 この夏休みの学校には、最低到達目標である成績Eに届かない可能性のある生徒が通うことになります。夏の間の集中講座で補い、成績の不可を少なくすることが主な目的なので、日本のようにより良い成績をとるために通う夏期講習ではありません。この夏の学校の運営費用は、国に事前に申請します。しかしながら、あまりうまくいっていないようです。まあ、始めからそんな気配は感じたのですが。。。うまくいっていない大きな理由が

有資格の先生が少ないために、夏の学校で働く先生が見つからない。有資格でないと成績がつけられないので、必然的に無資格者ではなく、有資格者が必要。加えれば、有資格者で教員やってて、夏の学校でも働こうという人はなかなか見つけにくい。

生徒が嫌がる。これは予想の範囲。もともと成績がいまいちの子が、夏休みにどのようにモチベーション上げて学校通うんだろうと思っていました。

 上記の2点から、予算に計上したけど、3分の1くらいしか使われないそうです。塾に通うというような習慣のないスウェーデン、アイデアはいいんだけど、実現するのは難しいかなと。ヨーロッパの中でも格段に長い夏休みらしいスウェーデン、夏休みを減らして、授業時間数を増やそうという動きも少しずつ出ていて、今後どうなるのか興味深いところです。

2019年6月23日日曜日

宗教色の強い学校は禁止に?!

 日本の私立の学校には、キリスト教系など、宗教的な考えをもとに運営をする学校が多くある印象があります。カソリック系だったとか、仏教だったとか、あまり珍しくなく、普通に話しているのを聞きます。こちらスウェーデンでは、そのような宗教的な考えをもととした学校を禁止したいという動きがあります。

 現在、スウェーデンの基礎学校(いわゆる小中学校)で、宗教的な方向性を明確に打ち出している学校は66校あるそうです。数だけ聞くと、そんなに多くないし、あまり騒ぎ立てることでもない気もしますが、この統計には気になる点があります。学校側が明確に示している学校数が66校ということで、明確には打ち出していないが、宗教色を出している学校は数には上がってこないので、実際にはもっとあると推測できるのです。この66校のうちの大半はキリスト教系で、イスラム教系は10校。このある宗教を打ち出す私立の学校を禁止しようとする動きは少し前からあり、何度か話し合いや調査が行われています。今のところ、話題にはなるがなかなか禁止という方向にならない大きな理由は、宗教を理由に何かを禁止するということが、ほかの法律などとの兼ね合いで難しいためと聞いています。現教育大臣であるAnna Ekströmによれば、それでも教育という観点からみれば、可能であるという判断であるようです。今回の話も、現在すでにある学校はともかく、新設することはできないようにしたいようです。

 スウェーデンの場合、学校検査局が検査に入るので、この検査局の検査がしっかりと機能すれば、宗教的なプロフィールの学校であっても問題ないようにも思いますが、このご時世、できれば禁止したいというのもわかります。ほかの国に比べて、学校のシステムが「すっきり」しているスウェーデンなので、禁止の方向もあるかななどと思ってみたり、興味深い限りです。


2019年6月22日土曜日

実り多い夏の休暇に

 昨日は、スウェーデンの三大祭りのひとつ、夏至祭がありました。例年になく、好天に恵まれ、楽しい夏至祭となったことでしょう。私はというと、雑草の花粉が体に合わず、アレルギーで苦しんでおりました。あと1週間ほどの辛抱です。

 6月12日に無事に卒業生を三名送り出し、いろいろあった今年度も終わり、水曜日から夏の休暇に入っています。夏の休暇前は、もう仕事をこなすのが大変で、これは私の性格のせいなのか、、、何なのか。。。こんな忙しい時期に、転職活動をこなしていて、かなりの数のインタビューを受けたのに、結局、条件に合わず、転職しないことに。おそらく、ふざけるなというような条件だったんだろうけど、私にとっては重要な条件がいくつかあり、今回は転職しないことに。

 忙しいときはいろいろと重なるもので、この夏は、とんとんといくつか仕事のお話を頂きまして、うれしい限りです。仕事と書くと語弊があるかなと思うのですが、お金儲けの意味合いでの仕事ではないのですが、いろんなことを経験できることはよいことだと思い、母と叔母が来る二週間、スイスの学会に行く1週間の3週間を除いてすべて仕事をすることにしました。日本の方からすると3週間休めば十分って感じもしますが。。。そして、今年こそは、会社を立ち上げる予定で、いろいろと準備を進めています。ここ2年ほど構想にはあったのですが、いろいろと家庭の事情も重なり伸ばし伸ばしに。しかし、今年ことは、と思っており、ホームページもできればいいなあと思っているので、夏の終わりにはここで紹介できることを目標としてここに書いておきたいと思います。あと、書いている原稿があり、それらが出るときにも紹介できればと思います。

 こうして、書いておくと、逃げられないぞーと自分に言い聞かせております。何せ、もとがダラダラとゴロゴロをこよなく愛する人間なので、有言実行で頑張らないと。。。年のせいにもさせていただけるならば、そうさせていただきたい。。。私だけかもしれないが。。。

 ということで、コーディネートや通訳、教育や福祉などに関するリサーチなどのご依頼がありましたら、いつでもご連絡ください。メールアドレス:swedenpedagog@yahoo.co.jp


 


2019年6月2日日曜日

スウェーデンで増えている発達障害の大学生

 スウェーデンでは、発達障害でありながら大学で学ぶ学生が増えているという記事がありました。大変喜ばしいことです。発達障害の場合、知的障害がない場合は、適切な支援と援助を受ければ、持っている能力を生かして活躍していくことができます。その障害ゆえに、失敗経験を重ね、二次障害を抱えてしまうと、本来の力を出すことなく、精神的に不健康な状態になってしまう場合も多く、適切な支援援助を早期に行うことは大変重要です。

 スウェーデンの大学では、日本と同様に各大学に「支援援助センター」みたいなところがあり、そこに特別支援教育専門教員などが配置されています。特に入学から1年ほどをめどに集中的に支援援助を希望する学生におこなっています。障害に関する証明があれば、テストの際の配慮(時間や場所)、読み上げ機能や音声文書の利用、文章の書き方の指導、勉強の仕方、デジタル機器による支援などいろいろな支援をおこなってくれます。昨年このような支援援助を希望した学生は、1万7千人とあり、数年前に比べるとかなり増えているとあります。

 増加の要因としては、なんといっても障害に対する偏見が、一昔前に比べると各段に減ったというのが大きいでしょう。特に発達障害に限れば、ここ数年、子どもに限らず、大人でも障害判定がおり、隠さずに話す人も多くなり、障害に対する認知、知識が広がったというのが大きいかとも思います。これは大学教員間にもいえることですし、ほかの学生にしても、多様な人が存在することがそんなに珍しいことではなくなったということでしょう。また、デジタル機器の普及により、支援援助の多様化と簡素化が図られたことも大きいと思います。

 義務教育のみでなく、高校、成人教育、大学などで、より一層、こうした支援援助が広がっていき、多くの人々が持っている力を最大限に生かせる社会を目指していければと、特別支援教育にかかわる人間として願わずにはいられません。

2019年5月31日金曜日

スウェーデンの学童保育の職員密度は?

 もう月1回の更新とかにしてしまってもいい感じのブログですが、もしも時々覗いてくれてるという方がいましたら、夏休みはもう少し頻繁に教育情報更新したいと思いますので、お付き合いいただければと思います。今週と来週は、木曜日が祝日なので、間に挟まった金曜日もお休みとなり、4連休が2週続き、いよいよ夏休みマジかという感じがします。年度末に加えて卒業生を3名抱えているので、忙しさは度を越していましたが、だいぶ落ち着きました。

 今日は、学童保育について。前々からスウェーデンの学童保育について書きたいなあと思っており、少しずつ書いていければと思っています。今日は、職員の密度に関してです。スウェーデンの学童保育は定員という考え方はなく、必要とする子どもには提供されます。よく統計にあがってくるのが、職員一人当たりに対する生徒の数。職員一人で何人くらいの子どもの面倒をみているのかというもので、これが、どのくらい学童にお金をかけているかという目安になります。

*2018年の学校局の統計より
 スウェーデン全国では、職員一人あたり、12.3人となっています。ストックホルム圏内のコミューンは以下の通り。

職員一人当たりの生徒数が多いところ:
フッディンゲコミューン(Huddinge):17.2人/職員
二ネスハムコミューン(Nynäshamn):15.5人/職員
サーレムコミューン(Salem):15.2人/職員
ソーレンチューナコミューン(Sollentuna):14.9人/職員
バーレンチューナコミューン(Vallentuna):14.8人/職員

少ないところ:
シグチューナコミューン(Sigtuna):10.7人/職員
ヤールファッラコミューン(Järfälla):10.9人/職員
チーレソーコミューン(Sollentuna):11.2人/職員
ニュークバーンコミューン(Nykvarn):11.2人/職員

多いところと少ないところでは、7人ほどの差があります。人数の多さが直接学童保育の質の低下につながるわけではなく、どのような建物でどのような組織化が図られているかなど、多様な要素によりその質はきまります。しかしながら、職員の人数に対する生徒の数が多いということは単純に手が回りにくいという状況を生み出しますので、やはり目安の一つとしては重要です。また、職員当たりの生徒数と共に問題となるのが、学童保育の質の差です。どの学校で度の職員であるかによって、受けられる学童保育の質に大きな差があることがスウェーデンでは問題視されています。学校教育もしかりですが。。。差があって当然というとらえ方ではないことに私などすごいなあと思ってしまうのですが。

また、学童保育についても書いていきたいと思います。


2019年4月30日火曜日

共通の先生の会議

 春を通り越して一気に夏のような陽気のスウェーデン、ストックホルムです。天気がいいのはうれしいのですが、花粉が一気に噴き出す感じで、花粉症もちにはつらい季節でもあります。イースター休暇も終わり、ここから夏休みまでの1か月半は、駆け抜けるように過ぎていく、スウェーデンの学校です。前回の投稿から1か月以上空いてしまいましたが、心温まる応援メールやコメントを頂きまして、本当にありがとうございます。

 今日は、定期的にある、うちの学校組織の先生を集めた共通の会議でした。特別支援学校の教科学習クラスから領域学習クラス、小学1年から高校4年までの生徒を受け持つ先生が、総勢15名あつまっての会議です。もちろん、校長も参加します。私の担当テーマは、「生徒の健康」。スウェーデンの学校教育の中でも特にユニークな、私が近いうちに本格的に書きたいなあと思っているテーマの一つです。結果から言えば、校長からは「講演できるレベルだ」とまでのお褒めの言葉をいただき、同僚たちにも「わかりやすくてよかった」と。素直にうれしいです。

 今回は、前回の続きだったので、主な内容は前回の時に構想は練ってあったので、イースターの休暇前に学部責任者の人たちに、どんな状況下の確認メールを送り、それと生徒の成績を集計した結果などを読み込み、多少組み立てなおし、週末にアクセシビリティについての資料をざっと読みなおしました。うまくいってよかったです。自分が担当するときは、先生方の貴重な90分を頂くので、できる限りすべての先生が、参加してよかったと思えるものを準備したいと思っています。いつも次回はこんなことしようとか、そういうアイデアには事欠かないのですが、時間内で、できるだけ多くの先生にとって有意義な内容というのは、やっぱり選択が難しいです。

 明日はメーデーで休みなので、少しのんびりできそうです。

 

 

2019年3月24日日曜日

進路指導のプラン作成

 だいぶ春めいてきた、ストックホルム。天気が良くて気持ちが良い週末でした。日曜日の午後は、眠いなあと思いつつ、進路指導のプランを作成。スウェーデンは、進学進路の専門員が学校にいます。日本では針路担当の先生がいたり、ジョブコーチがいたり、新しい名前で似たような感じの仕事をされている人もちらほらいるようですが、このあたり詳しくないので、また調べてみようと思います。

 スウェーデンでは、
「Studie- och yrkesvägledare (進学就職進路カウンセラー)」

がいて、スウェーデンお得意の略語で、頭文字をとって、「SYV(シーヴ)」とも呼ばれます。生徒数に応じてこの専門職の配置割合が決まり、校長が決めますが、うちみたいな小さな特別支援学校だと50%で雇われています。専門職なので、大学で3年間勉強して得ることができる資格です。


 各学校には、進学や将来の職業選びに向けて、進学就職進路カウンセラーと共に行うプランを設けることになっており、うちの学校も最新版を作成中で、その案を私が作成しているのです。火曜日が会議なので、それに合わせて、下案を作りました。なかなか難しいです。でも、こういう案をもとに、9年間しっかりと将来に向けて生徒に指導していくことはとても重要であると思います。

 

2019年3月23日土曜日

スウェーデンの教員、有資格者率低下止まらず

 毎年出ているスウェーデンの学校の統計結果により、スウェーデンの教員の有資格者率が下がったという報告書がでてました。スウェーデン、教員資格を持った人はかなりいるんだと思います。でも、ほかの仕事についている人、結構多いんです。日本もそんな傾向になりつつあるようなこと聞きましたが、教員の資格を持たない先生が増えることは様々な問題を生み出すので、学校局、組合とも、問題視をしています。当然ですが。。。
 数字で見れば、全体の有資格者率は昨年度の71.4%から、70.5%に下がったとのこと。義務教育の小中学校が減り、高校は多少増えたとあります。290あるコミューンでみると、179のコミューンで減ったとあるので、かなりのコミューンが有資格者を雇用するのに苦労しているのでしょう。ちなみに有資格者が最も少ないのは、特別支援学校の義務教育の部分である、小中学部。有資格者率は20%切っています。問題ですよねえ。。。最も有資格者率が多いのが0学年、就学前クラス。幼稚園教諭の資格を持った先生が幼稚園で働かず、ここに流れているので80%を超えており、有資格者が多いです。
 この流れを重く見て、今から対処に当たらないと、数年後には、有資格者率がさらに減り、教育格差がさらに広がる危機感を各所明記しており、協力して何とかしなければという話がされています。よく言われるのが、資格ない人のほうがいい先生だった、教えるのが上手だったという言葉。もちろん、先生も個人差がありますし、医師免許持った医師すべてが名医でないのと同じで、教員も資格があれば、大丈夫というわけではありませんが、資格を得るために学んだ基礎がない人が職員の半数を占めれば、教育が成り立たなくなるでしょう。。。どんな対応策がされるか、興味深いところです。

2019年3月17日日曜日

スウェーデンの保育は無料か?

 日本で幼児教育・保育無償化となると知りました。教育の無償化はよいことであると思うのですが、すべての子どもが平等に健やかに成長するために享受できる改革ではないのではないのかと思いました。日本のように就学前教育の種類や形態が、保育園、幼稚園、こども園、認可、無認可などと複雑化していると、無償化にといっても問題が多くあるのだろうとも思います。

 スウェーデンは、働く保護者や学生の保護者などに対して地方自治体となるコミューンが必要な保育を提供することになっていますが、保育は無償ではありません。入園は基本的に1歳からで、保育料は最高限度額が決まっており、保護者の収入に応じて支払います。無料で保障されている幼児教育の部分は、3歳から525時間と決まっており、この部分は無料です。

 私がスウェーデンの就学前学校で働いていたのは、もう10年も前になりますが、そのころから、朝から晩まで子供を預ける親が時折問題になっています。スウェーデンの就学前学校の場合、主となる活動時間は9時から15時なので、この時間以外の保育は基本的に本当に必要な人のみが使うものであるという考え方があります。なので、あきらかに片親が家にいる場合などは、表立っていうことは少なくとも、職員間ではかなりいろいろと話題に上ります。お金を払っているのだからどれだけ預けてもいいだろうという人もいるかもしれませんが(あまりスウェーデンでは聞いたことがないですが)子ども一人の保育と教育にかかる年間料金からすれば、本当に微々たる料金しか払っていませんし、スウェーデンの場合は、これ以外に徴収されるお金は発生しないとすれば、必要なときのみ必要な人が利用するのが原則でないと、有限である税金という財源をもってして運営していくことは不可能となります。


 これに加えて、スウェーデンには、子どもが小さい頃はできる限り親と一緒に過ごすことが良いという考え方が浸透しており、親は、子育てと家族を優先することが当然となっています。病気看護休暇も充実していますし、子どもが小さいうちは、フルタイムの仕事を75%にすることもできますし、様々な政策がとられており、保育と教育、仕事などのバランスがとりやすいようになっていると思います。



 遠いスウェーデンから日本の幼児教育、保育無償化の話を聞くと、財源は有限であることと平等という観点が少し欠けているのではないかと危惧してしまうのですが、どうでしょうか。保育士さんのなり手がいないという声も聞きます。無償化が本当に子どものためになればよいのですが、さらに保育の現場が過酷な労働を強いられるようになったり、教育の質がさらに大きくなったりしないことを願うばかりです。日本を離れて長いですし、わからないことも多いので、こうだよと話してくださる方がいれば、ぜひ、コメントを。😊

2019年3月16日土曜日

スウェーデンの教員組合

 今週の水曜日は、教員組合の会議がありました。スウェーデンの教員は以下のどちらかの教員組合に所属します。日本で教員組合というと何をやっているのかよくわからない団体で、参加するとあまりよくないというイメージがあり、私が日本で働いていた3年弱の間かかわることはありませんでした。周りで入っている先生もいなかったような。。。

 しかし、ここはスウェーデン。労働環境にはとてもうるさく、教員組合もとても重要な役割を果たしています。学校関係の組合で主なものは以下の通り。

Lärarförbundet(教員組合
幼稚園教諭から成人教育、教会での教員、学校や就学前学校(幼稚園)の校長など、ほぼすべての「教員」が組合員になれる教員組合で、国内最大の教員組合。教員免許などの資格がなくても、学校で教員の職を得ていればいいため、幅広い学校関係者が組合員となっている。

Lärarnas Riksförbundet(全国教員組合)
上記の組合との最大の違いは、大学卒の有資格者のみで、校長などの管理職グループは入ることができない組合。

私は教員組合に入っていますが、一時期全国教員組合にもはいっていました。組合を変えた理由は、私の利用している銀行と提携を結んで、とてもいい住宅ローンを提示したので、主人と相談して組合を変えてローンを組みなおしました。この理由を教員組合に話した半年後くらいに同じ住宅ローン提携を結んだので、元の組合に戻りました。

このほかにも、
Friskolornas riksförbundet:私立の学校の先生の教員組合がありますし、校長たちには校長たちの組合もあります。保育士や生徒アシスタントなどは、Kommunalという組合になります。


私の印象ですが、生徒アシスタントなどの高卒の職業グループは、労働組合活動に熱心な人が少ないです。そのため、うちのようにかなり組合に入れる人はいるけれど、参加している人は少なく、何か職場で問題が起きると組合に連絡できないので、ちょっと残念化と思います。

教員組合は、教員の過重労働や給与問題、教員不足問題など、様々な問題を解決しようと努力していることもあり、教員のほとんどが加盟しています。私は就学前学校で働いていた時に転職をすることが決まっていた時期に給与交渉があり、園長のやり方を不審に思い組合に連絡したら、親身になって相談にのってくれ、それから組合にはずっと入っています。いろいろと参加するほど熱心ではないけれど、何かあった時に見方をしてくれるという安心感は大きいです。いろんな情報も入ってくるし。

水曜日には、組合の総会があり、参加してきました。総会が1時間ほどで、その後食事が出るのでみんなで食べました。久しぶりに小学校の第一教諭の先生と話ができて、楽しかったし、最後にくじ引きもあり、景品ももらえました!と、付属部分が重要な感じですが、総会では、以下のようなことが話題に。


  • うちのような田舎のコミューンでは、有資格の先生を見つけるのが大変。
  • 健康維持のための補助金がとても低いので、上げるように交渉中
  • 国からお金が出ている資格保持の先生向けの給与補助金を給与に含むように交渉中
  • コミューンの学校の建物移転に関する情報

などなど。昨年の活動内容と経営報告をきき、今年度の活動などを聞きました。労働者の立場になり、労働環境の改善に努力する組合は重要であると思います。日本の労働組合と比べたことはなかったのですが、おそらく興味深いのではないかと思いました。

2019年3月1日金曜日

忙しかった2月とスポーツ休暇

 また、だいぶ間が空いてしまいましたが、元気になんとかやっております。スポーツ休暇中なので、だいぶのんびりして、久しぶりに友人たちと会うこともできました。2月は忙しくて、研修などで学校を開ける日が多かったうえに、国の特別支援教育専門機関での発表もあり、ばたばたしておりました。そんなことも関係して、ちょっとしたミスして自信なくし、そんな時に良い報告があり、自信を取り戻したりと。

 国の特別支援教育機関の発表は、同僚と二人で行う予定が、当日朝5時15分にショートメッセージで、

「夜中に吐いたからいけない、ごめん」

と。おおー😭😰😱、泣ける。彼女おしゃべりなので、それを期待して、中作ったのはわたしだけど、当日は彼女にしゃべってもらおうとおもっていたのに、いたのにーーー。そのうえ、金曜日の打ち合わせでは、火曜日の午前の授業、なくなったから、その時に準備できるから大丈夫というので、最終手直しを当日に持ち越したのにー。のにー。

まあ、病気は仕方がないので、朝5時15分、いいよいいよといい、そこから、猛ダッシュで準備。午前の授業ちょっと入れ替えて時間作って発表内容を自分で言えるようにして、話すことよりも、時間内で、きちんと伝えるということが難しい。。。ダラダラなら話せるんだけど、25分でこの内容をとか、なると、やっぱり、きちんと練習しないと。。。

発表は少し時間オーバーで何とか終わり、ほっと一息。スポーツ休暇前の週は、会議が立て込んでいて、そのうちの一つは結構大きな会議だったので、この発表と合わせて、疲労困憊。スポーツ休暇は、ジムで汗流しつつ、友人たちとあったりして、のんびりすごしています。

 次のイースター休暇までにブログ、少しは更新できるようにがんばります!では、また。

2019年1月8日火曜日

誰にも認められない学びに敬意を

 スウェーデンの教育の変更点、結構あるので、それだけで、あと5回から10回書けそうですが、少しずつ紹介していくということで、今日は、昨日同僚と話した中で印象的だった内容を書き留めておこうと思います。

 私が教えている重度重複障がいがある生徒たちの中には、表面的に見て、

「この子、何にもわかってないだろうな。」


と判断されるような、重い障がいのある生徒がいます。重度重複といっても、やはり差があり、その能力や性格、今までの環境と経験によりかなり力に差があります。しかし、表面的に何もわかっていないと思われる、「赤ちゃん」のような生徒であっても、その中でどんな理解をし、経験をしているか計り知れないのだから、

「わかっていないから、やっても無駄」

という考え方は、重度重複の生徒の教育にかかわるものとしての基本姿勢としては、何か足りないだろうという話をしました。そうではなく、見えない内側でどんなことを経験しているのだろうと興味関心をもって生徒に接し、生徒の学びに敬意を持つことが重要であると思います。


 時々、受けます、本当にこの子に教えても意味あるの?みたいな返答や反応。。。。。そんな時に、いかに生徒の人としての権利、尊敬を伝えられるかは、私の力のなすところです。生徒が成長できる環境で重要なことは、その可能性を信じてくれる教師や大人が周りにいて、その持つ可能性と能力を伸ばしてくれる適切な課題を与えられることであると思います。たまに負けそうになる自分に、やる意味を訴え続けることに疲れてしまう自分に、渇を入れる意味も込めて、書き留めておこうと思いました。


 今学期、自分の中のテーマは、

特別支援学校の重複の生徒におけるデジタル教育の在り方
「仕事、住まい、余暇」をテーマにした重複の生徒の卒業準備

としてみました。写真は、インスタグラムのほうにあげているので、興味のある方はぜひ。

2019年1月6日日曜日

ここが変わる、スウェーデンの教育その2

 冬休みも今日で終わり、明日より仕事です。今学期の仕事始めはのんびりで、明日は1日自分で好きなことをできるという余裕のスタート。たいていの場合は、研修や会議が入るのですが、今年の研修は私は参加しなくてよくって、4人いる先生のうち2名が参加し、もう一人の先生は月曜休みなので明後日しか来ないので、私は一人、好きなことをしていいというゆっくりスタート。火曜日は、さすがにそんなにゆっくりはできず、1日研修と会議です。生徒は水曜日より登校します。今日は、前回の「2019年ここが変わる、スウェーデンの教育その1」の続きです。

私立の学校運営、より厳格な審査導入

スウェーデンの学校はすべて税金で賄われていますが、私立の学校もあります。数年まえにこういった私立の学校が突然倒産したことがあってから、少しずつ私立に対する風当たりが強くなり、特に税金で運営されている学校なのに利益を上げることに対しては根強い反発があります。これらの流れを受けて、今年の1月1日より、私立の学校運営開始に伴う審査が今までよりも厳しくなります。具体的には、経済的にどのくらい運営可能な持続性があるか、犯罪歴や倒産歴などの検査、学校運営に関わる人の多くの教育にかかわる経験と知識などが今までよりも詳しく調べられるとのことです。これらは、学校が運営され始めても継続して審査するとのことです。

 私立の学校は、一応監督責任のような形で管理義務がその所在地のコミューンにもあることになっているのですが、おそらくあまり明確ではなく、私立は私立というイメージがあるのか、今回の法改正で厳しく審査されることは時代の流れだと思います。数年前に同じような感じで、審査が厳しくなったときは私立の学校の新設数が増えなかったと記憶するので、こうした政府介入は、教育の平等性や均等性、継続性のためには必要であると思います。


 明日からの新学期、研修に1月は2日、2月は1日行くことがすでに決まっていて、どれもとても興味がある研修なので、すごく楽しみです。2月の終わりには特別支援教育の機関で発表を今年もすることになっており、準備は大変だけど勉強になると思うし、がんばります。

2019年1月3日木曜日

2019年ここが変わる、スウェーデンの教育1

 安定な政治情勢で、いまだに組閣ができていないスウェーデン。2019年1月16日が一区切りで、その結果次第では、4月に再選挙がされることになります。この移行期の予算は暫定政府予算案が否決され、穏健党とキリスト教民主党の合同予算案が通りました。これにより、どうなるかわからない点もありますが、2019年のスウェーデンの教育の変更点を少しずつまとめておこうと思います。今回は、

「学校長」の配置を義務化

スウェーデンでは、コミューンという地方自治体が公立学校運営の最高責任を負っています。コミューンにおける学校運営の組織はまちまちで、そのコミューンの人口や生徒数、学校数などによって、その地域にあった運営がされています。組織としては、たいていの場合は「子どもと教育課」とか「教育課」というような名前がついていて、この課の長がいます。その下に複数の部署があり、「就学前学校」、「基礎学校」、「高校と成人教育」、「音楽、文化学校と余暇活動」、「生徒の健康」などがあります。このあたりの区分は、その時々によって組織替えされたり、コミューンの大きさによって違い、これといった国での統一はありません。地方にあった形で行われているという点ではよいと思うのですが、やはり、きちんと行われていないところもあるようで、少しずつ、国の手が入るような形になってきているという印象を受けます。

 法律の改定は、昨年7月1日に行われ、施行は今年の1月1日からで「Skolschef」という名前で「学校の長」を最低1名は置くことが義務化されました。この学校長の役割は、コミューンの責任者の補佐として、国の法と規定に従って学校運営をしていく手助けをします。学校法にとどまらず、差別の禁止法や労働法など、あらゆる法律に関してとあり、何かしらの違反や不備が見つかった場合には早急に改善し、コミューンの責任者に連絡する義務があります。おそらく、どこのコミューンにもこれに似た役職はあったと思われるので、それほど大きな変化ではない気もしますが、今回の改定では、「どの教育機関にも」というところがポイントだと思います。義務教育の学校はたいてい長がいたけれど、学童や成人教育、文化学校などのすべての分野には配置されていない、もしくは明確な責任者が設定されていない場合もあったので、どの教育分野にも明確な長が配置されるのは大きいかと思います。(誤解のないように、各コミューンによって異なりますし、基礎学校の中に学童、成人教育と高校、部署がくっついている場合があり、その場合は、そこで一人の長になり、各分野に一人の長がつくわけではありません。規定では、最低1名とあるので、小さなコミューンなら一人ですべてというのもあるかもしれません。)


 うちのコミューンでもこれに合わせて、組織改革が行われ、長が増えました! 私の働いているコミューンの場合は、「子どもと教育課」の長がいて、その下に義務教育学校長がいて、その次にうちの学校の校長がいて、私たち職員という流れになります。この変更がどんな効果をもたらすのか、興味深いところです。ちなみに、ちらっと職員間できいたのは、組合も含めて、生徒数とコミューンの大きさの割に、長が増えすぎて、そっちにお金が回りすぎるんではないかというのがありました。まあ、上の人たちはお金もかかるので、あまり上が大きくなりすぎてもってことなんでしょうね。

 また、違う変更点をご紹介したいと思います。


2019年1月1日火曜日

新年あけましておめでとうございます

 🎍新年あけましておめでとうございます🎍

天候が崩れるという話だったのですが、穏やかな年明けとなりました。だいぶスウェーデン人らしくなったなあと思うのは、こういう休日にすることが「散歩」になったこと。なんてことはなく、1から2時間てくてく歩きます。昔は目的がないのに歩くスウェーデン人を不思議に思いましたが、今では、何かするとなると、とりあえず、散歩は候補にあがります。

 2019年、どんな年にしたいかなあと考えながら、Noteには「ここから始めよう」と書きました。昔から好きな言葉は「百戦錬磨」。努力を重ねて経験を重ねて、前を向いて生きていきたいと思ってきました。そんな思いもくじけそうになる40代半ば。今年は、人と比べず、気負わず、今ここからできることから始めようと思います。とりあえず、日本語維持のためにも、ブログの更新を頑張っていこうと思います。読んでくださる方がいるのはうれしいし、コメントをもらうとうれしいですが、それ以上に、日本語を話すことがあまりない私には、日本語維持の意味合いが大きいことに気が付いたブログ休止中。Noteと内容を加味しながら、スウェーデンの教育事情を更新していきますので、今年もよろしくお願いします。

 皆様にとって、2019年が素晴らしい年となりますように、お互いによい年となりますように。。。

2019年元旦