※写真は、政府のプレス写真をお借りました。
アイダ・ハディジアリッキ(Aida Hadzialic)氏です。28歳の若さで現政府の「高校・教育イニシアティブ大臣(Gymnasie- och kunskapslyftsminister)」に就任しました。スウェーデンの教育をなんとかしたいという現政府の思いから、教育関係の大臣に加えて、今回の政府ではこの大臣も設けられました。彼女のインタビューが新聞に載っていたので、興味深く読みました。
彼女は、見た目からお気付きの方もいるかと思いますが、スウェーデン人ではなく、5歳の時に家族とともにスウェーデンに移民してきました。生まれは、昔のユーゴスラビア、現在のボスニア・ヘルツェゴビナで、内戦が激化した頃にスウェーデンに難民として渡ったようです。そんな彼女が、スウェーデンで家族とともに歩んだ道は決して簡単なものではなく、インタビューではあまり触れていませんが、ほかのところで読んだ内容によれば、難民の施設から、スウェーデン南部のハルムスタード(Halmstad)に移り住んだそうです。
スウェーデン語を習得し、勉強をかなり頑張ったようで、高校では国際バカロレアの教育終了もしています。また、そんな頃から、社会民主労働党の若者の会で政治活動を始めました。大学で法律を学んだのち、地元ハルムスタードのコミューンの市議会議員として活躍してきました。こんな彼女の生い立ちは、教育というものの可能性を自ら感じてきただろうと思うし、教育にかける思いも、特別なものがあるのではないかと思います。
スウェーデン至上最年少の大臣としても騒がれた彼女、高校を出てからまだ9年ということで、インタビューでもどの人よりも現場をわかっている大臣であることが利点であると答えています。若い人が活躍するスウェーデンの政治は、興味深いものがあり、彼女がどんな風に教育を考えているのか、今後変えていくのか、気になります。彼女がスウェーデンの学校システムで変えたい項目5つというのが載っていました。
1、教師に投資する
2、学校間の差をなくす。
3、教師の事務仕事を減らす。
4、一般社会(職業)との関係を強める。
5、発明、創造性、企業家精神を強めていく。芸術教科の充実
厳しい目でみれば、あまり代わり映えのない5項目とも言えますが、かといって、新しい内容を出せばいいというものでもなく、今後彼女がいかにこの5項目を実行していくかが重要であると感じます。特に2番目の学校間の差をなくし、どの学校もよい学校としていくということは、彼女の生い立ちを振り返っても重要な点であるように思います。
教育大臣の方は、小学校低学年の教育の充実を打ち出しているので、彼女の分野である高校と住み分けをしているのかと思いましたが、両大臣で協力して、スウェーデンの教育をよい方向に導いていって欲しいと思います。
読んだ新聞記事:"Hon vill vända trenden för den svenska skolan" DN 20150405