2016年1月31日日曜日

PODDを学んだヨーテボリ研修

 マイナス10度前後の寒い日が続いたかと思ったら、春のような陽気になり、体調を崩す人が増えるのではないかと心配しています。今週は、久しぶりに2泊3日でヨーテボリに研修に行ってきました。コミュニケーショングループというグループがあるのですが、そのメンバー4人で行ってきました。

 火曜日の午後、電車でヨーテボリに向けて出発し、夜19時半にはホテルにチェックインし、早速みんなで夕食。プライベートなことから、仕事のことまで、ありとあらゆる話で盛り上がりました。水曜日、木曜日と2日間の研修で学んできたのは、PODDと呼ばれるコミュニケーションシステムです。PODD(ポッド)は、オーストラリアの教育者、ゲイリー・ポーター(Gayle Porter)によって開発された絵を用いたコミュニケーションシステムで、英語では、Pragmatic Organisation Dynamic Displayと呼ばれ、この頭文字をとってPODDと呼ばれています。彼女が障害を持った子どもたちに使い始めたのは、約30年ほど前だと聞きましたが、それから試行錯誤が繰り返され、ここ数年、北欧に広がってきたもののようです。私が最初に知ったのは、昨年の秋頃で、ストックホルムのハビリテーリングで1回研修を2時間ほど受けました。今回は、2日間、基礎的な知識を得るというもので、想像以上に興味深いものでした。簡単に説明するならば、以下のように絵がその意味と一緒に並んでおり、これがカテゴリー別に組織的に並んでいることによって、いわゆる言語の習得が難しい子供でも会話をすることができる、言語発達が促せるというものです。

こんな感じで、絵とその意味が書かれているコミュニケーション本です。

 

こんな9つの絵が並んでいるものが、最初の段階で使われるものです。
(現在は、12の絵が並んでいるものを最初の段階に使うように進めているとのこと)


使い方を簡単に説明すると、最初のうちは、会話の援助をする人が指を指し、どの絵を指しているかを確認していき、例えば、何かが欲しい場合は、真ん中の列の一番上の絵を指差した時に、子供がYesの反応をし、次に、その絵の右上にある11番のカテゴリーのページに移り、そのページの絵の中にあるものを順番に見せながら、何が欲しいのかを会話していくというものです。興味のある方は、以下のビデオを。英語ですが、どんな感じで会話するのか、イメージが掴めると思います。(ものすごく簡単に説明しましたが、色々と段階ややり方などがあります。。。)


 このコミュニケーションシステムのいいところは、子供の語彙力と言語発達に注目し、今まで会話をすることは難しいとされてきた重度の子供たちにも会話をする可能性を見出したことと、考える力を育てる可能性を見出したことにあると思います。

 使い始めるのは、子供が小さければ小さいほどがよく、コミュニケーションシステムの習得とともに12の絵のものから20、40、70と1ページの絵が増えていき、語彙力が増えていきます。視覚に障害がある場合は、以下のような感じのものを用いることもできます。

 子供によっては、1ページに絵が一つというようなものを使う場合もありますし、絵の配置が違うものを使う場合もあります。


 スウェーデンは、障害を持った子どもたちにも、自分の意見を持つことを教えることに感銘を受けてきましたが、長く関わってきて思うのは、やりたいことを伝えることができるようになっても、自分の思考を全て伝えられるようになるわけではないのだということです。コミュニケーションというのは、「リンゴが欲しい」というものだけではなく、昨日何をしたのか、何を考えているのかと、様々なことが含まれています。そういった部分をカバーできるコミュニケーション支援の方法が、重度の子供には少ないのです。PODDは、そこを補える可能性を秘めていると思いました。これから、学校で一緒に行った先生と色々開発していこうと話していて、どんな成長が子供たちに見られるのか、今からたいへん楽しみです。


 雨が降り、風が強かった、ヨーテボリ、ホテルと研修の会場の往復のみでしたが、同僚とサウナに入ったり、美味しい食事をしたりと、楽しい研修でした。

2016年1月2日土曜日

新年にあたり、挨拶を。。。

 新年あけましておめでとうございます

新たな年を迎えて、二日目。年賀状もクリスマスカードもたいして出さない私は、「あけましておめでとうございます」の挨拶が出来るうちに、ブログやSNSに新年の挨拶を書かなくてはと焦っております。今年は、友人宅で新年を迎えました。スウェーデンでは、多くのヨーロッパ諸国同様、1月1日になったところで花火が上がりますが、友人の「今年は花火が多い、みんな経済的に潤っているんだろうね。」という言葉が印象的でした。

 2015年を振り返ろうと思い返す努力をしてみた、年末。大きな出来事としては、やっぱり、同僚たちを訪れた広島の姉妹校訪問。深い思い出になりました。あとは、母がスウェーデンを訪れたので、一緒に回ったヨーロッパ旅行も思い出深いです。あとは、家の1階が下水に浸かったことかなあ。未だに1階は使えず。。。昨年は、第1教諭になって、仕事が増え、年末もいろいろと考えました。そんな2015年を後にして、迎えた2016年。どんな年になるのかなと思っております。結婚をしたときに親友がくれたカードの詩をよく思い出します。

 昨年は、この詩を噛み締める時が何度かあり、平凡な何もない普通の日に感謝し、穏やかな日々を望むようになったのは、年を少し重ねたせいだろうと思います。テレビでは、今年の抱負をいかに達成するかというような話をしており、今年はどんなことを目標にしようかと考えています。未だに目標さだまらず。とりあえず、ブログを定期的に更新できるようにしようと思います。何せ、日本語を使わないので、ブログを更新しないと日本語で考えて、書く力がドーンと低下する。。。こんなブログですが、スウェーデンや日本の教育に興味のある方と交流できればと思います。今年もよろしくお願いします。