2013年7月7日日曜日

96%の学校が何らかの問題あり?!

 スウェーデンの学校は、定期的に「学校検査局」みたいなところによって、国が定めた学校法などに従って学校が運営されているかどうか調査が入ります。この調査によると、昨年何らかの不備があった学校は、
96% 
745校のうち715校
にのぼりました。
 私が働いている学校にもこういった調査が入ります。その度に、何らかの指摘をされているので、おそらくうちの学校もこの715校にはいるのかなと思っています。(でも、昨年は調査入らなかったようにも。。。毎年ではないのです。2、3年に1回の割合で調査が入ります。)
 調査の目的は、最初にも書いた通り、定期的にスウェーデン中の学校を訪問して、学校法や決まり、カリキュラムなどがきちんと守られているかどうかを調べることにあります。訪問の前には、必ず、生徒と保護者に対してアンケート調査が行われます。うちの学校では生徒へのアンケートは困難であるために、毎回話題にはなり、可能である生徒にのみ行われます。訪問前に資料などを提出し、訪問が行われます。その際には、校長、職員、生徒へのインタビューや授業見学、学校見学が行われます。
 調査には、長いチェックリストがあり、それを一つずつ見ていくので、何かしらで引っかかる学校が多いようです。これに関して、細かすぎるという批判も多少なりともあります。調査が終わり、「不合格」をもらい、何らかの問題点を指摘されると、資料などの再提出日が決められ、その期日までに不備をただすことになります。内容にもよりますが、最低でも2から3ヶ月はあるので、その間に対処をします。こういった対処をしないと最終的に罰金となる場合もあり、ストックホルムでも数校昨年の不備から罰金を請求された学校があります。
 
 では、どういった内容で、再提出、不備、不合格となるかというと、
  1. 保護者に子どもの学校での様子や成績が情報が十分伝えられていない
  2. 男子と女子の間の成績に大きな差がある
  3. 教師の半分以上が教員養成課程を出ていない
  4. 特別な支援を必要とする生徒に支援が行われていない
  5. 教職員による差別的な行為や発言があった
  6. 生徒の実際の能力以上の成績がつけられていた
  7. 生徒が落ち着いた学びの環境ではないと指摘した
などなどでした。(番号に意味はありません。)

一番多く指摘されるのが、1番の保護者に十分な情報伝達が行われていない点だそうです。3番の教員免許を有した教員の割合は、かなり厳しく指摘されているので、多くの学校がこれで問題になっているでしょうね。また、全国統一テストの結果から、実際につけられた成績を比較して6番のような実際の能力以上の成績がつけられているところまでしっかり指摘されています。アンケートも侮れないことが7番からもよくわかります。

 こういった調査がしっかり入ることはよいことだと思います。コミューンレベルで教育を任せているスウェーデンでは、どこかでしっかりと検査しないととてもじゃないけれど、全国平等な教育をもたらすことはとてもじゃないけど無理です。どうして、こんなに不備を指摘される学校が多いかといえば、一つはチェック事項が多いので、何かしら、問題があれば、そこをただしていけばいいという考えを見聞きしますので、絶対に一発合格じゃないと行けないという雰囲気は感じないので、どこもそれなり努力して問題点を改善しているのでしょう。もう一つ気になることとしては、問題の多い学校は校長がコロコロ変わっている場合が多いということが記事の中で指摘してありました。こっちの方が問題でしょうね。校長がよく変わる学校はやはり事態の把握に時間がかかりなかなか問題の解決に至らないようです。

 今日終わりを迎える今年の政治週間でも教育問題はかなり大きく取り上げられました。どうなるのかなと思う今日このごろです。


 読んだ新聞記事:Betyget: De klarar inte kraven, DN, 20130411