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教員不足の各国の状況 スカンジナビア編

  スウェーデンも教員不足が問題となって、もう長いです。私が先生をするようになったことから聞こえていたことなので、かれこれ、15年とかになります。様々な対策が打たれており、多少改善したといわれていますが、それでも、やっぱり、足りません。しかしながら、教員のお給料が上がったことにより、わざと有資格者を雇わない学校も出たりと、問題は多いのが現実です。今日は組合のメールにあった、各国の状況を見ながら、考えてみたいと思います。 1 フィンランド  ここ数年減っていた、教員養成課程の希望者が増えてきた。有資格の先生を田舎の学校や低年齢の教育で見つけることが難しい。 2.デンマーク  有資格の先生の不足が、就学前教育と基礎学校で予想される。高校は、教科によっては有資格の先生に問題がないが、足りない教科もある。 3.アイスランド  高齢化していく教員と教員養成課程入学者の減少の影響により、ここ10年で、約半数の教員不足が見込まれる。 4.ノルウェー  教員養成課程入学希望者の減少と、新しい教育法の導入により、有資格の教員の必要性が高まる見込み。 5.スウェーデン  国は、現在教員免許なしで教えている先生が数年後には、有資格になると見込んでいる。 とまとめています。どの国も教員不足の傾向はあるようですね。需要と供給がきっちりと会うことはないので仕方がないと思うのですが、教育の中で最も重要なものの一つが、教員の教える力、教員の能力によるので、教員不足の抱える問題は、多岐にわたると思います。 スウェーデンは特に北部などのある一定の地域での有資格者不足が長らく言われています。私が働くストックホルムなどは、公立学校だと100%有資格者というのは、珍しくないのですが、やはり郊外や地方では難しいというのも理解ができます。これに関して、組合としては、国が責任を持つべきであるという声を上げています。一時期のように、学校教育の管轄を国にという声は、今は下火に見えますが、国による教員への研修制度の見直しや、国の中での教員配置の何かしらのシステムなどが案としては聞こえてきます。

スウェーデンの教員、有資格者率低下止まらず

 毎年出ているスウェーデンの学校の統計結果により、スウェーデンの教員の有資格者率が下がったという報告書がでてました。スウェーデン、教員資格を持った人はかなりいるんだと思います。でも、ほかの仕事についている人、結構多いんです。日本もそんな傾向になりつつあるようなこと聞きましたが、教員の資格を持たない先生が増えることは様々な問題を生み出すので、学校局、組合とも、問題視をしています。当然ですが。。。  数字で見れば、全体の有資格者率は昨年度の71.4%から、70.5%に下がったとのこと。義務教育の小中学校が減り、高校は多少増えたとあります。290あるコミューンでみると、179のコミューンで減ったとあるので、かなりのコミューンが有資格者を雇用するのに苦労しているのでしょう。ちなみに有資格者が最も少ないのは、特別支援学校の義務教育の部分である、小中学部。有資格者率は20%切っています。問題ですよねえ。。。最も有資格者率が多いのが0学年、就学前クラス。幼稚園教諭の資格を持った先生が幼稚園で働かず、ここに流れているので80%を超えており、有資格者が多いです。  この流れを重く見て、今から対処に当たらないと、数年後には、有資格者率がさらに減り、教育格差がさらに広がる危機感を各所明記しており、協力して何とかしなければという話がされています。よく言われるのが、資格ない人のほうがいい先生だった、教えるのが上手だったという言葉。もちろん、先生も個人差がありますし、医師免許持った医師すべてが名医でないのと同じで、教員も資格があれば、大丈夫というわけではありませんが、資格を得るために学んだ基礎がない人が職員の半数を占めれば、教育が成り立たなくなるでしょう。。。どんな対応策がされるか、興味深いところです。

特別支援学校の教員免許義務付け延期

 2011年に教員免許が導入されたスウェーデン。小中学校や高等学校では、2013年から免許を持っていない教員は、期限付きでの採用しかされない、成績をつけることができなくなりました。特別支援学校でも2018年秋から適用される予定でしたが、2021年まで延期されることになりました。 有資格者が、ガクッと減る特別支援学校 教員免許を持っていても特別支援の免許まで持っている教員は少ない特別支援学校。うちの学校でも少ないです。もともと教員不足の上に、ダブル免許がいる特別支援学校の教員、一人辞めると補充が見つからず、アシスタントが場つなぎをすることも多々あります。場つなぎならいいけど、そのまま数年ということも。で、上記のように、無理だろうと現場で言われていた通り、ぎりぎりになって、2021年まで伸ばすと。でも、たった3年で何が改善できるのか不明。。。 教員免許はいらない論 時々耳にするのが、これ。教員免許いらない論。実力があればいいという。そうなったら、中卒や高卒でも実力あれば教えていいということだろうか、それとも、大卒ならいいのか。この論が出ると、私はいつも、「盲腸の手術、医師免許ない人にやってもらう?」という感じの問いをして返します。なんで、教員は専門性が認められにくいのだろうかと思ってしまう。特別支援学校も有資格者率がとことん下がっており、もう免許なしで十分になってきていて、そうなると、下手に専門性でもかざすと、風向きが悪くなったりして、できる先生は余計に学校社会から離れていくという悪循環のような。。。。偏見だといわれてもいいが、教育、特別支援教育を勉強していない先生は、長い目で教育をしていくことが苦手な人が多いと思う。目先のできることに目が行き、長い目で見たら、経験させてあげるといいことを援助で補いすぎる傾向にあると思う。 9月に選挙があるスウェーデン、特別支援学校を話題に挙げる人はおそらくいないだろうが、新政府になったのち、2021年までに何とかこの問題に明確な手立てを打ってほしい。生徒たちのために。

適切な教育を受けていない職員が多いスウェーデンの幼稚園

 久しぶりにスウェーデンの幼稚園について。スウェーデンで幼稚園に当たるのは、「Förskolan(フォースクーラン)」と呼ばれ、学校の前にいくところになるので、日本では「就学前学校」と書かれることが多いようですが、私は幼稚園としてきました。行っている内容からすると、保育園って感じなのですが、管轄が教育関係であり、教育要領にあたる文書もあるので、幼稚園ということで。  前置きが長くなりましたが、そんなスウェーデンの幼稚園で働く職員のうち、実に4人に1人(21%)が、幼稚園教諭の免許/資格を有しない、高校で子どもに関する勉強をしてきていないということが、学校局の調査で分かりました。これが民営の幼稚園に限るとなんと37%。子どもについて関心のある人が働いていると思うのですが、教育を受けていないということは、幼児教育に対する敬意と理解が欠如しているように思います。  スウェーデンの幼稚園で働いていて、日本とは異なった保育と幼児教育のあり方に、同僚の中でもきちんと教育を受けてきたかに差があったことを思い出します。また、それによってやる気に大きな差があったのも事実です。やる気のある先生は、あんまり園の状況がひどくなると、大学に勉強しに行ったり、新しい仕事を探してかわっていってしまうので、ひどい園は本当にひどいのだろうとも。  最近は、幼稚園教諭養成コースは人気を回復していると聞いていて、先生とともに幼稚園教諭も不足している職業なので、有資格者が増えると良いと思います。スウェーデンの幼稚園教諭コースは、小学校の低学年を教えることができる資格を兼ねているものもあり、また、小学校に就学前クラスという6歳児のクラスがあり、そこも幼稚園教諭が教えるので、お給料が多少良くなり、勤務体制にも差がある小学校での勤務を希望する人も多くいます。そうなると本来の幼稚園に有資格者が減ってしまいます。規定で幼稚園教諭の資格を持った職員の配置が決まっており、大抵の場合は、3人職員がいるとしたら2名は幼稚園教諭、1名を保育士さんという形です。(コミューンの方針に違いがあります。)  子供達がよい幼児教育をうけることができ、資格のある人がそれに見合ったお給料をもらってよい環境で働くためにも、こういった現状を考えていくことは重要であると思います。 読んだ新聞記...

教員志望者が増加傾向に!

 ヨーロッパを旅行して帰ってきたのですが、ある諸事情により現在もホテル住まいです。6月中旬に日本へ出発してから現在まで自宅で暮らしたのは7日のみで、さすがに家が恋しいです。  春頃からものすごく仕事が忙しく、あまりブログに本来の目的であった新聞記事ネタを書くことができなかったので、これから増やしていけたらと思っています。今日は、ちょくちょく話題になっているスウェーデンの教員採用事情について。  スウェーデンに教員免許制度が導入されて、2015年6月30日までは移行期間とされていましたが、(特別支援学校は2018年まで)この秋学期からは、免許を有しない先生が成績を独自につけることができなくなります。これについては、また改めて書こうと思います。そんな諸事情もあり、教員免許を有した先生の争奪争いが。。。  5月の終わりの新聞には、教員免許を持った先生は、すごく有利に職場を変えることができると。小学校の先生で引っ越すので仕事を探していた先生は、簡単に仕事が見つかっていました。この間読んだ新聞では、お給料を数年でかなりあげた先生がいて、その方法は学校を変わったためというもの。手っ取り早くお給料を上げるには、学校/職場を変わることなので、私も時々考えてしまいます。  もちろん、これらの新聞記事とともに教員不足を心配する記事が多く見られ、推定では、2022年には6万5千人もの教員が不足すると言われています。こんなスウェーデンの教育界に朗報があるとすれば、教員志望者が増加傾向にあるということ。なり手がいないことを心配し、報道が過熱したおかげもあり、教員を第一志望として志願した人が6%増えたそうです。今後、定年退職などにより不足する教員の数を見込み、職にこまらないというのも魅力なのでしょう。  加えて、教えられる教科を増やすためや、教員免許を持たないけれど大学を卒業している人が教員資格を取りたいといった人を対象にした、大学のコースが少しずつ整備され、それらを希望する人も増えているそうです。  こうして教員志望者が増えていくことは、現場のものとしても嬉しい限りです。やる気のある同僚が少ないと学校運営は難しいので。。。  最後に、もしもコメントを下さった広島もみじさんが読んでくださっていたら。。。いただいたコメントを誤って消してしまいました。旅先から何度も...

教員免許のない先生が教える国、スウェーデン

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久しぶりの更新です。1週間なんてあっという間という感じで、毎日が過ぎていっています。ここ数日、めっきり暗くなったなあと感じるスウェーデン。私も同僚達も、あくびがよく出たり、疲れ気味だったり、身体の不調の出やすい時期です。  先週だったと思うのですが、スウェーデンの学校局が教員免許の有無に関するレポート発表しました。スウェーデン、予想以上にひどい状況です。 日本では考えられないことですが、スウェーデンでは、教員免許を持たない教員が教鞭をとっています。現場では、実力があればいいのではないかというような声も聞こえますが、私は、どんな職業にもプロ意識というのは重要であり、きちんと教員養成課程を経て教員になり、教員免許を有した上で、教育を行うというのは基本中の基本だと思います。なので、今のスウェーデンの状況、本当に心配なんですよね。何か本当に手だてをうたないと、未来を担う子ども達を育てる教師がいなくなると。  どんな状況か数字で見てみていきます。この数字は、学校局が何人教員がいて、そのうち何人が免許保有者かを調べたものです。 教員免許を有しない教員の割合 スウェーデン全国:32,7% ストックホルムレーン(県レベル):38,3% ヨーテボリコミューン(市レベル):35,2% マルメコミューン        :35,6% ストックホルムレーンの中でも教員免許保持者率が低いコミューン ソデタリエ(Södertälje)コミューン:49,9% スンドビーバリイ(Sundbyberg):49,1% ボートシリカ(Botkyrka):47,8% ソルナ(Solna):45.3% シグチューナ(Sigtuna):45.3% 高校の教員免許保有者率:52% *職業科目の教師は免許がなくても教えられることになっているために保有者率が下がる傾向にあります。 就学前クラス(6歳児クラス)の免許保有者率:65%  教員免許制が導入されるにあたり、免許を持っていない教師、もしくは免許を持っていない教科を教えている有資格者に対して、免許取得の援助がされてきました。しかし、この援助が十分なものではなく、多くの教員が免許を取得しないまま現在に至っています。外国の教員養成課程を出た人に対するコースもありますし、特別支援教育に関するものもあり...

教員免許制度の凍結

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先週のいつだったかに、 教員免許制度の無期限凍結 が発表されました。スウェーデンでは、このブログで何回か紹介したとおり、教員免許制度が導入され、これに関する改革が行われていました。現場の声は、 ああ、やっぱりね。 というものでした。いつ出てもおかしくない話だったので、驚きも少なく、批判もそこそこという感じです。これが出る数日前に、 特別支援学校の教員に対する教員免許制度を2018年まで延ばす という話がでたので、こっちも ああ、やっぱりね。 という反応。これは、私も同感で、組合の調査や他の話をまとめても、特別支援学校の教員免許制度が施行されてしまうと、現在の教員のうち実に80%が職を退くことになり、そうなると、スウェーデンの特別支援学校は回らなくなります。特別支援学校で働く教員の資格も実に不明瞭で、今回の改革で決まったけど、それも、今までの方針とは異なるために、またまた、教員不足や不透明化を深めただけでした。 また、うちの学校もだけど、ここ10年のうちに退職する教員が多いこと。高齢化が進んでいるんです。なので、資格を取り直すというのもねえ。  もともと計上された予算が少なかった上に、教員免許の申請開始から、発行、制度の開始までの時間設定がいかにも短い。申請された教員免許に対して、現在出されたのは、2000件のみ。文部科学省にあたるSkolverketも自分の省庁で処理できないために、アウトソーイングで他の会社に依頼したために、批判が殺到。まったく関係ない教科の教員免許が出たという話もあり、いつこうなってもおかしくない状況でした。  私の場合、ここ数年のスウェーデンの教員制度の不透明さから、大学にいくのをためらっており、現在、準備中ですが、来年の秋には大学に戻ろうと計画しています。一応、特別支援学校で働くための資格も指針がでており、現職教員は、大学のコースも優遇制度が研修第2計画で出ているので、待ったかいがあったかなと思っています。あとは、申請してある、教員免許がでることを待つばかりだけど、こっちは、凍結保存だから、どうなることか。。。 とりあえず、いろいろあって、英語力をもう1回上げなければと、英語のコースに通い始めました。地道に努力していくのみです。

スウェーデンの田舎から学校が消える

スウェーデンの学校制度にないもので、日本が優れていると思うのに、 どんな田舎の学校にでも、免許をもった有資格の教員がいること があります。こちら、スウェーデンでは、2015年の秋から、教員免許を有する教員のみが成績をつけられるなどの法律が本格的に始動するにあたり、多くの田舎の学校が閉鎖されるという危機に立っています。今まで、ここを許してきたということが信じられないのですが、まあ、それは、何度も書いてきたことなのでおいておいて、2015年にはまだ、数年あるのですが、今から田舎の学校では、閉鎖の話が出ている学校もあるようです。理由は、それまでに、資格をもった教員を確保できない、現在の教員が資格を補充することができないなどの現実的な問題を抱えて、少数の田舎の学校(低学年の子どもを集めた学校である場合が多い)を近辺の学校と統廃合しようという話があるようです。これは、北のほうの学校であった話ですが、似たような話をちらほら聞きます。 この元には、教員免許以外にも、今回の法改正でいろいろと変わった点を補う経済的な予算がないこと、もともと少人数の学校を運営するのは予算がかさみ、多くの市では減らしたい傾向にあることなどなど、ほかの要因も加わっているようです。また、スウェーデンには、子どもが学校に通うまでにかかる時間や距離に関する決まりがないため、もしも、子どもが毎日通学に2時間半かかっても、それをとめることはできないということもあります。このあたり、日本にそういうことに関する法律があるかどうか分からないのですが、実際に自分の子どもが、毎日2時間半車の中ですごすというのは、親にとってあまり好ましいものではないようには思います。 これに関して、日本の教員採用制度を同僚に話したところ、確かにいい方法ではあるが、 やっぱり、自分でどの学校に勤めるか決めたい とのこと。まあ、確かにそうだろうなあ、お国柄と思いました。こちらでも、配置換えや学校が変わることもあります。が、基本的には、採用された学校勤務になります。市の学校だと、採用された学校がどこであれ、市の職員となるため、その後の学校の状況によって違う市内の学校勤務になる場合もあります。また、前出の免許の関係で、今後配置転換が増えるだろうともいわれています。これは、たとえば、同じ市内である学校に...