2018年6月28日木曜日

作業所勤務でも、勤続25年で表彰!


休暇も2週間に入り、すっかり休暇体制に入りました。いろいろあって、水曜日にちらっと校長と話をしてきましたが、それ以外は、毎日朝早く目が覚めることもなくなり、のんびり暮らしています。こんな生活ができるのは、スウェーデンで教員をしている特権であると思い、感謝しています。


今日は、この間スウェーデン、ストックホルムのお隣、ウプサラコミューンが発表した
「作業所に勤続25年したら表彰する」


というもの。こういうのを聞くと私はジーンときます。スウェーデンでもコミューンなどで何年も働くと勤続20年とか30年でお金が出たり、何かプレゼントされたりします。そういう表彰が作業所勤務であっても同様にされるというのは、教え子や卒業生たちが毎日していることは、社会にとって意味があることであると認めてもらえることにつながると思うからです。


私の教え子は、日本でいう就労継続支援事業所のB型に対応するようなスウェーデンの作業所、デイケアセンターに卒後「就職」をすることになります。就職なので1日いくと微々たるものですが「給料」がでます。65歳の定年まで、何か問題があったり、引っ越したり、後見人などから希望がでない限り、同じところに努めることになります。勤続25年というと45歳のころになると思います。


作業所では、その人の能力に応じて、カフェの運営にかかわっていたり、お店の中で仕事をしていたり、配達をしていたりと、犬の幼稚園の運営にかかわっていたりと、何かしらの仕事をしている場合も多いです。作業所で演劇活動をしているところもあります。もちろん、そういった仕事をしない人もいます。ウプサラの場合、47歳以上で最低でも25年勤続している人は、約200人いるそうで、たいていの場合は、20歳くらいで特別支援学校を卒業して働き始めているということでした。企業によって違うように、コミューンによっても勤続での表彰は異なるのですが、ウプサラは25年で表彰されるということで、同じように表彰するそうです。


どんな仕事も社会には必要であり、この仕事をしているから素晴らしい人という考えではなく、人それぞれが持っている能力を生かして、社会の一員として社会参加をし、社会に貢献することに意味があると思います。たとえ、就職した場所が作業所であっても、25年ちゃんと働いたら、同じように祝ってもらえるということは、インクルーシブな社会の構築にとって、重要な一歩であると思います。ほかのコミューンでも同じような動きが出るとよいと思います。





2018年6月20日水曜日

「野外で算数」日本語版完成!

写真は山本様撮影

「野外で算数」日本語版完成のお知らせ

と、こんな風に書くと私が関わったようですが、私はかかわってなくて、数年前から「日本語に訳をしているんだよ」と近くの自然学校(自然学校についてはまた改めて書こうと思います)の職員などから話を聞いていました。この自然学校には日本からの見学訪問も来ているし、職員も日本を訪れるなど、日本との交流が深い自然学校です。本が、ついに完成したということをフェイスブックを通して山本様から教えてもらったので、一人でも多くの日本の方に手に取っていただきたいと思い、さっそく宣伝です。

 写真をお借りしたので、紹介します。





「野外で算数」は、野外、自然を利用して算数の勉強をしようというもので、うちの学校の生徒もスウェーデン語版の本が出たときに自然学校の先生が来てくださって、勉強したのを覚えています。実践で使える例などが載っていて、本の最後にはコピーして使えるワークシートもついています。

 山本さんは北海道で、NPO法人 当別エコロジカルコミュニティを運営されており、「森の幼稚園」や「森の自然学校」を企画運営し、子どもたちに自然の中で過ごし、そこで自然に学ぶという体験をもってもらう、体験を増やしていこうという活動をされています。詳しくはホームページをご覧ください。

 教室の中で机に向かって学ぶ以外の方法で、いろんな形で学ぶというのは、教育にとって重要であると私も思います。スウェーデンの自然学校には何度も訪れていらっしゃり、うちの学校にも一度いらしてくださいました。私は、受け持ちの生徒が車いす利用で、森の中で過ごしにくい、雪が降ると外に出られない、重度の生徒でなかなか継続した外での授業ができないなどあり、あまり野外での活動を行ってこなかったのですが、これを機会にもう一度本を読みなおし、取り組みたいと思いました。



 本の購入を希望される方
定価 2,300円 (消費税別)
書店に置く予定がないため、山本様に連絡を取っていただき、代金入金確認後、発送という形となるそうです。京都と鎌倉は本を置いてくださるところが決まったそうで、そこでも購入が可能だそうです。北海道の山本様の事務所でも購入可能です。全国で書籍を販売してくださるところをさがしているそうで、販売のお手伝いが可能な方はご連絡をください。山本様への連絡先は、当別エコロジカルコミュニティのホームページ、コンタクト欄へ!


 
この本が多くの方の手に取っていただき、日本の多くの子どもたちが自然の中で学ぶ活動を楽しんでくれればと思います。

2018年6月18日月曜日

デジタル教育のプロジェクト

コミュニケーションとデジタル教育

昨日の投稿、「カリキュラム変更!デジタル化とプログラミング」の続きで、今日は、うちの学校で春学期に行ったコミュニケーションとデジタル教育のプロジェクトのご紹介。

うちの学校には、ICTの先生がいて、コミュニケーションとIT関係の担当をしています。その先生とうちの高等部の先生3人と一緒に考えたのが、

子どもの歌に簡単な手話をつけたものを映像化することによって、手話を学ぶということと映像化する過程を学ぼう

というものでした。作成した映像は、手話と歌の教育の一環として、小中学部と近くの幼稚園に配ろうということになりました。選んだ曲は3曲。スウェーデンの子どもならだれでも一度は歌うだろうという童謡です。最初の歌はこちら。興味のある方はYoutubeで聴けるのでぜひ。

まずは手話を勉強しようと、ICTの先生が手話の部分を映像化し、みんなで勉強しました。その後、撮影をしてみるといまいち。やってみては、それを電子黒板でみんなで見ては、感想を言い合い、みたいなことを繰り返しました。生徒は、やったことがすぐに映像で見られることにとても興味を持ったようです。何回かすると、背景が必要だとなり、部隊のような背景を作りました。試してみると確かにいい感じ。でも、何か足りない。。。

そうだ、服だ!衣装だ!となり、みんな黒い服を着ることに。ここまで来るのにすでに2か月ほどたっており、服を着て取り直してみると、かなりいい感じ。

次は、同じ場面ばかりだと面白くないということで、生徒の人数を変えて取ってみたり、角度を変えてみたりと色々試し、そのたびに映像でみんなで見ては、ああだこうだと。。。試行錯誤を繰り返し、完成しました。


このプロジェクト、最初は、もっとさらっと行けるかと思ったのですが、思う以上に時間と手間がかかり、また、それ以上に思った以上に、工夫できるもんだと思いました。私の学校の生徒は障がいが重度の子どもが中心なので、自分から話せる生徒は少なく、それでも、同じ構成の授業を繰り返し、撮影していく中で、いろいろと発見がありました。手話はできる子は少ないのですが、同じ曲を何回も行ううちに、手の動きが良くなったり、発音がよくなったりと、効果がありました。


最初の計画では3曲ということでしたが、結局できたのは1曲。その曲をもとに、フィルム祭りを行い、完成をお祝いする会をしました。デジタル教育やプログラミング、簡単じゃないですし、生徒のレベルに合わせようと思うとものすごく難しいのですが、こんなプロジェクトもありだなあと思いました。楽しい勉強でした。

2018年6月17日日曜日

カリキュラム変更!デジタル化とプログラミング

 今年のスウェーデンは、本当にいい天気が続いており、毎日快晴。雨が降ったのは数えるほどです。こんな年は、雨も恵みの雨で、降っても文句は出ないほどです。今日は夜夕立が来たので、花に水をやる必要がなくなりました。こんなに毎日外で過ごす夏も珍しいです。

 とりあえず、今日はスウェーデンの学校業界っていうものがあるとしたら、そこで、今年最も話題になった話から。それは、

カリキュラムの変更

デジタル化に対応できる子どもを育てるために

でしょうね。今の子どもたちは、デジタル化の進んだ社会に生まれ、デジタル化の波に乗って育ち、デジタル化が当たり前の社会で生きていくことになります。そのためには、そういった社会に対応できる子どもをそだてていく必要があります。その旨が、小学校から成人教育までのすべてのカリキュラムに盛り込まれました。移行期間が現在で、変更されたカリキュラムはこの秋から正式に適応されます。

 これに合わせて、今年度スウェーデンの学校でデジタル化とプログラミングを研修に取り入れた学校は大変多かったし、このテーマも多く開催されました。教育局のホームページには、様々なオンラインコースが用意されており、うちの学校も子多分に漏れず、このオンラインコースを行いました。

 今は2歳にもなれば、携帯で遊ぶし、デジタル化に対応した教育は大切であると思います。残念なのは、スウェーデンの学校あるあるで、教員に対する研修が不十分で、実際に現場でプログラミングまで教えられる先生は数少なく、見切り発車的な感じも受けます。私はプログラミング学ぶレベルの生徒を受け持っていないけれど、教えろといわれたら、慌てて勉強しないといけないので、大変です。デジタル化教育の一環でうちの学校でやったプロジェクトは、また明日にでも紹介します。

 では、また!