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スウェーデンの学校の研修システム

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 先週は忙しかったので、夜もほとんど家におらず、ブログ更新とか言っておきながら、早速イマイチな感じのスタートでした。そんな週もありますよね😊。  今日はスウェーデンの学校の研修システムについて、少し。忙しかったのは、研修で2日間会議に参加したためでした。会議の名前は、「未来の特別支援学校2020」。昨年も同じのに出たのですが、昨年の方が良かったかな、内容😥 校長と同僚2名の4人で参加したので、色々と話ができたのは楽しかったですし、それなりに収穫もありました。  スウェーデンの研修システム、日本の先生方に聞くような、「何年目研」というのはありません。教員採用のシステム自体が大きく異なりますし、研修のシステムも違います。今回私が出席したような単発的な会議や研修は、各学校で校長などの判断により行われることが多く、一人当たり結構な値段がするので、いけると結構ラッキーみたいな感じはあります。  このほかに校内で研修を組んで行うものもありますし、私のようなヘッドティーチャーによる研修もあります。また、学校局のサイトにも研修サイトがあり、そこを利用するのもあります。  とここまで読むとおわかりのように、これというシステムがあるというよりは、教員の希望をもとに現場の質向上のシステムに基づき、学校、校長判断でされるというのがスウェーデン流でしょうか。簡単にいえばですが、もちろん。  最後にカンファレンスからの写真を少し。

共通の先生の会議

 春を通り越して一気に夏のような陽気のスウェーデン、ストックホルムです。天気がいいのはうれしいのですが、花粉が一気に噴き出す感じで、花粉症もちにはつらい季節でもあります。イースター休暇も終わり、ここから夏休みまでの1か月半は、駆け抜けるように過ぎていく、スウェーデンの学校です。前回の投稿から1か月以上空いてしまいましたが、心温まる応援メールやコメントを頂きまして、本当にありがとうございます。  今日は、定期的にある、うちの学校組織の先生を集めた共通の会議でした。特別支援学校の教科学習クラスから領域学習クラス、小学1年から高校4年までの生徒を受け持つ先生が、総勢15名あつまっての会議です。もちろん、校長も参加します。私の担当テーマは、「生徒の健康」。スウェーデンの学校教育の中でも特にユニークな、私が近いうちに本格的に書きたいなあと思っているテーマの一つです。結果から言えば、校長からは「講演できるレベルだ」とまでのお褒めの言葉をいただき、同僚たちにも「わかりやすくてよかった」と。素直にうれしいです。  今回は、前回の続きだったので、主な内容は前回の時に構想は練ってあったので、イースターの休暇前に学部責任者の人たちに、どんな状況下の確認メールを送り、それと生徒の成績を集計した結果などを読み込み、多少組み立てなおし、週末にアクセシビリティについての資料をざっと読みなおしました。うまくいってよかったです。自分が担当するときは、先生方の貴重な90分を頂くので、できる限りすべての先生が、参加してよかったと思えるものを準備したいと思っています。いつも次回はこんなことしようとか、そういうアイデアには事欠かないのですが、時間内で、できるだけ多くの先生にとって有意義な内容というのは、やっぱり選択が難しいです。  明日はメーデーで休みなので、少しのんびりできそうです。    

2016/2017年度の始まり

 8月に入り、すっかり秋色めいてきたスウェーデン、ストックホルムです。休暇も終わり、昨日から仕事が始まりました。休暇明け1日目は、想像通り、疲れました。今週1週間を乗り切れば、きっと日常に慣れるはずと言い聞かせています。(笑)    新年度にあたり、決意したことが一つ。時間外労働をしない!、なんか目標が低いのですが、昨年度は、校長が変わったり、学校検査局が来たりと、なんだかんだと引き受けた仕事がたくさんあり、今年は週45時間の労働時間を遵守しようと思います。これに備えて、仕事が回った時にどうやってスウェーデン語でやんわり回避するか練習しました。うまくいくといいのですが、言われるとすべてやらなくてはいけないような感覚に陥るので、これは日本人だからなのかと思ってみたり。。。  今年度は、研修のテーマが「補助代替コミュニケーション」になっています。スウェーデン語では、「Alternativ och kompletterande kommunikation」の頭文字をとって、「AKK」と呼ばれており、英語では、「Augmentative & Alternative Communication」の頭文字で、「AAC」と呼ばれています。私が関わっている子どもたちは重複障がい児と呼ばれる子どもたちで、複数の障がいを併せ持っており、学校には発語のある子どももいますが、発語のない子もいます。発語のあるなしに関わらず、補助代替コミュニケーションは、生徒たちによって重要な部分となっています。発語による言葉のコミュニケーションだけがコミュニケーションなのではなく、何かを伝える、伝え合うということがコミュニケーションなので、この子たちは、コミュニケーションができないということではなく、その動きや身振り手振り、顔の表情や発声により、コミュニケーションをとることができます。ただ、これらの補助代替コミュニケーションを用いる場合、受ける側に強い関心、相手への興味、コミュニケーションに関する知識が求められます。研修で色々とみんなと議論することで意識が高まるといいなあと思います。私が計画しなくてはいけない部分が多いので、頑張ろうと思います。    年度始めは、ばたばたし、色々意見も多いので、疲れることも多いのですが、良い1年になるように頑張ろうと思います。今年は、また大学で...

PODDを学んだヨーテボリ研修

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 マイナス10度前後の寒い日が続いたかと思ったら、春のような陽気になり、体調を崩す人が増えるのではないかと心配しています。今週は、久しぶりに2泊3日でヨーテボリに研修に行ってきました。コミュニケーショングループというグループがあるのですが、そのメンバー4人で行ってきました。  火曜日の午後、電車でヨーテボリに向けて出発し、夜19時半にはホテルにチェックインし、早速みんなで夕食。プライベートなことから、仕事のことまで、ありとあらゆる話で盛り上がりました。水曜日、木曜日と2日間の研修で学んできたのは、PODDと呼ばれるコミュニケーションシステムです。 PODD (ポッド)は、オーストラリアの教育者、ゲイリー・ポーター(Gayle Porter)によって開発された絵を用いたコミュニケーションシステムで、英語では、 Pragmatic Organisation Dynamic Display と呼ばれ、この頭文字をとってPODDと呼ばれています。彼女が障害を持った子どもたちに使い始めたのは、約30年ほど前だと聞きましたが、それから試行錯誤が繰り返され、ここ数年、北欧に広がってきたもののようです。私が最初に知ったのは、昨年の秋頃で、ストックホルムのハビリテーリングで1回研修を2時間ほど受けました。今回は、2日間、基礎的な知識を得るというもので、想像以上に興味深いものでした。簡単に説明するならば、以下のように絵がその意味と一緒に並んでおり、これがカテゴリー別に組織的に並んでいることによって、いわゆる言語の習得が難しい子供でも会話をすることができる、言語発達が促せるというものです。 こんな感じで、絵とその意味が書かれているコミュニケーション本です。   こんな9つの絵が並んでいるものが、最初の段階で使われるものです。 (現在は、12の絵が並んでいるものを最初の段階に使うように進めているとのこと) 使い方を簡単に説明すると、最初のうちは、会話の援助をする人が指を指し、どの絵を指しているかを確認していき、例えば、何かが欲しい場合は、真ん中の列の一番上の絵を指差した時に、子供がYesの反応をし、次に、その絵の右上にある11番のカテゴリーのページに移り、そのページの絵の中にあるものを順番に見せながら、何が欲しいのかを会話していくというもの...

スウェーデンの研修制度の不平等

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スウェーデンの教育制度の中で、 私が良くない と思っているものについて書こうと思う。 たくさんあるけど 、その中でも、おそらく教育の質を下げた大きな要因の一つになるのがこれだと思う。 研修制度の不平等!    日本の場合、新任で教員になると新任研修、3年目研修といった研修がついて回るようです。実際に受けたわけではないので、ここからは想像ですが、おそらく、市や県の教育委員会が中心となって行っていると思います。これらは、私の想像ではどの先生も受けることができる、と思います。(補足説明が可能な方、よろしくお願いします。)  これに対して、スウェーデンの研修で 不平等 だとおもうのが、近年Skolverketが出している様々な研修。大体、半年から数ヶ月前に募集がかかり、それに応募します。例えば、私が行く予定だった新しい学校法とカリキュラムに関する研修も応募したけど、抽選になり、結局 ボツ 。この間は、いじめとかに関する研修。これは私が行く予定ではなかったけど、これも抽選で ボツ 。   おいおい、教育の可能性を抽選でこの国は決めるのか!  望む学校のみではなく、(望んでもいけていませんが)全国すべての学校に同じ研修を行うべきではないのか!  ただでさえ、教育格差が広がる昨今、こんな風に格差を政府がつくってどうする! と叫びたくなります。  この制度いまいちだと思う。スウェーデンの教育の質をあげようとおもったら、今ものすごく不均等になっている教育の質をあげるために、できるかぎりこういった研修をすべての学校の教員に行うほうがいいのではないかと思う。  違うものの見方を書けば、こういった研修が行われるようになっただけでもいいのかもしれない。。。その昔は、こういう研修もまったく声をきかなかった。。。じゃあ、研修はどうなっていたのかというと、各学校が思うことをやっていたし、コミューンで何かあれば、それをとりあげるといった、まったく統一感のない研修を行っていた。これは今も同じで、自分たちの必要だと思う研修を受けられるのでよいのですが、予算があまりないのが欠点。国が行うというのは、予算のつき方が変わるので、大きい。  あとは、研修がない分、近年、配布される資料が半端じゃなくなった。ちょっと落ち着いたけど、ここ数年、何冊も政府関...

スウェーデンの研修制度の不平等

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スウェーデンの教育制度の中で、 私が良くない と思っているものについて書こうと思う。 たくさんあるけど 、その中でも、おそらく教育の質を下げた大きな要因の一つになるのがこれだと思う。 研修制度の不平等!    日本の場合、新任で教員になると新任研修、3年目研修といった研修がついて回るようです。実際に受けたわけではないので、ここからは想像ですが、おそらく、市や県の教育委員会が中心となって行っていると思います。これらは、私の想像ではどの先生も受けることができる、と思います。(補足説明が可能な方、よろしくお願いします。)  これに対して、スウェーデンの研修で 不平等 だとおもうのが、近年Skolverketが出している様々な研修。大体、半年から数ヶ月前に募集がかかり、それに応募します。例えば、私が行く予定だった新しい学校法とカリキュラムに関する研修も応募したけど、抽選になり、結局 ボツ 。この間は、いじめとかに関する研修。これは私が行く予定ではなかったけど、これも抽選で ボツ 。   おいおい、教育の可能性を抽選でこの国は決めるのか!  望む学校のみではなく、(望んでもいけていませんが)全国すべての学校に同じ研修を行うべきではないのか!  ただでさえ、教育格差が広がる昨今、こんな風に格差を政府がつくってどうする! と叫びたくなります。  この制度いまいちだと思う。スウェーデンの教育の質をあげようとおもったら、今ものすごく不均等になっている教育の質をあげるために、できるかぎりこういった研修をすべての学校の教員に行うほうがいいのではないかと思う。  違うものの見方を書けば、こういった研修が行われるようになっただけでもいいのかもしれない。。。その昔は、こういう研修もまったく声をきかなかった。。。じゃあ、研修はどうなっていたのかというと、各学校が思うことをやっていたし、コミューンで何かあれば、それをとりあげるといった、まったく統一感のない研修を行っていた。これは今も同じで、自分たちの必要だと思う研修を受けられるのでよいのですが、予算があまりないのが欠点。国が行うというのは、予算のつき方が変わるので、大きい。  あとは、研修がない分、近年、配布される資料が半端じゃなくなった。ちょっと落ち着いたけど、ここ数年、何冊も政府関...

社会性と感情のコントロールを訓練する・・・SET

今日は、仕事を13時半に終え、秋休みに入りました。木曜日と金曜日はお休みなので、ゆっくりしようかなあと思っています。  月曜日にあった講演会の内容が大変興味深かったので、紹介したいと思います。  近年、欧米社会では、若者たちの精神的な健康状態がよくないことが問題になっています。ここ、スウェーデンでも、10代の若者たちの精神的な不健康がよく取り上げられています。これに対応するためには、小学校の低学年から、早ければ早いほどいいといわれています。その中のひとつの方法としてここ数年用いられているのが、こちら。 SET Social och Emotionell Träning   社会性と感情のコントロールの訓練  話の始めは、危険因子と保護因子について。危険因子とは、たとえば、親がアルコール中毒だとか、うつ状態だとか、そういった子どもが危険に陥る可能性のある内容のことを指し、その数が多ければ多いほど、子どもの精神状態が悪くなる可能性が高いというもの。これに反し、保護因子とは、そういった危険から子どもを守ることができる内容を指し、たとえば、よい先生に会うとか、掃除のおばちゃんと親しくなってとか、近所にいい兄ちゃんがいるとかなどです。学校や先生は、この保護因子になれる可能性が高く、また、成績がいいとか、勉強で落ちこぼれないといったことでも保護因子になるため、先生の持つ役割は大変大きいという話でした。  このあたりの話がとてもスウェーデンぽいと思いました。理由は、スウェーデンが科学的に証明されることにかなり重きをおいており、日本では当たり前のような話でもえんえんと数字を用いて話がされます。こういう風だから、教育分野の研究が遅れるんだろうなあと想像しつつ、でも、科学的に証明されることは大変いいことでもあるので、じっと聞いていました。  予断ですが、同僚の何人かは、このあたりが退屈で脱落した方も。。。仕方がないですよね。夜遅かったし。  若者の精神状態が健康でないという事実の中に、アルコールの摂取に関する問題があります。スウェーデンでは、10人に1人が11歳からお酒を飲んでいるということで、その摂取量はかなりなものです。これは、どちらかというと、裕福な地域の問題であるようで、若者のアルコール問題が深刻なのは、スト...

先生のコーチング

10年前くらいになるでしょうか、「コーチング」が有名になったのは。。。今ではすっかり定着していますよね。  このコーチング、ストックホルム市でこの秋から教員に用いられることになったそうです。 3年間のプロジェクト で 8名の教員 がストックホルム市に雇われました。この8名の教員が、 ストックホルム市の教員をコーチング するというのです。概要は以下のようです。 教科は、スウェーデン語、第2言語としてのスウェーデン語、数学、自然科学系の教科、英語。 コーチングをする8名の教員は、週の2日間を自分の学校で普通に働き、2日間教員をコーチングし、1日は研修日として働く。 コーチングされる教員は、希望制で義務ではない。 コーチングする教員は2名一組で学校を周り、6週間にわたって、教員や教員集団をサポートする。  このコーチング制度悪くないとわたしは思います。日本での教員生活中に年に数回必ず教育主事の訪問や研究会などがあり、指導方法や授業のあり方について学ぶ機会がありました。でも、こちらの学校ではめったにありません。今年で教員4年目ですが、あったのは、昨年1回。1日教育検査局のほうから、検査がはいりました。でも、この場合は、授業を向上させるような研究会のような目的ではなく、学校法などで定められているように学校が運営されているかがみられるものです。そうなると少し意味合いが違うように思います。  ただ、コーチングはあくまでも希望する教員に対してのようなので、コーチングを受けてもよいと思うような教員はたいてい謙虚で前向きなような気が・・・そうすると、本当に必要な教員は受けないような気も・・・ ちょっと意地悪ですけど、そう思いました。  また、このようなコーチングをする側の教員は、ある意味キャリアを教員として積んでいくことにもなるので、その点でも肯定的であるとも思います。もしも、成果が見られるようであれば、さらに教員が増員され、プロジェクトも延長されるようです。今後が楽しみなプロジェクトです。