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7月, 2023の投稿を表示しています

AAC:補助代替コミュニケーションについて学ぶ会のお知らせ 限定5名無料オンライン開催

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  今日は、オンラインの会のお知らせです。  8月11日金曜日、日本時間の18時30分より20時までの予定でオンラインで開催します。このブログを読んでくださる方の中で、参加してみたいなという方はご連絡ください。  私を入れて、最高7名の少人数の会で、参加される方は、自己紹介と顔出しができる方に限らせていただきます。特に後半部分の対話の部分を大切にしたいと思っています。質問などありましたら、お気軽にお問い合わせください。

個人アシスタントが付くスウェーデンの障害者

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 スウェーデンには、 「個人のアシスタント(Personlg Assistant)」 という制度があります。今日はこの個人アシスタントについての旧ブログの記事をリライトします。個人アシスタントは、身の回りの介助が必要な障害がある方が利用できる制度で、子どもでも大人でもその必要に応じてつきます。どんな障害でも着くというわけではないですし、どのくらい(何時間くらい)つくかなども、個人によって大きく変わります。日本からの問い合わせが時々あるスウェーデンの制度です。 1.LSSという法律  スウェーデンには、 Lagen om stöd och service till vissa funktionshindrade (LSS) という法律があります。その頭文字をとって通称LSSと呼ばれ、現在の福祉国家スウェーデンの福祉制度を代表する法律です。個人アシスタントの制度も、この法律に基づいています。この制度は、1993年にできたもので、障害を持った人々が様々な援助や支援、サービスを受ける権利を書き記したものです。この法律に基づき、各市にある社会福祉局が中心とする、LSS担当者(社会福祉士やそれに類似した資格を持った人がなっていることが多い)がその内容を見定めていき、障害者に対する様々なサービスが決定していきます。 2.LSSで受けられる福祉支援  個人アシスタントの福祉支援以外にLSSで受けられる福祉支援には、 施設への入居、ショートスティ利用、障害者用のタクシー利用(移動支援)、付添人の利用などがあります。 障害がある人とその家族がLSS担当者との面談を経て、本人の希望やそのニーズに応じたものが提供されます。 3.個人アシスタントの削減傾向  個人アシスタントは、90年代に行われたスウェーデンの福祉改革の中でも先進的なもので、大変画期的なものでした。多くの肢体不自由の障害がある人々にとって、この制度を利用することによって、同年代の人々と同じような暮らしを可能としました。しかしながら、当初の想像よりも多くの人々がこの制度を利用するようになり、また、制度を悪用する人も出るようになり、だんだんと財政的に制度を維持していくことが難しくなり始めました。そのため、数年前より、個人アシスタントの申請の際の審査が厳しくなったり、時間数が削減されるようになりました。 このブログの中でも、201...

生徒の意見から学校名称が変わったスウェーデンの特別支援学校

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  今日は2023年7月2日。スウェーデンの特別支援教育の歴史において、記念すべき日です。今日からスウェーデンの特別支援学校の学校名称が変更になります。 今までの名称:Grundsärskolan 今日からの名称:Anpassade grundskolan になります。 1.これまでの名称は?  スウェーデン語を開設すると、Grundsärskolanの「Grund」は「基礎」で、「skolan」は学校になります。いわゆる小中学校は、この二つの文字をとって、「Grundskolan(基礎学校)」と呼ばれます。特別支援学校はこの間にGrundsärskolanという言葉が入りました。この「sär」が、差別的で、否定的なイメージが強い言葉とされてきており、スウェーデン語での響きと意味がとても悪かったのです。その昔は、障害のある子どもや人々のことを「馬鹿者」と呼んでいた国でもあるので、こうした差別的な意味の言葉が使われている歴史を恥じ、改めて来た歴史があります。この 「sär」 も「別にされた、変わった」というような意味合いで、特別支援学校に通う生徒のこと 「särbarn」 と呼んで虐める、さげすむというのも一般的だったのです。こうしたことから、自分が特別支援学校に通っていることを話したがらない、言わない生徒も多くいます。 2.新しい名称は?  新しい名称は、 Anpassade grundskolan といいます。「 grundskolan」は、基礎学校という意味で、これまでと同じです。これに「 Anpassade 」という「対応した」という言葉が新たに付けられました。今回の名称変更に伴い、全ての特別支援教育系の学校の名前が変更になりました。 Grundsärskolan → Anpassade grundskolan (前出) Gymnasiesärskolan → Anpassade gymnasieskolan (対応した高校) Komvux som särskild utbildning på grundläggande nivå och komvux som särskild utbildning på gymnasial nivå→ Komvux som anpassad utbildning på grundläggande nivå respe...

通常学級の中から特別支援教育を

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  時間に余裕がないとじっくりとお話を伺うということがなかなかできず、ご連絡をいただいても、対応できないことが多かったのですが、夏の休暇に入り、個別にいろいろと話を伺う機会をいただき、いろいろと思うことがあります。その中から、今日は、通常学級でも行われるべき、特別支援教育というものについて、少し考えたいと思います。 1.日本の特別支援教育の始まり  私が日本の大学で学んだ頃は、まだ特別支援教育ではなく、学んだ学科も、教育学部にあった障害児教育学科でした。学校も特別支援学校ではなく、養護学校と呼ばれた時代で、岐阜県内の養護学校で働いてから、スウェーデンに来ました。今の特別支援教育は、私がスウェーデンに来てから始まりました。少し調べてみると、「特殊教育」と呼ばれていたものが、「特別支援教育」という名前になり、2007年より正式に実施されるようになったようです。私がスウェーデンにやってきたのは、2001年ですので、その6年後ということになります。 2.子どもの権利条約  通常学級を含むすべての教育において特別支援教育をという流れは、スウェーデンとあまり変わらないというのが、私の印象です。1989年に「児童の権利に関する条約」通称、「子どもの権利条約」が出ます。この条約は、日本でも、かなり定着し、内容はともかく、名前を知らない人は少なくなってきているのではと思います。この条約の中に、 障害のあることもについて可能な限り社会への統合が行われること、および、教育・訓練の機会をりようできるようにすること (第23条) というのがあります。スウェーデンでは、住んでいる地域、生まれたところで、生活し、学び、成長していけることの重要さがうたわれ、訓練のために違う施設に通うのではなく、普段通っている就学前学校の中で支援を受けること、地域の学校に通うことなどは、この条約により、かなり変わったと感じます。 3.障害を持つ人々の機会均等化に関する基準原則  次に、1993年になると国連の第48回総会にて、「障害を持つ人々の機会均等化に関する基準原則」が採択されます。この決議では、障害のある子ども、青年、成人について、初等教育、中等教育、中等教育狩猟後の教育委における統合された場での教育の機会均等の原則が取り上げられ、その認識を深めました。これを受けて、今のインクルーシブ教育の大元ともい...