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個人アシスタントが付くスウェーデンの障害者

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 スウェーデンには、 「個人のアシスタント(Personlg Assistant)」 という制度があります。今日はこの個人アシスタントについての旧ブログの記事をリライトします。個人アシスタントは、身の回りの介助が必要な障害がある方が利用できる制度で、子どもでも大人でもその必要に応じてつきます。どんな障害でも着くというわけではないですし、どのくらい(何時間くらい)つくかなども、個人によって大きく変わります。日本からの問い合わせが時々あるスウェーデンの制度です。 1.LSSという法律  スウェーデンには、 Lagen om stöd och service till vissa funktionshindrade (LSS) という法律があります。その頭文字をとって通称LSSと呼ばれ、現在の福祉国家スウェーデンの福祉制度を代表する法律です。個人アシスタントの制度も、この法律に基づいています。この制度は、1993年にできたもので、障害を持った人々が様々な援助や支援、サービスを受ける権利を書き記したものです。この法律に基づき、各市にある社会福祉局が中心とする、LSS担当者(社会福祉士やそれに類似した資格を持った人がなっていることが多い)がその内容を見定めていき、障害者に対する様々なサービスが決定していきます。 2.LSSで受けられる福祉支援  個人アシスタントの福祉支援以外にLSSで受けられる福祉支援には、 施設への入居、ショートスティ利用、障害者用のタクシー利用(移動支援)、付添人の利用などがあります。 障害がある人とその家族がLSS担当者との面談を経て、本人の希望やそのニーズに応じたものが提供されます。 3.個人アシスタントの削減傾向  個人アシスタントは、90年代に行われたスウェーデンの福祉改革の中でも先進的なもので、大変画期的なものでした。多くの肢体不自由の障害がある人々にとって、この制度を利用することによって、同年代の人々と同じような暮らしを可能としました。しかしながら、当初の想像よりも多くの人々がこの制度を利用するようになり、また、制度を悪用する人も出るようになり、だんだんと財政的に制度を維持していくことが難しくなり始めました。そのため、数年前より、個人アシスタントの申請の際の審査が厳しくなったり、時間数が削減されるようになりました。 このブログの中でも、201...

ヘルパーさんとアシスタントの質

 休暇はいいなあと、毎日ダラダラして、好きな本や記事を読みながら暮らしています。だいぶ体も疲れが取れたような取れていないような。。。数か月前に生徒のトイレ介助中に腰か背中をやられ、理学療法士のところに通っていました。おそらく椎間板ヘルニアだろうといわれ、トレーニングプログラムをさぼりながら、(かなりさぼりながら)やっています。愛犬も同じ病気なので、お互いにトレーニングです。よくなるというよりは、筋肉をつけるのが一番よいようです。というときに、職場のクリスマスプレゼントで、Anders Hansen氏の「Härnstark」をもらい、読んでいます。読めば読むほど、追い詰められていくような。。。日常的な運動がいかに脳に良い影響を与えるか。。。という、なんとも今のダラダラ生活には耳が痛いお言葉で。。。明日からジムが開くので行こうと思います。  夜遅くから、藤田正裕さんの「99%ありがとう」を読み、人の運命とはと考えさせられ、泣けてきました。ALSやMSのような病気になると徐々にできていたことができなくなっていく悲しみは、想像を絶するものであると思いました。主人の親友に、徐々に視力を失うという難病に侵されている人がいて、彼や生徒のおかれている状況と類似点が多くあり、泣けて。。。  本の中に、「ヘルパー」という題の内容がありました。一部を書きます。 ベットに座らせるのに「失礼します、失礼します」と 40回ぐらい言いながら結局できなかった人には、 さすがにその場で帰ってもらった。 できるヘルパーはほかの患者が離さない。 本当のヘルパーが足りない。 ヘルパーの重要性を理解して、 給料や資格の難易度を 高める必要がある。 神経質でせっかちな自分には、 今まで自分の手や足や声でできたことを、 すべての他人にやってもらうのに慣れるは、想像以上に大変なことだ。 きっと、一生慣れないまま終わると思う。 人間は、そうやって生きるようにできていないからね。 (藤田正裕さんの「99%ありがとう」140頁より) 同じような内容の話を数日前にしたことを思い出しました。生徒の親と個人懇談をし、泣きながら、いろいろあった今学期を振り返り、泣かれてしまうと、こちらもたまらず、泣けます。そのときに、個人アシスタントの質につい...

個人アシスタントの削減傾向

 すっかり秋らしくなり、着々と冬に近づいている、こちらスウェーデン、ストックホルム。今日は、8章まで一気に読んでしまうつもりでしたが、眠気には勝てず、結局6章どまり。明日残り読みきらなくては。。。  先日の新聞に、一晩にして600時間の援助がなくなったという、個人アシスタントの削減に対する批判記事が載っていました。まず、個人アシスタントについて説明をすると、スウェーデン語では「Personlig assistans(パーショーンリグ・アシスタント)」と呼ばれる、パーソナルアシスタントのことで、障害を持った人に個人的に付き、その人の手となり足となり、援助をします。これは、LSSと呼ばれる「Lag om stöd och service till vissa funktionshindrade」という障害を持った人の支援援助の法律に基づいています。  ここ数年、この個人アシスタントを不正に利用している人が増えているという報道があったり、増え続ける難民や移民に対する援助の増加により、個人アシスタントが削減傾向にあるという話をよく聞きます。不正に利用している人がいるというのは事実で、時々ニュースになりますが、増え続ける難民の援助がこれにいかに関係しているかは、私にはわかりません。  新聞には、自閉症と知的障害を併せ持った兄弟の個人アシスタントの時間が削減されて、困ったとあります。記事によれば、2009年から新しい基準が適応されるようになり、基本的必要性が厳しく判断されるようになったとあります。自分でトイレに行けるかどうかとか、食事の介助とかの部分が、より一層厳しくなったようです。この兄弟は、歩けるようですが、一人はてんかん発作があるとありますし、自傷行為もあるようですので、目を離すことはできないのに、一気にアシスタントの時間が減ってしまい、理解に苦しむとあります。  私の働いている学校の生徒の中にも、個人アシスタントが付いている生徒が多くいます。働き始めた頃は、子供達が保健局に出向くというようなことはなかったのですが、ここ数年は、定期的に担当者との面談があり、生徒が保護者や後見人と一緒に面談に出向きます。自宅への訪問もあるようで、親さんによれば、結構長い時間の面談をずっと本人も一緒に行うということでした。実際に生徒にあって、その必要性をしっかりと理解しても...