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スウェーデンの特別支援学校の学童保育とは

 学童保育についてのまとめ記事を書いていて、特別支援学校の学童保育に関する情報が少ないと気づきました。スウェーデンの学童保育は、障害があるなしに関わらず、同様に必要な児童生徒に保障されています。今日は、そんな特別支援学校の学童保育についてです。 1.どこで学童保育を受けるか  学童保育は、たいていの場合、通っている学校でとなっています。基礎自治体や学校によって、近隣の別の場所で行う場合もありますが、現在最も一般的なのは、自校方式です。 2.何歳まで通えるか  学童保育は、障害のあるなしに関わらず、生徒が13歳の誕生日を迎えた年の春学期まで、希望者は通えます。基礎学校の生徒の場合は、3年生までの子も多いように思います。勤務校は、3年生までは、学童保育は学年単位で組織しながら全体を組織していますが、4年生以上は、合同となっており、名前も学童保育ではなく、「クラブ」と変えて、年齢に応じた内容を提供しています。 3.13歳以降はどうなるのか  障害がない場合は、13歳になれば、一人で家に帰れますし、家で過ごすこともできますが、障害がある場合は難しいです。そのため、13歳を過ぎると、LSS法(Lagen om stöd och service till vissa funktionshindrade 社会サービス法、機能障害者を対象とする援助及びサービスに関する法律)に基づいて、放課後デイサービスが提供されます。多くの学校が自公で提供していますが、社会庁の管轄になるので、その法律に基づいて提供されます。この部分は、別のところで行っている基礎自治体もあり、その場合は、タクシーで生徒を移動させることになります。 4.対象とならない生徒はいるのか  はい、います。誰でも障害のあるなしにと書きましたが、社会福祉の支援サービスで、子どもや若者のための施設に入所している生徒は、学童保育の対象になりません。施設自体が福祉サービスとなるので、学童と2重で受けることはできないとなっています。  また、基礎自治体によってさまざまな決まりを設けている場合もあり、住んでいる基礎自治体の学校に通っている場合は保障するが、ほかの基礎自治体にある学校に通った場合は、学童の保障はしないというところもあります。その場合は、理由によっては許可される場合が多いということらしいです。 5.何時から何時まで通えるのか...

スウェーデンの学童保育について【まとめ記事】

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  私はスウェーデンの教育と福祉に興味関心があり、教員をしているので、このブログは、幅広く教育や福祉について取り上げています。その中で、最近検索が多いのが、スウェーデンの学童保育についてです。学童保育についても、いくつか投稿をしているので、ここにそれらの記事をまとめておきたいと思います。 1.スウェーデンの学童保育の概論がわかる記事ならこちらを 「スウェーデンの学童保育って、どう?」 2022年7月の投稿です。スウェーデンの基礎学校の学童保育についてまとめられているので、ざっと知るにはよいのではと思います。 2.スウェーデンの学校教育システムならこちらを 「 スウェーデンの学校教育システム」 についてざっと知りたい方はこちらの記事を。スウェーデンは義務教育に併設して学童保育があるので、各学校に学童保育があります。 3.スウェーデンの学童保育の職員密度ならこちらを  少し古い記事になるので、新しいものをまた準備したいと思いますが、「 スウェーデンの学童保育の職員密度は?」 で、2018年のものが見れます。 4.障害児のための学童保育についてならこちらを 「 日本の放課後等デイサービス見学 」の記事では、日本で見学した際に思ったことをまとめながら、スウェーデンの障害児のための学童保育についてまとめています。 「 スウェーデンの特別支援学校の学童保育とは 」にも、支援学校での実態をまとめましたので、ぜひ。 5.そのほかの記事  以下も学童保育についてですが、内容が古いですので、新しく書き直したいと思いますが、それまでは、公開にしておきます。2014年で質の低下を書いているのですが、2024年の今はさらに厳しい状態になっているようにも思います。しかしながら、進化も遂げており、そのあたりもまとめたいと思います。 「 スウェーデンの学童保育の現状 」2018年12月投稿 「 質の低下が危惧されるスウェーデンの学童保育 」2014年7月投稿  スウェーデンの学童保育についてのコメントや質問などあれば、お気軽にお尋ねください。

スウェーデンの学童保育って、どう?!

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  この投稿は、2018年7月7日のものを更新して、再投稿しています。    2022年7月16日に、 初の単著「医療・福祉・教育・社会がつながるスウェーデンの多様な学校~子どもの発達を支える多職種協働システム」 を刊行。是非ご一読を😊  スウェーデンの学童保育の紹介をします。主な内容は、 スウェーデンの学童保育の名称 スウェーデンの学童には、何歳から入れる? スウェーデンの学童保育、有料、無料? 特別支援学校にも学童はあるの? 学童の時間はどうなっている? 学童で働く人って、だれ? 学童保育のカリキュラム? 学童保育の教員免許 スウェーデンの学童保育の名称  スウェーデンの学童保育は 「Fritids、Fritidshem」 と呼ばれ、発音は「フリーティース、フリーティスヘム」となります。スウェーデン語の意味は「自由な時間」みたいな意味なので、「余暇、学校がない自由時間の時の家」みたいな感じになります。 スウェーデンの学童には、何歳から入れる?  スウェーデンの学童保育は、義務教育になるとは入れます。義務教育は6歳からはじまるので、それまでは、就学前学校(日本の幼稚園・保育園などにあたる)に通い、基礎学校と呼ばれる小学校に入学すると、希望すれば学童に入れます。夏休みが終わる直前、新学期が始まる前の場合が多いように思いますが、6歳で初めて学校にやってくる子ども向けの学童の受入日があり、多くの新入生がその日にやってきて、学童に通い始めます。対象年齢は、12歳までになります。 スウェーデンの学童は有料?無料?   スウェーデンの学童保育は、有料です。各基礎自治体が定めた「最高額で払う金額」が決まっており、収入に応じて、利用料を払います。各自治体によって多少差がありますが、支払うとしても最高で日本円2万円くらいが一般的なようです。収入がない、低い場合は、支払いは生じません。 特別支援学校にも学童はあるの?  特別支援学校にも学童保育があります。基礎学校同様に学校内にあり、学校の規模によりますが、基礎学校とは別のチームで運営している場合が多いです。同じ学校内にあるので、子どもの人数が減る時間や特別な日の学童では、合同という場合もよくあります。特別支援学校の学童は、学童保育の対象年齢に当たらない児童生徒もいて、その場合は、異なる社会福祉法によって、学童を利用します。...

スウェーデンの学童保育の職員密度は?

 もう月1回の更新とかにしてしまってもいい感じのブログですが、もしも時々覗いてくれてるという方がいましたら、夏休みはもう少し頻繁に教育情報更新したいと思いますので、お付き合いいただければと思います。今週と来週は、木曜日が祝日なので、間に挟まった金曜日もお休みとなり、4連休が2週続き、いよいよ夏休みマジかという感じがします。年度末に加えて卒業生を3名抱えているので、忙しさは度を越していましたが、だいぶ落ち着きました。  今日は、学童保育について。前々からスウェーデンの学童保育について書きたいなあと思っており、少しずつ書いていければと思っています。今日は、職員の密度に関してです。スウェーデンの学童保育は定員という考え方はなく、必要とする子どもには提供されます。よく統計にあがってくるのが、 職員一人当たりに対する生徒の数 。職員一人で何人くらいの子どもの面倒をみているのかというもので、これが、どのくらい学童にお金をかけているかという目安になります。 *2018年の学校局の統計より  スウェーデン全国では、職員一人あたり、 12.3人 となっています。ストックホルム圏内のコミューンは以下の通り。 職員一人当たりの生徒数が多いところ: フッディンゲコミューン(Huddinge):17.2人/職員 二ネスハムコミューン(Nynäshamn):15.5人/職員 サーレムコミューン(Salem):15.2人/職員 ソーレンチューナコミューン(Sollentuna):14.9人/職員 バーレンチューナコミューン(Vallentuna):14.8人/職員 少ないところ: シグチューナコミューン(Sigtuna):10.7人/職員 ヤールファッラコミューン(Järfälla):10.9人/職員 チーレソーコミューン(Sollentuna):11.2人/職員 ニュークバーンコミューン(Nykvarn):11.2人/職員 多いところと少ないところでは、7人ほどの差があります。人数の多さが直接学童保育の質の低下につながるわけではなく、どのような建物でどのような組織化が図られているかなど、多様な要素によりその質はきまります。しかしながら、職員の人数に対する生徒の数が多いということは単純に手が回りにくいという状況を生み出しますので、やはり目安の一つとしては重...

スウェーデンの学童保育の現状

  日本でも学童保育が一般的になってきました。社会の変化に合わせてシステムが変わっていく、作られていくことは重要であるので、日本の学童保育の今後が気になります。スウェーデンの学童保育も、時代とともに変化をしています。  そんな学童保育について学校局が行ったアンケートをまとめたレポートが発表されたので、それについて少し書こうと思います。学童保育に関しては、2年ほど前に新しいカリキュラムが導入されましたので、現状はどうなっているのか気になります。来年からは、学童保育の職員にも免許制が導入されますし、スウェーデンの学童は職員の専門性を促進し、より学びを中心としたものに変わっていくことになります。  レポートによれば、予想はついていましたが、現状は新カリキュラムを実行できるような状態ではないということで、特に自然科学系、デジタル化に関しては、それに対応できるだけの状況にはなっていないところが多いようです。ここ数年学童保育の状況は、あまりいい声が聞こえてこず、どこもかなりの人数の子どもを少ない職員で見ていると聞いています。  4人に3人は、準備時間が週に数時間と答えており、十分な準備をする時間がないことは、就学前学校同様に大きな問題のようです。こういった問題はすぐには解決しないので、こうしたレポートや研究、地道な校長との話し合いなどをつんでいくことにより少しずつ改善されていくものであると思います。  学童保育も私にとって大変興味のある分野の一つで、調べてみると、大変興味深いと思っています。特に特別な支援を必要とする子どもの状況や、うちのような学校の学童などもどういう状況なのか気になるところはたくさんあるので、いつかやってみようと思う今日この頃です。

質低下が危惧されるスウェーデンの学童保育

楽しい時間はあっという間に過ぎて、主人は仕事の戻り、私の夏の休暇も残り2週間となりました。やりたいことリスト、やっておくといいことリストがまったくといっていいほど消化されておらず、ちょっと焦っております。この2週間で、秋学期の準備と引き受けてある仕事を片付け、家の掃除を少しできたらと思っているところです。  スウェーデンは共働きが基本なので、多くの子どもが6歳児教育が始まり学校教育に関わるようになると、学童保育にも通います。ほとんどの場合、学校が併設して学童を持っているので、というか、学校が同じ組織内で学童を運営しているので、子どもはそのまま学校に残っている形になります。その昔は、学童はもっと学童として個別に運営されていた時代もあるようですが、今ではすっかり学校教育に組織上は吸収されており、学童の先生は、日中は学校教育に何らかの形で関わっている場合が多くあります。これに関して、学童の先生側からは、不満の声も聞こえますし、学童の質の低下も叫ばれるようになりました。  スウェーデンの学童の先生方は、「Fritidspedagog」という「学童の先生」の資格があり、大学で、120ポイントから180ポイント(フルタイムの学生で1年半くらい)勉強します。最初は免許が出なかった学童の先生ですが、現在は、教師と同じように免許が出ます。私の印象としては、見た目の仕事や周りからの話で感じる学童の先生の立場は、大学での勉強からするとかなり低いように思います。残念なことですが、子どものおもりをしている人たちと言う印象があるように感じます。  そのためかどうかわからないのですが、 学童の先生一人あたりの子どもの数がかなり増えている 資格のない学童の先生が増えている と新聞にありました。1990年には、学童で働く大人一人あたりの子どもの数は、 7.5人 だったのにたいして、2014年には 12.9人 と5人も増えています。パーセンテージにして、34%増だということで、かなり増えています。スウェーデンで学童に通う6歳から12歳の子どもは、42万5900人ほど。1グループの子どもの数は、40人前後となっています。学童によっては、100人を1グループで見ているところも。 資格のない学童の先生も増えており、大学で学んだ学童の先生の割合は、統計ととり始めて最低の56%...