「スウェーデンの教員のキャリアアップ制度、第一教諭の現状」と「他の先生から批判が多いキャリアアップ制度」の続きです。読んだり書いたりしていると、今年悩んだことなどが整理できてきました。今回は、実際に第一教諭として働いている人の視点から少し書こうと思います。
私もだけど、何がこの改革で足りなかったかというと、これに尽きます。「時間」です!今回のキャリアアップ制度は、お給料の上乗せの額も決まっていたし、その資格も大まかに決まっていたし、大体の数も決まっていたけれど、実際の仕事内容は大雑把で、しかもそれに対する労働時間に指針はあっても決まりはなかったのです。そのため、実際に働いている第一教諭たちは、したいこと、できること、必要なこと、とにかくたくさんあるけれど、時間がないのです。私もですが、それまでの仕事が減らされたわけではないので、その仕事はそのまま残り、その上、仕事が加算されました。そうなるとどうしても時間が足りない。
一応、授業を行う時間をそれまでの80%にするといいとか、意見はありますが、実際の統計は次の通り。
第一教諭の仕事に当てられた労働時間の割合
全労働時間の0−4% 41%
5−14% 23%
15−24% 21%
25−34% 2%
35−44% 1%
45−50% 1%
知らない、わからない 10%
(943人の第一教諭にアンケートして回答数は67%)
アンケート結果を見れば一目瞭然といった感じです。ちなみに私は0%。時間の方は与えられませんでした。最初の頃は、同僚から「お金もらっているんだから」と言われ、結構傷つきましたが、第一教諭の集まりではそういうこと言われている人が結構いると知り、ちょっと納得。時間は与えられていないのに、他の人と同じように仕事をした上で、プラスの仕事をした結果を見せないといけないというプレッシャーを感じる第一教諭も多くて、「5000クローネ分働いたって見せないと」という声も聞かれます。
私はというと、一応、言われた仕事をこなし、それに加えて、うちの生徒にとって必要と思われる内容を実現しようと奔走し、ほかの先生から、「いつ、ああいう資料作っているの」と聞かれ、ほぼ時間外労働だと話しました。だいぶ理解してくれる人も増えたし、どうしても家でやりたくない仕事は、学校で配慮して貰って行うこともできます。ただ、継続して行うという感じは持てず、常に自分から動かないといけないのが痛い。一応、副校長にはなんとか時間を確保して欲しいとお願いしたが、どうなることか。。。
アンケートの結果を見ると、半数の人は満足していないにしろ、時間も与えられているので、やはりそのコミューンや学校の考え方が大きいのだろうと思います。やろうと思えばいくらでもできる仕事でもあるので、時間といっても区切りが難しいのも事実です。今後、この点が少しずつ改善されていけば、より一層、キャリアアップ制度によってスウェーデンの学校が変わっていけるのではないかと思います。
読んだ記事:"Dat är vi lärare som är expertisen" Lärarnas tidning nr 12/14
Salu Nomiさん 初めまして!コメントをありがとうございます。スモーランドで教員されているのですね。ぜひお会いして色々お話ししたいなあと思ってしまいました。コミューンによってかなり違うようです。5000クローネってすごいと私も最初は思ったのですが、ここでも、税金の壁が。。。しっかり30%ほど取られて、手元に残るのは、ちょっと違う感じで、その上、変な仕事が増えたりすれば、なんだか損した気にもなってしまいます。辞めた人もいます。私はもう少しうまくバランスとってできないかと模索中です。
返信削除Salu Nomiさんは、どんな学校で何年生を教えていらっしゃるのでしょうか。いろいろ聞きたいことがいっぱいです。お時間あれば、ぜひ、メッセージを頂ければと思います。ブログを読んでくださりありがとうございます。