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2024年を振り返って

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  日本は既に2025年に突入し、スウェーデンも残り数時間で2024年の幕が閉じようとしています。どうしようか迷いながら、今年を振り返って文字にしておこうと思い、書き始めました。2024年は、大荒れに荒れた年で、一言でいえば、「塞翁が馬、苦あれば楽あり、雨降って地固まる」という感じの年であったように思います。2024年の幕開けはアクシデントから始まりました。亡くなった義理の父の家を整理することになっており、訪れた北スウェーデンはマイナス20度で車が動かなくなり、結局何も片付けることなく、帰宅した年明け。ずっと体調が思わしくなかったパートナーに加えて、3月に亡くなった愛犬ヨッシーの闘病生活。病気、病院、事故などが続きました。スウェーデンの医療制度の裏もかなり知ることになり、大変でした。仕事は、学校の仕事に加えて、引き受けたオンラインの講演などもありました。なんとかこなせたものもありましたが、途中からは申し訳ないのですが、お断りしたものも多くあり、大変心苦しく思いました。少し光が見えたのは夏の終わりだったかもしれません。日本へ2週間行けたこともよかったです。そこから、秋学期に突入して、数多くの会議や発表をこなして、12月に入り、2025年に向けての大きな目標も見据えて、先が見えてきて、何とか乗り越えた2024年でした。  そんないろいろあった2024年でしたが、たくさんの素晴らしい出会いにも恵まれ、大きなお仕事も頂くことができましたし、プロジェクトもうまくいき、コミュニケーション団体の会議もうまくいき、振り返れば、素晴らしい出来事の多かった1年であったと思います。この1年を思い出せば、これから、やっていけないことはないのではないかと思っております。2025年は、いよいよ、マスター論文を書き上げること、そして、会社を立ち上げることと、すでにいろいろと動き出しており、頑張っていこうと思っております。ご縁を大切にし、自分の目指すところを忘れずに努力を続けていきますので、2025年も引き続きよろしくお願いします。 2025年が皆様にとって素晴らしい1年となりますように、心より願っております。 AIが作成した画像になります。

スウェーデンの特別支援学校の3年間プロジェクト、KASKについて

  昨日から冬休みになりました。やっと少し時間ができて、掃除に断捨離、水泳、読書、編み物、ピアノとやりたいこㇳを満喫しております。今日は、冬休みに入って第一弾ということで、3年間やってきたプロジェクトについて書きたいと思います。今の学校に移って、すぐにこのプロジェクトに参加することが決まり、それとほぼ同時にヘッドティーチャーにもなったので、このプロジェクトの責任者にもなり、今までやってきました。3年間のプロジェクトも今年が最後の3年目で、今、もう一人の先生と一緒に、プロジェクトをまとめた論文を書いています。  このプロジェクトは、スウェーデンの非営利団体である、iFousが行っているプロジェクトで、国内の7つの基礎自治体の支援学校の先生、2大学から3名の研究者がかかわって、総勢170名ほどで行っているプロジェクトになります。私は、ストックホルムの公立の基礎特別支援学校で働いているので、そこからの参加になります。プロジェクトの名前は、「KASK」と頭文字をとって言います。日本語に訳をするのならば、「特別支援学校の知識伝達、共有の使命」という感じでしょうか。簡単に言えば、いかに支援学校の授業をよりよくしていき、知識を教えていくことができるかということになります。  今回のプロジェクトは、アクションリサーチ型を取っており、各学校がそれぞれ、現場の実態に沿ってどんな内容を研究したいかというのを自分たちで出して、それについて取り組むというものです。これに3名の大学の研究者がかかわり、方法などを支援してくれました。研究者は、すべての学校から出てくるものをまとめて、国際的な論文にまとめており、私たちは、現場で行った内容を論文にまとめています。このプロジェクトは、学期に一度大きなセミナーがあり、参加者が一堂に会して、交流したり学びあうというのも大きな特徴で、その際には、基礎自治体のいわゆる教育委員会にあたるような人々も参加しており、その自治体全体で取り組むことも大きなメリットです。  私の学校は、生徒同士のコミュニケーションをいかに増やすかということを課題に取り組んできました。5月の終わりまでに論文を仕上げるべく、頑張ります。

インクルーシブ教育の「こちら派」と「あちら派」ーインクルーシブ教育に思うこと1

 秋学期を振り返ると、私の中のテーマは、「インクルーシブ教育」であり、ともに学ぶことの難しさにあったように思う。勝手な私の印象であるが、日本でインクルーシブ教育を語る人々は、「こちら派」と「あちら派」があるように思う。どちらが「こちら派」になるかは、その人が「インクルーシブ教育推進派」か、そうではないかによる。インクルーシブ教育の推進派の中にもいろんな温度差があるように見受けるし、「そうではない派」は、決して、反対を大きく打ち出しているようなものではない。いろんな人と出会い話す中で、私のことをこのどちらかに位置付けて話をしてくる人もいて、興味深い。  私の立ち位置を話す前にスウェーデンの印象を話すと、建前の面でこのようなどちらかの姿勢を出す人はあまりおらず、どちらかというと、多くの方が理想的な話を含めて、インクルーシブ教育の話をする方が多いように思う。これに対して、自分がかかわってくるような現実的な話になると、多くの方が、その難しさを上げ、「なぜ、支援学校があるのか」といったような話にまで発展する。どちらにしても、このインクルーシブ教育というのがそんなに簡単にあっちとこっちに分けられる話ではないことは明確である。  では、私はどうなのかというと、私は、ともに学ぶインクルーシブ教育というのが原点であり、障害のある無しに関わらず、ともに学ぶことに大きな意義があると思っている。今の私があるのは、中学2年生の時一緒に学んだ障害があるクラスメートのおかげであるし、彼との出会いがなければ、この道には入らなかったと思う。日本の大学の卒論は、アメリカの統合教育についてだった。だからこそ、スウェーデンの学校で教員をするようになり、この国の学校教育の在り方の意味を深く考えると思に、インクルーシブ教育の難しさを感じる。スウェーデンは特別支援学校が一つの学校の形として残っており、加えて、支援学校には、教科学習のコースと領域学習のコースがある。この二つのコースの生徒たちをともに教えることは、基礎学校で支援学校の生徒と基礎学校の生徒を両方教えるようなもので、いかににインクルーシブにクラスそして授業をするかというのが大きなポイントになる。が、それがこなせる先生は多くない。支援学校の場合は、クラス編成時代も基礎学校ほどは容易ではないので、(学年での区切りが明確でないため)より一層難しいというのもあ...

秋学期を振り返る

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  皆様、お久しぶりです。最後の投稿を見ると「3月」ということで、夏の休暇中にも更新をしなかったのだと思いながら、自分でも驚いています。振り返れば、3月のあのころから、大変いろんなことがあり、春も夏も落ち着くことなく、秋学期に突入しました。秋学期は、大変忙しく、3年間のプロジェクトの最終年ということで、プロジェクトの発表を10月に3回行いました。準備と発表の練習に明け暮れた秋学期前半でした。また、その間、大変数多くの仕事のご依頼も頂き、お断りさせていただいた方には、大変申し訳なく思いました。そんな忙しかった秋学期ですが、残り2週間になり、やっと落ち着いたと感じ、ふと、ブログでも更新しようかと思った次第です。忙しく、本や論文を読むという時間もなければ、そんな気にもなれず、このまま、インプットもアウトプットも減っていくのかと思っていたのですが、少しずつ、忙しい中にも読書の時間をとれるようになり、やっと、アウトプットの時間も取れるようになりました。  同じ世代である中山美穂さんの休止を、妹たちからのラインで知り、大変驚きました。特にファンということではなかったのですが、それでも、同世代であり、常にテレビで拝見してきた方ですので、あまりにも早い死に驚きを隠せません。私は、ここ数年大事な人々を亡くすことが多くなり、年齢的に当然かとも思うのですが、改めて自分のやりたいことをやっていき、1日1日を大事にしながら、出会いを大切に生きていきたいと思いました。  このブログも、更新は少ないですが、今まで何とか続けてきており、今年もこのブログより、ご連絡をくださる方が何名かいらっしゃり、何とか、再開していきたいと思っていたのです。冬休みにもなりますし、少しずつ更新をしていきたいと思いますので、ぜひ、引き続きお付き合いくださればと思います。 夏には5年ぶりに日本に帰省しました。東京スカイツリーからの眺めは美しく、久しぶりの日本を満喫できました。また行きたいです。

見逃し配信で!スウェーデンのインクルーシブ教育を

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  皆様お久しぶりです。2月29日に行いましたオンラインセミナーの見逃し配信が2か月間自由にご覧いただけます。スウェーデンのインクルーシブ教育について、知りたい方、是非、ご覧ください。また、講演資料もダウウンロードいただけます。 見逃し配信はこちらより: ページの下の方にこんな感じで見逃し配信があります。 資料のダウンロードはこちらより。 ※当該資料の二次利用や転用、関係者以外への共有はお控えください。 事前に申し込みをしていない方も自由に見れますので、ぜひ、お知り合いの方でインクルーシブ教育に興味関心のある方にも情報をお伝えいただければと思います。

多国籍なスウェーデンの学校の職場とスウェーデン語の習得

 旧ブログの中でも、何回かスウェーデン語の習得に関して書いていました。私はスウェーデンに住み始めて20年以上になるし、仕事をしていることもあって、スウェーデン語はそれなりにできますが、完ぺきなスウェーデン語ではないですし、間違いも多いです。今日は、そんなスウェーデン語習得と多国籍なスウェーデンの学校の職場についてです。 1.多国籍なスウェーデンの学校  スウェーデンは、もう50年以上前から、労働移民や難民を多く受け入れてきた歴史を持っており、学校は本当に多国籍です。生徒たちには、移住してきたばかりの子もいれば、2世、3世という子どももいます。職員もしかりで、いろんな国籍の人、いろんな外国の背景を持つ人々と一緒に働いています。 2.スウェーデン語を話す  多国籍になると多言語になり、聞こえてくる言葉は、いろいろあります。生徒たちが話す言葉はともかく、職員間では、「学校ではスウェーデン語を話す」というルールがあります。個人的には、このルールが明確に書面で書かれて出てきたときは驚きましたが、実際に教師をしていると、スウェーデン語を話してほしいと思う現場に直面することもあり、必要なルールなのだと思います。 3.言語も文化も違う  言語も文化も違う同僚たちと働くことは、いろいろ学びがあります。スウェーデン語の習得もしかり。私は、性格的なものや、おそらく文化的なものもあり、10年前とかは、どちらかというと、あまり発言しないし、無駄なことは言わないようにしてました。しかしながら、徐々にスウェーデン語ができるようになり、だんたんともともとの性格に戻っていったような印象があります。これが、人によっては、スウェーデン語の習得かかわらず、おおらかな人もいて、見ていて清々しい。特にアシスタントなどは、話すことが中心なので、読み書きに苦労してきた私とは少し違うなと感じることもあって、いろんな人のスウェーデン語の習得の過程を見ながら、人それぞれでいいなあと思います。 4.スウェーデン語習得を振り返って  自分のスウェーデン語の習得を振り返り、いろんな同僚を見てきて思うのは、スウェーデン語を使って何をしたいかによって変 わるし、言語はスウェーデン語に関わらず、使って磨いていかないと錆びるということです。昔の先生の同僚に、2世の人がいたのですが、彼が自分のスウェーデン語について完ぺきではないという...

スウェーデンの学校がもらえる国の補助金制度

  スウェーデンの学校教育の中で問題があり、改善する必要があると思われるのが、学校がもらえる国の補助金制度です。私はこの制度自体は、利にかなっていると思っているのですが、教育システム全体から見ると、「 入れ替わりが激しいスウェーデンの学校の校長先生 」にも書きましたが、組織が脆弱であると、利用しにくいシステムであると感じています。基礎自治体の教育課のトップがそれなりにしっかりしていれば、多少校長が変わっても申請を見逃さなかったり、自治体の方針として何かしらの補助金申請を行い研修をしたりしていますが、国内の学校教育の均一性が取りにくい原因の一つであることは確実であると思っています。 1.どんな補助金があるのか  毎年、各学校が基礎自治体を通じて申請してもらえる補助金がかなりあります。例えば私が特別支援教育士になるために、学校を週1で休んでいた時に出たお給料なんかもこの補助金の申請をしてもらいます。私個人がするのではなく、学校がするので、私は何もしていないのですが、組織として計画的に動く必要があります。いろいろある中で昨年より私が申請したいなあと個人的に思っているのが、「特別支援教育を学びに」というもので、学校庁にある研修サイトを利用して、学校中で特別支援教育をいかに普段の教育に取り入れるかというところを理論から実践まで1年かけて行うもので、その研修を受け持つ先生の労働時間に対する補助金が出るものです。他にもたくさんあるので、各学校が何を発展成長させたいかによって、申請するものを決めます。 2.使い道や金額が決まっている  これら補助金は使い道が決まっており、国家予算の中で、方針が決まり、それが使われます。なので、当然ですが、せっかく予算計上したのに、半分も使われなかったということでニュースになることもあります。もらえる金額や、使い道もきちんと明記されており、それに沿って、来年度の研修年間計画などを立てて利用します。ちゃんと目的に沿って使われるように、例えば、年間で時間数でこれだけ行う場合は、この金額といったような感じで決まっており、それらは人件費に回すことなども決まっている場合も多いです。 3.実際に使われているのか  使っているところは使っていると思いますし、学校で話題になることも多いです。ストックホルム市は教員向けのサイトがあるし、支援学校は支援学校の関連...