日本でコロナウィルスが広まり始めた2月中旬、スウェーデンではまだまだ、対岸の火事といった感じで、スポーツ休暇前までは、のんびりしたものでした。その後、スポーツ休暇で北イタリアなどにスキー旅行に行った人々などがウィルスを持ち帰ったことにより、罹患者が少しずつ増え、それまでは、スウェーデンで広がることはないというような声もあったのですが、予想を裏切り、少しずつ広がっていきました。ストックホルム地域のスポーツ休暇が終わる直前に、子どもはコロナウィルスを広めないと国の健康局より発表され、イタリアや中国などに旅行に行った子どもでも、症状の出ていない元気な子どもは学校に行くことと発表されました。これがまだ2週間前の話です。その後、感染の危険度が上がり、現在は感染リスクは非常に高いとされ、先ほど外務省のほうから外国への旅行を控えるようにと発表されました。死者1名、感染者は500人を超えたあたりで、医療従事者とリスクゾーンの人を中心とした一定の人を除き、テストはしないということで、本日14日で死者2名、感染者は1000名に近くなっていますが、実際には、数に数えられていない感染者が多くいるとみられています。
WHOが今回の状況をパンデミックと発表し、イタリア、フランス、デンマーク、ノルウェー、アイスランド、ラトビアが学校閉鎖をしていく中、スウェーデンも12日の木曜日の夜、文部科学大臣にあたるAnna Ekströmが記者会見を行いましたが、スウェーデンは今のところ学校を閉鎖しないという発表をしました。主な理由は以下の通りです。
- 学校を閉鎖すると、医療関係など重要な仕事についている親が仕事に行けない。
- リスクゾーンである高齢者の祖父母が子どもの面倒を見ることになる危険性がある。
- 家庭に居場所がない子どもにとって、学校はとても重要な場所であること。
- 現状では、国の健康局の判断では、学校閉鎖による感染減少の効果は少なく、他のよくない影響のほうが大きい。
- 国内の感染状況には差がある。
学校を閉鎖しない代わりに、各地方自治体、学校経営者に、各地域の感染状況に合わせ、それぞれの判断で学校を閉鎖できるように法的な準備をしていると。内容は以下の通り。
- 年度の長さを変えれる。
- 土日に授業ができる。
- 夏休みに授業ができる。
- デジタル、通信授業を可能にする。
- 教科を学ぶ時期を変えられる。
- 休校にする。
上記は、木曜日の夜の時点での発表で、今後、状況が変わっていけば、国中の学校を健康局の判断とともに閉鎖することもあるということでした。この記者会見を中継で見ていて、教育は地方自治の管轄なので、スウェーデンらしい判断と思ったのですが、こんな判断を290もの地方公共団体の教育関係者と私立の学校の校長がするのかと思うと、重い責任を負わせるなあと思いました。そう思ったのは私だけではなかったようで、教員組合がすぐに声を上げ、翌日には、学校閉鎖は感染症専門医とともにされた判断でと付け足されました。また、教員など職員が感染し、働く人がいないという状況になれば、必然的に学校は閉鎖される可能性はあるということで、隣同士の学校でもやっている学校とやっていない学校が出てくる状況が出てくると思われます。いろんな疑問が多く出ており、就学前学校や学童はどうするのかとか、60歳以上の職員は高リスクにはあたらないのかとか、閉鎖されたら職員はどうなるのかなど。。。
この判断が正しいのか、正しくないのか。。なぜ、お隣の国デンマークやノルウェーと同じ判断をしないのか、などなど、人々の思うところはとどまりません。2つの教員組合がフェイスブックで行った簡単なアンケートによれば、今回の政府の学校を閉鎖しないという決定が正しいと思う人は1076人、思わない人は362人と(14日21時現在)正しい判断であるとする人が多く、政府や政府機関に対する信頼の高さも感じられます。しかしながら、感染の不安などで、学校に登校しない子ども、させない親も増えてきており、来週もどうなることかと思っております。
気になるのが、国の健康局の専門家が、リモートワークが増えていることに関する意見を求められ、「平等ではない」と発言したこと。彼は、今回のコロナウィルスの対策本部のトップともいえる人で、その人が、「国民すべての人が自宅から勤務できるわけではない」という意味での「平等」を一つの理由としてあげたことに、私は驚き、スウェーデンの平等意識の難しさを感じ、これが学校閉鎖の考え方や感染症の対策の考え方に大きく関わっていると思うと、様々なスウェーデンの難しさの一面を見た気がしました。
また、状況を報告できればと思います。みなさん、引き続き、よい休日を!
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