本題に入る前に簡単にスウェーデンとフィンランドの成績の違いをもう一度。フィンランドでは、小学校に入学した1年生から成績が普通に出ます。最初の3年もしくは4年は、記述のみの成績評価で、その後、数字による段階のある評価が出ます。これに対して、スウェーデンでは、6年生から成績がでます。また、今回試験的に最高100校までで、成績が4年生からでます。これについては、こちらの記事を。
- 成績が議論に上がり続ける国スウェーデン:スウェーデンでは、秋頃なんか、ものすごく成績が議論されてきました。これに対して、フィンランドでは、成績は当たり前で、しばらく議論になっていないとあります。
- 教育が政治と深く結びついている国スウェーデン:必ず指摘されるのが、ここ。教育がとにかく政治と結びつき過ぎており、政党の政策に一喜一憂されすぎていることが上がっています。これに関しては、私も何回も取り上げてきました。政治家がその度その度教育をえさにしているというと聞こえは悪いですが、有権者の興味関心の高いところであり、うまく利用しているという感をたまに受けます。
- 学校が市場化している国スウェーデン:学校選択の自由化を導入し、学校が市場化したことにより、生徒と保護者がお客様になったスウェーデンでは、常に「お客様」に学校を選んでもらえるように動く傾向があり、成績も深く影響を受けています。良い成績をとる子どもが多くいれば、その学校に子供を通わせたいと思う親が増えます。そのため、成績が平等に正確につけられなくなっているという現状も。フィンランドでは、小学校のレベルではほとんど民営の学校はないそうで、スウェーデンのように、公立小学校でも市場化の影響を深く受けている国とはやはり大きく事情が異なります。学校選択の自由化は、子供にあった学校を選べるという利点もありますが、やはり弊害のないシステムはないのと同じで、問題も幾つか上がっています。
インタビューに答えていた子どもの返答が大変興味深いです。記者がスウェーデンで成績が出る学年を伝えると、
「それはちょっと遅いねえ、中学生になってから自分の状況知っても、改善するには遅いねえ。」
続けて、スウェーデンのシステムの方がいいかと聞くと、
「いいえ」
と、みんなが口を揃えて答えました。成績は、優劣をつけるものというよりは、その子それぞれの今の現状を伝えるものであってほしいと思っている私は、フィンランドの子供達の言い分よくわかります。評価の仕方も少しずつ研究がすすみ、有名な研究者も何人か出てきました。成績や評価をうまく利用していくことで、持っている力を最大限に伸ばせる教師、教育、学校であってほしいと思います。
記事の最後には、フィンランドもスウェーデンの学校に見習いたいところはあり、例えば、フィンランドは、教師が前に立って授業を行う形式がまだまだ多く、スウェーデンのように議論を増やすのはフィンランドの学校でも必要だとあります。スウェーデンの教育にもたくさんいいところがあり、この国らしい教育があるように思います。
それにしても、フィンランドの教育は興味深いですねえ。1冊読みたい本があり、置いてあるのですが、なかなか時間に余裕がでません。。。
読んだ新聞記事:Inga strider om betyg redan i ettan, DN, 20150228
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