2024年1月7日日曜日

4年生から成績がつけられるスウェーデン

 「スウェーデンの教育の特徴~不可がある教育」で、少し書いたのですが、スウェーデンでは、6年生から成績が付きますが、4年生からも成績をつけることができます。(特別学校は5年より)その法案が出たときのブログの投稿を振り返りながら、今日は4年生からつけられる成績について書きます。旧ブログの日付は2014年、今から10年前です。光陰矢の如しとはよく言ったものです。

1.8年生から6年生に

 スウェーデンでは、2012年の秋学期に6年生から成績が付くようになりました。2010年の学校改革の中の一つだったもので、それ以前は、8年生からだったので、日本の中学2年生になるまで、評価は出ても成績は尽きませんでした。2012年のものが現在も使われていますので、評価は、5段階、ABCDEの5段階にFという不可があります。ちなみにFX とかもありますし、成績を出すことができない場合には、「ー」というのもあります。

 当時のブログには、今振り返っても思うのですが、PISAの結果のショックからか、次々と出てくる教育関係の改革案に、「教員のお給料をバーンと上げるという案がでるといい」とか書いています(笑)。この2014年当時に案として出されたのが、4年生からの成績を希望する学校には許可するというものでした。法制度が実現したのは、2021年4月1日ですので、案が出てから、実現するまでに調査や議論が重ねられ、実験校で実施し、その結果をまとめ、実現の運びとなりました。これにより、2021年秋学期より、4年生より成績を出しいる学校があることになります。

2.どのくらいの学校で実施されているのか?

 4年生で成績を出すためには、各学校は毎年その申請を学校庁にする必要があります。春学期に毎年します。どの学校が、4年生から成績をだしているかは、学校庁のホームページから確認することができ、2023年度は53校です。うち6校が公立の学校ですので、ほとんどが民営、私立の学校です。リストには、未来の女王様であるエステル王女の通う学校も入っています。民営化の影響は、また別に書きたいと思いますが、やはり、成績を早くからつけてという学校は民営が多いですし、それを売りにする学校もあるように思います。逆に考えると、公立には、アンチ派の声も聞こえますし、これまでの議論もどちらかというと批判できな声が多く、初年度に実施したのは、20校ちょっとで、ほとんどが民営の学校だったと記憶しています。あれから、倍以上になり約9割が民営ということになります。

3.なぜ、4年生からか?

 なぜ、4年生からで、1年生からではないかのかとか、いろいろ思われる方がいるかと思います。もともとは8年生からついていた成績が6年生に下がったのは、ピサの学習到達度調査がさがったPISAショックの影響が大きいのですが、これにも反対の声があったので、そうなると一気に1年生ということはあり得ないのです。これに加えて、スウェーデンのカリキュラムは、1年から3年、4年から6年、7年から9年せいというように、3年ごとに一区切りとして教える内容や到達目標を設定しているので、これらの区切りのいいところで、4年生というのが妥当な案であると思います。

4. 試験校の結果は?

 法案が出されたのが、2014年。その後、法律化されたのは2021年で、その間に、試験的に導入して行った学校の調査結果がまとめられており、読むことができます。行ったのは、2017年から、12の学校責任者の下で、15校で実施されました。結果を簡単に一言でいえば、授業の仕方に多少の変化はあったが、大きな影響を与えるような変化などはなく、アンケート結果でも、良い影響とそうでない影響があったということでした。こう言った結果であったので、法制度化しても問題ないとなったのです。

 旧ブログの投稿では、どうなるだろうかと私も書いていますが、ふたを開ければ、大きな影響は日常に受けることはないということになります。しかしながら、導入している学校の多くが民営の学校で、民営の学校と公立学校の間にある大きな溝というか、違いは、スウェーデンの学校教育が抱える大きな問題であり、こうした影響は、おそらく何十年もたった後とか、、大学教育とか、大きなところを見ないと影響はわからないとも思います。

5.研究者たちの意見は?

 スウェーデンの大学で成績などの研究をしている有名な教授たちが意見を出しましたが、反対意見が多かったように思います。理由としては、一校長にその判断をゆだねるという法制度。これは私も大きな疑問を持っています。スウェーデンの学校の校長は突然変わることもあるし、一校長が判断して毎年申請して行うという制度は、現場の教員を混乱させる可能性が高いように思います。また、成績を早期につけることが、学力向上につながるという研究結果がないというのも大きな理由です。そういった研究が簡単にできるものではないのですが、研究結果がないのに、見切り発車のような感じで、法律を変えたことに対する反対の声は多かったです。こうしたことから、公立学校の導入は極めて少なく、民営の学校がある一定の傾向を持った子どもを集めることに利用できるという形になっているようにも思います。

6.基礎特別支援学校では?

 基礎特別支援学校でも成績は同様に6年生から出ます。出るのは、教科学習コースのカリキュラムで勉強していて、保護者が成績を出してほしいという申請をした子どものみです。私もクラスに数名いるので、成績を付けます。成績付けのながらもいつか別の投稿でまとめたいと思います。


明日から仕事です。明日は生徒はお休みで、会議や研修を行う日になっており、私も1時間半ほど研修と会議を受け持つので、その準備をしたいと思います。

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