2024年1月5日金曜日

過去記事から見るスウェーデンの教育費の削減

 スウェーデンは教育費を含む子どもにかける国家予算の多い国として有名です。その国で教員をして、もうすぐ20年になろうとしています。年末の投稿では2回にわたり、「ストックホルム市の教育予算削減その1」と「ストックホルム市の教育予算削減その2」を書きましたが、旧ブログを振り返ると、予算削減を愚痴っている内容は多いことがわかります。2009年の投稿をリライトしながら、今一度予算削減の影響を考えます。


1.人件費が大きいのは変わらない

 2009年の投稿を読んでも、人件費の削減が最も大きく、1500人もの先生が解雇されるという情報を書いています。3市に2市は、削減するともあります。やり方もあまり差がなく、正規雇用ではない短期や代替教員の継続雇用をしない、定年の教員の補充をしないなどが上がっていました。こうした人員削減は一般的なもので、予算削減に関わらず、生徒数の動向に沿ってもよく行われていると思います。

2.大きな違いは?

 では、今までの予算削減と大きく違うのはどんな点かというと、スウェーデンでは風邪などの病気の場合は医師の診断書なしで休める病気休暇が1週間あるのですが、そういった病気休暇や子どもの病気看護休暇で休む職員が出た場合に、補充が入らない。ということはどういうことかというと、いつもと同じ仕事を少ない人数でこなすことになります。そして、1クラス当たりの人数を増やす。これも就学前学校から基礎学校まで、本当に増えたと思います。

3.政治直結型教育

 スウェーデンの学校教育に関わっていて思うのが、地方政治から国政まで、とにかく政治と直結していると感じることが多いことです。今回の教育予算削減も、他国に比べれば、穏やかなデモが行われたことにより、ストックホルム市は予算の見直しをおこない、学校予算は少し回復しました。その影響はあまり大きくは出ないにしても、透明感が命のスウェーデンの学校教育では、ここにお金が使われたといったような報告が入りました。また、組合との交渉で、健康促進のための補助金が削減されるなど、多方面で互いに協力し合って何とか乗り切ろうとしていることがわかります。

4.教員免許保有者の行く末

 教員が足りないのはスウェーデンも日本と同じなのですが、教員免許を取得しても仕事がないという人もいます。これには様々な要因がありますが、要因免許有資格者はお給料が高いので、わざわざ雇わないというところも。学校形態によって傾向は様々で就学前学校などでは、幼稚園教諭の資格を持った人が少なく、これには、資格保有者の数ではなく、労働環境が劣悪で働きたい資格保有者が減っているともいわれています。これに対して年齢が上がっていくと、資格があっても仕事がないというところも増えていきます。支援学校は、資格者も少なく、なりても少ないです。。。

5.学校の巨大化

 もう何年にもわたって教育予算が削減傾向にあるスウェーデンでいわれているのが、学校の巨大化です。スウェーデンは、その昔、「村の学校」と呼ばれるような小さめな学校が主流で、そういった学校では、複式学級が一般的で、学校中のみんなが互いを知っているような家庭的な学校が多く存在しました。しかし、学校の民営化が進み、学校に関わる法律が変わり、学校を維持していくには、それなりの大きさが必要になってきたことにより、学校の巨大化が進みました。この学校の巨大化による教育費の関係も気になるところです。


 あげだしたらきりがないと思いながら書いています。こうした問題を少しずつブログで書きながら、深堀していけたらいいなあと思う2024年です。教育予算の削減は大きな話題になりますが、増減も話題になるのがスウェーデン。増えたお金はここに使ったと明確にすることで、削減の時にはそこが一番に削減されることが多いです。また、教育予算と現場に与える影響などを書きたいと思います。

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