2017年4月23日日曜日

夏の計画

 日本週間が終わり、イースター休暇も終わるという頃になって慌てたのが、日本行きをどうするかでした。本当は、主人と主人の親友を一緒に日本に行くことになっていたのですが、人生いろいろあるのが常なので、結局、予定は変更され、なんと私だけ、1ヶ月も日本に帰ることになりました。1ヶ月も日本に帰るのは、ものすごく久しぶりです。結婚してからは最長3週間だったので、しかも、1回3週間帰ったら、主人がこれからは2週間でいいと言ったので、その後は常に2週間。一人で1ヶ月って、何すればいいんだろうかと思ったくらいです。

 とりあえず、バタバタしながらも飛行機のチケットを買いました。そこで、まず、大満足。これで終わってはいけないと、思いついた人々に帰国しますよメールを送りつけ、なんと、嬉しいことにみなさん返事をくださる。。。ありがとうございます。せっかく1ヶ月も帰るので、日本を離れて長く、もう現状がわからない日本の特別支援教育の勉強ができないものかと考え、ツイッターやフェイスブックで情報収集、恩師や、同級生にもメールでアドバイスをお願いし、現在計画を立て中です。

 
 私はどちらかというと日本の夏よりもスウェーデンの夏が好きで、家でダラダラ過ごすのが一番と思っているのですが、今年は日本にそろそろ帰らないとと思っていました。理由は、自分の日本人としてのアイデンティティの確認が必要かと思ったから。スウェーデンで長く暮らし、職場がスウェーデン人だらけで、その社会に染まっていると、大抵のことはうまく流れるし、いいのだけど、今年はいろいろあって、自分が周りのスウェーデン人とはちょっと違うとかなり自覚し、(当然なのだけど、でも日々忙しいと気がつかない。)自分のルーツに帰りたいと思った次第です。特別支援教育に関しても、日本人といえば、日本のことを聞かれるし、比較してとか質問されますが、日本を離れて15年も経つと浦島太郎で全くわからない。。。


 例えばだけど、未だに慣れないスウェーデン文化が、あのイースターとかちょっと長い休み明けに繰り返される「挨拶のセレモニー」。

休み明け、同僚たちと、ハグをし、
「休みどうだった?」
「楽しかった」
「元気?」
「元気よ」

この一連のセレモニーを何人とも繰り返します。疲れる。。。私はこの人という人ならいいけど、同僚たちと挨拶が延々と繰り返されるのは苦痛。

 挨拶といえば、「元気か、体調どう」という、英語の「How are you?」と同様の表現がありますが、これも正直に答えてはいけない。知らなかった頃は、疲れていれば、疲れているとか答えていたのだけど、返される反応がイマイチなことがあり、主人に話すと、それは挨拶だから、全て「元気よ」で返すのだと教えられ、疲れているとか答えたら、自分は相手よりも大変な仕事をしており、重要な人物だという印象を与えるとかでよくないと。それからは、こんな挨拶どうでもよくなり、おきまりの文句を答え、天気と犬の話をしたらおしまいに。でも、なんか薄っぺらいよねー。と自分で思ってみたり。

 と、だいぶ減ってはいますが、常に文化の違いを感じて暮らしているので、久しぶりに日本に帰るのは楽しみです。家族や友人に会うのもすごく楽しみです。そして、私は日本でも逆カルチャーショックを受けてくるんだろうと思うのです。

2017年4月10日月曜日

スウェーデンの学校教育の歴史に触れる展示

 スウェーデンの学校教育に興味がある方にオススメの展示が、ストックホルムのミュージアム島、ユールゴーデンにある、Prins Eugens Waldemarsudde museumで行われています。先日、日本週間に参加してくださった方と一緒に見に行くことができました。思っていた以上に見応えのある展示で、とても楽しかったのです。残念ながら、展示は、ほぼスウェーデン語でしたので、多少なりともスウェーデン語がわかった方が、楽しいかなと思います。
 「En sagolik skola - Folkskolan 175 år (素晴らしい学校ー国民学校175年」と名付けられた展示は、今年、スウェーデンのすべての子どもが無料で学校に通うことが決まり、国民学校が創設されてから175年たったことを記念して、教員組合(Lärarförbundetの方)と先生の財団が協力して開催しているものです。ストックホルムを皮切りにスウェーデン全土で今後、順番に展示が巡回して行くことになっています。ストックホルムは、5月21日までの開催で、その後、カルマル、クリスティアンスタード、マルメ、ウーメオー、ファールン、カールスタッド、エステルスンドと2019年8月まで開催されます。
 Prins Eugens Waldemarsudde美術館は、ストックホルムにある美術館の中でも、最も美しい美術館のうちの一つに挙げられる美術館で建物を見るだけでも楽しいです。今回もテーマ展示が複数行われおり、学校教育の展示は、本館の2階にありました。映像でスウェーデンの教育の歴史を振り返った後に展示を見て行きました。展示会場は、たいへん多くの人々で賑わっており、おそらく先生をしているか、学校教育に関わっている人、関わって来た人が多いなという印象を受けました。

175年前に国民学校が始まった頃の様子がまとめられていました。当時は教会と深く結びつきがあり、教科書には聖書も使われていたとあります。体罰が行われていたことを示す展示もありました。教師の数が足らず、午前と午後に分かれていたり、上級生が下級生の面倒を見るグループなどがあった時代もあったとありました。

砂のノート。砂に字を書いて練習し、消しては使いました。順番に、スウェーデンの学校教育がどのように民主主義の道を辿って来たか、学校教育の歴史、教師や子どもたちの当時の様子などが展示されていました。
 

重要な教育者として、もちろん、エレン・ケイについてもありました。教室の中の様子も再現してありました。今回の展示のユニークなところは、本、物語がその中心となっているところです。スウェーデンの有名な画家や作家が学校教育にいかに関わって来たかが展示してあります。今のようにインターネットで映像や写真を簡単に見せることができなかった時代には、挿絵や展示用の絵は、子供たちの興味を誘い、理解を深める上で重要な役割をしていました。スウェーデンの有名な画家、カール・ラーションやエリザ・ベスコフも教科書の挿絵を描いた画家の一人です。

「ニルスの不思議な旅」を書いて、ノーベル文学賞を受賞した、セルマ・ラーゲローブについてももちろんありました。彼女はもともと教師で、子供たちにスウェーデンの地理を興味深く学ばせる教材を作って欲しいという声に答えて、「ニルスの不思議な旅」を書きました。物語を書くのは大変だったようで、そのことも書かれていました。

歴代の教科書なども展示されています。

スウェーデンの教育に興味のある方や、カールラーションなどの絵画に興味のある方にオススメの展示です。お時間許せば、ぜひ、足を運んで見て下さい。

最後におまけで、一緒に行った方と笑った絵を。
「おっちょこちょいなりさちゃん」と「しっかり者のロッタちゃん」
笑えました。


Prins Eugens Waldemarsudde (プリンス エウフェーン ヴァルデマルスウッデ)美術館
住所:Prins Eugens väg 6, Djurgården, Stockholm
アクセス方法:トラム7番、Waldemarsudde駅下車、徒歩5分ほど
開館時間:火曜ー日曜 11時から17時、木曜日は20時まで、月曜閉館
イースターの間は時間が変則なのでホームページで確認を。


2017年4月9日日曜日

感慨深かった日本週間

 テロのショックが消えないストックホルムです。今日は、「愛のマニフェスト」の名前で追悼集会がセルゲル広場で行われました。昨日、今日とテレビではテロに関する番組が継続して放送されており、事の大きさを感じます。

 今日は、今回が最後のとなった日本週間について書こうと思います。今回も大勢の方がボランティアにも関わらず、参加してくださりました。日本から2名の方、フィンランドから1名、スウェーデン国内から4名の方が参加してくださいました。参加してくださったみなさん、本当にありがとうございました。また、参加を予定していたけれど、都合により参加されることがなかった方も、参加しようと連絡をくださり、ありがとうございました。お会いすることはできませんでしたが、その気持ちだけで、とても嬉しかったです。

 今回もなんだかんだと内容が増え、結局1週間行うことになりました。日本週間の幕開けは、日本太鼓の演奏会とワークショップでした。演奏者の方が、もう少し席を離した方がいいと言われた意味がよくわかった演奏会で、とても大きな太鼓の音の迫力に生徒も職員も魅了されました。ワークショップは、みんな楽しそうに太鼓を叩いていました。アフリカの太鼓と比べて、叩き方に多少問題があっても強い日本太鼓は、うちの生徒たちにはよかったようで、職員も安心して、生徒たちに試させることができました。こうした機会はなかなかないので、本当にみんな喜んでいました。

 いつもの人気コーナー、簡単な茶道とお菓子。このコーナーは、いつもみんな大好きです。何度食べても興味深い日本のお菓子にみんな大喜びでした。お抹茶と煎茶を飲み、お菓子を食べた後は、折り紙。最後に紙飛行機大会をするので、紙飛行機をまず作りました。その後、イースターをテーマに折り紙をおりました。


日本の姉妹校から送られてきた十二支の紙粘土の作品。これは面白いと、十二支の始まりの物語を映像化し、生徒たちにもわかりやすくしました。十二支のお話の映像を見た後は、早速、自分は何年かを調べました。「僕は辰年じゃないと嫌だ」という生徒もいたりして大笑い。十二支の特徴もまとめておいたので、職員も自分の干支を知って、興味津々でした。自分の干支を知ったら、それを額にする図工をしました。


習字のコーナーも十二支のテーマで行いました。自分の干支を習字で書きました。


日本の姉妹校から送られてきた紙相撲は、毎年恒例のコーナー。何度も行なっているので、みんなよくわかっていて、楽しめる遊びです。


今年は、2名の学生さんが日本の歌のコーナーを受け持ってくれ、姉妹校から送られてきた「鯉のぼり」と「どんぐりころころ」を含む、5曲を披露してくれました。前日の夜に即興で大正琴を練習してくれて、連弾で弾いてくれたのには驚きました。とても美しい歌声でした。


姉妹校から送られてきた節分の鬼のお面を紹介したいと思い、節分についての説明の映像を作りました。その映像を見て勉強した後は、でんでん太鼓を作りました。簡単に音が出て遊べるデンデン太鼓にみんな楽しそうでした。

日本の曲を聴いて、絵を描くコーナーも毎回行なっています。曲を聴きながら、色を選び、絵を描く活動は心を落ち着かせるのか、生徒たちも穏やかに行います。

昨年に引き続き、ヨーヨー釣りも行いました。日本から来た方が持って来てくださったのですが、釣るという遊びこごろも楽しいようで、みんな楽しそうにヨーヨーを釣っていました。

 最後は、紙飛行機大会。順番に紙飛行機を投げて、誰のどの飛行機が一番遠くまで飛ばせたか、一目でわかりやすく、うちの生徒も楽しめました。

こんな感じで終わった日本週間。毎日忙しかったですが、その割には穏やかに時間が流れたように思いました。7回行なった日本週間も最後となるとやはり感慨深いものです。姉妹校のプロジェクトを通して、本当にたくさんの経験をさせてもらい、多くの思い出ができました。参加してくださった多くの方、本当にありがとうございました。日本から荷物を送ってくださった方々、本当にありがとうございました。

2017年4月8日土曜日

ショックとともに始まったイースター休暇

 待ちに待ったイースター休暇が、大きな悲しみとショックとともに始まりました。昨日は、他の同僚よりも少し早く12時には仕事を終えて帰宅していたのですが、帰宅した後も保護者に送るメールの準備をしたりと細々と仕事をしておりました。そんな穏やかな午後を一転させたストックホルムのテロ事件。


 昨日午後14時53分に事件発生の通報があり、ストックホルム随一の歩行者天国、Drottningsgatan (女王様の通り)を奪い取られた一台のトラックが走り抜け、大手デパートÅhlens cityに突っ込み、停車したところで逃げ去りました。15時過ぎにはテレビでニュースで報道されてはじめ、それから、ずっと、このテロの報道がされています。現在のところ、4名の方がなくなり、15名の方が重軽傷を負いました。この歳になると、自分も家族や知り合いを何人か無くしており、その時の驚きと悲しみ、語れない感情を経験しております。そんな思いを抱えた人々が、今日このスウェーデン、ストックホルムに多く存在することに大変心が痛みます。こういった事件が起きたり、身近な人が亡くなったりすると思うのが、日常のありがたさです。普通に生活できることほどありがたいものはないのではないかと思います。

 スウェーデンには、スウェーデンを象徴する3つの言葉があります。
「Rättvisa(公正), Jämlikhet(平等), Solidaritet(連帯)」
これらの言葉は、スウェーデン社会民主労働党の社会福祉政策に関連して根付いたもので、実査に生活していると、スウェーデン人たちの考え方にいかに関係しているかを感じます。今回のテロに関しても、Solidaritet(連帯)という言葉をよく聞きますが、これは私が外国人だからでしょうか。オープンな社会であり続けることや連帯感など、スウェーデンの表向きの意見とも取れるところが強調されるのですが、このテロ事件が、今後の政治や近く選挙にいかなる影響を及ぼすのかが気になります。


 今回の警察や報道の対応は、素早く、とても素晴らしいものであったと報道されています。これが、今まで起きたヨーロッパでのテロ事件での経験を元にしたものであることは言うまでもなく、実際に起きたテロ事件に対して、警察、政府、病院など細部に渡って、冷静に対処できると言うのは、世界の情勢がより一層悪くなってきている証拠のように感じました。ストックホルムの多くの学校は、来週がイースター休暇で、みんな楽しみにして帰宅の途についた金曜日でした。そんな楽しみを一瞬にして消し去ったこのテロ事件、事件に巻き込まれた方のご冥福をお祈りするともに、心や体に傷を負った人々の1日も早い回復をお祈りします。


 最後に、日本週間に参加してくださった皆さん、本当にありがとうございました。今年も無事に終えることができ、これも参加してくださった皆さんのご協力があってのものであると思います。ありがとうございました。