2024年1月10日水曜日

スウェーデン、少人数クラスを望む声

旧ブログの投稿、2014年2月22日の投稿に、「少人数クラスを望む声」について書いたものがあり、リライトしています。多くの方がご想像のように、スウェーデンの学校は、日本の学校に比べると、一クラス当たりの生徒数は少ないです。学校、学年などによって差がありますが、1クラス30人を超える学校は珍しいく、多くても28人前後という感じです。そんなスウェーデンですが、2014年、9年ほど前に、少人数クラスを望むという声が上がっていたというもの。あれから、どうなったかというと、少人数どころか、スウェーデンの学校は大きめの学校が増え、1クラスの生徒数も増えている傾向にあります。ということで、現在も、少人数とは言わないければ、クラスの生徒数を減らしてほしいという声はよく聞きます。

1.2014年のアンケートの結果

 2014年は、スウェーデン、選挙の年でした。あの当時は、学校に関する議論が今以上に強かったように思います。その当時に組合が一般の人々にたいして行ったアンケートの結果がいかになります。アンケートは、1000人に行われ、スウェーデンの学校の状況を良い方に改善するための重要な項目を3つ選んでもらうというものでした。これは、教員組合がPISAの結果が芳しくなかったのをうけて、調査会社に依頼して行ったものでした。

  • 少人数グループ、学級                    46%
  • 教員の授業計画と準備の時間の増加              32% 
  • 特別支援教育専門教員の増加                 30%
  • 教員の給料を上げる                     28%
  • 学級の規律をただす (例:教員が教室に鍵をかけられるなど) 27%
  • 特別な支援を必要とする生徒全員に支援を行う         26%
  • 学校を国の管轄に戻す                    19%
  • 教員や援助を最も必要とする学校に優先して改革する      14%
  • 管理職が教育的な部分に介入する時間を増やす         14%
  • 授業時間を増やす                       8%
  • 成績を低学年から出す                     8%
  • 学校間の壁を取り払う                     8%
  • 学校の自由選択制を見直す                   6%
  • 試験を増やす                         4%
  • わからない                          4%
  • 学校検査を増やす                       2%
 

2.少人数クラスを望む声

 最も必要だと思われているのは、少人数のクラスでした。スウェーデンの学校教育の傾向であると、人数が増えるほど教育がしにくいというのは私でも思うところで、数年前のクラスの人数と比べてクラスの人数が増えていると感じる人々が多くいるのだろうと思います。これに対して、専門家たちの意見は、少人数のクラスにすることにあまり力を注がない方がいいと。この意見も9年後の今も同じ傾向を見受けます。これは、
  • PISAの結果がよい国の学校が一概にして少人数のクラスではないこと
  • 国際的に比較して、スウェーデンの学校の1クラスの人数は、既に少ないとレベルにあること
が上げられます。さらに、組合が指摘していますが、ここ数年で定年を迎える教員の数に対して、新規の教員が養成されておらず、教員不足が既に予測されているスウェーデンでは、少人数にしても、その数分の教員を用意できない可能性があります。(2014年当時)この教員不足は変わっていませんが、2014年に予想されていたよりは、状況が緩和されました。こういったことから、少人数のクラスにすることにお金を使ってしまえば、予算がなくなり、他のところに手が回らなくなるだろうとも。

 3.教員が教員の仕事する
 2番目は、教員が授業を計画して準備する時間を増加するというものです。こちらの文科省にあたるSkolverketによれば、現在の教員の労働時間の3分の1の時間は授業に当てられており、12%が授業計画時間になっているそうです(2014年)。これに関して、現在も国の調査が行われており、教員が教員本来の仕事である「授業」に関することに労働時間を仕えているかどうかの調査結果が数年中に出るはずです。2014年当時から比べると、例えば、到達目標に達しない可能性のある子どもにたいして行われる改善案の提出が緩やかになるなどの変化はありました。あの当時よりもよく聞かれるようになったのが、テストや成績に関しての仕事量の増加です。このあたりも現在手が入っており、ナショナルテストなどを電子化するなどの方向に動いていますので、今後さらに変わっていくと予想されます。

4.教員配置の工夫

 90年代の学校選択自由制度の影響が、色濃く見えたこの10年。スウェーデンの学校は、その学校の生徒の傾向に合わせて、様々な工夫をしてきました。その中で、効果があり、人気があるのが、1クラスの先生が2名のパターン。1クラスに先生が二人いるので、教える内容によって、グループ分けもできますし、片方の教員が不在でも授業を行うことができますし、利点が多いと見聞きしています。が、お金がかかりますので、現在の財政削減の波で、減ってきているとも聞きます。1クラスに教員が2名いる場合の利点としては以下のようなものがあります。

  • 生徒は必要な援助、支援をすぐにうけられる。
  • 授業の内容に関して個別に説明が必要な生徒は、他の生徒に影響を与えることなくうけることができる。
  • 教員は、クラスの規律をただすことや授業の振り返りの時間を減らし、授業に時間が使える。
  • 代理の教員が入れ替わり立ち代わり入る必要がない。
 最後のが興味深い。スウェーデンは、日本よりも病気休暇に子どもの介護休暇と、教員がちょくちょく休むことが多いように感じています。こういったお休みに変わりの先生が常に入ると、授業やクラスの雰囲気に影響を与えます。そういった代理の先生による無駄な部分をなくし、子どものことを知っている教員が常に授業を行えるというのはメリットでしょう。


 2014年のものと現在の傾向をまとめると、あの当時に聞かれた、クラスの人数を減らすよりも、教員のリーダーシップ制をあげ、授業の質を上げる方が効果的というのが優先されてきたと感じます。教員の能力、教える能力が重要であることは間違いないので、そこにお金と力と時間を注ぐことは重要です。スウェーデンの学校の1クラスの人数は、国際的に見れば既にかなり少ない域に入っていますので、国際的な研究結果によれば、学級の大きさと学習到達の結果の関係はあまり強くなく、研究重視の傾向もあるスウェーデンでは、当然かとも思います。例外は低学年で、子どもが小さいうちは少人数であると効果がるともありました。

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