2015年7月28日火曜日

育児休暇中の兄妹の保育園通園時間

 日本滞在中に気になったニュースに「埼玉県所沢市の育児休暇取得により、0から2歳児は保育園退園」というものがあります。そんなに詳しく読んだわけではないのですが、スウェーデンにも似たようなきまりがあるコミューンが多くあるなあと、興味深くニュースを読みました。確かこの問題では、裁判も起こされたように記憶しています。
 
 コミューンによって多少違いがありますが、保護者が育児休暇を取得すると、幼稚園(保育園)に通っている兄妹姉妹は、無料で通える時間数が制限されます。大体の場合、週15時間となっており、 毎日3時間もしくは、週3日間で1日5時間というパターンが多いです。

 スウェーデンでは、3歳から5歳までの子どもは、無料で年間525時間までと幼稚園に通うことができます。どこででも525時間とあるから、多分政府の法律で決まっていると思うのですが、原文を読んで確認してはいません。これが、日数換算とかすると、1日、1日3時間となるらしい。私の住んでいるコミューンは、多分めずらしいほうで、この15時間が30時間となっています。

 この決まり、私が幼稚園で働いていたころは批判多かったです。今はどうなんだろうか。働いている側の批判としては、この週15時間しかこない子どもは、通園時間が短い関係で予算が少ないので「子ども半分」と計算され、職員3人で標準24人の子どもを担当するとなると、この15時間通園の子どもがいると、ほとんど行う事務仕事や教育的仕事は一緒なのに、担当する子どもの数が増えていったのです。しかも通園してくる時間は一緒なので、結局職員3人で例えば28人とか見なくてはいけなかったり。

 親側からの批判は、やはり、兄弟姉妹が生まれて大変、子どもは幼稚園に慣れていて通いたがっているのに、下の子が生まれた途端に1日3時間もしくは週3日間しか通えなくなるのはどうだというものでした。ただ、スウェーデンでは、子どもが1歳半くらいまで育児休暇をとるのが一般的で、3歳から5歳は最低限度の通園が保証されているため、退園するという話はあまり聞いたことがないです。


 無料の時間が決まっているのだからお金を払えば、それ以上通えるかというとそうでもないようで、育児休暇手当をもらっていると、ダメだという話でした。おそらくたくさん例外はあると思うし、ケースバイケースだとも思います。あと、この15時間保育は、親が家にいる場合、例えば失業中などでも適応されるはずです。これもまた、福祉のお金を二重で出さないためです。


 スウェーデンがこのような時間を保証しているのは、日本でいう幼稚園の概念と保育園が混じっているからかと思います。保育園の場合は、働く人のためという考えに重きがおかれますが、幼稚園は幼児教育に重きが置かれます。そうすると、親が家にいるということで子どもの教育がなくなるのはおかしいとなります。

 日本も共働きが増え、待機児童が増加している現状を考えると、なんらかの対策が必要なのでしょうね。難しい問題だと思いました。



2015年7月20日月曜日

適切な教育を受けていない職員が多いスウェーデンの幼稚園

 久しぶりにスウェーデンの幼稚園について。スウェーデンで幼稚園に当たるのは、「Förskolan(フォースクーラン)」と呼ばれ、学校の前にいくところになるので、日本では「就学前学校」と書かれることが多いようですが、私は幼稚園としてきました。行っている内容からすると、保育園って感じなのですが、管轄が教育関係であり、教育要領にあたる文書もあるので、幼稚園ということで。

 前置きが長くなりましたが、そんなスウェーデンの幼稚園で働く職員のうち、実に4人に1人(21%)が、幼稚園教諭の免許/資格を有しない、高校で子どもに関する勉強をしてきていないということが、学校局の調査で分かりました。これが民営の幼稚園に限るとなんと37%。子どもについて関心のある人が働いていると思うのですが、教育を受けていないということは、幼児教育に対する敬意と理解が欠如しているように思います。

 スウェーデンの幼稚園で働いていて、日本とは異なった保育と幼児教育のあり方に、同僚の中でもきちんと教育を受けてきたかに差があったことを思い出します。また、それによってやる気に大きな差があったのも事実です。やる気のある先生は、あんまり園の状況がひどくなると、大学に勉強しに行ったり、新しい仕事を探してかわっていってしまうので、ひどい園は本当にひどいのだろうとも。


 最近は、幼稚園教諭養成コースは人気を回復していると聞いていて、先生とともに幼稚園教諭も不足している職業なので、有資格者が増えると良いと思います。スウェーデンの幼稚園教諭コースは、小学校の低学年を教えることができる資格を兼ねているものもあり、また、小学校に就学前クラスという6歳児のクラスがあり、そこも幼稚園教諭が教えるので、お給料が多少良くなり、勤務体制にも差がある小学校での勤務を希望する人も多くいます。そうなると本来の幼稚園に有資格者が減ってしまいます。規定で幼稚園教諭の資格を持った職員の配置が決まっており、大抵の場合は、3人職員がいるとしたら2名は幼稚園教諭、1名を保育士さんという形です。(コミューンの方針に違いがあります。)


 子供達がよい幼児教育をうけることができ、資格のある人がそれに見合ったお給料をもらってよい環境で働くためにも、こういった現状を考えていくことは重要であると思います。


読んだ新聞記事:Förskolepersonal saknar utbildning, Dagens samhälle 2015



 

2015年7月19日日曜日

教員志望者が増加傾向に!

 ヨーロッパを旅行して帰ってきたのですが、ある諸事情により現在もホテル住まいです。6月中旬に日本へ出発してから現在まで自宅で暮らしたのは7日のみで、さすがに家が恋しいです。

 春頃からものすごく仕事が忙しく、あまりブログに本来の目的であった新聞記事ネタを書くことができなかったので、これから増やしていけたらと思っています。今日は、ちょくちょく話題になっているスウェーデンの教員採用事情について。

 スウェーデンに教員免許制度が導入されて、2015年6月30日までは移行期間とされていましたが、(特別支援学校は2018年まで)この秋学期からは、免許を有しない先生が成績を独自につけることができなくなります。これについては、また改めて書こうと思います。そんな諸事情もあり、教員免許を有した先生の争奪争いが。。。

 5月の終わりの新聞には、教員免許を持った先生は、すごく有利に職場を変えることができると。小学校の先生で引っ越すので仕事を探していた先生は、簡単に仕事が見つかっていました。この間読んだ新聞では、お給料を数年でかなりあげた先生がいて、その方法は学校を変わったためというもの。手っ取り早くお給料を上げるには、学校/職場を変わることなので、私も時々考えてしまいます。

 もちろん、これらの新聞記事とともに教員不足を心配する記事が多く見られ、推定では、2022年には6万5千人もの教員が不足すると言われています。こんなスウェーデンの教育界に朗報があるとすれば、教員志望者が増加傾向にあるということ。なり手がいないことを心配し、報道が過熱したおかげもあり、教員を第一志望として志願した人が6%増えたそうです。今後、定年退職などにより不足する教員の数を見込み、職にこまらないというのも魅力なのでしょう。

 加えて、教えられる教科を増やすためや、教員免許を持たないけれど大学を卒業している人が教員資格を取りたいといった人を対象にした、大学のコースが少しずつ整備され、それらを希望する人も増えているそうです。


 こうして教員志望者が増えていくことは、現場のものとしても嬉しい限りです。やる気のある同僚が少ないと学校運営は難しいので。。。


 最後に、もしもコメントを下さった広島もみじさんが読んでくださっていたら。。。いただいたコメントを誤って消してしまいました。旅先から何度も返信を書いてみたりしていたのですが、ごめんなさい。声をかけていただき、うれしかったです。また、いつかお会いできるのを楽しみにしております。


読んだ新聞記事: Lärarutbildningar drar fler studenter, Dagens samhälle nr 19, 2015, Behöriga lärare hett byte för skolor, DN 20150530 など

2015年7月6日月曜日

姉妹校訪問を終えて

 終業式が終わり、年度末の仕事も残る中、日本の広島県にある姉妹校を同僚10名とともに訪問しました。訪問は、大変素晴らしいもにとなり、一緒に行った同僚みんなとても勉強になり、楽しかったようです。

 国は違っても、同じ職業、特別支援教育に関わるものとして、学ぶところがたくさんあったようです。百聞は一見に如かずといいますが、今まで送ってもらう映像や写真で見ていたものをその場で観れるというのは本当に大きなことであると思いました。また、互いの現場を見ることで自校のよいところを見直す機会にも恵まれ、様々な角度で物事を見て、今後のアイデアがたくさん生まれたようです。来年度が楽しみです。


日本最終日は、京都での観光でした。金閣寺、清水寺、高台寺を見学し、祇園を抜けてスウェーデン人同僚たちの目に留まったのが、ビアホール🍻!京都の夜、日本の夜の締めくくりは、ビール飲み放題!その後は、カラオケボックスでアバ熱唱‼️ホテルでの睡眠はおそらく4、5時間で空の人となったのでした。本当に楽しかった姉妹校訪問でした。

 一期一会という言葉を姉妹校の校長先生が話してくださいました。本当にその通りで出会いの大切さを実感しました。日本でお世話になった皆さん、本当にありがとうございました。