2018年12月29日土曜日

スウェーデンの学童保育の現状

  日本でも学童保育が一般的になってきました。社会の変化に合わせてシステムが変わっていく、作られていくことは重要であるので、日本の学童保育の今後が気になります。スウェーデンの学童保育も、時代とともに変化をしています。


 そんな学童保育について学校局が行ったアンケートをまとめたレポートが発表されたので、それについて少し書こうと思います。学童保育に関しては、2年ほど前に新しいカリキュラムが導入されましたので、現状はどうなっているのか気になります。来年からは、学童保育の職員にも免許制が導入されますし、スウェーデンの学童は職員の専門性を促進し、より学びを中心としたものに変わっていくことになります。

 レポートによれば、予想はついていましたが、現状は新カリキュラムを実行できるような状態ではないということで、特に自然科学系、デジタル化に関しては、それに対応できるだけの状況にはなっていないところが多いようです。ここ数年学童保育の状況は、あまりいい声が聞こえてこず、どこもかなりの人数の子どもを少ない職員で見ていると聞いています。

 4人に3人は、準備時間が週に数時間と答えており、十分な準備をする時間がないことは、就学前学校同様に大きな問題のようです。こういった問題はすぐには解決しないので、こうしたレポートや研究、地道な校長との話し合いなどをつんでいくことにより少しずつ改善されていくものであると思います。


 学童保育も私にとって大変興味のある分野の一つで、調べてみると、大変興味深いと思っています。特に特別な支援を必要とする子どもの状況や、うちのような学校の学童などもどういう状況なのか気になるところはたくさんあるので、いつかやってみようと思う今日この頃です。

2018年12月28日金曜日

スウェーデンでも多い孤独死

 スウェーデンのクリスマスは、日本のお正月に似ていて、家族でお祝いする人が多いです。そのためか、クリスマスを一人で過ごすこと、一緒に過ごす人がいない人は、かわいそうな人というイメージがあります。私の周りも、一人になりそうな人には、お互いに確認しあうような雰囲気があります。こんな時期だからか、新聞で孤独死の特集がありました。知り合いに孤独死で親類をなくしたという方もいます。私は子どもがいないので、いつか孤独死をするかもしれないと旦那に話すと、笑われましたが、他人ごとではないと感じます。


 スウェーデンは、個人主義の国といわれますし、家族はいわゆる核家族が基本で、親や兄弟とあまり連絡を取らないという話も聞きます。もちろん、多くの人は家族親類と適度な距離をとって関係を気づいていますが、どの家庭にもそれなりに問題があるというは、否めません。新聞によれば、二日に1人くらいの割合で孤独死が見つかるということで、思った以上に多い印象を受けます。多いのは、女性よりも男性で、40代から60代くらいの無職だったり、早期退職した人など、仕事に行かないために、出勤してこないから発見というようなこともないような方たちが多いようです。郵便受けがあって、手紙があふれるとかあれば、発見も早いのでしょうが、玄関に直接ポストがあり、投入される形だと郵便ポストがあふれることもなく、発見が1年半も遅れたケースも。匂いが問題になってもよさそうなのですが、場合によってはそれも問題にならないことが。

 孤独死の辛いところは、そんなに長い間誰からも必要とされなかったという現実であると思います。家族や友人以外にも、医療機関や税務局などが連絡をとっているが、死亡の発見がされないという社会システムにも問題があるとも。日本よりも社会システムがすっきりしており、隣近所との付き合いも少ない場合が多いので、システム的に見直す必要もあるかと思います。付き合いが少ない人の多くは、一緒に住んでいた人を亡くした悲しみから社会との交流がなくなったり、何かしら精神的な病気を抱えていたりする場合も多くあり、そういう人々を支える交流があれば、半年も発見されないという状況は改善されるのではないかと思います。ただ、孤独死というのは、定義の問題もあるとおもうのですが、誰もが誰かに最後を看取ってもらえるものではなく、前に老人ホームでの一人での死も問題となっていて、人間は、一人で生まれて一人で亡くなるものであるとも思ってみたりします。この年になると、人の死を身近に感じ、生に感謝をする年末です。

2018年12月26日水曜日

ヘルパーさんとアシスタントの質

 休暇はいいなあと、毎日ダラダラして、好きな本や記事を読みながら暮らしています。だいぶ体も疲れが取れたような取れていないような。。。数か月前に生徒のトイレ介助中に腰か背中をやられ、理学療法士のところに通っていました。おそらく椎間板ヘルニアだろうといわれ、トレーニングプログラムをさぼりながら、(かなりさぼりながら)やっています。愛犬も同じ病気なので、お互いにトレーニングです。よくなるというよりは、筋肉をつけるのが一番よいようです。というときに、職場のクリスマスプレゼントで、Anders Hansen氏の「Härnstark」をもらい、読んでいます。読めば読むほど、追い詰められていくような。。。日常的な運動がいかに脳に良い影響を与えるか。。。という、なんとも今のダラダラ生活には耳が痛いお言葉で。。。明日からジムが開くので行こうと思います。

 夜遅くから、藤田正裕さんの「99%ありがとう」を読み、人の運命とはと考えさせられ、泣けてきました。ALSやMSのような病気になると徐々にできていたことができなくなっていく悲しみは、想像を絶するものであると思いました。主人の親友に、徐々に視力を失うという難病に侵されている人がいて、彼や生徒のおかれている状況と類似点が多くあり、泣けて。。。

 本の中に、「ヘルパー」という題の内容がありました。一部を書きます。

ベットに座らせるのに「失礼します、失礼します」と
40回ぐらい言いながら結局できなかった人には、
さすがにその場で帰ってもらった。

できるヘルパーはほかの患者が離さない。
本当のヘルパーが足りない。
ヘルパーの重要性を理解して、
給料や資格の難易度を
高める必要がある。

神経質でせっかちな自分には、
今まで自分の手や足や声でできたことを、
すべての他人にやってもらうのに慣れるは、想像以上に大変なことだ。

きっと、一生慣れないまま終わると思う。
人間は、そうやって生きるようにできていないからね。
(藤田正裕さんの「99%ありがとう」140頁より)


同じような内容の話を数日前にしたことを思い出しました。生徒の親と個人懇談をし、泣きながら、いろいろあった今学期を振り返り、泣かれてしまうと、こちらもたまらず、泣けます。そのときに、個人アシスタントの質について話をしたのですが、このヘルパーさんの記述に似ている。個人アシスタントといういい制度があるのですが、資格もいらなければ、学歴もいらないこの仕事は低賃金で、生徒によっては成人になった時に、個人アシスタントがついたほうがいいと思われる生徒もいますが、どんな人がつくかわからない、つねにアシスタントを探し続けなければいけないなど、多くの問題があり、結局、選択肢にならない場合があります。生徒の場合は、やってきたことができなくなっているわけではなく、最初からできないことが多いので、藤田さんとは状況が違うのですが、できたことができなくなっていく悲しみは老人福祉の分野でも読みます。ヘルパーさんやアシスタントの質の向上、賃金の向上、労働待遇の改善などは、今後の大きな課題であると思います。




 

2018年12月23日日曜日

2学期制か3学期制か

 明日はクリスマスイブ、こちらスウェーデンは、全国でホワイトクリスマスになりそうで、クリスマス一色となっています。私は、金曜日のお昼に仕事納めをし、のんびりとした毎日です。2週間ちょっとの休みはのんびり、読みたい本をたくさん読んで過ごす予定です。

 さて、2学期制か3学期制か。。。日本の甥っ子姪っ子の通う学校は、岐阜の地方の小学校ですが、2学期制になったとかで、秋に1週間ほど、名前は忘れたのですが、休みがありました。長らく3学期制だった日本の義務教育も2学期制が増えているのでしょうか。アメリカ、日本、フランス、イギリスなどが3学期制の代表国ですが、スウェーデンは、2学期制を貫いてきました。そんなスウェーデンですが、ここ数年、3学期制にして、夏休みを短くしようという声があります。3か月弱に及ぶ夏休みを短くし、3学期制にして休みを分散することにより、学力を伸ばそうというものです。日本で2学期制となる声を聞きながら、こちらで3学期制の動きを聞くというのは、大変興味深いところです。

 そんなことを考えている冬休み、年末です。やってみる価値はあるだろうが、今後、これが先生の労働時間や環境、仕事量にどのように影響を与えるのか、学力向上にいかに有効なのかなど、かなり議論が必要でしょうね。私立の学校とかで導入されそうな感じはしますが。


 みなさんも、良いクリスマスを!

2018年12月17日月曜日

年末には寄付して音楽をリクエスト?!

 スウェーデンの年末年始に欠かせないのが、募金。年末年始に限らず、スウェーデンでは、年から年中募金しており、ちょっと前は、癌のだった気が。。。その中の一つに、先週の10日に始まり、昨日終わった、Musikhjälpen(音楽で支援)というのがあります。今年のテーマは「Alla har rätt att funka olika」で、意味を簡単に訳するならば、みんな違ってみんないいという感じで、「誰にでもその人なりに生きる権利がある。」と、貧しい国の障害者をテーマにしています。


 このMusikhjälpenは、2008年に始まったもので、毎年、クリスマス前に行われており、毎年テーマを設けて、プロジェクトのためのお金を集めるということを目的としています。もともとは、Serious Requestという番組だったようです。毎年場所が変わり、今年は、南の学生の町、ルンドでした。ルンドの大広場にガラスでできた建物が置かれ、その中に、番組の進行係が3名、24時間6日間ぶっ通しで、テレビとラジオ放送を続けるというもので、記憶が正しければ、絶食?して行うとかだったと思います。視聴者から寄付を募り、寄付して、そのお礼というわけではないけれど、好きな音楽をリクエストできるというもので、今年一番リクエストが多かったのは "Shallow" とありました。

 年によってテーマが異なるのですが、今年は、障がいがある人をテーマとしており、うちの学校でもクリスマスマーケットの収益の半分を寄付しました。金曜日に市にある銀行までいって、寄付をしてきました。1400krでした。また、就労型の施設が市内に3か所あるのですが、そこもかなりがんばって寄付を募り、集まった寄付金をルンドまで届けにいったそうです。日本の24時間テレビに近いイメージの番組です。サイトによれば、5055万204クローネ集まったとのことでした。サイトでは、いくら寄付すると何になるか知ることができて、例えば、うちの学校の1400クローネは、車いす1台分だそうです。いろんなプロジェクトで世界の多くの障がい者のために使われることを願います。



2018年12月16日日曜日

組織再編というスウェーデン文化

 あっという間に12月も半分過ぎ、今日は、第3アドベントです。スウェーデンのクリスマスについて、スウェーデン企業スカニアのサイトに書きましたので、興味のある方は、ぜひ、ご一読ください。今学期も残り4日間、今年は仕事は金曜日まであるので、1週間しっかり働いたら、冬休みです。

 組織が変わることは、スウェーデン文化といっても過言ではないかと思います。何年かに1回、何かしら組織が変わったり、名前を変えてみたり、ということをします。なので、「組織がかわったから」ということを理由にすれば、割と周囲の理解が得られるのです。そんなうちの学校も、またまた、組織が変わりました。😂😂😂


 2年ほど前に、小学校の低学年の学校と一緒になっていたのを、特別支援学校だけの組織にし、新しい校長が着任しました。しかしながら、特別支援学校の高等部、高校にあたるところは、コースや教科の経営が難しく、1年半たち、分離され、高校と統合されることに。おそらくこれはよいことだと思われますが、しかしながら、高等部でありながら、私の働いているところはそのまま残ることに。こういった再編に振り回されるのは、慣れっこになってきましたが、やっぱり、疲れます。。。一応、高等部の第一教諭というふうだったので、来学期からはどうなるのかわからないし。まあ、いいのだけど。慣れるようで慣れないスウェーデン文化ってところかなと思っています。

 あと1週間がんばろっと。。。

2018年11月10日土曜日

ラッテマッマ×就学前学校の時間=???

「ラッテマッマ」という言葉が、スウェーデンで聞かれるようになったのはだいぶ前ですが、私が聞くラッテマッマは、どちらかというと批判される場合が多いかなと思います。「ラッテマッマ」とは、主に育児休暇中の親が子どもをベビーカーに寝かしながら、カフェで、カフェラッテを飲みながら、お茶をするというもので、子どもの成長に遅れが出る可能性があるとかないとか。。。この言葉がはやったのはだいぶ前なのですが、なんで今頃こんな話をするかというと、

ストックホルムの就学前学校の育児休暇中の保育時間が40時間から30時間に戻される可能性が本格化した

というニュースを読んだためです。スウェーデンの就学前学校は、もともとが働く親のためのものですので幼児教育より保育が主できていて(だいぶ流れが変わってきていますが)、親が何らかの理由で家にいる場合は、基本的に子どもは就学前学校に来ることができません。例えば、兄弟が生まれ、親が育児休暇を取っている場合は、保育時間が短縮されます。4,5歳児は基礎学校入学に備え、保障された保育時間がありますし、多くの場合、15時間から30時間を保障しています。保護者が夜勤勤めだったり、学生、失業中だったりする場合も、保育時間が問題になる場合がありますが、詳しくはまた今度。

こういった親の状況にかかわらず、どの子にも40時間の就学前学校での保育時間を提供したストックホルムコミューン、親受けはよかったようですが、現場は大変だったようです。スウェーデンの就学前学校は朝6時半から18時までという場合が多く(この時間は必要に応じて短かったり長かったりします)たいていの子どもは、8時くらいから16時くらい、上記のような短縮保育の子どもは、9時から15時くらいの場合が多いので、それに合わせて職員の勤務時間も組まれています。子どもの保育時間を延ばせば、職員も必要になるのですが、どうも、そちらへの配慮はなかったようで、現場は大変だったようです。それに加えて、育児休暇の親がラッテマッマだったりして、優雅?な様子で子どもを17時とかに迎えにくると、さすがにイラっと来る方がいらしたようです。。。

そんな話を知人などから聞き、いつかかわるかなと思っていたのですが、これ、今回の選挙でも公約の中に入っていた党もあったようです。ストックホルムが行うことは、首都ということもあり、どうしても、ほかのコミューンへの影響が大きく出ます。各コミューンが自治を行っているといっても、やはり、規模が大きいストックホルムの影響力は大きく、フェイスブックのグループでも活発な討論が行われていました。気になるスウェーデンぽい意見が、育児休暇中の保護者の

「40時間預けることがで来ている親がいるのに、同じように預けられないのはおかしい、不平等だ」

という意見。ほかのコミューンは15時間のところもあるし、数年前は30時間だったんだし、その時その時で変わるのは普通だとおもってしまうのですが、平等じゃない、おかしいという意見があることは、スウェーデンらしいなあと思います。

子どものいない私からすれば、せっかく育児休暇で家にいるのだから、就学前学校に10時間余分にいるよりは、家で親と過ごせばいいのにとおもいますし、子どもが小さい時間は長くないのだしとか思います。多くの経費は税金なんだし、育児休暇も税金なんだし、湯水のようにあるわけではないので、有効に使うことは重要だと思うのですが、興味深い議論です。


2018年11月2日金曜日

2年で1800件ースウェーデンの障がい児者グループホーム

 2年で1800件、これを多いとみるか少ないとみるか。この数を聞いてピンとくる人はおそらくいないでしょうが、これ、ここ2年間で、スウェーデンのグループホームに関してIVO (Inspektionen för vård och omsorgの略で、誰でも、福祉医療機関の不正や管理不足などを訴えることができるスウェーデンの機関)という監査機関に届けられた件数です。このうち、

500件が深刻なもの
21件が死亡事故
30件が性的なもの

とあります。この件に関して、数日前に、スウェーデン国営放送がドキュメンタリー実録番組を流しました。スウェーデン語ですが、気になる方はここで見れます。この数は、監査局への連絡があった件数なので、実際に現場で起こっている数はこの倍はある気はします。これとは別にスウェーデンには、現場側が間違ったことを行った場合には、Lex Sarahというのがあり、そこに自己申請します。

 昨日、Noteにも書いたのですが、テレビの放送では、上記の3件から1例ずつ取り上げて放送されていました。レポーターの女性、問い詰め方がプロって感じで、インタビューされている責任者たち、辛そうでしたが、それ以上につらいのが、当事者とその家族です。いまだにあるんだという感じで聞いていたのが、死亡事故の件。コミューンの運営のショートスティの施設で、職員の中に働かない人がいて、事故がおきたとき、数上ではきちんと職員がいたのに、実際には働いていなかったため、子どもが入浴中におぼれて死亡するという事故。泣けます。ほんとに。こんなことでなくなっていい命ってあるのだろうかと。

 2年で1800件、1年で900件、1か月に75件、1日に約3件。多すぎます。完璧な人間はいないと思っている私ですが、間違いを起こしてしまうこともありますが、それでも、そんなに多くもないグループホームでこれだけの数ってと思ってしまいます。変わっていってほしいと心から思います。亡くなった尊い命を思いながら。

2018年10月15日月曜日

スウェーデンの特別支援学校の卒後

 秋晴れの美しい日が続いている、こちらスウェーデン。昨日は友人とキノコ狩りにでかけ、キノコはあんまり見つからなかったけど、美しい湖でお茶して話して、太陽の日に当たり、満喫です。

 今年は、受け持ちの生徒のうち3名が4年生。スウェーデンの特別支援学校の高等部は、4年制なのです。ということで、秋学期も中盤に入り、就労継続支援B型に当たる施設に連絡をとり、これから数週間、見学に行きます。先週も1件。今週も1件、来週は2件、秋休みをはさんで、もう1件すでに予約済み。今後、最低でも3件見に行く予定です。受け持ちの生徒は、4年間受け持ってきた生徒たちで、できる限り、よい形で見送ってあげたいと心から思っています。

 スウェーデンでも障がいがある生徒たちの就職は大変厳しく、年々、就労よりも、こういった就労継続支援B型施設への就職が増えています。できる限り、様々な支援を受けて、仕事をできる人は仕事をしたほうがいいのですが、簡単にはいかないのが現状です。


 話を戻して、見学予約の電話をすると、いろいろと生徒のことも聞かれますが、時期的に早いこともあり、

「長年受け持ってきた生徒でしょ。」

と言ってくれる方もいて、そうなんですと。秋学期に数件候補地をみてまわり、2か所くらいで、試しに1週間ほど通って、最終的に1か所に決めたいと思っていますと。こういった施設は、若い20歳くらいの人から70歳くらいまで通うし、施設によって方向性もあるし、建物の作りや立地など、様々なことを考慮して、生徒にとって最善の場所を選んでいきたいと思っています。といっても、ストックホルムくらい大きなコミューンでない限り、選択肢はそんなになくて、見に行く数もそうないのですが。

 こういった機会でもないと、なかなか見に行けないということもあり、見学自体は楽しみです。また、報告できればと思います。

2018年10月8日月曜日

シリア人の同僚

 今年度、うちの学校には、5人のシリア人の同僚がきました。多分、政府の政策で、(って、こうやって書くと結構わかっていないことに気づく。。。😅😅😅)職業訓練とSFIが半分半分になっているそうです。スウェーデンに来て数年の方が中心で、いろんな職場に派遣?されてるようです。私にも一人シリア人の同僚ができました。うれしいです。その方に今日質問をされました。

「何年くらいで、すらすらスウェーデン語書けるようになった?」

と。結構難しい質問です。はっきり覚えてないし。。。パソコンだといいのだけど、結構手書きもあって、そういう時は綴りとか、いまいちだったし、前置詞もいまいちだったし。そのたびに同僚に聞いては教えてもらい、前置詞なんかは、同僚たちが議論し始めてしまって、結局どっちでもいいのかとなったり。今では楽しい思い出です。

質問には、

「もう17年住んでいるから、8年目くらいからかな、楽になったの」

と答えました。この方も働きだした8月ごろは、スウェーデン語が分からなくて大変だったけど、今は、理解はよくできると話してくれました。少しずつでいいと思うと話しました。聞けるようになって、話せるようになって、読み書きが最後のような気がします。

私は、スウェーデン人がほとんどの職場で働き続けているので、いろいろと学ぶことがあって、興味深いです。スウェーデン語が分からなくても、本当によく頑張っていると思います。学校で働いて、そのあと、夕方から学校でスウェーデン語を学ぶそうで、ほとんどの方が家族がいるので、そういう中で、みんなよく頑張っていると思います。


2018年10月7日日曜日

ハビリテーリングの特別支援専門教員

 
 前回から間が空きましたが、ハビリテーリングの特別支援専門教員の話を少し。ハビリテーリングの仕事は、実は私もいつかついてみたいなあと思っている仕事の一つ。その昔は人気があって、なるのが難しい仕事でした。しかし、ここ数年、教員の給与があがり、同じ専門職でも、学校で働くか、ハビリテーリングで働くかでかなりの給与格差が出るようになり、最近はなり手が少ないという話。このことは、フェイスブックのグループでも話題になって、下手すると5000クローネから10000クローネくらい変わってくるので、そうなると、なかなかなる人がいないらしい。

 で、あるハビリテーリングでは、特別支援専門教員を配置無しことにしたとか。なんど、募集をかけても、応募はあっても、給与で折り合いがつかないので、ついに雇わないことにしたと。日本の都道府県区分にあたるラーンスティングはお給料が良くないことで、とにかく有名。ハビリテーリングもその管轄なので、今後も給与が上がる見込みは少ない。残念だなあ。

 これに輪をかけるような裏事情を教えてくれたのですが、給与が担当件数、訪問件数に比例するらしい。何件受け持って、何件訪問したか。でも、これって、不平等だと思う。うちのあたりを担当する場合、行きかえりに2時間かかってしまうために、1日に回れる件数に限りがあり、そういうことで給与が変わるって、どうなんだろうか。なんだか、彼らのおかれている状況の大変さをおもうと、同情してしまいました。それでも、心理学者にソーシャルワーカー、PT、OTなどが集まった専門集団で働くことは魅力的であると、働きたいというかたも大勢いると。こういう専門職は、うちの生徒たちにとって、とても重要なので、なんとかそれに見合う給与と労働環境をと願うばかりです。

2018年9月29日土曜日

コミュニケーション福祉センターでの会議

 先日、コミュニケーション福祉機器センターへ会議があって出かけました。受け持っている生徒にアイトラッキング(視覚を利用して、目でコンピューターを動かしたりして会話する)を利用している子がいて、そのパソコンを車いすに固定する器具を付けることになり、会議がありました。2週間前にも同様の内容で会議がありました。今回はその時に決まった車いす3台に固定器具を取り付けるということで、まずは、朝8時に学校で使っている車いすを届けました。8時少し前に着くと、対応してくれたのは、以前、子どもたちの施設で長をしていた女性ではありませんか!私はどこかで見たことがある人だなくらいに思ったのですが、彼女はすぐに私のことが分かったようで、懐かしく、いろいろと話をしました。今はこのセンターの長だそうです。

 一度学校に戻り、午後再度出かけました。2時間にわたる会議では、この器具が付いたことによる事故などの危険性に関する判定などが行われ、使い方の説明や設定などをしました。生徒と保護者、施設の職員にハビリテーリングの作業療法士もきて、みんなでわいわい。何度か会っているので、話もしやすいです。生徒にかかわる人々が集まって、いろいろと話ができる時間は大変貴重です。

 2時間にわたる話し合いが終わり、生徒は施設の職員と共に福祉タクシーで帰宅し、私は、たまたま方向が一緒になったハビリテーリングの作業療法士さんと一緒にバスで帰宅。で、ラフな話をしだすと、いろいろとハビリテーリングならではの悩みも教えてくれて、興味深い。普段は、電話してはいろいろとお願いするのですが、やっぱり大変そうです。そこで聞いた興味深い話は、また次に。


2018年9月25日火曜日

人生は取捨選択

 私の職場で、今一番ホットな話題は、ズバリ職員の配置です。この話題に、私は辟易しております。このことを考えると、もしも転職するならば、同僚が休んでも、あまり仕事に支障がない仕事に就きたいと思うくらいです。少し詳しく書くと、


  • スウェーデンでは、子どもの病気看護休暇や病気休暇が一般的で、同僚が時折休む。
  • 学校という場所は、子どもは毎日登校してくるので、同僚が休むと、代わりの職員を準備するか何かしないと回らない


で、就学前学校で働いていたときなんかは、代わりの先生に連絡してきてもらうというのが一般的だったのですが、特別支援学校は、かなりの数の職員がいるし、その上、生徒が時折、病気や病院や福祉器具センターに行ったりして、学校を休むので、そうなると職員の配置換えが前日や朝に行われるのです。これが、問題でして、ここ数週間いつも以上に悩まされております。。。

 私の生徒たちは、どちらかというと休みがちなほうで、そうなると私の同僚は、違うクラスや違う学校に移動しなければならず、それをあまり好まない方がいるわけです。お隣の学部では、逆に子どもが小さい職員が多くいて、やはり休みが増え、そうなるとそっちに移動してもらうのですが、まあ、それがいろろある。。。で、こっちには嫌な顔され、あっちでは感謝され。。。時々は逆で、あっちに嫌味いわれ、こっちでは喜ばれ。。。ま、どっちにしても、両方喜ぶことはないわけで。。。人生は、何を選択するかだと本当に思います。取捨選択、、、両方手に入れることができることはめったになく、賢い選択をしたいと思うのですが、結構な確率で外しています。

と、日常を書いてみました。

2018年8月30日木曜日

濃密な2018年の夏

 夏季休暇限定でブログを書くつもりだったのですが、最後の更新は7月19日で、しかも内容は日本で起きた事件。私のやる気はどこにいったのだろうか。最後の更新をしたころは、楽しい夏休みで、南スウェーデン、スコーネ地方を旅行していました。旅行から帰ってきて、待っていたのは、思いもよらない出来事でした。私も主人も今年の夏を忘れることは絶対にないだろうと誓えるくらいの内容で、いまだにその事件は解決しておらず。😥個人情報もあるので、詳しくは書けませんが、私たちは事件の当事者ではなく、私も主人も元気にしております。

 7月終わりから濃密な毎日を過ごし、職場には14日から出勤しています。今年は、昨年からの持ち上がりの生徒4名で、アシスタントは1名交代という、なんとものんびりとした新年度であったことが救いです。仕事変わらなくてよかったと心底思いました。😭毎日順調に楽しく仕事しています。そんな様子を見たいわという方、スウェーデンの特別支援学校の様子が見たいわという方、インスタグラムに写真を載せています。がんばって、毎日更新するようにしていますので、興味ある方は、ぜひ、ご覧ください。「sweden.education」で探していただくと見つかると思います。

 更新回数が極端に少なかったし、今年の秋学期は割と時間があるので、細々とブログ続けてみようかと思います。

2018年7月19日木曜日

熱中症で亡くなった小学1年生

 日本で、校外学習の後に小学1年生の男の子が熱中症で亡くなりました。妹からラインで教えてもらって、驚き、また、大変心が痛みました。なぜ、こんなことになったのだろうかと思い、甥っ子姪っ子の姿と重なり、朝送り出した子どもが元気な姿で帰ってこないことは、どれほど、ご家族を悲しませただろうかと思うと、言葉になりません。教員として、自分だったらどうしただろうかといろいろと考えます。ネットで読めるニュースの情報だけなので、偏りはあるかもしれませんが、少し書こうと思います。

学年での校外学習だった

 私は子どもがいないこともあり、どうしても教師目線でみてしまうのですが、1年生4学級112年での校外学習とあり、ぱっと思ったのが、やめるという決断しにくかっただろうなあと。自分のクラスだけであれば、変更もしやすいのだけど、学年でとなると、違った難しさがあるような気がしました。計画の段階で、猛暑に対する対策とかが相談されていればよかったかもしれないのですが、そうじゃなければ、私がそこにいて、やめようといたたか、難しところがあります。

 思い出した出来事があって、うちの学校では、5月の頭に体育祭みたいなことを近くの運動場を借りてするのですが、なんと、その日に大雪になったんです。5月に! で、行事どうしようかってなったとき、私ともう一人の先生が朝早くいつも来ているので二人で決めてしまって、中止にして、代わりの行事を構内ですることに変更しました。この決断に校長や教頭は一切かかわっておらず、こういうなんというか、組織や対応の柔らかさって、日本の学校にはなかったように思い出します。うちの子どもたちは、車いすに座っていることもあって、寒さに弱いうえに、車いすは雪だと動かしにくいということもあり、判断しやすかったのは事実ですが。。。

何度もシグナルは送られていたのに

 男の子は何度も「疲れた」と訴え、集団からも遅れ気味であったとありました。おそらく、何度も危険信号は発せられており、シグナルは送られていたのに、見落とされていたのか、それとも、個に会った対応ができない集団であったのだろうと思いました。その子だけ、途中で学校に引き返してもよかっただろうにとおもいました。私の生徒は、障害もいろいろ、性格もありますし、困難さも違います。何かをしても、全員が参加できないこともありますし、生徒によっては、参加しないことに意味があることもいます。最初の5分参加すれば、100点満点の子もいれば、1時間全部できる子もいます。そういう違いに慣れすぎているためか、112人同じことを絶対にしなくてはいけないということはなく、男の子は、疲れたとうったえ、集団から遅れ始めたら、違う形での参加、もしくは中断をしてもよかったのではないかと思います。もちろん、それには、教員が複数いるなどのマンパワーもいりますし、ほかの教員との連携や意思疎通も必要になります。そういう連携が普段からあれば、対応も早いですが、そうでない場合は難しいというのもわかります。

 私は今回のことが事件なのか、事故なのかと考えるのですが、なんとか防いでほしかったという思いが強くあり、答えが出ません。スウェーデンにいれば、スウェーデンの足りないところや日本のいいところもたくさん見えますが、今回の事件は教育にかかわるものとして、防いでほしかったと思わずにはいられません。

 

2018年7月12日木曜日

もう一つのサッカーW杯 in Sweden

 サッカーワールドカップも、いよいよ終盤に入りました。サッカーは、あまり見ない私でも、友人たちにつられて、試合を見たくらい、日本もスウェーデンも盛り上がりました。でも、ワールドカップ、まだ終わりじゃないのです。と、教えてくれた友人に感謝です。ツイッター、フェイスブックでも書かせていただいたのですが、ブログでも、もちろん書きます。

 8月にスウェーデンで開催される「もう一つのW杯」とは、知的障がいがある選手たちによるサッカーの世界大会です。パラスポーツです。今年は、スウェーデン中部のバルムランド地方で行われます。

出場国と試合スケジュール

大会に参加する国:スウェーデン、ドイツ、アルゼンチン、フランス、サウジアラビア、ロシア、ポーランド、日本、南アフリカ

日本の試合スケジュール:
8月6日14時、対ポーランド戦、場所:Arvika
8月8日18時半、対サウジアラビア戦、場所:Kil
8月10日16時、対ロシア戦、場所:Karlstad
この後は、グループでの順位によって対戦相手や日時が決まってきて、決勝は18日14時半からです。

サッカーを支えに生きて

スウェーデンの特別支援教育の歴史を振り返ると、実用的なことを教えるところから始まり、今でもその歴史の跡が残っていると感じることが多くあります。生きていくために必要なことを中心に、繰り返し、丁寧に教える教育は無駄ではないと思います。ただ、特別支援教育に携わって長くなるにつれて、「一見すると、無駄だと思うようなことを教えることも意味があるのではないか。」と思うようになりました。それは、実用的ではないかもしれないけれど、生活を、人生を豊かにするのではないかと。それが何なのかは、その子一人一人によって異なり、それはきっと、自我の確立に重要な役割を果たすのではないかと。

このサッカーの大会に世界中から出場する選手たちは、ものすごい努力をし、サッカーを支えにつらい時も乗り越えてきた選手たちであると想像します。「障がいに負けずに」といった簡単な言葉では、決して表せない、彼らの姿を私も見に行きたいと思います。一人でも多くの方が見てくださるといいなあと思います。

詳しくは以下のサイトで見れます。

2018年7月11日水曜日

スウェーデンの登校できない自閉症・アスペルガーの子どもたち

 スウェーデンの自閉症・アスペルガー症候群協会の最新のアンケートによれば、実に52%の保護者が学校の環境に問題があることにより、登校を拒否していると回答しています。2016年に比べると6%増えたとあり、発達障害系の障がいがある生徒は、より厳しい学校生活を送っているといえます。少しずつ改善されてるとすれば、多少状況が良くなってもいいものですが、悪化しているというのは心が痛みます。

「問題のある欠席の多い生徒」というカテゴリー

 スウェーデンで学校に登校できない子どものことが話題になるようになったのは、学校改革があった2011年の数年後ではないかと思い出しています。(その前にももちろん学校に登校しない子どもはいましたが、今ほど問題視されてはいなかったのです。)最初のうちは、いろんな呼び名があったのですが、最近の適切とされるいい方は、「問題のある欠席の多い生徒」というもの。風邪や家族旅行といったような単純な欠席理由ではなく、何らかの問題を抱えて欠席率が20%を超えると問題のある欠席の多い生徒となります。そして、多くの発達障害の生徒が含まれています。

どの子にも適した学習環境を構築するモデル

 スウェーデンには、特別支援教育を統括している機関があり、そこがどの子にも適した学習環境を構築するためのモデルを出しています。大きく分けると
  • 社会的環境
  • 身体的環境
  • 教育的環境
の3つに分かれています。これは教室環境だけを意味しているのではなく、学校生活全体において、社会的、身体的、教育的環境を見直すことにより、適した学びの環境を構築することを目指しています。それぞれの環境には、詳しくどんなことを改善していくというかという提案があります。これ、いいと思うのですが、使うか使わないかは学校次第だし、教師一人では実行できない部分もあるので、学校ぐるみ、校長もとなると、やっぱり、どの学校もやっているとは思えない。

問題化されていて、よく話題としても聞くし、変えていくためのモデルもあるけれど、どの子にも適した学習環境がどの学校にもあるようになるには、まだまだ時間がかかりそうです。








2018年7月10日火曜日

特別支援学校の教員免許義務付け延期

 2011年に教員免許が導入されたスウェーデン。小中学校や高等学校では、2013年から免許を持っていない教員は、期限付きでの採用しかされない、成績をつけることができなくなりました。特別支援学校でも2018年秋から適用される予定でしたが、2021年まで延期されることになりました。

有資格者が、ガクッと減る特別支援学校

教員免許を持っていても特別支援の免許まで持っている教員は少ない特別支援学校。うちの学校でも少ないです。もともと教員不足の上に、ダブル免許がいる特別支援学校の教員、一人辞めると補充が見つからず、アシスタントが場つなぎをすることも多々あります。場つなぎならいいけど、そのまま数年ということも。で、上記のように、無理だろうと現場で言われていた通り、ぎりぎりになって、2021年まで伸ばすと。でも、たった3年で何が改善できるのか不明。。。

教員免許はいらない論

時々耳にするのが、これ。教員免許いらない論。実力があればいいという。そうなったら、中卒や高卒でも実力あれば教えていいということだろうか、それとも、大卒ならいいのか。この論が出ると、私はいつも、「盲腸の手術、医師免許ない人にやってもらう?」という感じの問いをして返します。なんで、教員は専門性が認められにくいのだろうかと思ってしまう。特別支援学校も有資格者率がとことん下がっており、もう免許なしで十分になってきていて、そうなると、下手に専門性でもかざすと、風向きが悪くなったりして、できる先生は余計に学校社会から離れていくという悪循環のような。。。。偏見だといわれてもいいが、教育、特別支援教育を勉強していない先生は、長い目で教育をしていくことが苦手な人が多いと思う。目先のできることに目が行き、長い目で見たら、経験させてあげるといいことを援助で補いすぎる傾向にあると思う。


9月に選挙があるスウェーデン、特別支援学校を話題に挙げる人はおそらくいないだろうが、新政府になったのち、2021年までに何とかこの問題に明確な手立てを打ってほしい。生徒たちのために。

2018年7月9日月曜日

行き詰まり感

 行き詰まり感という言葉は聞いたことがあるような、ないような。。。キャリアというほど、キャリアを意識したことはないのですが、スウェーデンで働きだして、すでに10年以上たち、教員から第一教諭になって4年たち、行き詰まり感を感じた年度末でした。うちの組織は、ごちゃごちゃとしていて、校長もここ4年で(第一教諭になってから)5人目😂😂😂。第一教諭といえば、聞こえはいいが、この校長がころころ変わったことの影響を深く受け、いまいち自分の仕事も立ち位置も理解できず、今に至ります。

キャリアの道が少ないスウェーデンの学校システム

スウェーデンの学校システムには、キャリアを積む道がすくないことが、優秀な教員が学校を離れていく要因の一つと言われています。第一教諭のシステムができたのは、4年前。それまでは、教員か管理職かという道しかなく、いきなり教頭とかなるのも大変です。現在は、第一教諭と講師という道がありますが、講師は、最低でもマスターを持っていないといけないのですが、マスターとると大学とかでも働けるので、講師の数はあまり増えていません。お給料は1万クローネ余分にもらえるのですが、あんまり募集かかっていないようにも思います。

転勤がないスウェーデンの学校システム

スウェーデンの学校には転勤というものがありません。その学校に就職することになり、各学校で校長が採用することになります。このため、自分で希望して、意志をもってでないと、学校も変わることがないということになります。私の場合、途中で小中学部から高等部に移ったのですが、すでに高等部で5年。やり切った感があります。


ということで、行き詰まり感を感じいるところです。じゃあ、学校変わればいいのですが、諸事情により、今年はあまり変わりたくない上に、来年度は高等部4年の卒業年度の生徒を3人抱えているので、ここで投げ出すのもと思ってみたり。なんとなく行き詰った感覚はどのように打破するとよいのでしょうか。アドバイスを求めます。😃


 

2018年7月8日日曜日

学校教育におけるレイシズムの難しさ

  Rasismはスウェーデン語では、「ラシスム」と発音され、英語や日本語では「レイシズム」ですよね。現代のスウェーデンでは、レイシズムの明確な定義をするのは難しく、単に人種差別を正当化する考え方というものではなく、その定義は複雑化していると思います。今日はこのレイシズムに関する本から少し、思うところを。

Örebro universitetの Emma Arneback & Jan Jämte によって出版された「Att motverka rasism i förskolan och skolan(就学前学校と学校でできるレイシズム対策)」
写真:www.nok.se

本は読んでいないのですが、著者のインタビューが組合の雑誌に載っていました。そこには、

教員が無意識に社会的排除をしていることがある

と。よくあることですが、学校で外国出身の子どもがいると、生徒にその国の紹介をするような時間を持ったり、授業をしたりすることがあります。この背景には、その子どもの持っている異文化性の理解を図るという意図があると思います。が、著者曰く、こうした活動により、生徒は「自分はみんなとは違う」という自己像を強くし、構築していくため、つまるところ、社会的排除を強めている行為なのだと。


 これ、学校教育にありがちかと思いました。こういう正しいことをしている感じなのに、実はみたいなこと、自分の経験からもあるなあと。機会があれば、ぜひ読んでみたい本です。



2018年6月28日木曜日

作業所勤務でも、勤続25年で表彰!


休暇も2週間に入り、すっかり休暇体制に入りました。いろいろあって、水曜日にちらっと校長と話をしてきましたが、それ以外は、毎日朝早く目が覚めることもなくなり、のんびり暮らしています。こんな生活ができるのは、スウェーデンで教員をしている特権であると思い、感謝しています。


今日は、この間スウェーデン、ストックホルムのお隣、ウプサラコミューンが発表した
「作業所に勤続25年したら表彰する」


というもの。こういうのを聞くと私はジーンときます。スウェーデンでもコミューンなどで何年も働くと勤続20年とか30年でお金が出たり、何かプレゼントされたりします。そういう表彰が作業所勤務であっても同様にされるというのは、教え子や卒業生たちが毎日していることは、社会にとって意味があることであると認めてもらえることにつながると思うからです。


私の教え子は、日本でいう就労継続支援事業所のB型に対応するようなスウェーデンの作業所、デイケアセンターに卒後「就職」をすることになります。就職なので1日いくと微々たるものですが「給料」がでます。65歳の定年まで、何か問題があったり、引っ越したり、後見人などから希望がでない限り、同じところに努めることになります。勤続25年というと45歳のころになると思います。


作業所では、その人の能力に応じて、カフェの運営にかかわっていたり、お店の中で仕事をしていたり、配達をしていたりと、犬の幼稚園の運営にかかわっていたりと、何かしらの仕事をしている場合も多いです。作業所で演劇活動をしているところもあります。もちろん、そういった仕事をしない人もいます。ウプサラの場合、47歳以上で最低でも25年勤続している人は、約200人いるそうで、たいていの場合は、20歳くらいで特別支援学校を卒業して働き始めているということでした。企業によって違うように、コミューンによっても勤続での表彰は異なるのですが、ウプサラは25年で表彰されるということで、同じように表彰するそうです。


どんな仕事も社会には必要であり、この仕事をしているから素晴らしい人という考えではなく、人それぞれが持っている能力を生かして、社会の一員として社会参加をし、社会に貢献することに意味があると思います。たとえ、就職した場所が作業所であっても、25年ちゃんと働いたら、同じように祝ってもらえるということは、インクルーシブな社会の構築にとって、重要な一歩であると思います。ほかのコミューンでも同じような動きが出るとよいと思います。





2018年6月20日水曜日

「野外で算数」日本語版完成!

写真は山本様撮影

「野外で算数」日本語版完成のお知らせ

と、こんな風に書くと私が関わったようですが、私はかかわってなくて、数年前から「日本語に訳をしているんだよ」と近くの自然学校(自然学校についてはまた改めて書こうと思います)の職員などから話を聞いていました。この自然学校には日本からの見学訪問も来ているし、職員も日本を訪れるなど、日本との交流が深い自然学校です。本が、ついに完成したということをフェイスブックを通して山本様から教えてもらったので、一人でも多くの日本の方に手に取っていただきたいと思い、さっそく宣伝です。

 写真をお借りしたので、紹介します。





「野外で算数」は、野外、自然を利用して算数の勉強をしようというもので、うちの学校の生徒もスウェーデン語版の本が出たときに自然学校の先生が来てくださって、勉強したのを覚えています。実践で使える例などが載っていて、本の最後にはコピーして使えるワークシートもついています。

 山本さんは北海道で、NPO法人 当別エコロジカルコミュニティを運営されており、「森の幼稚園」や「森の自然学校」を企画運営し、子どもたちに自然の中で過ごし、そこで自然に学ぶという体験をもってもらう、体験を増やしていこうという活動をされています。詳しくはホームページをご覧ください。

 教室の中で机に向かって学ぶ以外の方法で、いろんな形で学ぶというのは、教育にとって重要であると私も思います。スウェーデンの自然学校には何度も訪れていらっしゃり、うちの学校にも一度いらしてくださいました。私は、受け持ちの生徒が車いす利用で、森の中で過ごしにくい、雪が降ると外に出られない、重度の生徒でなかなか継続した外での授業ができないなどあり、あまり野外での活動を行ってこなかったのですが、これを機会にもう一度本を読みなおし、取り組みたいと思いました。



 本の購入を希望される方
定価 2,300円 (消費税別)
書店に置く予定がないため、山本様に連絡を取っていただき、代金入金確認後、発送という形となるそうです。京都と鎌倉は本を置いてくださるところが決まったそうで、そこでも購入が可能だそうです。北海道の山本様の事務所でも購入可能です。全国で書籍を販売してくださるところをさがしているそうで、販売のお手伝いが可能な方はご連絡をください。山本様への連絡先は、当別エコロジカルコミュニティのホームページ、コンタクト欄へ!


 
この本が多くの方の手に取っていただき、日本の多くの子どもたちが自然の中で学ぶ活動を楽しんでくれればと思います。

2018年6月18日月曜日

デジタル教育のプロジェクト

コミュニケーションとデジタル教育

昨日の投稿、「カリキュラム変更!デジタル化とプログラミング」の続きで、今日は、うちの学校で春学期に行ったコミュニケーションとデジタル教育のプロジェクトのご紹介。

うちの学校には、ICTの先生がいて、コミュニケーションとIT関係の担当をしています。その先生とうちの高等部の先生3人と一緒に考えたのが、

子どもの歌に簡単な手話をつけたものを映像化することによって、手話を学ぶということと映像化する過程を学ぼう

というものでした。作成した映像は、手話と歌の教育の一環として、小中学部と近くの幼稚園に配ろうということになりました。選んだ曲は3曲。スウェーデンの子どもならだれでも一度は歌うだろうという童謡です。最初の歌はこちら。興味のある方はYoutubeで聴けるのでぜひ。

まずは手話を勉強しようと、ICTの先生が手話の部分を映像化し、みんなで勉強しました。その後、撮影をしてみるといまいち。やってみては、それを電子黒板でみんなで見ては、感想を言い合い、みたいなことを繰り返しました。生徒は、やったことがすぐに映像で見られることにとても興味を持ったようです。何回かすると、背景が必要だとなり、部隊のような背景を作りました。試してみると確かにいい感じ。でも、何か足りない。。。

そうだ、服だ!衣装だ!となり、みんな黒い服を着ることに。ここまで来るのにすでに2か月ほどたっており、服を着て取り直してみると、かなりいい感じ。

次は、同じ場面ばかりだと面白くないということで、生徒の人数を変えて取ってみたり、角度を変えてみたりと色々試し、そのたびに映像でみんなで見ては、ああだこうだと。。。試行錯誤を繰り返し、完成しました。


このプロジェクト、最初は、もっとさらっと行けるかと思ったのですが、思う以上に時間と手間がかかり、また、それ以上に思った以上に、工夫できるもんだと思いました。私の学校の生徒は障がいが重度の子どもが中心なので、自分から話せる生徒は少なく、それでも、同じ構成の授業を繰り返し、撮影していく中で、いろいろと発見がありました。手話はできる子は少ないのですが、同じ曲を何回も行ううちに、手の動きが良くなったり、発音がよくなったりと、効果がありました。


最初の計画では3曲ということでしたが、結局できたのは1曲。その曲をもとに、フィルム祭りを行い、完成をお祝いする会をしました。デジタル教育やプログラミング、簡単じゃないですし、生徒のレベルに合わせようと思うとものすごく難しいのですが、こんなプロジェクトもありだなあと思いました。楽しい勉強でした。

2018年6月17日日曜日

カリキュラム変更!デジタル化とプログラミング

 今年のスウェーデンは、本当にいい天気が続いており、毎日快晴。雨が降ったのは数えるほどです。こんな年は、雨も恵みの雨で、降っても文句は出ないほどです。今日は夜夕立が来たので、花に水をやる必要がなくなりました。こんなに毎日外で過ごす夏も珍しいです。

 とりあえず、今日はスウェーデンの学校業界っていうものがあるとしたら、そこで、今年最も話題になった話から。それは、

カリキュラムの変更

デジタル化に対応できる子どもを育てるために

でしょうね。今の子どもたちは、デジタル化の進んだ社会に生まれ、デジタル化の波に乗って育ち、デジタル化が当たり前の社会で生きていくことになります。そのためには、そういった社会に対応できる子どもをそだてていく必要があります。その旨が、小学校から成人教育までのすべてのカリキュラムに盛り込まれました。移行期間が現在で、変更されたカリキュラムはこの秋から正式に適応されます。

 これに合わせて、今年度スウェーデンの学校でデジタル化とプログラミングを研修に取り入れた学校は大変多かったし、このテーマも多く開催されました。教育局のホームページには、様々なオンラインコースが用意されており、うちの学校も子多分に漏れず、このオンラインコースを行いました。

 今は2歳にもなれば、携帯で遊ぶし、デジタル化に対応した教育は大切であると思います。残念なのは、スウェーデンの学校あるあるで、教員に対する研修が不十分で、実際に現場でプログラミングまで教えられる先生は数少なく、見切り発車的な感じも受けます。私はプログラミング学ぶレベルの生徒を受け持っていないけれど、教えろといわれたら、慌てて勉強しないといけないので、大変です。デジタル化教育の一環でうちの学校でやったプロジェクトは、また明日にでも紹介します。

 では、また!