2022年7月21日木曜日

スウェーデンの性教育の歴史とは

 今日は、スウェーデンの性教育の歴史を振り返ります。

  • 背景
  • 性教育の名称変更
  • 性教育の歴史
についてみていきます。

1.背景

 スウェーデンの義務教育のカリキュラムが、今年の7月1日より改訂されました。今回の改定には、いろいろポイントがありますが、中でも注目されるのが性教育。私も春学期は新カリキュラムの内容についての研修、他の学校の先生との話し合いがありました。夏の休暇中に、今一度、学校庁のサイトなどから勉強し直しています。ブログでは、アウトプットの意味もかねて、少しずつ紹介をしていきます。その第1弾が性教育です。

2.性教育の名称変更

性教育と書きましたが、今回の改訂で、これまで「Sex och samlevnad(セックスと共に生きる)」と言われていたのが、

Sexualitet, samtycke och relationer(セクシャリティー、同意と関係)

に変わりました。この名称の変更を読んでいただくとわかるように、時代の変化に合わせて、セックスを教える性教育から、多様な性、同意の意味、そして、互いの関係などを教えるというものに変わりました。

3.性教育の歴史

だいぶ前に教員組合(Läraren nr 9-2021) の雑誌に、性教育特集が載っていたので、その中の歴史の部分を紹介していきます。この特集もとても勉強になったので、少しずつ紹介できればと思います。時は遡り、1778年より始まっています。

1778年:未婚の女性が匿名で出産できるようになる。それまでスウェーデンでは、父親の名前を言わなければならなかったが、これにより、助産師が父親の名前を聞くことが禁止される。

(1842年:国民学校が設立し、学校教育が始まる)

1897年:スウェーデン初の女医による「性の衛生」の講義が教員養成で行われる。

1908年:スウェーデン国会で「性教育者(性に関する教育者)」の名前が使われる。

1910年:避妊薬の情報を禁止する「避妊薬法」制定

1918年:性感染症に関する知識を広める必要性があるのではと、1921年に出された性教育の提案にも盛り込まれる。

(1921年:女性に選挙権が与えられる。)

1933年:RFSU(Riksförbundet för sexuell upplysning スウェーデン性協会) ができる。強制不妊法が制定

スウェーデン性協会RFSUのホームページ

1937年:近親相姦の被害者が共犯とみなされなくなる。RFSUが最初のお店を開き、コンドームや生理用品、日焼け止めを販売する。

1938年:避妊薬の情報の禁止が廃止される。場合によっての中絶が認められる。

1942年:性教育が自由選択として国民学校で導入される。

1944年:ホモセクシュアリティが犯罪ではなくなる。

1945年:教師による性教育が初めて行われる。

1948年:母子保健医療センターで、ペッサリー(避妊具)の無料テスト開始

1954年:ラジオでの初の性教育

1955年:性教育の義務化

1956年:初の性教育の指針として「若者に知識を与えるが、セックスを推奨しないように」と。

1964年:経口避妊薬が認められる。

1967年:スウェーデン初の性生活に関する調査が行われ、1969年に発表される。

1970年:初のユースクリニック開所

1975年:1974年に通った自由中絶法施行

1977年:新たな教師向けの指針で、「ポルノグラフィ」が取り上げられ、「女性差別で非人道的」と。また、学校の「伝統的な性の役割を打ち消す」責任が明記される。

1980年:多くの諸外国と共にスウェーデンも、HIVの危険性を学校で取り上げる。

1985年:エイズ代表団の導入

1994年:新カリキュラムに「価値の基本」という言葉が導入される。高校の生物から性教育(セックスと共に生きる)が削除される。性教育は、カリキュラムの中でたった一度、「校長の責任」で取り上げられる。

1995年:新しい教師向けの性教育に関する指針が出る。

1999年:学校庁が「セックスと共に生きる」について、調査をする

2000年:「普通」と「規範の認識」の定義が強化される

2011年:新学校法と新カリキュラムの導入。複数の教科と「平等に関しての活動の関連が強化される。

2013年:学校庁から出ている性教育に関するハンドブックによれば、教科をこえて教えるべき内容であり、男女均等、セクシャリティ、関係に幅広くフォークスすると。

2020年:マルメ大学とRFSUによる調査で、大学の教員養成課程で学ぶ内容に大きな差があるとわかる。

2021年:1月に基礎学校教員4~6年教員養成課程で「セックスと関係」が、学位取得の中の目標となる。

2022年7月:カリキュラムの改訂。価値観や性の同意、自由意思に主目的がフォークスされる。ポルノグラフィーに対する批判的な姿勢を生徒は学ぶ。

2022年秋:全ての基礎学校教員養成課程及び教科教員養成課程において、必修科目となる。



以上です。ざっと書いてあるものを訳しながら、スウェーデンのこうした歴史を振り返ると、やっぱり、戦争をしないって重要なんだろうなあという基本的なことから、この陰にある、女性の権利の獲得や地位の向上、社会進出の動きや、人間の権利に対する様々な活動や動きは欠かせないものであると感じます。性教育の分野は、がらっと教える内容が変わるので、私ももっと勉強しなければと思うところです。



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