2022年7月18日月曜日

スウェーデンの高齢の障害者のプロジェクト「高齢者の良い生活 知的障害者の活動と住居」

  スウェーデンでもあまり聞かないけれど、わたしがとても大事なと思っているのが、高齢になっていく障害者への支援制度の確立です。そこで、今日はこの問題に関して、スウェーデンで行われているプロジェクトをご紹介します。

 スウェーデンでは、障害者は長生きをしてこなかったということで、こうした高齢化の問題が顕在化してきたのは、ここ10年ほどと聞きます。数年前から65歳になって、デイケアサービスセンターを退職した障害者の日常生活や、グループホームから老人ホームに移動させられたというような話がちらほら報道されるようになり、定年退職した65歳以上の高齢の障害者の日常生活の支援制度の確立が叫ばれてきました。

 プロジェクトの名前は、

(サイトはスウェーデン語になります。)

 このプロジェクトは、2020年8月に始まり、3年のプロジェクトです。基金から援助を受けて、広域行政体や障害者団体、ダウン症協会や自閉症協会なども協力して、一緒に行っているプロジェクトです。プロジェクトの中心は、国内の4つのコミューンに、知的障害の高齢者のエキスパートグループを作り、そこで、様々な研修や活動を行うこととなっています。参加できる高齢者は、知的障害がある50歳以上の人です。

 参加している高齢者の中で、軽度の知的障害の方がインタビューを受けているビデオを見て、その後いくつかの質問が擁してあり、それをもとに話し合うというのがあります。


そのビデオで話されている内容が、スウェーデンは短期間で今の福祉国家というのを創り上げたのだなあと思わされます。その方は、70歳なのですが、生まれてすぐに乳児院に入れられ、両親には会ったことがないと話されます。70年前は、スウェーデンは、そういう時代で、障害児者は、収容施設で育てられ生活をしていました。保護者が泣いて手放したという話もあれば、この方のように、親に抱かれることもなく、職員に育てられたという人もすくなくありません。20分ほどのインタビュー、大変興味深いのですが、65歳で職場であるデイケアセンターを引退してから、毎日テレビを見て過ごし、することがなかったと。その時のグループホームの対応、その後のサービスホームでの対応も、まだまだ支援が足りない、特に知識が足りないと感じます。サービスホームに友達はいるかと聞かれ、「年が40も離れているとこんなおじいさんと話さないわなあ。」といわれ、その後、「育った環境が違いすぎて」と。今のスウェーデンの障害者の若者は、比べ物にならないほど、手厚く福祉制度を利用し、家庭で育っている人が多いので、彼のような方が理解しにくいのはなんとなく想像がつきます。


 このプロジェクトは、もう1年あるので、今後も見ていきたいと思います。こうした当事者と言われる本人たちを主体にして、行われるスウェーデンのプロジェクトは、いいなあと思います。彼らなしで決めても何の意味もありません。こうしたプロジェクトを通して、本人たちがどんな生活を望み、どんな支援を必要としているのかを知っていくこと、関わる様々な団体は、彼らの存在が忘れられることないように、社会に働きかけていく必要があります。また、障害者の高齢者向けのオンラインコースがあって、こちらも大変興味深いです。また、ご紹介したいと思います。

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