2022年7月29日金曜日

アッカ・プラッタ Akka-Plattaというスウェーデンの車椅子で乗れる乗り物

 この投稿は、旧ブログの2011年9月16日のものを更新して、再投稿しています。

2022年7月16日に、初の単著「医療・福祉・教育・社会がつながるスウェーデンの多様な学校~子どもの発達を支える多職種協働システム」を刊行。是非ご一読を😊

 今日は、この乗り物「アッカ・プラッタ」をご紹介します。旧ブログで、複数の方からご連絡をいただき、おそらく日本でも使用している発達支援センターなどがあると思います。残念ながら、そうしていただいた方とその後連絡が取れていないので気になるのですが、もしも、この投稿を読まれた方で、「見たよ、知っているよ」という方、ご一報くださると嬉しいです。

 「Akka-Platta アッカ・プラッタというのはなんだ?」と思われた方は、簡単に説明すると、車椅子に乗っている子どもたちが自分の意思で自由に動くことができる機械という感じの乗り物です。どこにでも自由にいけるのではなく、床に張ってある黒いテープを読み取り、そこを自由に動けます。今は「アッカ・スマート(AKKA Smart)というものに進化しています。スウェーデンでは、知る人ぞ知る有名な乗り物です。

こちらが、最新型の「AKKA Smart アッカ・スマート」です。会社のホームページは、こちらから。

写真のとおり、ただの平たい板に車輪が付いており、タッチボタンもしくは、ジョイスティックで動かすことができ、床に張り巡らされた黒いテープに沿って動くのです。この平たい板の上に車椅子などをしっかりと固定することにより、子どもたちは、自分でタッチボタン・ジョイステックを押して動くことができます。

この様子を見たい方は、販売会社のホームページから、いろんなビデオが見れます。この乗り物、すごいのです。たとえば、視覚、聴覚、触覚などに関するものをいろんな形でこの乗り物が通る部分に準備して、しかけておくと、子どもが好きな場所に自分で立ち止まって遊んだり、触ってみたりすることができます。そうした中で、子どもの自主性を養え、その子の興味関心が分かり、コミュニケーションの基礎を教えていくことができます。そんなこと、という、そこの方、これがなかなか難しいんです。重度の障害児で、車椅子に乗っており(車椅子に乗っていない子ども場合は、直接アッカ・プラッタに座ってもよい)自主的に何かするというのが難しい。それをタッチコンタクトやジョイステックで、ちょっとした手の動きなどで動かせるという優れた乗り物なのです。

 スウェーデンの北部にある特別支援学校のホームページからも、その学校の生徒がアッカ・プラッタを使用している様子が見れます。スウェーデン語ですが、是非!Youtubuにも、映像があります。




 10年前にブログで紹介したころは、このアッカプラッタを販売していた会社は小さな会社でした。その後日本からの問い合わせがあって、会社に問い合わせると、この機械を開発・発明した、スウェーデン人のJanさんと話をしたことを思い出します。その時の話をまとめたものが以下の内容です。(旧ブログ2013年4月4日の投稿より)

  • 今、このアッカプラッタを製造して売っているのは、ここの会社のみなのですが、もう高齢になり、ここ数年のうちに会社を売るつもりだそうです。そうなると、今、日本への販売というのは考えられない。ここ数年のうちに会社を売る際には、おそらく大き目の電気製品会社にうることになるだろうから、そうなれば、その会社に日本からの興味関心が高いことを伝えておくということでした。値段などは電気の関係もあり、わからないということでした。
  • 特許はとっておらず、この20年間で、誰も同じ製品を作った人はおらず、製図もホームページに載せているが、結局のところ、電気系統の部分が一番難しく、その部分を造れる人は少ないだろうとおっしゃっていました。
  • 前にYoutubeでよく似た感じの乗り物を見たそうですが、このアッカプラッタのいいところである、タッチコンタクトと呼ばれるボタンで簡単に動くところまでは製造しきれていなかったということです。日本の方たちが、製図をもとに、オリジナルのものを作ることもかまわないということですが、本物をみないとなかなかわからないとは思うのですが、あのちょっとボタンを押すだけでも前に進むというのを製造するのは難しいのだろうという印象を受けました。
  • ヨーテボリで4月の終わりにある、福祉機器の見本市で、このアッカプラッタの最新機を発表するそうです。今までのアッカプラッタでは、後ろに動くことやどちらに行くかを同時に選ぶことはできませんでしたが、今回のものは、そういった今までできなかったことをできるようにした、新たな機械だそうです。こちらは、私も興味があり、日本に行くので見本市にはいけませんが、なんとか、現物をみたいなあと思っています


 あれから、別会社に渡り、こうして、進化した形になっているのはうれしい限りです。このアッカプラッタ、私にはものすごくいい機械だと思い、前の学校で働くようになって、すぐに使い方を覚え、いろいろと研究しました。受け持ちの生徒でも何人も試し、たくさんの生徒が好きな機会です。ものすごく重い重度の障害を持った子どもにも有効で、その子の興味や関心が分かり、コミュニケーションの基礎をつくることができ、本当に可能性のある機会です。

 この乗り物世界17カ国に売りに出されており、販売店もいくつかあります。日本の重度の子どもたちにも自分で意思決定をして体を動かせる体験をしてほしいと思うのですが、なかなか値段が高いこともあり、また、そんなに市場の広いものでもないので、難しいかなと思うのですが、10年前にコンタクトをくださった方が、おそらく、今は日本のどこかで使ってくださっているのではないかと思います。

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