2022年12月29日木曜日

専業主婦がいない男女平等の国、スウェーデンの女性たち

 この投稿は、旧ブログの投稿をリライトして投稿しています。

2022年7月16日に、初の単著「医療・福祉・教育・社会がつながるスウェーデンの多様な学校~子どもの発達を支える多職種協働システム」を刊行。是非ご一読を😊

 学校も休みに入り、1週間。友達に会ったり、出かけたりと楽しく過ごしている反面、やらなければいけないことがなかなか簡単に終わる内容でない今年の冬は、心は少し焦ってし舞う感じです。とりあえず対策として、FacebookとTwitter を休止しました。文章を書く練習も考えるとブログを残すことにしました。それにブログは、だらだら時間を費やすことはなのでよいのですが、Facebookなどは、どうしても逃避行動増えてしまう、弱い私です。

 さて、今日は、旧ブログから、専業主婦とスウェーデン関係の投稿を読見直すと、同僚たちと話した内容など興味深いなあと思います。タイトル通り、スウェーデンには、専業主婦という選択肢はありません。男女平等が当たり前であり、女性も男性と同じように働いて、税金を納めて一人前という国です。今日はそんなスウェーデンの専業主婦事情についてです。

 1.昔は、スウェーデンにもいた専業主婦

 スウェーデンにも専業主婦がいた時代があります。だいたい、今60代になるくらいの世代の方は、「母親が専業主婦だった」というのは珍しくありません。もう少し上の方だと、「私は専業主婦だったけど、働き始めた」というような話をされる方もいます。その時代には、専業主婦が存在し、家事を家庭内労働として行い、税金の控除もありました。この制度は無くなり、「いつ無くなったのか」という友人の説明をそのまま訳すると、

「政府が主婦も外で働くべきだと思ったときになくなった。」

とのことでした。専業主婦だったという人の話を聞くと、あの頃はよかったという印象を受けるので、福祉国家というと聞こえはいいけれど、みんなが働き納税するという基本姿勢がそんなに簡単物でもないということを感じます。これに関連して、やっぱり選択肢があれば、家にいたい人はいるんだなあと感じることはあります。

3.中立国と戦争と専業主婦

 第2次世界大戦後、ヨーロッパの多くの国々が国内の復興に力を注いでいた時期に、スウェーデンは、中立国であったために、国内の工場などはそのまま残っており、戦後すぐに工業などを復活させることができました。こうした戦後の混沌とするヨーロッパの中で、北の果ての貧しい国であったスウェーデンは、チャンスを生かして、今の国を築いてきました。その陰には、専業主婦の在り方も関わってきたといわれています。

3.スウェーデンの家事と専業主婦

 スウェーデン人に聞くと、専業主婦は、その昔、洗濯機も掃除機も何もない時代であれば必要性があったが、今のような便利な時代には、夫婦で協力して行えばいいという声をよく聞きまます。もちろん、スウェーデンでも家事や子育ては大変だという話もしますし、私も同感ですが、しかしながら、ここはスウェーデン。例えば、夕食はソーセージとパスタとか、冷凍食品とか普通ですし、洗濯も気候からして、毎日必ずしなければならないというものでもなく、掃除も基本的に週1という家庭も多いように思います。ちなみに週1の掃除は金曜日にする家が多いです。なので、夫婦で協力しあえば十分仕事と両立可能です。残業の習慣もない国ですし。

 育児休暇は、お父さんかお母さんのどちらかがとり、両方一緒に取ることはありません。(出産直後などのはあります)なので、私の同僚の女性などは、お父さんが育児休暇で家にいるときは、夕飯からすべてやってもらうということで、楽だとはなしていました。共働きの時は、どちらが作るかもめたとも。うんうん、あるあるだなあと聞いていました。


4.女性の就業率は?

2009年の女性の就業率は以下のようになっています。就業率の高い順に、(EU国内)

  1. デンマーク 74%
  2. スウェーデン 72%
  3. オランダ 71%
  4. フィンランド 69%
  5. エストニア, イギリス、オーストリア 66%

とありました。他の国では、ドイツ 65%,フランス 61%、スペイン 55%などなど。一番低かったのは、マルタの37%でした。EU非加盟国では、アメリカ66%、アイスランド80%、日本60%とありました。

 以下の統計が2020年のものなのですが、日本の女性の就業率は、70.6%となっており、働く女性が増えています。スウェーデンも増えている感じですが、数%ですね。

男女共同参画局のホームページより

  今の時代では、働くことは当然のことになり、だからこそ、ライフワークバランスなどがしっかりとれないと難しい時代になっているのでしょう。そこには、国の制度からによる改革も必要ですが、ともに、自分はどうしたいのかという、自己の中での考えを明確にすることも大切であると感じます。

 5.専業主婦がしたい人もいる

 日本は、専業主婦がまだ存在するという話をすると、「そんな国に住みたかった」という率直な感想を口にする同僚もいます。少し、最初にも書きましたが、家にいたい人、仕事をしたくないと思っている人ももちろんいます。そうした人たちは、自分の中で折り合いをつけて、生活していくのに必要なだけのお金を稼ぎ、人生を謳歌している人もいるし、こういう国なので、学生に戻って勉強をしてみる人もいます。そこでも語られるのが、税金だからなあという話で、常識がある方たちは、無駄に税金を使わないという話はされますし、ちゃんと働いて税金を納めて、国に貢献しようという話もよく聞きます。

6.戦うスウェーデン女性たち

 その昔は、隣の農場の娘と結婚させて農場を広げていたとか、いわゆる政略結婚もあり、子どもは女より男の方がいいと言われていた時代もあったスウェーデン。「スウェーデンは世界で一番女性に優しい国らしい」という話をすると、スウェーデン人女性たちは、冷静に、「それは、育児休暇や子どもの看護休暇などの制度の面よね」といいます。スウェーデン女性たちは、力強く、「今のスウェーデンがあるのは、多くの女性が頑張って勝ち取ったもので、昔に比べればよくなったけど、まだまだ改善すべきところは多い」と話します。男性にできることは女性にもできると、常に思って努力しており、この根性と気持ちが大切なのだと感じさせられます。誰かが作ったわけではなく、スウェーデンの女性たちが作ったのが今のスウェーデンで、そこには、専業主婦という選択肢はなく、男女ともに働いて税金を納め、国を支えるという女性の強い姿勢があります。



今回は、 2009年5月13日、7月13日、10月19日の過去のブログをリライトしています。



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