2022年12月26日月曜日

世界で最初に性教育が取り入れられた、スウェーデンの性教育最新情報2022年版!

教員組合のウェブ講演会での内容が、すごくよかったと教職員間で話題になっていたので、期限が切れる前に見て勉強しておこうと思いました。その内容を記録して、皆様と共有できればと思います。

スウェーデンの性教育最新情報2022年

1.性教育と呼ばなくなった、スウェーデン

スウェーデンでは、「性教育」という言葉は既に使われていません。2022年7月1日より、

「Sexualitet, samtycke och relationer:セクシャリティー、同意と関係」

に変更になっています。それまでは、もう少し日本の「性教育」に近い名称「Sex / och samlevnad」が用いられていました。この名称変更は、カリキュラムの改定とともに行われました。数年前から、この改定に向けていろいろと動きはあったのですが、実際に変更となると、現場でも戸惑う部分はもちろんありました。

2.「同意」の難しさ

「同意」というと「はい、いいえ」と「どちらでもない」という選択肢で話がされそうですが、子どもや若者は、その「はいといいえ」の持つ意味や、結果までを理解しているか、決定をする自分を理解しているかなど、様々な問題があるという話が、まずは、印象的でした。

 話をされた方は、「Kalle Norwald」さんという性の専門家の方でした。彼が出した本がこちらです。

この表紙の絵にも意味があるそうで、「この話は、話せるのか、話せないのか、赤信号なのか、黄色信号なのか、自分の中でどうなのか」と振り返る、そういう意味合いもあるという話とともに紹介され、教師でも生徒でも、この話はしてもいいのか、ちょっと嫌なのか、正直になることは重要であると思います。私もスウェーデンで教えてきて、この自分の中で話せるか話せないかの判断をすることは重要だと思っていて、話せないと感じることは、正直に生徒に「今は話せない、今度ちゃんと準備してから話します」と話すようにしていますし、いいたくないことは、「話したくないので話しません」といいます。ここにも「同意」とは何なのかということを考える基盤があるなあと思って聞いていました。

3.なぜ、SEXを時間割にいれるのか(学校で教えるのか)?

なぜ、学校で教えるのか、もうこれは、まずは何といっても「知識を与える」に限ります。知識は何物にも代えがたい宝となります。彼も面白おかしく、生徒たちはとても知りたがっていると。うん、そうなんです、生徒たちはとても知りたいけれど、誰に聞いていいのかわからない場合も多いし、聞きにくい内容だからこそ、学校で教える意味があります。

二つ目は「自尊心が強化される」と。自尊心が高まれば、精神的に健康に過ごせる若者が増え、大人も増えていきます。わかりにくいことやいいにくいことを、どんなふうに言葉で表現するとよいのかを学ぶことによって、生徒たちは、言葉を習得していき、より良い表現ができるようになり、自分と物事に対する意識を育てることができます。ご存じのように「言葉は力」になります。

そして、この自尊心をしっかり育てていくことで、「若者たちの将来と現在の人との関係づくりに寄与」することができると続けます。そして、偏見を減らし変えていくことができるというのも、学校で教えることの大きな意味であると思います。

4.1955年に世界で最初に性教育を取り入れたスウェーデン

タイトルにも書きましたが、性教育を取り入れた最初の国は、スウェーデン。1955年に始まり、長い歴史が今を作り上げています。この1955年のときから、性教育は様々な教科の中で取り入られるべきであるとされてきました。日本から、時々、性教育の授業を見たいというご連絡をいただきますが、実は、とても難しい。性教育という授業があるわけではなく、歴史、生物、価値教育、社会、家庭科、宗教などなどの教科の中で様々な形で教えています。その昔の性教育は、スウェーデンでも「リスク」について教えることが多かったと。おそらく多くの方が納得されると思うのですが、いかに危険を回避するかということに焦点を当てた、リスクについての内容が中心だった時代があります。


講演の内容はまだまだ続きますが、ここでまずは、第1回を終わりたいと思います。続きは、「常識、何か普通なのか」という話から広がっていきます。


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