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8月, 2022の投稿を表示しています

緊急告知!今週末オンラインイベント登壇!

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  昨日8月18日に、新年度がスタートしました。今年は、学校外からの生徒の転入が私のクラスはなかったので、のんびりとした初日でした。そんな、新年度開始の週末に、こちらのイベントに登壇します!告知が少しおそくなりましたが、 「 植林をエンタメに!!第29回世界マグロプロジェクト 8月20日(土)21日(日)ツナがるオンラインイベント」  私は、8月21日日曜日の日本時間16時、スウェーデン時間朝9時より登壇し、 「医療・福祉・教育・社会がつながるスウェーデンの多様な学校の現場から~人間の権利、全ての子どもの権利が守られる社会をめざして」 というテーマで45分話をさせていただきます。本の内容や紹介と共に、なぜ、スウェーデンで教員をしているのかということや、特別支援教育に関わるようになったきっかけ、今後への思いなども含めて話をできたらと思っています。 参加費は、植林プロジェクトに寄付されるこのイベント、本当に興味深い様々な分野で活躍する人の話を聞くことができます。是非、ご参加ください!

スウェーデンの学校の年度始めとは:ストックホルム公立学校2022/2023年度版

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 この投稿は、旧ブログと過去投稿の年度始めの投稿をリライトして投稿しています。 2022年7月16日に、初の単著「 医療・福祉・教育・社会がつながるスウェーデンの多様な学校~子どもの発達を支える多職種協働システム 」を刊行。是非ご一読を😊  木曜日に新年度が始まりました。ストックホルム市の公立学校は、たいていの場合、新しく採用された先生は10日にイントロダクションがあり、11日が全職員のスタートで、来週の木曜日18日より生徒が登校します。過去の投稿を読みながら、こんなことを新年度に思っていたんだなあと振り返っています。ということで、今日は、スウェーデンの学校の年度初めについてです。 2か月の夏の休暇明けの職場とは  例年の投稿を読むと、やはり2か月弱も休むと、仕事開始の前は憂鬱になり、始まると、身体が慣れるまで大変でとあります。仕事が始まる憂鬱さは、ここ数年はあまりなくなりました。同僚の先生が話していたけど、仕事が始まるとみんなに会えるというのが楽しみと。私も同感で、毎日会っていた同僚たちに、2か月全く会わないので、こうして休み明けに会えるのは本当にうれしく思います。 校長の色が出る新年度の幕開け  新年度の内容には、校長の色ともいえる、願い、教育への思いが出ると感じます。勤務した学校数はあまり多くないのですが、校長は変わっているので、結構な数の校長と働いてきました。校長がどんなふうに新年をキックオフするかは、大変興味深いです。  初日の朝は、ホールでウェルカムサンドイッチとコーヒータイム。全職員が自由に話をしてお茶を飲む時間がありました。久しぶりに会う同僚たちとあいさつをして雑談で開始しました。その後、校長の新年度に当たっての話を聞きました。5年目の今年は、今までの4年間を振り返り、どんな風に学校が成長と発達を遂げてきたのかという話を聞きました。彼女の学校への思いが伝わり、素晴らしい話でした。やはり、リーダーというのは、ビジョンを明確に伝えられるかというのが重要だなあと思いました。休憩を挟んで、各学部に分かれて話が続きました。支援学校は、新任の副校長が着任したので、彼女の話を聞き、組織についての話がありました。午後は、引き続き、各学部での会議があり、全体会議、クラス会議、教員の会議(アシスタントはアシスタント会議)とありました。 ストックホルム最高の夏日に、キッ...

2か月弱の夏の休暇でも、なり手がいないスウェーデンの教員不足問題

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 この投稿は、旧ブログの教員不足問題に関する投稿と共に、新たに書いて投稿しています。 2022年7月16日に、初の単著「 医療・福祉・教育・社会がつながるスウェーデンの多様な学校~子どもの発達を支える多職種協働システム 」を刊行。是非ご一読を😊  教員のなり手がいない、担任なしで4月スタート、教員採用試験の倍率が過去最低といった声が日本から届きます。「 解説!スウェーデンの学校の先生の労働環境~8週間弱の夏の休暇の秘密 」だけ読むと、教員はさぞかし人気のある仕事だろうと思われた方もいるかもしれません。しかし、スウェーデンも日本と同様に、教員のなり手がいない、教員不足の国です。教員のなり手の減少は、おそらく世界的な流れではないかと想像しており、その要因は様々なものが考えられると思います。今日は、旧ブログの教員不足に関すると投稿と共に、2022年夏のスウェーデンの教員不足についてです。 スウェーデンの教員不足はいつから?  旧ブログを始めた時には、既に教員不足に関して書いていたので、2008年には報道されるほどの問題になっていたと思います。2010年の学校法改訂と学校改革により、教員免許制度が導入され、教員不足問題は、「教員免許有資格者不足」というより明確な問題となり、現在の日本の状況に似ていると思います。 なぜ、スウェーデンで教員は人気がない職業なのか?  複数の理由があると思います。スウェーデンでよく言われる理由を以下にまとめます。 スウェーデンで教員になっても儲からない、もとが取れない。 スウェーデンでは、大学の授業料は無料ですが、学生は、生活費や教科書代などを学生支援金と共に、学生ローンを組んで自分で支払います。18歳になると成人となり、基本的に親が面倒を見るということはなくなる文化です。教員はプログラムにもよりますが、3年半から5年半かかり、その間に背負うことになるローンに見合うお給料が、先生になってももらえないという状況でした。同じくらいの期間学ぶ、例えばエンジニアとか法律家に比べると格段にもらえるお給料が少なかったのです。今は少し改善されています。 労働環境が厳しい 。夏の休暇は長く素晴らしいのですが、学期中の労働環境は厳しく、事務仕事も増え、成績や評価、特別な支援や付加的調整、保護者対応、いじめや差別、不登校などへの対応など、勤務時間内に仕事を...

ジェンダー教育を行う、スウェーデンの幼稚園・保育園

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  この投稿は、旧ブログの2009年6月25日のものをリライトして、再投稿しています。 2022年7月16日に、初の単著「 医療・福祉・教育・社会がつながるスウェーデンの多様な学校~子どもの発達を支える多職種協働システム 」を刊行。是非ご一読を😊  私は、スウェーデンの就学前学校( スウェーデンの学校システムについてはこちらを )で、3年ほど幼稚園教諭として働いていました。もう10年以上前の話です。その時に見学した就学前学校の写真を紹介します。同僚たちと夕方18時とかにストックホルム郊外の園に見学に行ったことを思い出します。  その当時は、 「Genuspedagogik」という「ジェンダー教育」 が注目されており、それを見学研修に行きました。 掲示で、ジェンダーに対する考え方や、子どもたちへの思いなどが書かれていました。 壁の一面に棚がとりつけられており、そこにありとあらゆるおもちゃが写真と共に整理して並べられていました。おもちゃの中には、お人形から、レゴまでなんでもあり、男女を意識させないように、同じ箱にいれられていました。  これを、昼食後の休み時間になると、まず、お話を読む休憩時間があり、その後、写真をつかって、どれで遊ぶかを決めさせているそうです。その際に、 昨日遊んだものとは遊ばないように、 だれとあそぶか、 一度決めた遊びは、少なくとも一定の時間は遊び、後片付けもさせている。 ということでした。こうしてシステム的に行うことによって、女の子も車で遊び、男の子も人形で遊ぶことが1週間のうちにあるということでした。 この幼稚園、環境教育、算数、言語にも力をいれていたし、幼稚園の中もかなりくふうされていました。そんな写真も順番に公開していこうと思います。 写真の棚に並んでいるのは、 月曜日から、金曜日の箱 です。昼食前のサークルタイムのときに使います。それぞれの箱にテーマに沿った歌や手遊びなどが、それを象徴するものと共に入っています。 さっきの棚の下が、こんな風に各分担、(日本で言う係りのようなものですね。)の掲示になっていました。そこに今日の子どもの写真をはっていくようです。   こんな袋やヨーグルトの容器を再利用した、サークルタイムで使うお話や歌の人形などが入ったものもありました。子どもは同じものを何度も聞いたりやったりするのが好きな...

解説!スウェーデンの学校の先生の労働環境~8週間弱の夏の休暇の秘密

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この投稿は、旧ブログの2010年4月2日と2012年6月1日のものを更新して、再投稿しています。 2022年7月16日に、初の単著 「医療・福祉・教育・社会がつながるスウェーデンの多様な学校~子どもの発達を支える多職種協働システム」 を刊行。是非ご一読を😊  8週間弱(7週間と6日)あった夏の休暇も、残り2日半になりました。ということで、今日は、スウェーデンの学校の先生の労働環境を解説!8週間弱の夏の休暇編です。  今日解説するのは、スウェーデンで私のように 「先生」 をしている人に適応される労働形態の話になります。学校で働いていても、教員ではない場合は、雇用形態が異なります。 1.スウェーデンの教員の雇用形態  スウェーデンの教員で最も一般的な雇用形態は、 「Ferieanställning (フェーリエアンステルニング=ホリデー雇用」 です。この雇用形態は、基礎学校と高校の先生のように学校がある学期中に仕事が集中する職業に適応されます。公立の学校の先生は一般的にこの雇用形態ですが、民営の学校の先生や先生以外の学校で働く人の雇用形態は、スウェーデンの労働者の主流である「Semesteranställning (セメステルアンステルニング=休暇雇用」の場合が多いです。 2.基本週45時間労働をするスウェーデンの先生  具体的な労働時間は、 週45時間 労働をしています。(スウェーデンのフルタイムは、週40時間。職種によって組合と雇用主の合意で、40時間以下の場合もあり。)教員は、このフルタイム労働を年度(8月10日くらいから1年間)で計算し、 年間1767時間 働きます。(組合の合意によって多少差がありますが、1800時間は超えません。)この、1767時間を、最高194日(1年)で働きます。 1767時間のうち、1360時間は学校で仕事をする決められた労働時間、授業時間や会議、準備などで週35時間が一般的です。このうち、月1回程度で入る全職員会議が夕方にあるので、この時間を除いて、34時間くらいになっている場合が多いと思います。  残りの407時間は、週に換算すると10時間を少し切るくらいになり、教員が家や学校などで、好きなように使える労働時間となります。この労働時間の内容は、何をどこでいつしたか、 報告義務は無い(管理職は聞いてもいけない...

平和を願う8月6日、原子爆弾から生き延びた「被爆アオギリ」の歌

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  この投稿は、2015年8月6日のものを更新して、再投稿しています。 2022年7月16日に、初の単著 「医療・福祉・教育・社会がつながるスウェーデンの多様な学校~子どもの発達を支える多職種協働システム」 を刊行。是非ご一読を😊    今日は8月6日、77年前の今日、広島に原子爆弾が投下されました。私がスウェーデンで初めて働いた特別支援学校は、広島県の西条特別支援学校と姉妹校のプロジェクトをしました。詳しい内容は 「スウェーデンと日本の特別支援学校の姉妹校プロジェクトを振り返って」 をご一読ください。このプロジェクトは、広島県内の全ての県立高校が外国に姉妹校を持ち、交流を行うというプロジェクトでした。スウェーデンと姉妹校になったのは、西条特別支援学校と私の学校、エレブロにある高校の福祉科も姉妹校になったそうです。  姉妹校プロジェクトを行うまで知らなかった、 「被爆アオギリ」 という木について、姉妹校プロジェクトの中で教えていただきました。77年前の被爆にも負けずに生き残った木々の中の代表だそうで、平和公園内、原爆資料館東館の北側にあります。このアオギリの樹から、広島県内の学校に苗木が渡されるそうで、西条特別支援学校にもこのアオギリの樹がありました。希望をすると苗木がもらえるようで、修学旅行などで訪れた日本中の学校や世界にも渡されているようです。  このアオギリの樹のそばで聴ける歌が、「アオギリの歌」です。  歌は、2000年に広島市のミレニアム記念事業として「広島の歌」を公募し、小学3年生だった森光七彩さんが作詞作曲したそうです。  「アオギリの歌」 電車にゆられ 平和公園 やっと会えたね アオギリさん 小学校の校庭の木のお母さん たくさん たくさん たね生んで 家族が増えたんだね よかったね 遠い昔のきずあとを 直してくれる アオギリの風 遠いあの日のかなしいできごと 資料館で見た 平和の絵  いろんな国の 人々や  わたしが みんなが 考えてゆく広島を 勇気をあつめちかいます 争いのない国 平和の 灯 遠い昔のできごとを わすれずに思うアオギリの うた これから生まれてゆく広島を大切に 広島の願いは ただひとつ  世界のみんなの明るい笑顔  広島の学校と姉...

発達と学びの権利を守る、スウェーデンの特別支援学校とインクルーシブ教育

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この投稿は、旧ブログのインクルーシブ教育に関する投稿の中の特別支援学校に関連した内容をまとめて、リライトし、再投稿しています。 2022年7月16日に、初の単著 「医療・福祉・教育・社会がつながるスウェーデンの多様な学校~子どもの発達を支える多職種協働システム」 を刊行。是非ご一読を😊 「 スウェーデンのインクルーシブ教育(2017年) 」の投稿に続き、「スウェーデンの特別支援学校とインクルーシブ教育」について書きます。 1.入学が厳しいスウェーデンの特別支援学校   スウェーデンでは、特別支援学校が一つの学校形態となっています。 「 スウェーデンの学校教育システム 」はこちらの投稿を是非。この特別支援学校の対象児童生徒になることは、大変難しくなっています。これには、移民や難民でスウェーデン語が十分に話せないといような「間違って、支援学校にいれられた生徒」が増えた時期があり、現在のように入学が厳しくなりました。 入学するには、以下の4判定とともに知的障害の判定があり、初めて、特別支援学校対象児童生徒になり、 入学することが可能 になります。 医師による医療判定 心理学者による心理判定 社会福祉士などによる社会判定 特別支援教育士などによる教育判定 重要なのは、 「 入学しなければいけない」 ということではなく、 「特別支援学校に行く権利」 を与えあれることになります。親の希望が優先されるので、特別支援学校対象児童生徒であっても、基礎学校で、支援学校のカリキュラムに沿って学んでいる子どももいます。 2.「分離統合型」のスウェーデンのインクルーシブ教育   スウェーデンの知的障害は、 知能指数70で判定が出ます。この知能指数70が分け目となり、 特別支援学校と基礎学校(普通学級)に児童生徒を分けています。 どんな障害を持っていても、知能指数が70を越えると基礎学校で学び、知的な障害がない、自閉症や肢体不自由、視覚障害などの子どもたちは、全て基礎学校で必要な配慮や支援を受けて学びます。  私は、このスウェーデンのシステムを 「分離統合型インクルーシブ教育」 と呼んでいます。知能指数70で「分離」して、「統合」する教育というふうに説明しています。 スウェーデンの特別支援学校は、2011年の学校法の改訂に基づき、現在のように 特別支援学校に通える条件に必ず知的障害があること...

本で知ることができない、スウェーデンのインクルーシブ教育とは【2017年版】

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この投稿は、2017年2月26日と27日 のものを更新して、再投稿しています。 2022年7月16日に、初の単著 「医療・福祉・教育・社会がつながるスウェーデンの多様な学校~子どもの発達を支える多職種協働システム」 を刊行。是非ご一読を😊   このブログで、最も多くの方が読んでくださった投稿の一つが、この「スウェーデンのインクルーシブ教育」についてです。今の情報に書き直すのも一つかなと思ったのですが、インクルーシブ教育の変遷として、この投稿をオリジナルで残しながら、読みやすい形に直し、「2017年」とタイトルに入れることにしました。情報は、2017年現在のものになります。最新の2022年情報も今後新たに投稿したいと思います。 1.スウェーデン語のインクルーシブ教育とは  スウェーデン語で、インクルーシブ教育のことを 「Inkludering(インクルデーリング)」 と呼ぶのが一般的です。インクルーシブ教育の行われている学校を「Inkluderande skola(インクルデーランデ スクーラン)」と呼んだりします。 2.スウェーデンのインクルーシブ教育の定義とは  どんな学校のことをインクルーシブ教育と呼ぶかというと、 2013年に出された特別支援教育専門機関 によれば、 様々なレベルでの帰属感、共通意識がある たった一つのシステムであること(「普通の」生徒と「そうでない」生徒に分けたシステムでないこと) 共通、同等の民主主義があること 生徒たちの参加があること 「違い」が良いものとして捉えられていること とあります。 上記のことが普通のこととして行われている学校がインクルーシブ教育を行っている学校ということになります。 3.スウェーデンの学校はインクルーシブ教育を行っているの?  実際にスウェーデン中がこういう学校なのかというと、「そうです」と即答できない難しさがありますが、スウェーデンのインクルーシブ教育は、 一人一人の子どもが持っている能力を最大限に伸ばすことができる、学びと発達の権利を保障したインクルーシブ教育の形 であると思います。しかしながら、特別支援学校があり、知的障害があるかないかによって分離されたうえで、親の希望により、基礎学校の学びが提供されていることや、特別学校という聾・聾重複の学校がある(盲学校はない。)ことにより、...

スウェーデンの学校教育システム

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  もう何年も放置しておいた旧ブログの記事を読み直し、保存するものは保存し、消去するものは消去し、情報が古いものも多いので、これからリライトして、少しずつ再投稿していこうと思います。旧ブログをやっと消去できました。読み返し、基本的なこと、スウェーデンの学校教育システムについて書かれていないと気付いたので、今日はスウェーデンの学校教育システムの概要を書きます。 すっきりとしたスウェーデンの学校教育システム  スウェーデンの学校教育システムは、わかりやすく、すっきりとしています。大きく以下の5つにわけることができます。以下の図が、学校局が出している教育システムの図を私が訳したものになります。 就学前教育・幼児教育 義務教育と学童保育 高等教育 後期高等教育 成人教育 1.就学前教育・幼児教育  日本の幼稚園・保育園・こども園などに当たる就学前の教育機関として、「Förskola「フォースクーラ)」と呼ばれる「就学前学校」があります。スウェーデンは、幼保一元化を行っており、就学前の教育、幼児教育として、「教育と保育」、「Educare (エデュケアー)」を行っています。1歳から通うことができ、90%以上の子どもが通っています。民営、公立、共同体運営などに加えて、少人数の子どもを家庭で預かるというのもあります。 2.義務教育と学童保育  義務教育は、図の中央に5つの建物が並んでいるところになります。横に併設して学童保育があり、各学校に学童保育があります。義務教育の学校形態は4つあります。(就学前クラスは基礎学校に形態としては含まれます。)ホームスクールは認められていません。 就学前クラス:0学年と呼ばれる6歳児が通う6歳児教育を受けるクラス 基礎学校:日本の小中学校1年から9年 特別学校:聾・聾重複児が通う、手話とスウェーデン語で学ぶ学校 サーメ学校:先住民族サーメ族のサーメ語を学ぶことができる学校 基礎特別支援学校:日本の特別支援学校に当たる、知的障害がある生徒が通うことができる学校  義務教育は、就学前クラスの1年とその後の9年間で、合わせて10年です。これらのどの学校にも、12歳までの子どもを対象にした学童保育があります。スウェーデンでは、手話は一つの言語として1981年に認められています。特別支援学校への入学には、以下の4判定による知的障害の判定がないとは入...

スウェーデンと日本の特別支援学校の姉妹校プロジェクトを振り返って

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2022年7月16日に、初の単著 「医療・福祉・教育・社会がつながるスウェーデンの多様な学校~子どもの発達を支える多職種協働システム」 を刊行。是非ご一読を😊 この投稿は、旧ブログと現ブログの姉妹校プロジェクトの投稿をまとめて、再投稿しています。  私が最初に働いていたストックホルム郊外の公立特別支援学校は、日本の広島県東広島市の 西条特別支援学校 と姉妹校でした。プロジェクトは、2012年から2015年までの3年間、その後もやりとりが続いています。今回はそのプロジェクトについてです。 1.どうやって、スウェーデンと日本の特別支援学校が姉妹校になったの?  きっかけは、なんと、このブログだったんです。時は遡り10年前の2012年に、 このブログを読んで下さっていた方(二人も!)が、「日本の国立特別支援教育研究所」が現地調査員を探しているというメールをわざわざ下さりました。私は、その調査員には条件が合わず、ならなかったのですが、スウェーデンの特別支援教育に関しての情報提供をさせていただきました。その時に、特別支援教育研究所のほうに日本の特別支援学校から、 「海外での姉妹校を探してるので紹介してほしい」 と連絡があったのです。その時に「日本人が働いている支援学校ありますよ。」と、私の働いている学校と他何校かを紹介したのです。広島県は、県内の全ての公立高等学校が海外の学校と姉妹校を持つというプロジェクトを3年で立ち上げたところでした。日本人がいるならと、西条特別支援学校と私の学校の姉妹校の話がトントン拍子で進みました。これが、2012年4月のことでした。懐かしい! 2.どうやって準備をすすめたの?  準備は、主に私が日本語でやりとりをして、進めました。調印式や本格的な交流は、夏休み明けの新年度からだったので、まずは、お互いの学校を知ることができるようにと、日本からDVDで学校の様子などが届き、同僚や生徒たちがそれを見て姉妹校プロジェクトが始まるんだという実感を持ってもらいました。この当時の職場には、音楽療法の先生、ICTの先生、理学療法士の先生が、各クラスの担任以外にいたので、主に彼女たちがこのプロジェクトの中心となって私といろいろと準備をしてくれました。 3.プロジェクトのスタートは?  2012年8月から始まった姉妹校プロジェクト。日本の西条特別支援学校から校長先生...

スウェーデンの障害者のデイケアセンター・就労施設施設・作業所②

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  この投稿は、旧ブログ2013年7月14日のものを更新して、再投稿しています。 2022年7月16日に、初の単著 「医療・福祉・教育・社会がつながるスウェーデンの多様な学校~子どもの発達を支える多職種協働システム」 を刊行。是非ご一読を😊  先日「 スウェーデンの障害者のデイケアセンター・就労支援施設とは 」を投稿しました。同じような施設の投稿が、旧ブログにあったので、こちらにリライトして紹介します。  2013年に同僚たちと見学に行った、このデイケアセンターは、軽度、中度の成人の障害を持った方がたくさん働いていました。この施設は、移転して今も残っていますが、木工の部分は移転と共になくなってしまい、残念です。移転してからも、一度見学に行きました。場所は、市の中心部で駅のそばなので、前の片田舎より立地はよくなっていました。  通っている人々は、毎日出勤してくる人、週に数回来る人、決まった日に出勤する人と様々です。 外観はこんな感じ。田舎の広い敷地に平屋の建物が建っていました。 反対側は、庭。置いてあるベンチなどは、ここで作られたものがほとんどでした。 玄関から中に入ると、壁には、1日の大まかな流れが書かれており、その横に様々な新聞記事がはられていました。この作業所は、仕事のほかにクラブ活動ではないのですが、オペラや劇を毎年練習して発表しており、その様子が張られていました。   そして、広い休憩室がありました。 次の部屋は、更衣室でした。こちらもゆったりとした作りになっていました。写真は、男性用の更衣室の様子です。女性用の更衣室はもっといろいろ飾りがあって女の子という感じのする更衣室でした。ここで、作業着に着替えてから仕事に移ります。男性用更衣室の向かい側にあったのが、この部屋です。 こちらは、ゆっくりとするために作られている部屋で、マッサージも受けられます。前のデイケアセンターには、タクティールを受ける部屋があったのですが、マッサージ器があるところも多くあり、人気があるようです。 いよいよ仕事の様子を見ていきます。 広い作業所に入り、まずめについたのがこちら。一人一人の仕事の日程表です。それぞれの1日の仕事の流れが写真などを利用してとてもわかりやすく表示してあります。下に数多くの写真が丁寧に整理してあります。こういった写真での表示は自立...