この投稿は、旧ブログ2013年7月14日のものを更新して、再投稿しています。
2022年7月16日に、初の単著「医療・福祉・教育・社会がつながるスウェーデンの多様な学校~子どもの発達を支える多職種協働システム」を刊行。是非ご一読を😊
先日「スウェーデンの障害者のデイケアセンター・就労支援施設とは」を投稿しました。同じような施設の投稿が、旧ブログにあったので、こちらにリライトして紹介します。
2013年に同僚たちと見学に行った、このデイケアセンターは、軽度、中度の成人の障害を持った方がたくさん働いていました。この施設は、移転して今も残っていますが、木工の部分は移転と共になくなってしまい、残念です。移転してからも、一度見学に行きました。場所は、市の中心部で駅のそばなので、前の片田舎より立地はよくなっていました。
通っている人々は、毎日出勤してくる人、週に数回来る人、決まった日に出勤する人と様々です。
外観はこんな感じ。田舎の広い敷地に平屋の建物が建っていました。
反対側は、庭。置いてあるベンチなどは、ここで作られたものがほとんどでした。
そして、広い休憩室がありました。
こちらは、ゆっくりとするために作られている部屋で、マッサージも受けられます。前のデイケアセンターには、タクティールを受ける部屋があったのですが、マッサージ器があるところも多くあり、人気があるようです。
いよいよ仕事の様子を見ていきます。
黄色のグループ、青のグループと色で分けられており、それぞれのグループに顔写真とともに日程が表示してあります。確かグループは6グループくらいあったと思います。朝の仕事開始には、簡単なはじめの会があり、グループごとに職員とともに1日の流れを確認し、仕事に入ります。
この作業所ではこんなお仕事をしていました。
ねじを決まった数、ケースに入れていきます。デジタルのはかりで重さを読み、決まった数を中に入れていきます。このねじの入ったケースをまた箱に詰める仕事もあります。スウェーデンのスーパーマーケットの広報誌を分別する仕事です。広報誌を郵送して、所在地不明などの理由で戻ってきたものを一括でこの作業所に送られてきます。それを一つ一つビニールの部分と中の紙の部分に分けていきます。そして、分類したら次はこっちに持っていきます。
こういった分別の仕事をいくつか請け負っているようです。例えば、会社でいらなくなった書類などのファイルが送られてきて、それを一つ一つファイルから外し、プラスチック、ビニール、紙と仕分けしていました。
作業所にはもちろん、本格的な分別コーナーもありました。スウェーデンらしいなあと思います。環境意識の高い国民だからこそ、こういった作業所が生まれるのでしょう。働いていた方たちは、とても楽しそうに一つ一つやっていました。
こんなお仕事もしていました。とある会社からの依頼出そうです。オレンジのビニールを決まった長さに切り、その中に黒いブラスチックのものを入れていくというような仕事でした。決められた数を袋にいれて、シールをはってと手間がかなりかかっていました。この作業をしていたのは、年代もかなり上になる方で、とてもやりがいを感じているという話をしてくれました。
今はなくなってしまった木工の部分です。
ちょうど仕上がったというテーブル。大きさなども希望に応じて作っていました。市内の学校などの外用の椅子やテーブルはよくここからきていました。細かいものもたくさん作っていました。値段がお値打ちなこと、仕事が丁寧なこともあり、ここの製品は人気がありました。
この作業所は、この他に、いろんなものを運ぶ運搬係のようなグループもありますし、広報新聞も作っています。
こちらがランチルームです。毎日当番制でお茶の時間の準備をすることになっているそうで、午前と午後にお茶の時間がありました。これもスウェーデンらしいです。このランチルーム以外にもう一つ、小さめの部屋もありました。そちらは、こういった広い場所で食べることが苦手な方のためのものです。椅子の足下を見てください。テニスボールがついています。障がい者に関わっている方ならご存知の通り、音に敏感な人が多いですから、こういったちょっとした工夫は大切です。テーブルにかかっているナイロンのテーブルクロスも実は2重になっています。音を響かせないように中にフェルトみたいなものをしき、その上にビニールのテーブルクロスをすると、食器などの音が緩和されます。
そしてランチルームの工夫はこちらも。
ぼやかした写真ですが、持ってきた昼食を電子レンジで温めて食べることの多いスウェーデン。電子レンジがいくつも並んでいます。そして、その上には、この電子レンジを使う人の写真と名前が表示してあります。これにより、混雑を緩和し、また、どこで何をするか明確にすることにより、自立を促します。ちょっと工夫ですが、あるかないかでは大違いです。至る所にそんな様子の見れるデイケアセンターでした。
こういった作業型のデイケアセンターは、楽しそうに働いている人が多い印象を受けます。誰かに必要とされ、毎日することがあるというのは、重要なことなのだと思います。私の同僚は、その昔この中の何人かの方を生徒として受け持っていたことがあり、とても懐かしそうに再会を喜んでいました。そして、彼女が、昔では今のような自立した様子は考えられなかったと話してくれました。適切な場所で適切な援助があれば、多くの人はやっていけるのだろうと思います。
最後に、ここで働いても決して食べていけるだけのお給料は出ていません。いくらかのお給料は出ていますが、あまりにも低い金額で、通っている障害のある方が、市と交渉してあげてもらっても、1日20クローネあるかないかです。しかしながら、税金の福祉のお金で既に生活をしていて、福祉のデイケアセンターに通う彼らは、法律の中では、仕事として通っているわけではないので、お給料というのは出ない仕組みになっています。こうしたところ、スウェーデンの福祉制度は、きっちりしていると感じることが多くあります。
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