2022年8月8日月曜日

解説!スウェーデンの学校の先生の労働環境~8週間弱の夏の休暇の秘密

この投稿は、旧ブログの2010年4月2日と2012年6月1日のものを更新して、再投稿しています。


 8週間弱(7週間と6日)あった夏の休暇も、残り2日半になりました。ということで、今日は、スウェーデンの学校の先生の労働環境を解説!8週間弱の夏の休暇編です。

 今日解説するのは、スウェーデンで私のように「先生」をしている人に適応される労働形態の話になります。学校で働いていても、教員ではない場合は、雇用形態が異なります。


1.スウェーデンの教員の雇用形態

 スウェーデンの教員で最も一般的な雇用形態は、「Ferieanställning (フェーリエアンステルニング=ホリデー雇用」です。この雇用形態は、基礎学校と高校の先生のように学校がある学期中に仕事が集中する職業に適応されます。公立の学校の先生は一般的にこの雇用形態ですが、民営の学校の先生や先生以外の学校で働く人の雇用形態は、スウェーデンの労働者の主流である「Semesteranställning (セメステルアンステルニング=休暇雇用」の場合が多いです。


2.基本週45時間労働をするスウェーデンの先生

 具体的な労働時間は、週45時間労働をしています。(スウェーデンのフルタイムは、週40時間。職種によって組合と雇用主の合意で、40時間以下の場合もあり。)教員は、このフルタイム労働を年度(8月10日くらいから1年間)で計算し、年間1767時間働きます。(組合の合意によって多少差がありますが、1800時間は超えません。)この、1767時間を、最高194日(1年)で働きます。

1767時間のうち、1360時間は学校で仕事をする決められた労働時間、授業時間や会議、準備などで週35時間が一般的です。このうち、月1回程度で入る全職員会議が夕方にあるので、この時間を除いて、34時間くらいになっている場合が多いと思います。

 残りの407時間は、週に換算すると10時間を少し切るくらいになり、教員が家や学校などで、好きなように使える労働時間となります。この労働時間の内容は、何をどこでいつしたか、報告義務は無い(管理職は聞いてもいけない)ので、自由に使えます。必ず、週10時間しなくていけないということはなく、年間で407時間することが重要なので、繁忙期に集中してもよいです。私は、朝早く職場にいって、この時間を利用して集中的に仕事をし、残りを繁忙期に使用するようにしています。


3.スウェーデンの先生の休暇

 上記のように週45時間労働を基本とした年間労働時間で決まっていることにより、以下の休暇がスウェーデンの教員にはあります。

秋学期:秋休み2日が一般的、クリスマス休暇、約3週間弱

春学期:スポーツ休暇5日、イースター休暇、4日、夏の休暇、7週間から8週間

これらの日数は、その年の祝日やイースターの日程などによって変わってくるのですが、時間数はきっちり数えられます。日数にすると土日祝日を含めて、年間171日休みます。

 あと、こうした休暇には、基本的に学校からの連絡はなし、仕事はしないのが普通です。例外は、誰かが亡くなったとか緊急対応事案があった場合です。また、407時間は年間での時間なので、こうした休日に自分で勉強することに充ててもいいことになっています。


4.お給料について

 お給料は、月いくらとなっていて、そのお給料が夏の休暇中も出ます。もらう金額は同じですが、明細書には、夏のお休みの間のお給料は、「Ferieanställning (フェーリエアンステルニング=ホリデー雇用」雇用分のお金と書かれています。もしも、年度途中で転職したりすると、それまでに働いて貯めてあった夏のお給料を一度にもらい、夏の間は(もしも先生として雇用されていると)お給料が減る、もしくはなしということもあるので、もらった分を取っておく必要があります。

 

5.スウェーデンの教員の雇用形態の欠点

 「教員です。」というと、「いいわねえ。休みが多くて。」と言われることがあります。しかしながら欠点もあります。

  • 学期中は、休みがとりにくい。例えば春に日本に2週間帰国とかはしにくい。
  • 学期中に休むと、夏のお給料にも同時に減る。
  • 海外旅行は常にハイシーズン(泣)
  • オーバーワークは自己管理で、交渉をしっかりとしないといけない。(「それはできない」と強く言う自己管理が必要。)

 

6.学校職員のそのほかの雇用形態

 スウェーデンの学校には、教員以外の職員もたくさんいて、上記の雇用形態は「授業をする人」だけしか基本的には適応されないので、そのほかの職種の人は以下のような雇用となります。そういった職種には、校長、副校長、学校看護士、学校社会福祉士、社会教育士、ICTの先生、学童教員、生徒や先生のアシスタント、ランチルームや清掃の人などがあります。


  • 「Semesteranställning(休暇雇用)」で週40時間労働で、年間最低5週間(年齢と共に増える)という雇用形態があります。この休暇雇用の人は、学期途中でも休暇を取りやすいので、校長や副校長は、年度スタートが落ち着いた10月とかに、外国言って遅い夏休みを楽しむ人もいます。就学前学校の幼稚園教諭などに多いのが、この休暇雇用で、週の労働時間が、週35-38時間勤務になっていて、週2-3時間の準備時間がついているというものです。基礎自治体や園で独自の合意を交わしている場合が多いです。
  • 週40時間労働で、毎月のお給料が95%くらいに少し減り、夏休みなどの長期休暇がすべて休みになるという労働形態もあります。学校で働く先生以外の職業で、学校と合意があると可能な雇用形態です。個人の選択で選べるので、同僚なんかをみていると、お給料が多少減ってでも、長く休みたいという人や、他の仕事を夏の間すると言う人などがうまく利用しているように思います。

7.正規雇用でフレキシブルに働ける%雇用

 どの雇用形態であっても、パーセンテージで働くことが可能です。子どもが小さいうちは、いわゆる時短労働の権利も認められており、50%、75%、80%などで働く職員は多くいます。このパーセンテージは、正規・非正規に関わらず可能であり、契約上はフルタイムでも一時的に80%で働くということも可能です。時間数などは、フルタイムをもとに計算するので、50%なら週20時間という風になります。また、病気をした場合に、こうしたパーセンテージを減らして復職する人も多く、その場合は、減らした分のお給料の約80%が保険庁から出ます。


8.労働組合が強いスウェーデン

 スウェーデンは労働組合が強いので、基礎自治体や職種などによって、これらの労働条件に多少違いが出ます。組合加入率も高く、私も教員組合に入っています。組合については、また別で書きたいと思います。


 スウェーデンの学校の先生の労働環境と雇用について解説しました!こんなスウェーデンの先生の労働環境ですが、先生になりたい人は少なく、先生は人気がない職業です。それでも、少しずつ労働環境や問題に対処してきて、足りない教員の数は少しずつ回復傾向にあります。そうしたことも、また書けたらと思います。


 最後に夏のスウェーデンの様子を!








 

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