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スウェーデンの来年の予算について思うこと

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先日、スウェーデンの来年の予算が出ましたね。新聞でもニュースでも大きく取り上げられていました。私は日本ですんでいたときよりも、スウェーデンに来てからのほうが予算について興味を持つようになりました。これって、税金だという気持ちが強いからでしょうか。  スウェーデンの大蔵省のトップは、 Anders Borg 。 「 できる人」 として名が高い。 首相の片腕としてスウェーデンの経済を支えている人物だろうと思う。今回の予算案は、今日の欧米社会、EU内にある経済的不安が大きく影響し、節約型の予算がたったようです。少し項目ごとに私が気になった点を見ていくと、 医療関係  今まで年間の医療費は 900kr だったのが、 1100kr になります。これは大きいかなあ。200krといえどもって感じです。薬の年間最高限度額もあがり、1800krから2200krになります。  私はこの制度を活用してきたので、ちょっと残念。子どものいない共働きの私たちが唯一税金の恩恵を受けているなあと感じていたのですけどね。まあ、物価が上がるんだから仕方がないとしていきましょう。ちなみに、私は、普通に薬局で買える薬も医者から出してもらっていました。全部ではないですけど。そうすると、薬の最高限度額に加わりやすくなるんですよね。いろいろ事情があって、病院通いをしていた私に活用価値がありました。今年は元気に暮らせるかな。 レストランの税金  これはかなり大きくニュースで取り上げられていました。外食すると、食べたものの割には値段が高いと感じるこちら、スウェーデン。食文化が日本ほど発達していないのもありますが、税金が高いのも大きな理由。この税金が半分になる模様。私がラジオで聞いた理由が面白いなあと思いました。それは、 「スパーで、レンジで暖めるだけの食事を買うと税金は約12%。同じものをレストランで食べると税金は25%。この不公平さをなくし。。。」 というもの。そうか、そういう風に考えればいいのかと思ってしまいました。この税金が下がることによる効果は不明といわれており、狙っている効果は、これによって外食の値段が下がるわけなので、外食する人が増え、レストランでの雇用が促進され、、、見たいな感じなんですが、心配されているのは、値段が下がることもなく、レストラン経営者が...

スウェーデン学校改革ー新たなる案

昨日、政府が 2億1600万円 の税金を学校改革に投入すると発表しました。期間は2012年。  スウェーデンの学校改革は引き続き行われており、2015年に教員免許などが本格的に動き出すころに合わせて、お金がどんどん投入されていきます。  今週の水曜日には、スウェーデン中のあらゆる場所で、教師のお給料や地位を上げろというデモが行われました。これ、切実なんです。おそらく、2015年に教員免許制度が本格始動始まるころには、教員不足で大変なことになるだろうと予測されるスウェーデン。教員の地位は落ちるところまで落ちているので、今ここで立て直さないと、大変なことに。  この問題を大きく受け止めている組合、なんとかしようと必死です。とりあえず、教員のお給料を10,000KRあげようと努力しています。1年ではなく、もちろんここ10年で。ま、この問題は何度も書いてきたし、根が深いのでこのあたりでやめて、今回政府が出してきた学校改革について書こうと思います。 1.教員免許をもっているけど、実際に教えている教科の免許はもっていない教師のために、そういった教員が不足している教科の免許を取れるように支援していく。 今までがいい加減だったので、多くの学校、とくに上の学年になればなるほど、無免許で教えている先生が多いので、それらの先生の中で、特に教員免許は持っている先生に対する援助をしていく模様。 こういった現役の教師を支援していくのは、基本だと思うのでいいと思う。今がんばっている先生方を有効に活用しない限りは、スウェーデンの教育は、よりいっそう問題をかかるだろう。。。 2.教員がこの職業でキャリアをつめるようにしていく。 これも大切だろうなあ。。。ここスウェーデンでは、キャリアを積むため、お給料をよくするために、何年かでキャリアアップを図っていくことが多いのですけど、これが、教員の場合あまりにも狭い。となると、少し教員をした人材が、全くほかの分野に流れてしまったりして、もったいないため、教員が教員としてキャリアをつめるようにしていくことはよいことだと思う。  実際の内容としては、 コミューンにお金が出る。これによって、教員のお給料をあげる。 講師の再導入。この講師とは、(lektor)ある教科を研究していて、エキスパートとなる人...

学校を訴える親が増えた

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スウェーデンには、 Skolinspektion という政府機関があり、(直訳すると、学校検査局とでもなるのでしょうか)、学校に関することを訴えることができます。  この訴えの件数がものすごく増えているそうです。件数をみていくと、 2003年 949件 2006年 1046件 2009年 1542件 半年では、764件 2010年 2260件 半年では、1357件 2011年 半年分で 1386件 ということです。これから見ても、2年前に比べて半年の件数を比べると、2009年が764件2011年ではすでに1386件と倍に増えています。 うちの学校でも、校長と副校長が訴えられた内容を検証するために奔走する姿がたまに見られます。特別支援学校のほうではあまりないのですが、小学校のほうではよくあります。また、実際に訴えられなくても、「訴えるぞ」みたいな話が出てくることもあります。 親の影響力が強くなり、子どもの教育に関心を持つのは大変よいことで、こうした関心が学校や教育の質を向上させていくのは事実です。 なので、これ自体が悪いとは思いません。 しかし、スウェーデンの状況は頭を抱える部分があります。 ここで、少し基礎知識を。スウェーデンでは、 学校選択を自由化 しています。これが問題を引き起こしている部分があるのです。学校選択といっても、選べるのは、割と大き目の町に住んでいる子供たちのみで、田舎に住んでいれば、そんなに選べる学校があるわけではありません。これに関してブログにも以前かいているので、参照を。 何で、これが問題かというと、何か問題がおきれば、学校を変わる子どもと、学校を変える親が多いのです。このため、 教員は、親が自分の子どものための授業を買うように授業を生産するようになってきているのです 。 その昔は、親が参加して学校の問題について話し合う機会があり、まあ、保護者会のようなものです。それにより、みんなでよりよい学校にしていくことができたのですが、今では、何か問題があれば、「じゃあ、学校変わります。」というような事態が。。。これでは、子どもによってもよくないし、学校にとってもよくないし、教師にとってもストレスです。 スウェーデンにも、荒れている、落ち着きのないクラスというのは、数多...

スウェーデンの数学教育が伸びない理由

スウェーデンの数学教育に多くの予算がかけられました。先日のニュースや新聞で大きく取り上げられていましたので、ご存知の方も多いかと思います。  スウェーデンの数学教育というと、私が知っている限り、あれではだめだろうなあというものでした。簡単に説明すると、 自主学習型の数学教育 といえます。教科書があり、それを個人でこなしていくという形の授業が主流で、自主学習といえば聞こえがいいが、数年で子どもたちの間の能力の差はものすごく広がってしまいます。たいていの教科書が、数学Aから始まり、B,C,Dとあがっていくのですが、同じクラスにAの教科書の子どもとDの教科書の子どもがいたりして、傍目に見ても大変だろうと思われる授業が展開されていたりします。 ただ、ここ数年数学能力の低下について大きく取り上げられ、また、スウェーデンの教育は、最低限度を教える形をとっているので、数学教育のあり方も徐々に見直され、少人数であったりするなど、多少の変化は見受けます。 教える側としては、この自主学習的な教科書主導の教え方だと、分かりませんと10人に手を挙げられたら最後で、授業は成り立たなくなるので、私は、あまり好きではありません。また、一度つまずくとその部分で数学が嫌いになってしまうのもネックだと思います。 これらの数学教育のあり方の影にあるのが、やはり、資格を持っていない先生が多いことが原因ではないかと私は個人的に思っています。教育法だとか教授法だとか教育実習だとか、教育課程ならではのものを学んでいない先生が数学を教えるとなると、それにあった方法になってしまうのではないかと。 これを裏付けるような恐ろしい数字が新聞(SVD20110830)に載っていました。 2005年の統計ですが、 高校の数学教師の有資格者(免許あり。)率は、35% 6年生から10年生まででは、          40% 1年生から5年生まででは、           64% これ、すごいかも。と思いました。子どもの年齢が高くなると資格者率が減っていくのは、おそらく、大学の理数系を出た人たちが、教育法などをあまり気にしなくてもいい若者相手に教えている結果かなと勝手に想像しています。 資格がないから、悪い先生とはいいませんが、それでも、教育方法などを学んで実習...