スウェーデンの数学教育に多くの予算がかけられました。先日のニュースや新聞で大きく取り上げられていましたので、ご存知の方も多いかと思います。
スウェーデンの数学教育というと、私が知っている限り、あれではだめだろうなあというものでした。簡単に説明すると、
自主学習型の数学教育
といえます。教科書があり、それを個人でこなしていくという形の授業が主流で、自主学習といえば聞こえがいいが、数年で子どもたちの間の能力の差はものすごく広がってしまいます。たいていの教科書が、数学Aから始まり、B,C,Dとあがっていくのですが、同じクラスにAの教科書の子どもとDの教科書の子どもがいたりして、傍目に見ても大変だろうと思われる授業が展開されていたりします。
ただ、ここ数年数学能力の低下について大きく取り上げられ、また、スウェーデンの教育は、最低限度を教える形をとっているので、数学教育のあり方も徐々に見直され、少人数であったりするなど、多少の変化は見受けます。
教える側としては、この自主学習的な教科書主導の教え方だと、分かりませんと10人に手を挙げられたら最後で、授業は成り立たなくなるので、私は、あまり好きではありません。また、一度つまずくとその部分で数学が嫌いになってしまうのもネックだと思います。
これらの数学教育のあり方の影にあるのが、やはり、資格を持っていない先生が多いことが原因ではないかと私は個人的に思っています。教育法だとか教授法だとか教育実習だとか、教育課程ならではのものを学んでいない先生が数学を教えるとなると、それにあった方法になってしまうのではないかと。
これを裏付けるような恐ろしい数字が新聞(SVD20110830)に載っていました。
2005年の統計ですが、
高校の数学教師の有資格者(免許あり。)率は、35%
6年生から10年生まででは、 40%
1年生から5年生まででは、 64%
これ、すごいかも。と思いました。子どもの年齢が高くなると資格者率が減っていくのは、おそらく、大学の理数系を出た人たちが、教育法などをあまり気にしなくてもいい若者相手に教えている結果かなと勝手に想像しています。
資格がないから、悪い先生とはいいませんが、それでも、教育方法などを学んで実習を受け、それに興味を持つ方ともたない方とでは、子供たちへの接し方、教え方などかわってくるのではないかと思います。
で、今回の予算ですが、かなりの額が投入されるようで、予算では、13億から20億投入される模様です。(計算あっているといいのですけど、、、)
この詳しい使い道は、おそらく教員組合の新聞が届くともっと分かるかなあと思うのですが、ざっと新聞から拾うと、
1.インターネットを通じて、ウェブ上での研修みたいなもの?
2.先生同士お互いの授業を見合っての研究(日本の研究会のようなもの?)
3.学校に1人スパーバイザー的な人をもうけ、その人が研修担当?になる?
4.大学で学ぶための補助
など、出ていました。ただ、組合の方の意見で、「そうか、そこまでおちているのか、」と思ったのが、2番と3番は、おそらく無理だろうと。指導にあたれる資格を持った数学教師の人数が足りないので、うまくまわらないということらしい。なので、4番から始めて資格をもった数学教師を生み出していく必要があると。
今後も気になる話題です。この成果がでるのは、恐らく10年先とかなので、気の長い話ですが、教育ってそういうもんでもあるんでしょうね。で、今日もうちの学校の組合関係の先生が、奔走していました。教員の給料を上げて、地位を上げないとなり手がいなくなってたいへんなことになると。これに関して、マニフェストするそうです。なんか書いてくれと、はがきを渡されました。
数学といえば、今回うちのクラスでは、数学をテーマに取り組む予定です。どんなふうにやっていくか、いまだ構想中ですが、楽しみです。
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