2024年12月22日日曜日

スウェーデンの特別支援学校の3年間プロジェクト、KASKについて

  昨日から冬休みになりました。やっと少し時間ができて、掃除に断捨離、水泳、読書、編み物、ピアノとやりたいこㇳを満喫しております。今日は、冬休みに入って第一弾ということで、3年間やってきたプロジェクトについて書きたいと思います。今の学校に移って、すぐにこのプロジェクトに参加することが決まり、それとほぼ同時にヘッドティーチャーにもなったので、このプロジェクトの責任者にもなり、今までやってきました。3年間のプロジェクトも今年が最後の3年目で、今、もう一人の先生と一緒に、プロジェクトをまとめた論文を書いています。

 このプロジェクトは、スウェーデンの非営利団体である、iFousが行っているプロジェクトで、国内の7つの基礎自治体の支援学校の先生、2大学から3名の研究者がかかわって、総勢170名ほどで行っているプロジェクトになります。私は、ストックホルムの公立の基礎特別支援学校で働いているので、そこからの参加になります。プロジェクトの名前は、「KASK」と頭文字をとって言います。日本語に訳をするのならば、「特別支援学校の知識伝達、共有の使命」という感じでしょうか。簡単に言えば、いかに支援学校の授業をよりよくしていき、知識を教えていくことができるかということになります。

 今回のプロジェクトは、アクションリサーチ型を取っており、各学校がそれぞれ、現場の実態に沿ってどんな内容を研究したいかというのを自分たちで出して、それについて取り組むというものです。これに3名の大学の研究者がかかわり、方法などを支援してくれました。研究者は、すべての学校から出てくるものをまとめて、国際的な論文にまとめており、私たちは、現場で行った内容を論文にまとめています。このプロジェクトは、学期に一度大きなセミナーがあり、参加者が一堂に会して、交流したり学びあうというのも大きな特徴で、その際には、基礎自治体のいわゆる教育委員会にあたるような人々も参加しており、その自治体全体で取り組むことも大きなメリットです。

 私の学校は、生徒同士のコミュニケーションをいかに増やすかということを課題に取り組んできました。5月の終わりまでに論文を仕上げるべく、頑張ります。

2024年12月14日土曜日

インクルーシブ教育の「こちら派」と「あちら派」ーインクルーシブ教育に思うこと1

 秋学期を振り返ると、私の中のテーマは、「インクルーシブ教育」であり、ともに学ぶことの難しさにあったように思う。勝手な私の印象であるが、日本でインクルーシブ教育を語る人々は、「こちら派」と「あちら派」があるように思う。どちらが「こちら派」になるかは、その人が「インクルーシブ教育推進派」か、そうではないかによる。インクルーシブ教育の推進派の中にもいろんな温度差があるように見受けるし、「そうではない派」は、決して、反対を大きく打ち出しているようなものではない。いろんな人と出会い話す中で、私のことをこのどちらかに位置付けて話をしてくる人もいて、興味深い。

 私の立ち位置を話す前にスウェーデンの印象を話すと、建前の面でこのようなどちらかの姿勢を出す人はあまりおらず、どちらかというと、多くの方が理想的な話を含めて、インクルーシブ教育の話をする方が多いように思う。これに対して、自分がかかわってくるような現実的な話になると、多くの方が、その難しさを上げ、「なぜ、支援学校があるのか」といったような話にまで発展する。どちらにしても、このインクルーシブ教育というのがそんなに簡単にあっちとこっちに分けられる話ではないことは明確である。

 では、私はどうなのかというと、私は、ともに学ぶインクルーシブ教育というのが原点であり、障害のある無しに関わらず、ともに学ぶことに大きな意義があると思っている。今の私があるのは、中学2年生の時一緒に学んだ障害があるクラスメートのおかげであるし、彼との出会いがなければ、この道には入らなかったと思う。日本の大学の卒論は、アメリカの統合教育についてだった。だからこそ、スウェーデンの学校で教員をするようになり、この国の学校教育の在り方の意味を深く考えると思に、インクルーシブ教育の難しさを感じる。スウェーデンは特別支援学校が一つの学校の形として残っており、加えて、支援学校には、教科学習のコースと領域学習のコースがある。この二つのコースの生徒たちをともに教えることは、基礎学校で支援学校の生徒と基礎学校の生徒を両方教えるようなもので、いかににインクルーシブにクラスそして授業をするかというのが大きなポイントになる。が、それがこなせる先生は多くない。支援学校の場合は、クラス編成時代も基礎学校ほどは容易ではないので、(学年での区切りが明確でないため)より一層難しいというのもある。先生方がクラス運営に悩む姿もよく見てきているし、私自身も悩むことが多い。インクルーシブ教育が、スウェーデンの意味合いで成り立つには、あまりにも多くの要素において、「うまくいく」ことが必要であり、それらを満たす現場はなかなかないというのが、私の印象のように思う。たとえ、一つのクラスでそれなりに形になり、うまくいっても、それが学校として成り立っている場合は、数が少ないのではないだろうか。その証拠に、学校庁の担当者とある会議で話をした際に、できれば、見学したいので、見学するとよい学校を教えてほしいというと、名前は出てこなかった。ここならという事例が見たいと思うのだけど、なかなか難しい。

 


2024年12月8日日曜日

秋学期を振り返る

  皆様、お久しぶりです。最後の投稿を見ると「3月」ということで、夏の休暇中にも更新をしなかったのだと思いながら、自分でも驚いています。振り返れば、3月のあのころから、大変いろんなことがあり、春も夏も落ち着くことなく、秋学期に突入しました。秋学期は、大変忙しく、3年間のプロジェクトの最終年ということで、プロジェクトの発表を10月に3回行いました。準備と発表の練習に明け暮れた秋学期前半でした。また、その間、大変数多くの仕事のご依頼も頂き、お断りさせていただいた方には、大変申し訳なく思いました。そんな忙しかった秋学期ですが、残り2週間になり、やっと落ち着いたと感じ、ふと、ブログでも更新しようかと思った次第です。忙しく、本や論文を読むという時間もなければ、そんな気にもなれず、このまま、インプットもアウトプットも減っていくのかと思っていたのですが、少しずつ、忙しい中にも読書の時間をとれるようになり、やっと、アウトプットの時間も取れるようになりました。

 同じ世代である中山美穂さんの休止を、妹たちからのラインで知り、大変驚きました。特にファンということではなかったのですが、それでも、同世代であり、常にテレビで拝見してきた方ですので、あまりにも早い死に驚きを隠せません。私は、ここ数年大事な人々を亡くすことが多くなり、年齢的に当然かとも思うのですが、改めて自分のやりたいことをやっていき、1日1日を大事にしながら、出会いを大切に生きていきたいと思いました。

 このブログも、更新は少ないですが、今まで何とか続けてきており、今年もこのブログより、ご連絡をくださる方が何名かいらっしゃり、何とか、再開していきたいと思っていたのです。冬休みにもなりますし、少しずつ更新をしていきたいと思いますので、ぜひ、引き続きお付き合いくださればと思います。

夏には5年ぶりに日本に帰省しました。東京スカイツリーからの眺めは美しく、久しぶりの日本を満喫できました。また行きたいです。