2017年8月10日木曜日

思い出の姉妹校再訪

 前回の「これはスウェーデンではないかなと思った日本の保育園事情」、妹から、岐阜弁がすごいとお褒めを。岐阜といえば、世界遺産の白川郷を思い浮かべる方が多いようで、その昔、岐阜から来たというと、「まあ、あんな山奥から」といったようなコメントをいただくことがありました。といっても、私は平野部出身なので、山はそばにないところで育ったのですが。。。そんな平野部で生まれ育ったので、実は、都会のホテルに泊まるのが苦手だったりします。地震があったらどうしようかと本気で考えてしまいます。

 
 なかなか進まない日本滞在記ですが、他の方の旅行記とか見ると、本当に感心します。写真とともに、食べたものとか紹介してあったりすると、いいなー、楽しそうだなあと思います。が、そんなマメさは私にはなく。。。今週は、夏の休暇、最後の週で、来週から仕事なので、書かなければならない原稿と真摯に向き合って、毎日を過ごしています。


 妹の友達と一緒にちらっと「放課後等デイサービス」を見て、大学時代の友人に会いがてら「児童心理療育施設」みて、その間に保育園の七夕お遊戯会を見て、そして、次は、広島の姉妹校を再訪しました。日程的に、この日しかだめなのですが、訪問できませんかとお願いしたら、校長先生、教頭先生、快諾くださり、お邪魔することができました。姉妹校には、過去2回同僚たちをつれて訪問していますが、ずっと通訳をしていたため、もう一度ゆっくり見たいなあと思っていました。日本の学校は職員の異動があるので、あまり間が空いてしまうと知らない先生ばかりになってしまうので、その前にと思っていました。

 前日は、尾道により、こんな景色を楽しみました。大学生の時に一度訪れたことがあった尾道、懐かしかったです。今度はしまなみ海道を自転車で渡ってみたいなあと思います。

夜は雷に大雨で、警報も出て、学校はないのではないかと心配していましたが、そんなことはなく、普通に学校やっていました。この日はちょうど学校案内の日だったので、私も見学者に交じって説明を聞き、授業を見学してきました。朝から、子どもたちが帰るまで自由に学校を見学させていただき、やはり、いろいろ聞けなかったことなどを聞けて、先生方といろいろ話もできて、勉強になりました。

学校には姉妹校プロジェクトのコーナーもありました。こうしてこうして再訪できたことをとてもうれしく思いました。懐かしい先生方にもお会いすることができ、スウェーデンを訪問してくれた生徒さんと保護者の方にも合うことができました。2012年に始まったプロジェクトがいろいろと思い出された訪問でした。


2017年8月7日月曜日

これはスウェーデンではないかなと思った日本の保育園事情

 日本滞在中に楽しみにしていたのが、甥っ子姪っ子の成長を眺めることでした。一番小さい甥っ子は、すぐ下の妹の子で4歳。お口が達者でごねてばかりいるので、ついたあだ名は「ごねちゃん」。ごねちゃんは、見ていても面白いし、話をしていても面白いです。

 このごねちゃん、保育園の年少さんなのですが、私が日本についてすぐに「七夕お遊戯会」というものがありました。このお遊戯会に関連して、「これはスウェーデンではありえんな。。。」と思ったことがありました。以下、ごねちゃんとの会話から。。。

私:「今日保育園でなにした?」
ごねちゃん:「リバーサルした。」
妹:「お遊戯会のリハーサルやね。」
ごねちゃん:「リバーサルやて。」

と、毎日、今度の土曜日にあるお遊戯会のリハーサルをしてるようです。リバーサルらしいですが。土曜日の午前中に小学校の体育館で行われる、このお遊戯会、私もせっかくなので、見に行くことに。で、お遊戯会には、全員、「浴衣」で参加することになっているとのこと、体が少し小さいごねちゃんに合わせて、浴衣を直すことにしました。

私:「ごねちゃん、ちょっと、こっちきて、浴衣長さ合わせるで。明日お遊戯会で着るでしょ。」
ごねちゃん:「いやや。きいへん。」
私:「みんな、きてくるよ。」
ごねちゃん:「きいへん。Aくん(大好きなお友達)着るって言ってなかったし。先生もそんなこといわなんだ。」
妹:「おにちゃんもみんな着てたでしょ。みんな着てくるよ。」
ごねちゃん:「きいへん、リバーサルで着んかったし。」

と、浴衣は着る気なしで、口ばっかり達者な4歳児は、リハーサルで着なかったと、もっともらしい理由をいい、ああだこうだといいます。ま、着なくてもいいから、長さだけ合わせるかということで浴衣を直し、翌日持っていきました。みんな他の子は、家から着てきていたけど、ごねちゃんは、「着ない」というので、持っていくことに。浴衣を着て歩いている子たちをみても、着ないと。結局、先生に浴衣着ないというのでと、浴衣とごねちゃんを渡すと、さすが、慣れています、さささっと、服を脱がせて、着せてしまい、はいできあがりと。周りには、数名嫌がって泣いている子もいましたが、ごねちゃん、着せられてしまえば、なんてことはない、にこにこと座っていました。

で、私が一番驚いたのが、来ていた子ども、みんな浴衣を着ていたこと。リハーサルで着せることもなく、お便りに書いただけで、これだけみんな浴衣を着せてくることがすごいなあと。岐阜の田舎ですし、みんな兄弟や親せきなどからもらったものがあるにしても、持ってくることが大前提で行われていることに驚きます。こういうのはスウェーデンではないかなあと感じました。下手すると、法に触れるんじゃないかとまで思ってしまったくらいです。


お遊戯をすれば、みんなそれなりに踊れていて、踊れない子がいないことにも驚きました。多少動きが鈍い子や立っているだけの子はいても、大きく外れてできない子はおらず、今年はたまたまとは聞いたけど、それでも、日本だなあと逆カルチャーショックを受けました。日本の子どもたちは、早いうちから集団で動くことを教えられ、机について何かすることを覚えます。スウェーデンの保育園で働いていたころは、なれなくてつらかった外保育ですが、何年もたち、今ならあの教育の良さを感じることができます。均等で、均一な集団をみて、異質だと感じるようになったのは、やはり外国暮らしが長いからなのか、特別支援教育に長くかかわってきたからなのか。。。保育園事情、就学前学校の状況も大変興味深いと思ったお遊戯会でした。

2017年8月4日金曜日

児童心理療育施設とは

 普段フルタイムで働き、勉強もしていると、なかなか隅々まで掃除ができないので、夏の休暇中は大掃除をするようにしています。スウェーデンでも、クリスマス前に大掃除をしたり、イースター前に掃除したりする習慣はあるのですが、私は、夏の休暇中が一番時間もあって気分がよいので、この時にやるようにしています。ということで、昨日は、キッチンとバスルームの大掃除。きれいになりました。

 今日は、日本で見てきた施設や学校の中から、児童心理療育施設について書こうと思います。私は岐阜県出身で、今回見てきた施設は、岐阜県関市にある社会福祉法人、桜友会の児童心理養育施設、桜学館です。

 この施設は、2005年6月に岐阜県内初の施設として建てられました。児童心理療育施設ということで、心理的な要因により、学校生活になじむことができず、不登校やひきこもりや、いじめなどの問題を抱えた子どもたちが、一時的に、親元から離れて施設で暮らしながら、心理治療と生活指導を受けることができる施設です。近くの小学校と中学校の分級という形で、正規の義務教育を受けることができるように設置された特別支援学級が敷地内に併設されており、子どもたちは、衣食住を一体化させた総合環境療法というものを受けているとのことです。

 私はこういった施設があることを知らず、前回帰国したときに大学時代の友人から聞きました。2005年にできたとあるので、私がスウェーデンに渡った後にできた施設ということで、時代の流れの中でできてきた施設なのであろうと思います。県内唯一のこの施設、全都道府県に作られるように国から指示があったということですが、いまだにないところもあるようです。


 施設内の印象は、家庭的な雰囲気が漂っていて、病院のような感じはせず、温かみを感じました。3回建ての生活棟には4ユニットあり、各ユニットは12人定員ということでした。ただ、12人だと少し多いと感じるようで、状況に合わせて定員よりも少ない人数の場合が多いそうです。今回もだいたい8人程度ということでした。部屋は、個室2部屋二人部屋2部屋4人部屋一部屋になっており、2人部屋を一人部屋に直したりして、できる限りプライベートを重視していることもわかりました。部屋には漫画などもあり、少し物が少ない普通の子どもの部屋という感じでした。浴室は3部屋あり、自分で入り、洗濯も自分でするそうです。生活指導はこの施設の一つの要になっており、基本的生活習慣を身に着けることはもちろんですが、独り立ちをしていくための様々な課題を身に着けていくことにも力をいれているそうです。

 施設には、指導員さんに加えてセラピストいて、心理治療を行っています。ひきこもりや不登校の子どもは昼夜を逆転させていたり、生活のリズムがつかめていなかったりする場合が多く、そういうところから順番に支援、援助していくそうです。学校に行ける子は、敷地内の学校に行き、登校が難しい子は施設内で勉強をするそうで、学校の先生とは常に連携をとっていて、確かに隣接しているとやりやすいだろうと感じました。

 脱施設化が叫ばれるようになり、子どもを施設に入れるということがあまりなくなったスウェーデンでは、里親などを利用する場合はあっても、このような施設を一般的には見かけません。(全くないわけではありません。)里親になりたい人の数にも限界がありますし、当たり外れがあるのも事実である現実を踏まえると、できる限り、家庭的な環境で、専門的な援助を受けながら、問題と向き合えるというのは、一つの形ではあるかなと感じました。

 

 分級になる学校も見学をして、分級というくらいなので、小さな教室をイメージしていましたが、そんなこともなく、明るい学校で、先生と子どもたちが頑張って勉強していました。籍を残したままで、分級で学ぶので、スウェーデンでその昔あった、「リソース学校」と呼ばれる学校によく似ていると思いました。スウェーデンの場合、入所という形はとりませんが、籍を残し、元の学校に戻すことを目的としているというところでは似ています。ただ、なかなか元の学校に戻れない、戻せないという問題が出てきて、リソース学校そのものが問題視されてしまったスウェーデンの現状を伝えると、同じような状況がなきにしもあらずだと。

 本校とはあまり交流がないそうで、分級は分級で、年間を通じて様々な行事を行い、子どもたちが前向きに問題と向き合いながら、学習している姿が見えました。先生方は、心理的な問題を抱えた子供たちということで、難しいことも多い中、頑張っていらっしゃるのだと思いました。

 スウェーデンでも、引きこもりや不登校の子が増えていることは、問題になっています。こういった施設は現実的ではないにしても、専門的なケアと生活指導を一体化させた方法を家庭と融合させて行えれば、何かしらの糸口が見えるのではないかと感じた訪問でした。







2017年8月1日火曜日

自殺予防のプログラム

 ちょっと前に、こんな記事を書きました。興味ある方は、ぜひご一読を!
「ピアス感覚」で体内に認証チップ注射、「バイオハッカー」になればSuicaもカギも不要?

 興味深い記事がDNに上がってました。内容は、自殺を減らす教育をストックホルムの生徒に行うというもの。私も身近なところで自殺をした人が数名いて、「生きていく」ということが決して容易いものではないと実感しており、自殺を知識として知ることはとても重要であると思います。ここ15年で、スウェーデンの自殺者は、約20%ほど減っているるとのことですが、若者や青年に限るとその傾向が見られず、ストックホルム県内では、2015年に35人の15歳から24歳の若者が自殺をしたそうで、2014年には、454人が自殺未遂をしたそうです。長く暗い冬のせいにされることが多い自殺ですが、それだけが理由ではないと思います。

 このプログラムは、既にEUの10か国で11,000人の生徒に対して行われたそうで、プログラムには予防効果があり、新たな自殺未遂が半分に減ったとのことでした。そこで、スウェーデンでも、まず、ストックホルム県内の生徒たちに試しに行ってみるということでした。「Youth Aware of Mental Health」の頭文字をとって「YAMプロジェクト」と呼ばれるこのプログラムの一番の目的は、若者にうつ病や自殺願望、人生の危機における対処の仕方、精神的な不健康に関する知識を持ってもらうことと、健康的なライフスタイルによって精神の健康を保つ方法を学んでもらうというものだそうです。

 2016年秋学期には、25校、約3,150人が受け、このうちの約20校、約2700人の生徒が終了後のアンケートに答えており、今後の研究に生かされるようです。この秋からは、さらに93クラス、約2,500人の生徒が受けることになっているとのこと。今後の目標としては、ストックホルム県内すべての学校でこのプログラムを行うことだそうで、EUの時と同様に成果がみられることが条件となります。


 プログラムは5時間で3週間にわたって、7年生と8年生(中学1,2年生)に行われるということで、割と手軽に行えるイメージを受けました。生徒たちが考える時間を持てるように、間をあけて行われるようで、ロールプレイをしたり、討論をしたりする時間もあるとのことです。主な内容は以下の通り。

  • 精神的に不健康に陥りそうな、もめ事や困ったときの対処の仕方に関する知識を学ぶことにより、自分の身に起こる出来事に対する対処する力を身につける。
  • 様々な精神状態の体が発する信号を学び、自分自身や友達を助ける方法を学ぶ。
  • 学校の生徒の健康にかかわるチームの専門員や教員、そのほかの学校職員が精神の健康に関するより深い知識を持つ。

 書かれていたロールプレイの内容は、「みんなランチを食べ終わり、自分一人がランチルームに残ってしまたらどうするか。」や「酔っぱらった人の運転する車に乗るか。」といった、単純な起こりそうな人生の出来事から考えさせるようです。そこから、「先生や友達にいじめられたらどうするか」や「妊娠してしまったり、家庭に問題があったらどうするか。」と徐々に深めていくとあります。

 中学生で自殺をすることは、そういった考えを持つ前にただし知識を持つことにより、精神的にも健康に生きる生き方を身につけ、体の出す信号に気を付けるようにし、自殺の前に助けを求められる人になってもらうということだと思います。プログラムを行うときは、常に複数で行い、途中で何らかの兆候を見せる生徒には、学校の専門チーム、医療機関と連携をして、対処をするそうで、既につらい状況に置かれている生徒にとって、こういった内容を勉強することは簡単ではないので、専門の人々がついていることは大きいと思います。

 どんな人がどんな風に実際に行っているのか大変興味深いプログラムであり、きちんとしたプログラムが作られ、精神の健康や自殺について早いうちから知識を持つことはよいことであると感じました。

読んだ新聞記事:DN, 2017-08-01, Ny utbildning ska minska antalet självmord

2017年7月28日金曜日

ITスキャンダルとスウェーデン政府内閣改造

 スウェーデンに戻ってきて、こちらで大騒ぎになっていたのが、国の交通局(とでも訳せばよいのかしら)そこが、起こした個人情報漏洩スキャンダル。簡単に簡単に事の流れを話すと、

 スウェーデンでは、車のナンバーとか免許などを管理している交通局は、仕事がすでにアウトソーシングされていて、その中でもITシステムを請け負っていた会社から、情報が漏れたというもの。国民の運転免許に関する情報もアクセスが可能だったそうで、私のような一般市民ならまだしも、特別な理由で個人情報を隠している人などは、気が気ではありません。そして、軍の機密事項も漏れていたとのこと。これもまた、長らく戦争をしていない国であっても、大問題です。どこに軍の車両があり、誰が運転できて、などといったことまで、ほかの国に知られることは、国としてあるまじきことです。

 このスキャンダル、腑に落ちないのが、関係者のうちで発覚してからすでに1年以上たっていること。人が行うことですし、何かしら間違いが起きても仕方がないとしても1年以上もたっているのは問題で、この事実を首相が知ったのが遅いことが問題となり、野党側が関係した3大臣に対して不信任案をだすと発表しました。これに答えるように行われたのが今回の内閣改造です。

 辞任したのが、インフラ担当大臣、アンナ・ヨーワンソンと、内務大臣、アンデッシュ・イーゲマン。防衛大臣のペーテル・フルトクヴィストは辞任しなかったために、野党側が反発を示しましたが、世論は彼の在任を望んでいるようです。


 代わりに就任したのは、現法務大臣モルガン・ヨーワンソンが内務大臣を兼任することになり、仕事量が増えるということで、彼が担当していた移民関係のものを移民大臣を置くことにして、ヘレーネ・フリッツソンが就任。インフラ担当大臣には、トーマス・エネロートが就任しました。この内閣改造では、保険・社会問題大臣には新たにアニカ・ストランドヘルが就任したのですが、理由は、前の医療保険スポーツ担当大臣、ガブリエル・ヴィークストロームが燃え尽き症候群のために病気休暇を取っており、辞任を表明したためとありました。

 
 野党側の発表からあわただしい動きをした内閣は翌日の10時に記者会見をすると発表しました。どんな発表が出されるのか憶測がかなり流れ、様々なシナリオが描かれていましたが、結局、スウェーデン政府が取った結論は、できる限り政治的混乱を避けるというスウェーデン伝統のもので、その結論は、多くの人々の称賛をうけました。日本のイメージといっても、10年以上住んでいない私が持っているイメージですが、こういった場合の流れでは、内閣総辞職で解散とか想像していましたが、知人たちとの話ではおそらくあり得ないと。歴史的にもない話だそうで、ヨーロッパの北の小国は、政治がいかに動くかによって国民に与える影響を考えると、できるかぎり、政治的混乱をさける報告に動くのでしょう。現在のように、与党、野党ともに過半数議席を取得していないと、国を動かす政治的責任が様々な方向におよび、簡単にはいかないというのも理解できました。それでも、理解しにくいところも多いのですが、この国にはこの国のやり方があるのだろうと思います。

 
 この内閣改造発表により、多少落ち着いたかのように見えるこのスキャンダル。今後、詳しい調査結果などが発表されてくると思うので、防衛大臣に対する不信任とともに、目を離せないなあと感じています。日本では、稲田防衛大臣が辞任し、民進党の蓮舫代表が辞任をしました。久しぶりに、両国の政治についていろいろと考えさせられた1日でした。


2017年7月26日水曜日

自分の立ち位置を思い出す

 日本から戻り、ちょっと天気が崩れているためか、「もう秋なのか」と着る服を悩む毎日です。外国に住んでいると、日本に戻ったら「これを食べよう」とかいう感じで、食べたいものがあります。私は、帰ったら必ず「みたらし団子」を食べます。昔からの大好物なのです。実家の母やお義姉さん、妹たちからも何か食べたいものがないかとよく聞かれたのですが、あんまりパッと思い浮かばない。人が食べているものを見ては、ああ、ああいうの食べたかったとか思うくらいで、この年になると、人に作ってもらって、上げ膳据え膳で食べられるものは、なんでもありがたく、おいしいと思ってしまいます。

 
 人それぞれだと思うのですが、私はあまり日本に長く、定期的に帰国する習慣がありません。子どもがいる方などは、長期の休みを利用して、親と孫が一緒にすごせるようにということで帰られる方が多いのですが、そんな必要のない私は、なんとなく、帰国せず。経済的な理由というわけでもなく、時間的な理由というわけでもなく、ただ、なんとなく。。。元来の怠け者で、だらだらとごろごろという言葉をこよなく愛しているためでしょうか。。。ということで、今回のように1か月も帰国するなんて驚きで、誰が出した案かといえば、うちの主人がだしたもので、まあ、そうするかと重い腰を上げたのです。

 
 結果、帰ってよかったなあと思います。その中でも印象的だったのが、滞在半分を過ぎたころから、「帰ったら、あれ食べよう」とか思い出したこと。こんなに食のおいしい国にいるのに、なんでだろうねーと思ったくらいです。特に食べたかったものは、ヨーグルトとチーズ。チーズなんか、普段そんなに好んで食べないのにね。不思議です。

 もう一つ、印象的だったのが、自分の立ち位置を思い出したこと。今回は一人で1か月ということで、友人や知人に多く会うことができたし、家族と過ごす時間も多く持てました。でも、私は昔から、人気者ではないけれど、嫌われ者でもない感じで、自分の中でも「来るもの拒まず、去る者追わず」みたいなスタンスで人付き合いをしてきました。でも、スウェーデンにきて、友達を一から作ることになり、職場ではスウェーデン人の同僚とそれなりに付き合うようになり、無理をすることも多々ありました。なので、今回の帰国で、友人たちと会い、自分ってこんな立ち位置にいたっけーと思い出しました。それがとても新鮮で。


 外国人と結婚することや外国で仕事をすることは、もう珍しくもない時代で、自分が特に変わっているとは思わないのですが、こういうことに今頃気が付く私は、ちょっと鈍いのだろうと感じました。鈍いから、図太くやってこれたのかもと思うのですが。。。

2017年7月24日月曜日

放課後等デイサービスとは

 今回の日本への帰省中に何をするか、スウェーデン人の同僚たちに話すと「ああ、仕事しに行くのね。」と言われいたくらい、いろんな学校などを見に行きました。せっかくなので、見たものをまとめていこうと思います。振り返ると、いろいろ思い出して、また、勉強になります。

 まず、訪れたのが、「放課後等デイサービス」ということを行っているところです。私が日本で働いていたころには、こんなところはありませんでした。もちろん、数十年前ですが。。。

 放課後等デイサービスは、スウェーデンでいうところの学童保育に似ており、もらったパンフレットには、

「放課後等デイサービスは、障がいのある、主に6歳から18歳の就学児童、生徒(小学生、中学生、高校生)が、学校の授業終了後や長期休暇中に通う施設」

とあります。スウェーデンの場合、学童保育は障がいの有無にかかわらず、12歳まで(オープンな学童保育は13歳まで)、その後は、障がいがある生徒の場合はLSSという法律のものとにサービスが展開されます。うちの学校で放課後行われているような感じのものかと、勝手に想像していました。こういった放デイと呼ばれるものが増えているようで、特別支援学校をいくつか見学に行きましたが、そこにも、放課後デイの方が迎えにきていたり、話題にあがったりしていました。


 放課後デイの利用には、市町村が発行する「障害児通所受給者証」というものが必要だそうです。今回の日本で訪問で、私の理解が追い付かなかったのが、こういった、受給者証、障がい者手帳といった様々な証明や手帳についてです。なんと、複雑なシステム!と思ったのは、私だけでしょうが、わかりにくいです。地元岐阜県、愛知県、東京都、広島県といろんなところを回ったこともあり、名称が微妙に違うことも、理解を難しくさせました。話がずれましたが、こういった放課後デイでは、問題や難しさを抱えた親と子どもが相談をすることができ、その後、わかりにくい手続きもサポートしてくれて、サービスの開始となるようです。

 利用料が発生しますが、世帯年収に応じた金額になるようで、他の多くの障がいがある方への福祉サービスが1割負担だったので、おそらく1割負担かなと想像しています。また、利用回数に関する制限についても、私が理解した限りでは制限がないようでした。この辺りがスウェーデンとは違うかなと。スウェーデンの場合、学童は親が無職であったり、育児休暇中だと制限がかかりますし、それは障がいがある子どもでも同様です。もっと突っ込んで聞きたかったです。あくまでも税金で運営されているものですので、スウェーデンのほうがシビアな印象を受けました。

 聞くところによると、2012年4月1日に児童福祉法が改正され、報酬単価が倍になったことを機に民間企業が参入し、このような放デイが増えたようです。私の実家がある田舎にも数多くできており、それぞれの放デイが特色を出しています。生き残るためには、それなりに大変なようで、閉鎖されていくところもあるようです。


  私が見に行ったところは、オープンを控えたところで、新しくてきれいでしたが、広めの部屋1部屋の横に小さめの学習室がついており、外で遊ぶ環境はありませんでした。スウェーデンのイメージで、いくつかの部屋で個々の必要に応じて時には分けて、外で遊んで、というようなイメージがあった私には、この環境はどうなんだろうかと思ってしまいました。多くの学童がこんな感じだとは聞いていたのですが、放課後数時間の時はまだいいのですが、夏休みのように1日過ごすときは、大変なのではないかとおもってしまいました。事故やけんかが増えそうなイメージを持ったのは私だけでしょうか。実際にどんな風に子どもたちが過ごすのかも、見てみたいなあと思いました。

 
 学童はもちろんですが、このような放課後デイが普及することにより、障がいがある子どもがいても、親が安心して働ける環境が整い始めたことは、とても良いことであると思いました。


2017年7月22日土曜日

充実した日本滞在を終えて

 長いと思っていた日本での滞在を終え、数日前にスウェーデンに戻ってきました。予定では、ブログを更新する余裕があるくらいのつもりだったのですが、思った以上に予定が入り、更新するどころではありませんでした。甥っ子には、「そんなに出歩いて、疲れないの?」と言われ、姪っ子には、「あれ、もう帰ったの?」とか言われるくらい、いろんなところに行って、充実した毎日を過ごせました。


 日本に着いた頃は、まだそれほど暑くなく、久しぶりの日本の夏に耐えられるかなと思っていた私も、「これくらいなら大丈夫」と思っていましたが、7月に入ると暑い日が続くようになりました。友人の子どもたちと原宿に行ったときは、さすがに暑さと人の多さにやられるかと思いましたが、何とか乗り切り、久しぶりの日本の夏は、こんな感じだったかなと思い、毎日楽しく過ごすことができました。


 会いたかった、兄や妹の家族にも会い、一緒に過ごす時間を持つことができました。いろんな話をして、笑って、とても楽しかったです。母と一緒に過ごす時間も多く持つことができ、家族というのは何歳になってもいいなあと心から思います。甥っ子、姪っ子が成長していく姿を見ることは、この上ない喜びであり、来るたびに心を和ませてくれます。

 

 日本での滞在中には、本当にたくさんの方にお世話になりました。日本の特別支援教育や障がい者福祉の勉強をしたいという私の不躾なお願いに、快く答えてくださった方が本当にたくさんいて、うれしかったです。お時間を割いてくださった皆様、本当にありがとうございました。学んだことを今後に生かしていきたいと思います。日本を離れて15年以上たち、やはり日本の状況は大きく変わっていると実感しました。そんなカルチャーショックも含めて、紹介していけたらと思います。


2017年6月17日土曜日

スウェーデンといえば、これです

 木曜日に終了式があり、今年度が終わりました。生徒たちは夏休みに入り、私も昨日はのんびり会議の日で、月曜日に一つ会議を終えたら、夏季休暇に入ります。今年度は、今まで働いてきた中で、最もカオスな年だったように思います。私は、2月に同僚を失ってから、なんとか走り続けて今学期を終わらせたけど、最後のほうは、息切れ状態でした。それでも、何年か前のように、スウェーデンで働くのはいやだーというような感情よりは、まだまだ学ぶことがたくさんあると思いながら、今年度を終えれたので、よしとしましょう。

 スウェーデンといえば、これですって、何がって、感じですが、スウェーデンを知る人ならば知っていると思われる、組織替え。スウェーデンでは、システム変更、よくあります。うちのコミューン、学校もしかり。。。私は今の学校9年働いていますが、働き始めたときは、特別支援学校は一つの組織でした。数年たって、小学校と一緒の組織にされて、この秋から、また、特別支援学校だけの組織に戻されます。上が変わればとかそういうものでもなく、ほんとによくある、この組織替え。振り回される現場は大変です。😓この組織替えに伴い、校長選択なども滞り、どうなることかと思いましたが、何とか新しい校長先生が決まりました。そして、バタバタする中で、やっと小中学部の移転先も見つかりました。この一連の状況を見ていて、こうなるんだなーと、妙に感心してしまった私です。

 
 それでも、昨年のようにバタバタいろいろ動き回るのではなく、それぞれの立場の人がそれぞれの仕事をするべきであるという姿勢でのぞむと、動かないところもあるけれど、何とかなるから不思議です。職員の愚痴も増えるし、不満も増えるけれど、それぞれが何とかしようと努力し始める感じです。それなりにうまく回っている時とは違い、誰から見ても、どうにもならないくらいカオスだと、不満がお互いに向かないというのもあるかとも。

 今回の組織変更がどうなっていくのか、今後が興味深いです。新しい校長先生も楽しみだし。長らく、私を支えてきてくれた副校長が定年退職を迎えたことは大変感慨深く、泣けてきました。一緒に行った日本の姉妹校訪問を思い出します。人生とは移りゆくものであると感じた1年でした。

 
 今年の夏の休暇は、結婚して初めて、一人で1か月日本に帰ります。落ち込んでいた私に、主人がくれた心の休暇なのだろうと思います。日本では久しぶりに友人たちと旅行をしたり、家族と一緒に過ごしたりするとともに、せっかくなので、(ここに私の性格が表れる)特別支援学校などを訪問をし、今一度日本の教育を勉強してこようと思っています。ここでもそんな様子を報告できればと思います。


 

2017年5月13日土曜日

スウェーデンの学校の校長先生事情

 スウェーデンの学校システムの中でも、最も重要な問題の一つではないかと思うのが、校長先生不足です。うちの学校も御多分に洩れず、数年前(多分2年前くらい)に校長がやめてから、代わりの校長先生が来て、新しい校長先生が雇われたけど、その校長が半年くらいでやめてしまったので、また、代わりの校長先生が来て、その代わりの校長先生もやめて、代わりの代わりの校長先生が来ました。この代わりの校長先生というのは、あくまでも代わりなので、民営の人材派遣会社からやって来て、本採用が決まるまで、期限付きで雇われます。現在、新年度から本採用で働いてくれる校長先生を募集していますが、どうなることか。。。

 代わりの校長先生は、大抵、定年退職した校長先生で、65歳から70歳くらいの人が多く、その需要はものすごいものがあると今の校長先生が話していました。スウェーデンもその昔は、日本の学校と同じように、都道府県単位?のような感じで雇われ、やめることがあれば、代わりがちゃんと来たそうです。しかし、現在はそんなことはないので、教員もですが、学校が次の人を見つけることになります。

 次の人を選ぶのも、実はたいへん。募集をかけるのですが、関係組合が関わり、その条件などを詰めていき、募集の文面などを考えます。その後一定期間募集をかけ、候補者が出たら、その中から、上が何人か選びます。その後、管理側の面接、職員側の面接、組合の面接、生徒の面接と、様々な面接が行われ、その後、話し合いが行われ、決まります。

 プロセスが長い。。。こんなにかけてやっても、半年とかでやめられたら、たまったもんじゃなく、また一からやり直し。今回の募集に関しては、みんなやる気半減している感が否めず。。。


 学校に校長先生が不在というのは、会社に社長がいないのと同じ感じで、とにかく話がまとまらない。学校の教育の発展とか、ないない。。。ありえない。。。1日を動かすのに精一杯。子どもたちのことを考えたら、このシステム、少し考えた方が。。。ここ数年教員のお給料が上がっており、校長先生になってもあまりお給料があがらないというのも原因の一つのようです。なり手がいないので、とりあえず選べば、またすぐやめていくという悪循環。前に研修であった他の学校の先生に聞いたら、そこは3年で7回変わったって。それよりは、まだマシかと思ったのですが、なんとか、校長先生決まるといいです。


2017年5月1日月曜日

スウェーデンの就学前学校カリキュラムの改訂

 春学期はお休みがたくさんあって嬉しいなあと思う、メーデーの祝日の今日。天気も良くて、のんびりできました。最近、スウェーデンの教育情報をあまり載せていない、このブログ。ということで、少し、最新情報を。

 スウェーデンの就学前学校のカリキュラムが改訂されることになりました。スウェーデンの就学前学校のカリキュラムが最初に出されたのは、1998年のこと。それまでは、厚生労働省に当たるような政府機関が管轄していたのですが、カリキュラムが出された1998年に文部科学省に当たる政府機関に管轄が移されました。あれから、もうすぐ20年ということで、そろそろ見直しが必要だろうということだそうです。2011年に義務教育の他の学校のカリキュラムが大幅に見直されましたが、就学前学校は2016年に少し改訂があったのみだったので、時期的には、そろそろ見直されてもよい頃かもしれません。これから、現場の意見も取り入れながら、改訂を進め、2018年3月23日までに行うとのことです。

 改訂の主な点は次の通り。

教育と授業の違いを明確にする
保育的ケアが就学前学校の中心的な部分となりますが、改訂されるカリキュラムでは、その定義をより明確にするそうで、教育的な内容、授業のようなものの定義、誰が行うかなどもより一層明確にしていくそうです。と言っても、「遊び」が最も重要な部分であることには変わりはないとのこと。子どもにとって、遊びは学びの基礎であ理、この部分には変更はないが、それでも、学びの部分の定義を明確にし、今まで以上に教育的な色合いが出てくるのではないかと想像されます。

ITを活用した教育
以前より課題となっているITを活用した教育をどのように就学前学校で行なっていくかが取り入れられるようです。


上記の2点が今のところ、発表されている主な変更点のようです。今後、どのようにカリキュラムが見直されていくのか興味深いところです。






2017年4月23日日曜日

夏の計画

 日本週間が終わり、イースター休暇も終わるという頃になって慌てたのが、日本行きをどうするかでした。本当は、主人と主人の親友を一緒に日本に行くことになっていたのですが、人生いろいろあるのが常なので、結局、予定は変更され、なんと私だけ、1ヶ月も日本に帰ることになりました。1ヶ月も日本に帰るのは、ものすごく久しぶりです。結婚してからは最長3週間だったので、しかも、1回3週間帰ったら、主人がこれからは2週間でいいと言ったので、その後は常に2週間。一人で1ヶ月って、何すればいいんだろうかと思ったくらいです。

 とりあえず、バタバタしながらも飛行機のチケットを買いました。そこで、まず、大満足。これで終わってはいけないと、思いついた人々に帰国しますよメールを送りつけ、なんと、嬉しいことにみなさん返事をくださる。。。ありがとうございます。せっかく1ヶ月も帰るので、日本を離れて長く、もう現状がわからない日本の特別支援教育の勉強ができないものかと考え、ツイッターやフェイスブックで情報収集、恩師や、同級生にもメールでアドバイスをお願いし、現在計画を立て中です。

 
 私はどちらかというと日本の夏よりもスウェーデンの夏が好きで、家でダラダラ過ごすのが一番と思っているのですが、今年は日本にそろそろ帰らないとと思っていました。理由は、自分の日本人としてのアイデンティティの確認が必要かと思ったから。スウェーデンで長く暮らし、職場がスウェーデン人だらけで、その社会に染まっていると、大抵のことはうまく流れるし、いいのだけど、今年はいろいろあって、自分が周りのスウェーデン人とはちょっと違うとかなり自覚し、(当然なのだけど、でも日々忙しいと気がつかない。)自分のルーツに帰りたいと思った次第です。特別支援教育に関しても、日本人といえば、日本のことを聞かれるし、比較してとか質問されますが、日本を離れて15年も経つと浦島太郎で全くわからない。。。


 例えばだけど、未だに慣れないスウェーデン文化が、あのイースターとかちょっと長い休み明けに繰り返される「挨拶のセレモニー」。

休み明け、同僚たちと、ハグをし、
「休みどうだった?」
「楽しかった」
「元気?」
「元気よ」

この一連のセレモニーを何人とも繰り返します。疲れる。。。私はこの人という人ならいいけど、同僚たちと挨拶が延々と繰り返されるのは苦痛。

 挨拶といえば、「元気か、体調どう」という、英語の「How are you?」と同様の表現がありますが、これも正直に答えてはいけない。知らなかった頃は、疲れていれば、疲れているとか答えていたのだけど、返される反応がイマイチなことがあり、主人に話すと、それは挨拶だから、全て「元気よ」で返すのだと教えられ、疲れているとか答えたら、自分は相手よりも大変な仕事をしており、重要な人物だという印象を与えるとかでよくないと。それからは、こんな挨拶どうでもよくなり、おきまりの文句を答え、天気と犬の話をしたらおしまいに。でも、なんか薄っぺらいよねー。と自分で思ってみたり。

 と、だいぶ減ってはいますが、常に文化の違いを感じて暮らしているので、久しぶりに日本に帰るのは楽しみです。家族や友人に会うのもすごく楽しみです。そして、私は日本でも逆カルチャーショックを受けてくるんだろうと思うのです。

2017年4月10日月曜日

スウェーデンの学校教育の歴史に触れる展示

 スウェーデンの学校教育に興味がある方にオススメの展示が、ストックホルムのミュージアム島、ユールゴーデンにある、Prins Eugens Waldemarsudde museumで行われています。先日、日本週間に参加してくださった方と一緒に見に行くことができました。思っていた以上に見応えのある展示で、とても楽しかったのです。残念ながら、展示は、ほぼスウェーデン語でしたので、多少なりともスウェーデン語がわかった方が、楽しいかなと思います。
 「En sagolik skola - Folkskolan 175 år (素晴らしい学校ー国民学校175年」と名付けられた展示は、今年、スウェーデンのすべての子どもが無料で学校に通うことが決まり、国民学校が創設されてから175年たったことを記念して、教員組合(Lärarförbundetの方)と先生の財団が協力して開催しているものです。ストックホルムを皮切りにスウェーデン全土で今後、順番に展示が巡回して行くことになっています。ストックホルムは、5月21日までの開催で、その後、カルマル、クリスティアンスタード、マルメ、ウーメオー、ファールン、カールスタッド、エステルスンドと2019年8月まで開催されます。
 Prins Eugens Waldemarsudde美術館は、ストックホルムにある美術館の中でも、最も美しい美術館のうちの一つに挙げられる美術館で建物を見るだけでも楽しいです。今回もテーマ展示が複数行われおり、学校教育の展示は、本館の2階にありました。映像でスウェーデンの教育の歴史を振り返った後に展示を見て行きました。展示会場は、たいへん多くの人々で賑わっており、おそらく先生をしているか、学校教育に関わっている人、関わって来た人が多いなという印象を受けました。

175年前に国民学校が始まった頃の様子がまとめられていました。当時は教会と深く結びつきがあり、教科書には聖書も使われていたとあります。体罰が行われていたことを示す展示もありました。教師の数が足らず、午前と午後に分かれていたり、上級生が下級生の面倒を見るグループなどがあった時代もあったとありました。

砂のノート。砂に字を書いて練習し、消しては使いました。順番に、スウェーデンの学校教育がどのように民主主義の道を辿って来たか、学校教育の歴史、教師や子どもたちの当時の様子などが展示されていました。
 

重要な教育者として、もちろん、エレン・ケイについてもありました。教室の中の様子も再現してありました。今回の展示のユニークなところは、本、物語がその中心となっているところです。スウェーデンの有名な画家や作家が学校教育にいかに関わって来たかが展示してあります。今のようにインターネットで映像や写真を簡単に見せることができなかった時代には、挿絵や展示用の絵は、子供たちの興味を誘い、理解を深める上で重要な役割をしていました。スウェーデンの有名な画家、カール・ラーションやエリザ・ベスコフも教科書の挿絵を描いた画家の一人です。

「ニルスの不思議な旅」を書いて、ノーベル文学賞を受賞した、セルマ・ラーゲローブについてももちろんありました。彼女はもともと教師で、子供たちにスウェーデンの地理を興味深く学ばせる教材を作って欲しいという声に答えて、「ニルスの不思議な旅」を書きました。物語を書くのは大変だったようで、そのことも書かれていました。

歴代の教科書なども展示されています。

スウェーデンの教育に興味のある方や、カールラーションなどの絵画に興味のある方にオススメの展示です。お時間許せば、ぜひ、足を運んで見て下さい。

最後におまけで、一緒に行った方と笑った絵を。
「おっちょこちょいなりさちゃん」と「しっかり者のロッタちゃん」
笑えました。


Prins Eugens Waldemarsudde (プリンス エウフェーン ヴァルデマルスウッデ)美術館
住所:Prins Eugens väg 6, Djurgården, Stockholm
アクセス方法:トラム7番、Waldemarsudde駅下車、徒歩5分ほど
開館時間:火曜ー日曜 11時から17時、木曜日は20時まで、月曜閉館
イースターの間は時間が変則なのでホームページで確認を。


2017年4月9日日曜日

感慨深かった日本週間

 テロのショックが消えないストックホルムです。今日は、「愛のマニフェスト」の名前で追悼集会がセルゲル広場で行われました。昨日、今日とテレビではテロに関する番組が継続して放送されており、事の大きさを感じます。

 今日は、今回が最後のとなった日本週間について書こうと思います。今回も大勢の方がボランティアにも関わらず、参加してくださりました。日本から2名の方、フィンランドから1名、スウェーデン国内から4名の方が参加してくださいました。参加してくださったみなさん、本当にありがとうございました。また、参加を予定していたけれど、都合により参加されることがなかった方も、参加しようと連絡をくださり、ありがとうございました。お会いすることはできませんでしたが、その気持ちだけで、とても嬉しかったです。

 今回もなんだかんだと内容が増え、結局1週間行うことになりました。日本週間の幕開けは、日本太鼓の演奏会とワークショップでした。演奏者の方が、もう少し席を離した方がいいと言われた意味がよくわかった演奏会で、とても大きな太鼓の音の迫力に生徒も職員も魅了されました。ワークショップは、みんな楽しそうに太鼓を叩いていました。アフリカの太鼓と比べて、叩き方に多少問題があっても強い日本太鼓は、うちの生徒たちにはよかったようで、職員も安心して、生徒たちに試させることができました。こうした機会はなかなかないので、本当にみんな喜んでいました。

 いつもの人気コーナー、簡単な茶道とお菓子。このコーナーは、いつもみんな大好きです。何度食べても興味深い日本のお菓子にみんな大喜びでした。お抹茶と煎茶を飲み、お菓子を食べた後は、折り紙。最後に紙飛行機大会をするので、紙飛行機をまず作りました。その後、イースターをテーマに折り紙をおりました。


日本の姉妹校から送られてきた十二支の紙粘土の作品。これは面白いと、十二支の始まりの物語を映像化し、生徒たちにもわかりやすくしました。十二支のお話の映像を見た後は、早速、自分は何年かを調べました。「僕は辰年じゃないと嫌だ」という生徒もいたりして大笑い。十二支の特徴もまとめておいたので、職員も自分の干支を知って、興味津々でした。自分の干支を知ったら、それを額にする図工をしました。


習字のコーナーも十二支のテーマで行いました。自分の干支を習字で書きました。


日本の姉妹校から送られてきた紙相撲は、毎年恒例のコーナー。何度も行なっているので、みんなよくわかっていて、楽しめる遊びです。


今年は、2名の学生さんが日本の歌のコーナーを受け持ってくれ、姉妹校から送られてきた「鯉のぼり」と「どんぐりころころ」を含む、5曲を披露してくれました。前日の夜に即興で大正琴を練習してくれて、連弾で弾いてくれたのには驚きました。とても美しい歌声でした。


姉妹校から送られてきた節分の鬼のお面を紹介したいと思い、節分についての説明の映像を作りました。その映像を見て勉強した後は、でんでん太鼓を作りました。簡単に音が出て遊べるデンデン太鼓にみんな楽しそうでした。

日本の曲を聴いて、絵を描くコーナーも毎回行なっています。曲を聴きながら、色を選び、絵を描く活動は心を落ち着かせるのか、生徒たちも穏やかに行います。

昨年に引き続き、ヨーヨー釣りも行いました。日本から来た方が持って来てくださったのですが、釣るという遊びこごろも楽しいようで、みんな楽しそうにヨーヨーを釣っていました。

 最後は、紙飛行機大会。順番に紙飛行機を投げて、誰のどの飛行機が一番遠くまで飛ばせたか、一目でわかりやすく、うちの生徒も楽しめました。

こんな感じで終わった日本週間。毎日忙しかったですが、その割には穏やかに時間が流れたように思いました。7回行なった日本週間も最後となるとやはり感慨深いものです。姉妹校のプロジェクトを通して、本当にたくさんの経験をさせてもらい、多くの思い出ができました。参加してくださった多くの方、本当にありがとうございました。日本から荷物を送ってくださった方々、本当にありがとうございました。

2017年4月8日土曜日

ショックとともに始まったイースター休暇

 待ちに待ったイースター休暇が、大きな悲しみとショックとともに始まりました。昨日は、他の同僚よりも少し早く12時には仕事を終えて帰宅していたのですが、帰宅した後も保護者に送るメールの準備をしたりと細々と仕事をしておりました。そんな穏やかな午後を一転させたストックホルムのテロ事件。


 昨日午後14時53分に事件発生の通報があり、ストックホルム随一の歩行者天国、Drottningsgatan (女王様の通り)を奪い取られた一台のトラックが走り抜け、大手デパートÅhlens cityに突っ込み、停車したところで逃げ去りました。15時過ぎにはテレビでニュースで報道されてはじめ、それから、ずっと、このテロの報道がされています。現在のところ、4名の方がなくなり、15名の方が重軽傷を負いました。この歳になると、自分も家族や知り合いを何人か無くしており、その時の驚きと悲しみ、語れない感情を経験しております。そんな思いを抱えた人々が、今日このスウェーデン、ストックホルムに多く存在することに大変心が痛みます。こういった事件が起きたり、身近な人が亡くなったりすると思うのが、日常のありがたさです。普通に生活できることほどありがたいものはないのではないかと思います。

 スウェーデンには、スウェーデンを象徴する3つの言葉があります。
「Rättvisa(公正), Jämlikhet(平等), Solidaritet(連帯)」
これらの言葉は、スウェーデン社会民主労働党の社会福祉政策に関連して根付いたもので、実査に生活していると、スウェーデン人たちの考え方にいかに関係しているかを感じます。今回のテロに関しても、Solidaritet(連帯)という言葉をよく聞きますが、これは私が外国人だからでしょうか。オープンな社会であり続けることや連帯感など、スウェーデンの表向きの意見とも取れるところが強調されるのですが、このテロ事件が、今後の政治や近く選挙にいかなる影響を及ぼすのかが気になります。


 今回の警察や報道の対応は、素早く、とても素晴らしいものであったと報道されています。これが、今まで起きたヨーロッパでのテロ事件での経験を元にしたものであることは言うまでもなく、実際に起きたテロ事件に対して、警察、政府、病院など細部に渡って、冷静に対処できると言うのは、世界の情勢がより一層悪くなってきている証拠のように感じました。ストックホルムの多くの学校は、来週がイースター休暇で、みんな楽しみにして帰宅の途についた金曜日でした。そんな楽しみを一瞬にして消し去ったこのテロ事件、事件に巻き込まれた方のご冥福をお祈りするともに、心や体に傷を負った人々の1日も早い回復をお祈りします。


 最後に、日本週間に参加してくださった皆さん、本当にありがとうございました。今年も無事に終えることができ、これも参加してくださった皆さんのご協力があってのものであると思います。ありがとうございました。





2017年3月26日日曜日

突然の同僚の死

 前回の投稿からあっという間に1ヶ月がたってしまいました。スウェーデンのインクルーシブ教育について、色々書こうと思っていたのですが、2回目の投稿を終えた直後に、副校長から電話があり、同僚の突然の死を知りました。コメントをくださったtu-taさん、今日まで返信ができず、申し訳ありませんでした。彼女は自殺でした。普通に1日仕事を一緒に終えて、また、来週も普通に仕事を一緒にすると思っていたのに、その「普通」が戻ってくることはなく、彼女は自らの命を経ちました。このことに私を含めた同僚たちは大変大きなショックを受けました。あれから1ヶ月が経ち、少し落ち着いて来たところです。

 スウェーデンでも自殺は、公表しない、隠す傾向があります。警察が公表する出動記録にも、自殺の場合はその旨は掲載されませんし、鉄道関係も自殺による遅延を公表しません。しかしながら、彼女は自殺であることを隠すのではなく、おそらく、同じように自殺による死を選ぶ人が一人でも少なくなることを願っていたと想像されます。自殺には多くの要因があると思います。日本の統計を見ると病気などにより将来を悲観してという場合が多いようですが、複数の要因が重なって決断がされる場合が多いようです。スウェーデンでも、交通事故による事故死よりも、自殺による死の方がはるかに多いと聞いています。彼女の死を悼み開かれた会で、同僚が話した言葉で印象に残っているのは、「自殺は、死にたいからするのではなく、生き続けることができなくなったからするのだ」と話した人がいるそうです。自殺が人に与える影響はとても大きく、その理由には、加害者と被害者が一緒であるということが理解を複雑にするとも。私もそうですが、彼女との日常から、このような結果がおこるということは、とても想像し難く、多くの疑問を残します。しかしながら、全ての疑問の答えを見いだすことが重要であるのではなく、彼女と過ごした日々の中で彼女が残した多くの思い出を大切にしていくことが重要であると感じています。


 学校は未だにごちゃごちゃしているし、愚痴や文句を言い出したら、キリがない毎日ですが、そんなことはとても小さな問題であると実感した彼女の死でした。彼女が私に残してくれた言葉から、私が学んだことを大切にして生きたいと思いました。来週は、日本週間です。今回の日本週間が最後の日本週間ということになったので、今までの思い出と一緒に良い1週間にしたいと思います。皆さんも良い1週間を!

2017年2月27日月曜日

スウェーデンのインクルーシブ教育2

スウェーデンのインクルーシブ教育1」の続きです。今回は、いわゆる「普通の小中学校」で、どのようなインクルーシブ教育が行われているのかについて書こうと思います。


 前回インクルーシブ教育1で書いた通り、スウェーデンの学校システムは、分離統合されており、知能指数が70を超えた生徒は、基礎学校と呼ばれる日本の小中学校に当たる学校に通います。簡単に書けば、これである意味インテグレーションはできたということになります。

 統計などではなく、私の印象ですが、おそらくスウェーデンで最もインテグレーションが進んでいるのは、就学前学校、いわゆる幼稚園や保育園に当たる幼児教育のレベルであると思います。小さい頃は、同じ場所でという考えが浸透しており、よほど重い障害を持っていない場合は、自宅近くの就学前学校に通う場合が多く、公立の就学前学校であれば、コミューンの特別支援教育の専門教員が時折きて、職員指導などをしている場合を多く見受けます。園の中に特別なクラスを設けて、交流を図っている場合もありますが、日本のように「療育」という感じの保育を行なっておらず、日本の都道府県レベルに当たるラーンスティングによって運営されている「ハビリテーリング」という機関が障害を持った子どもたちの家庭でのサポートにあたります。こういった就学前学校の状況をインクルーシブ教育と呼べるかどうかは、難しいところです。理由は就学前学校でのインクルーシブ教育の定義自体があやふやであり、簡単に判断しにくいためです。脱線しましたが、詳しく書くと長くなるので、この話はここまでにして置きます。


 話を戻し、基礎学校(小中学校)の場合、スウェーデンでは、基本的には、特別支援学級と呼ばれるような特別なクラスの設定はしない学校が今でも多いのではないかと思います。この辺りは、学校法の解釈の問題とされており、コミューンや学校によってはそういった少人数のグループを設けている場合もあります。しかしながら、文部科学省に当たる国の教育機関が、少人数クラスでの取り出し授業などは、「一時的な」ものとし、永久的なものとしてはならないという方針を出しており、母体級に席を置く形が多いのではないかと思います。例として書くならば、母体級に席を置き、音楽や体育などの授業を受け、少人数のクラスで教科学習を受けると言った感じのことはよく行われています。

 インクルーシブ教育で重要だとされるのが、個人がどのように感じているかという部分で、帰属意識が感じられる、仲間の一員としての実感がある、それぞれの個性、障害を含めた違いを可能性、良いものとして見ることができていることであると言われています。スウェーデンでは、こうしたインクルーシブ教育を実現するために、最も重要なのは、その学校に関われる人々がインクルーシブ教育を実現するという熱意を持つことであると言われています。個人の感情、気持ちに深く関わるのですから、やはり、それを変えるのは、人々の熱意、やる気が重要なのでしょう。法改正が行われ、学校も変化していますが、そこにいる人々が知識を持ち、気持ちが変わらない限り、インクルーシブ教育がそれなりの形で行われるということは難しいのであると思います。

 おそらく、すべての子どもがその個性に自信を持ち、社会的にも学業面でも一員であるという実感を持って学校で生活していくには、様々なサポートが必要となると思うのですが、ここでは、学習面での小中学校のシステムを簡単に紹介したいと思います。スウェーデンには、いじめに対する対策や平等に対するプランもありますが、ここでは省略します。


 とりあえず、同じ場に統合された子どもたちの中には、問題を起こす子、勉強についていけない子などが出てきます。そう言った様々な個性と可能性を持った子どもたちに対して、どのような教育をしていくかというところに、インクルーシブ教育の醍醐味があるのではないかと私は感じでいます。スウェーデンのインクルーシブ教育を見ていて感じることは、あくまでも、生徒個人にとって最良と思われる形を模索し、行うことに重きが置かれており、特に生徒が必要最低限の学力、高校に入学できるように最低ラインの学力をつけることを重視していると感じます。クラスの中に問題を持った子供がいると、たいていの場合、先生の会議などを経て、各学校にある「Elevhälsa (生徒の健康)」という名前の専門家のチームで話し合いが行われます。そこから、「åtgärdsprogram(改善プログラム)」というプログラムが組まれ、特別な支援や援助が行われることになります。この改善プログラムは、昔はものすごく手順があったのですが、改定が行われ、現在は、初期段階の様々な特別な支援は「Extra anpassningar (特別な配慮、もしくは合理的配慮でしょうか)」とされ、このプログラムなしで行うことができるようになっています。例えば、机の配置やグループ関係、イヤホンの仕様と言ったような配慮は、この改善プログラムには含まれません。改善プログラムは、昨年度、小中学校に通う生徒のうちの5.6%が受けたようです。( Skolverketの資料より)この特別な配慮に何が含まれるかと言った資料も出ていますので、また、機会があれば、紹介したいと思います。

 各学校には、特別支援教育の専門教員がおり、こういった生徒たちの対応に当たっています。専門教員は、取り出し型の教育を行ったり、クラス担任に教室の中でどのような支援、援助を行うと良いかというアドバイスをしたりします。このほかに、特別支援教員の大きな役割が、早期発見にあると思います。小学0年生から、これらの教員により、簡単なテストが定期的に行われ、言語面で遅れがある子を見つけ出し、早期に援助を行うということが行われています。こちらも大体の学校にどのような流れでするかというのが決まっているので、いつか紹介できればと思います。

 改善プログラムが組まれる際には、保護者にも連絡が入っており、家庭と連携して行っていきます。時には、障害判定に持っていく場合ももちろんあり、最終的に特別支援学校に移動という場合もあります。個人主義の国ですし、80年代からの流れで個人の発達プログラムを作り、個人をいかに成長させていくかに重きを置いてきたスウェーデン、この改善プログラムも、内容はその子をいかに変化させるかが焦点となっています。しかしながら、ここ数年、インクルーシブ教育の流れとともに、個人のみでなく、みんなでいかに変えていくかというような視点で話が行われるようになってきており、これは大きな変化であると私は感じています。

 またまた、長くなりましたので、スウェーデンのインクルーシブ教育3に続きを書こうと思います。次は、忘れてならない、スウェーデンのインクルーシブ教育の理想の原点、「En skola för alla」について、書こうと思います。

2017年2月26日日曜日

スウェーデンのインクルーシブ教育1


 今日は、質問があったスウェーデンのインクルーシブ教育について書こうと思います。 ここ数年、スウェーデンのインクルーシブ教育に関して質問をうけることがあり、その度に答えに困っていました。理由は、日本の方は、スウェーデンではインクルーシブ教育が進んでいるということを前提に質問されるので、説明が難しいのです。私は、日本を離れてすでに15年以上経っており、現在の日本の状況がよくわかりません。このため、比較をすることが難しいのですが、おそらく、スウェーデンの現状は日本よりは進んでいるのだろうと思いますが、スウェーデンのインクルーシブ教育も大きな問題をたくさん抱えており、共有できる問題も多いのではないかと想像しています。

 インクルーシブ教育は、スウェーデン語では、「Inkludering(インクルデーリング)」 と呼ばれています。インクルーシブ教育の行われている学校を「Inkluderande skola(インクルデーランデ スクーラン)」と呼んでいます。では、どんな学校のことをインクルーシブ教育が行われている学校と呼ぶかというと、2013年に出された特別支援教育専門機関によれば、
  • 様々なレベルでの帰属感、共通意識がある
  • たった一つのシステムであること(「普通の」生徒と「そうでない」生徒に分けたシステムでないこと)
  • 共通、同等の民主主義があること
  • 生徒たちの参加があること
  • 「違い」が良いものとして捉えられていること
とあります。上記のことが普通のこととして行われている学校がインクルーシブな学校ということになります。じゃあ、実際にスウェーデン中がこういう学校なのかというと、難しいところがあります。単純なところで、前に聞かれたのが、特別支援学校が存在しないのではというもの。そんなことはありません。私が働いている学校は、特別支援学校の中でも、特に重度の生徒を集めた学校になります。私はいつも説明するときに、スウェーデンは、「分離統合教育」をしていると説明しています。この言葉は私が勝手に作って使用しているものなので、ご注意を。。。

スウェーデンでは、上記のような定義でインクルーシブ教育を行う大前提に、知能指数70を境にして、特別支援学校と普通学校に分けています。どんな障害を持っていても、知能指数が70を越えると普通学校に、70未満であると特別支援学校に行くことになります。正確に書けば、知能指数70未満の場合、知的な障害があるとなり、特別支援学校に行く権利が与えられることになり、実際に行くかどうかは保護者が決めるというのが一般的です。学校法では「子供の最善」という項目があり、周囲が判断をすれば、親の決定を変えることもできます。知能指数が例えば、71であれば、知的な障害はないため、肢体不自由や発達障害であっても、普通の学校に通うことになります。このスウェーデンのシステムを、私は、知能指数70で「分離」して、「統合」する教育というふうに説明しています。

例外は、聾学校になります。盲学校はなくなり、地域の学校に吸収されましたが、聾学校は、国の管轄で今も残っており、インクルーシブ教育とは、程遠く、分離されて教育が行われています。特別支援学校も、その昔、無くそうという動きがあったのですが、簡単にまとめて書くと、特別支援学校の現場で働く職員の反対が大きかったために実現しなかったという声をよく聞きます。これに関する報告書があるので、また、機会があれば、いつか、書こうと思います。

その昔って、そんなに昔ではないですが、2010年に学校法が新しくなる前までは、この分離された特別支援学校に知的障害のない、知能指数が70を超える自閉症児も通うことができました。それが、2010年に学校法がかわり、なんと、それまで特別支援学校に通っていた知的障害のない自閉症児は、突然普通学級に戻されることに。😓 これは大問題になりました。。。特別支援学校には、障害判定が降りていない子も「反対のインテグレーション」という名前で通っていた場合もあり、これも強制的に普通学級に戻されたり。。。あとは、特別支援学級のような「特別なクラス」は、廃止され、すべての生徒がいわゆる「母体級」に所属し、インクルーシブ教育をしていくことになりました。この2010年の頃は、こうした法律の変化により、学校はちょっとしたカオスでした。。。どのくらいの生徒が、移動したかなどの統計は見たことがないのですが、これらの改革?の結果、ものすごく登校拒否、不登校が増え、現在、スウェーデンで大きな問題となっています。

それでは、なぜ、このようなインクルーシブ教育が推進されたかといえば、やはり日本と同じだと思うのですが、国際的な流れが大きく関わっています。スウェーデンもサラマンカ宣言や国連の障害者権利条約などの国際的な条約に批准しています。こういった外枠が出来上がり、それによって、少しずつ社会が変化していくことは重要であると思います。学校が、障害の有無の関わらず、様々な子供達によって、その違いを可能性として受け止め、互いに成長していける場となることは、社会、個人にとって、とても重要であると思います。そのために少しずつ変わっていっているのが、今のスウェーデンのインクルーシブ教育ではないかと思います。

だいぶ長くなったので、「スウェーデンのインクルーシブ教育2」に続けます。


2017年2月25日土曜日

スポーツ休暇

 今日から、スポーツ休暇です。😀 前回の更新からだいぶ経ち、あっという間に2月も終わろうとしています。先ほど、日本週間に参加してくださる方には、詳細をお送りしましたので、届いていないという方がいらしたら、ご連絡ください。

 スポーツ休暇とは、スウェーデン全土で地域ごとに秋をずらして取ることになっている学校のお休みで、文字通り、冬のスポーツを楽しむための休暇になります。ストックホルムは毎年第9週がスポーツ休暇。春学期はお休み多いので、あっという間に終わってしまいます。スポーツ休暇までが一つ目の山で、次はイースター。そして夏休みって感じです。

 日本でも子供の貧困が問題になっていると聞きます。こちらでも同じ問題がありまして、スポーツ休暇といっても、どの子もスキーなどのウィンタースポーツをしに出かけるというわけではありません。クリスマスにお金を使ってしまうため、1年で最も貧しいと言われる1月が過ぎ、2月にあるこの休み。それなりに家庭に余裕がない限りは、自宅で過ごす、どこにも出かけないという家庭も多くあります。暖かい国に太陽求めて出かける家族もありますが。同僚たちによれば、(おしゃべりなおばさんたちがたくさんいるので、いつも色々教えてくれます。)その昔は、湖に氷が張ったり、水を撒いてスケートリンクを作ったりして、子供達はスケートをしたり、クロスカントリースキーをしたりしたらしいが、最近はあまりしないそうで、自分の子供にスケートやスキーを買い与えていないという人も多くいます。ストックホルムあたりだと雪の量がここ数年少なく、クロスカントリーは難しいし、スケートも氷が心配であまりさせられない、すぐに大きくなるのに、結構高い道具を揃えられないと。片親の家庭であったりすると、特に難しいのは想像にかたくありません。

 私の学校も雪が降ったら、ソリで遊ぼうと計画していましたが、今年は雪が少なく、やっと降ったと思ったら、スポーツ休暇なので、おそらくそりは今年はなしかな。。。

 
 わたしは、友人に会おうと計画を立て始めたのですが、愛犬、椎間板ヘルニアになり、絶対安静ということで、家でじっと犬としています。ブログの更新が何回かできればいいかな。皆さんも、良い週末を!



 
 

2017年2月4日土曜日

日本週間のボランティアについて

 私の働いている学校で毎年行なっている日本週間に参加してくださるボランティアの方を募集しています。今年も何名かの方が参加したいと連絡をくださり、嬉しい限りです。日本の姉妹校からも、作品が届き、今年の日本週間で行えそうなものもたくさんありました。今からとても楽しみです。

 今年も宿泊を希望される方が数名いらっしゃり、宿泊を希望されるボランティアの方の募集は締め切らせていただきます。学校はストックホルム郊外にあり、宿泊を希望されない方の参加は、まだ受け付けていますので、希望される方は、是非ご連絡ください。

詳しい詳細はこちらを


 質問などありましたら、遠慮せずにどうぞ!メールアドレスは、以下になります。
swedenpedagog@yahoo.co.jp 

2017年1月27日金曜日

新人移民さん向け、スウェーデンの教育システム情報

 今週もあっという間に過ぎ、金曜日です。そして、この間始まったと思っていた2017年も1ヶ月が過ぎようとしています。クリスマスが開けると、同僚と何の話をするかって、夏休みの計画です。はやっと思うのですが、スウェーデンの夏休み長期休暇に向けた計画は3月中旬には始まり、子供がいれば、学校や幼稚園などに夏の休暇予定を出さなくてはいけないし、職場の休暇申請もその頃に始まるので、今から考え始めないと行けないのです。私の休みは決まっているので悩むことはないのですが、主人の休みをいつにするかという話をしています。

 今日は、スウェーデンの教育システムに関するページの紹介です。スウェーデンの学校局が新しくスウェーデンに移民してきた人向けに最初に知っておくといい情報をまとめて14言語で作成した教育システム紹介のページがあります。就学前学校、学童保育から、特別支援学校まで、学校のシステムをわかりやすく紹介してあるので、ざっとどんなものか知るのには良いのではないかと思います。14言語の中に、日本語はないのですが、英語があるので、知りたい人は是非!

移民向け14言語のスウェーデンの教育システムの情報ページ

英語のページには、こちらから直接どうぞ





2017年1月21日土曜日

生徒アシスタントと先生アシスタント

 愛犬ヨッシーがぎっくり腰になり、驚きの週末です。フレンチブルドックには、よくあることらしいけど、突然泣き叫ぶお犬様にオロオロするばかりです。痛めどめを飲んで、食欲も戻り、あとは無理をしなければ良くなるはずなので、それを願うばかりです。

 ツイッターを覗いていると、スウェーデン、ついに1000万人に人口がなったようです。おめでとう、スウェーデン!そして、アメリカでは、トランプ大統領誕生しましたね。大統領の就任演説、ここまでしっかり聞いたの、初めてかも。。。アメリカの情勢にイギリスのEU脱退、世界情勢の不安定とグローバル化の歪みは、将来の不安を通り越してして、理解の範疇に無くなりつつあります。。。


 今年は日本週間できないのではと、知人に聞かれるくらいゴタゴタしている学校ですが、今年も日本週間します!まだまだ、ボランティア募集していますので、興味のある方は、ぜひ!詳細はこちらを。


 先日まで、冬休み中に書けなかった大学院の課題をこなしていました。母たちが来る前に仕上げようと思っていたのに、検査局の書類が舞い込み、ほぼ書き上げた!という時に、コミューンの担当者からさらなる質問が。。。そんなこんなで予定以上に時間がかかりました。今回の課題は、権力のプロセスと配分について。私は、自分の職場の中から、Elevassistent(生徒アシスタント)として働く人たちの権力プロセスと人生の選択について書きました。生徒アシスタントは、このブログでも何度か取り上げているけど、うちの学校では、私のような教員に生徒アシスタントが数名ついて、生徒の教育に当たっています。私には、現在4名のアシスタントがいて、その方達と一緒に日々の教育に当たっています。特別支援学校の場合、この生徒アシスタントが最もグループとしては大きくなります。

 生徒アシスタントになる人たちの多くは、女性です。フルタイムでも働けますが、学校のある時間に合わせて75%との場合も多く、労働時間も8時くらいから16時くらいと子供がいても働きやすい時間になっていることもあり、女性が大半を占めています。年齢層はばらつきがありますが、小学校などのアシスタントは若い人が多く、特別支援学校では、年齢が上がって来るように思います。学歴で見ると、高卒の方が多く、保育士さんや准看護師のような介護士系の資格をもった人もいます。大卒の人は少ないですが、幼稚園教諭などで少数ですがいます。

 生徒アシスタントの仕事は、明確な記述はどこにもなく、校長権限で採用が可能であり、校長がその学校に必要だと思う内容の仕事をすることになります。この不明確さが、低賃金、低地位の要因の一つであるように思います。不明確であればあるほど、キャリアを積むことも難しく、研修などの申請も難しくなります。生徒アシスタントは、教員との間にも力の差があり、そういった面から彼らの仕事をみていくことも重要であると思います。特別支援学校の生徒アシスタントは、教員が行う内容の仕事もかなり行うことになるので、(理由は1対1で行う授業を行う場合が多くあり、先生が自分で行うことは時間的に不可能であるし、日常の中に授業課題をちりばめてあるので、どうしてもアシスタントも教員と同じような知識が必要なって来るため。他の学校形態では、異なって来ます。)生徒アシスタントの地位を確立していくことは、生徒たちの能力を伸ばす上でも重要になって来ます。お給料が安く、すぐにアシスタントが辞めてしまうという事態は、子供にとってもよくないのです。


 そんな内容をいろんなセオリーを使って書いていくのですが、大変でした。なんとか合格もらえるといいけど。生徒アシスタントに加えて、ここ数年注目を浴びているのが先生のアシスタント。特別支援学校よりも小中学校などで取り入れられ始めている職業で、その名の通り、先生が行う内容をアシストします。出席確認をしたり、休み時間の監督に出たり、遠足の準備や引率、コピー取りなど、事務員をするような感じでしょうか。特に資格は必要ではないと思うのですが、(まだ資格もできていない新しい職業だし)子供が好きなことと柔軟性は強く求められる仕事であると思います。こうしたアシスタントといかに上手く付き合いながら、仕事を行うかは、きっとどの仕事についても同じなんだろうなあと思います。



2017年1月10日火曜日

2017年の日本週間のボランティア募集

 春学期の大きな行事となる日本週間の日程が決まったので、今年も例年同様、ブログでボランティア希望者を募集します。私の働いている特別支援学校では、日本の特別支援学校との姉妹校交流が始まってから、毎年、1回から2回、日本週間という期間を設けて、日本の文化に触れる勉強をしています。今年も昨年と同じ3月に行うことになりましたので、ボランティアとして参加してくださる方を募集します。日時などは以下の通りです。

日時:2017年3月28日火曜日と29日水曜日の2日間。朝8時45分から14時まで
場所:ストックホルム郊外。メッセージをくださった方に詳しい場所やアクセス方法をお伝えします。

ボランテイアなので、お給料などは出ません。以下のような目的で参加して協力してくださる方がいればと思っています。

  • 特別支援教育に興味がある、特別支援教育を学んでいる、スウェーデンの特別支援学校を見てみたい。
  • 重度の障害を持った子供達と関わってみたい。(私の働いてる学校は重度重複障がいを持った生徒が通っている学校です。会話が可能な子供もいますが、発語がない子供も多く在籍しています。)
  • 日本の文化を伝えたい。

日本週間で今まで行ってきた内容は次のような感じです。

  •  書道:毎回行っている人気のコーナーで、書道のお手伝いなど。
  • 茶道、日本のお菓子のコーナー:毎回人気がある「食」のコーナーで、お茶をたてていただいたり。
  • 折り紙:一緒に手伝って簡単な折り紙を折っていただいたり。
  • 大正琴
  • 空手
  • ダンス
このほか、こんな特技があるから、ぜひ行いたいという方がいらっしゃれば、行うことも可能です。あと、日本の楽器や音楽を演奏できる、歌を歌えるという方も募集中です。重度の障害を持った子どもたちに音楽をきかせたいというような方がいらしたら、来て欲しいです! 


この他に知っておいていただきたいこととは、


  • ボランテイアになります。お給料やお礼は出ません。学校の給食と食後のコーヒーをごちそうします。
  • 多少でもスウェーデン語、もしくは英語が話せる方。でも、やる気が一番重要です。例年複数の方が参加してくださり、2、3名で組みになって行いますので、言語に自信がない方はおっしゃってくだされば、スウェーデン語の話せる方と組んでいただくことも可能です。
  • 時間は、8時半に学校が始まり、14時に終わりますので、その間の都合のいい時間ということになります。できるかぎり、1日お手伝いいただけたらと思っています。数時間でチラッと見ていただくよりも、1日じっくり子どもたちや学校の様子を見ていただき、お手伝いいただきたいという気持ちがあります。
  • 参加日数は、1日でも、2日間でも構いません。ご都合に合わせて参加していただければと思います。 
  • 遠方から参加される方には、私の家、もしくは同僚(スウェーデン人)の家でホームスティをすることが可能です。ご相談ください。
  • 昨年は、希望者が多かったために、ある一定の人数でボランティアの募集を終わらせていただきました。今年も、宿泊希望者の人数などにより、募集を早めに締め切ることがありますので、希望される方は早めにご連絡をください。
  • 連絡をくださった方には、1週間以内に返事を必ずしますので、もしも、返事がない場合は、お手数ですが、コメント欄に連絡をください。

興味があるという方、ぜひ、こちらのメールアドレスに、swedenpedagog@yahoo.co.jp ご連絡をください。コメント欄を通じてのご連絡でも構いません。(コメントは承認制で公開されませんのでご安心ください。)質問などあれば、遠慮なくどうぞ。ご応募お待ちしております!


2017年春学期開始

 あけましておめでとうございます。あっという間に年が明けて10日になろうとしています。仕事は昨日からで、初日は研修だったので、またまた、研修係としてなんとか乗り切ることができて、良いスタートを切ることができました。私が慌てたり、バタバタすると、みんなもバタバタするようなので、できる限り、どーんと構え、同僚たちと冬休みに何をしたかを話したりして、楽しかったです。研修も好評でよかった。生徒たちは明日からの登校なので、準備時間が少しあり、今年は楽です。

 冬の休暇を振り返ると、休みに入ったことはいいのですが、直前に学校検査局からメールが来て、資料を出すことになり、その資料作成に追われました。クリスマスでしたが、なんとか、母と甥っ子姪っ子が来る前に仕上げておこうと頑張りました。が、このため、大学の課題が仕上がらず。。。先生に提出を伸ばしてもらって、これから書き上げる予定ですが、ちょっと辛い。。。

 
 年末年始は、日本から甥っ子と姪っ子、母が来ていたので、北極圏までオーロラを見に行って来ました。クロスカントリーをやったり、ソリに乗ったりして昼間を過ごしました。私は怪我が怖くてやらなかったけど、子供達は、アルペンスキーの教室にも入り、冬を満喫しました。そして、母が見たかったオーロラは、3日目に見ることができました。ここまできて見れないのも寂しいので、見れて本当に良かったです。私たち、子どもがいない夫婦に子どもがいるってこんな感じかしらと思わせた2週間でしたが、あっという間に終わり、みんな帰ってしまい、ちょっと寂しいです。

 

 しかしながら、現実に引き戻され、日常が戻り、昨日の会議では、あれもこれもやらなくてはいけないことが頭に浮かび、そろそろ気を引き締めなければと思った次第です。今年は、と毎年書いていますが、週1のブログ更新を目指して頑張ります。今年もよろしくお願いします。