2015年10月30日金曜日

「Kristina från Duvemåla」に見るスウェーデンの移民の歴史

 スウェーデンは秋休みに入っています。私は、月曜日と火曜日にアシスタント向けの研修を受け持ち、水曜日は、学校統一の研修を受けてきました。アシスタント向けの研修の準備は大変でしたが、好評だったので、詳しく書いてもらったアンケートなどを読むのが楽しみです。水曜日は、今スウェーデンの学校で注目されている、「lågaffektiv bemötande(感情に注意を払った対処の方法)」の研修でした。うちの特別支援学校では、もう3年ほど前から取り入れているんですが、春先に出た小学校向けの本をもとにした研修が行われました。感情に注意を払った対処方法を書きましたが、子どもたちが持っている成長過程での感情に表出に注目し、その感情の波を周りの大人の対処法によって緩和する方法で、私は、効果の高い方法であると思っていて、今までも自分の生徒に多く取り入れてきました。

 前置きが長くなってしまったのですが、秋休みということで、ずっと見たかったミュージカルを見てきました。スウェーデンに移住した頃、親友がこのミュージカルのCD3枚組をプレゼントしてくれて、その当時、よく聞いていました。いつかこのミュージカルを見たいと思っていたので、とっても感慨深かったです。

 ミュージカルの名前は、「Kristina från Duvemåla」で、1995年にABBAのBenny Anderssonによって音楽が作られました。とにかく音楽はその才能を感じるもので、移住したばかりでスウェーデン語がわからなかったのに、ものすごく気に入って何度も何度も聞いていました。ミュージカルの元は、スウェーデンの有名な作家、Vilhelm Mobergの「Utvandrare(移民)」シリーズ。現在多くの移民、難民を受け入れているスウェーデンですが、国が貧しく多くの人々が国から逃げて行ったのは、そんなに遠くない昔の話。そんなスウェーデン人が、生活の厳しさから、他の国を目指して行った話であるこのミュージカル、難民問題を抱えるスウェーデン社会に一つの考えをもたらすものであるとテレビやニュースでも取り上げられました。

 以下のサイトで、ヨーテボリオペラでの映像が見れます。
https://www.youtube.com/watch?v=g1JMY_XVABk


 何と言っても、この「Guldet blev till sand(金が砂になった)」は印象的で、テレビやラジオで聞くことも多い曲の一つです。大事な親友をなくし、金を替えたお金は偽札でと、心からの叫びが伝わってきます。
https://www.youtube.com/watch?v=Xn8h-03hrTY

 あとは、こちら「Du måste finnas(あなたはいるはず)」今よりも、キリスト教が生活に色濃く出ているのが印象的で、神はいるはずだというクリスティーナの声が印象的です。子供を貧しさで亡くし、何度もの妊娠や流産により、命を落とす主人公の悲しみが伝わってきます。
https://www.youtube.com/watch?v=6CfjxZ9JQjQ


 移民、難民と言っても、実際の生活のイメージがつかみにくく、その立場を想像するのは容易ではないと感じています。このミュージカルが、その部分を見せてくれるということではないのですが、それでも、その昔、スウェーデンの人々が苦しみ、他の国に人生の望みを託して国を去り、辛い現実と向き合いながらもたくましく生きていく様子は、見る価値があると思いました。もう少し値段が安ければ、あと数回見たいところですが、CDを聞いて楽しもうと思います。

 秋休み、課題に追われていますが、楽しみたいと思います。皆さんも良いお休みを!

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