2019年3月17日日曜日

スウェーデンの保育は無料か?

 日本で幼児教育・保育無償化となると知りました。教育の無償化はよいことであると思うのですが、すべての子どもが平等に健やかに成長するために享受できる改革ではないのではないのかと思いました。日本のように就学前教育の種類や形態が、保育園、幼稚園、こども園、認可、無認可などと複雑化していると、無償化にといっても問題が多くあるのだろうとも思います。

 スウェーデンは、働く保護者や学生の保護者などに対して地方自治体となるコミューンが必要な保育を提供することになっていますが、保育は無償ではありません。入園は基本的に1歳からで、保育料は最高限度額が決まっており、保護者の収入に応じて支払います。無料で保障されている幼児教育の部分は、3歳から525時間と決まっており、この部分は無料です。

 私がスウェーデンの就学前学校で働いていたのは、もう10年も前になりますが、そのころから、朝から晩まで子供を預ける親が時折問題になっています。スウェーデンの就学前学校の場合、主となる活動時間は9時から15時なので、この時間以外の保育は基本的に本当に必要な人のみが使うものであるという考え方があります。なので、あきらかに片親が家にいる場合などは、表立っていうことは少なくとも、職員間ではかなりいろいろと話題に上ります。お金を払っているのだからどれだけ預けてもいいだろうという人もいるかもしれませんが(あまりスウェーデンでは聞いたことがないですが)子ども一人の保育と教育にかかる年間料金からすれば、本当に微々たる料金しか払っていませんし、スウェーデンの場合は、これ以外に徴収されるお金は発生しないとすれば、必要なときのみ必要な人が利用するのが原則でないと、有限である税金という財源をもってして運営していくことは不可能となります。


 これに加えて、スウェーデンには、子どもが小さい頃はできる限り親と一緒に過ごすことが良いという考え方が浸透しており、親は、子育てと家族を優先することが当然となっています。病気看護休暇も充実していますし、子どもが小さいうちは、フルタイムの仕事を75%にすることもできますし、様々な政策がとられており、保育と教育、仕事などのバランスがとりやすいようになっていると思います。



 遠いスウェーデンから日本の幼児教育、保育無償化の話を聞くと、財源は有限であることと平等という観点が少し欠けているのではないかと危惧してしまうのですが、どうでしょうか。保育士さんのなり手がいないという声も聞きます。無償化が本当に子どものためになればよいのですが、さらに保育の現場が過酷な労働を強いられるようになったり、教育の質がさらに大きくなったりしないことを願うばかりです。日本を離れて長いですし、わからないことも多いので、こうだよと話してくださる方がいれば、ぜひ、コメントを。😊

2 件のコメント:

  1. はじめまして。Facebookからこのblogにたどり着きました。スウェーデンへの移住を考えており、このblogも参考にしたいと思います。

    さて、日本の幼児教育事情ですが、一例として書かせていただきます。私は夫婦共働きで5歳の男児を幼保一体型の園に預けています。
    スタッフは朝7時代からいますし、時にはそのは19時までいたりします。
    無償化は子育て世代の助けにはなりますが、ハードル低下に伴う、子育て世代の保育士の負担が増えることは見えています。人材難でもありますし。
    長く預ける親がいなくなればいいのでしょうが、日本のワークスタイルは何だかんだ言っても仕事のプライオリティが高く、子供のために好きな時間に帰ることがまだ市民権を得ていないようにも思えます。

    海外の素晴らしい事例を取り込むのは大いに結構ですが、それが成立している文化的背景を無視して手段系だけを持ち込むと、狙いの結果は得られないように感じます。

    長文失礼しました。

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    1. Kawamo様 コメントありがとうございます!すごくうれしく思います。これを書いたときに誰かコメントくれないかなと思っていたので、こうしてご意見いただけること、とても光栄に思います。また、お時間割いてくださり、本当にありがとうございます。

      スウェーデンへの移住を考えられているとのこと、いろいろと情報を集められていることと思います。私のブログが移住の参考になるかはわからないのですが、読んでくださる方がいることは大変励みになります。


      私も書かれているとおりであると思います。海外の事例をそのまま取り入れたりすることは危険が多いと思います。参考にすることは大事であり、私のような海外在住者が一意見として意見を言うことも重要であると思います。日本で実際に取り入れていく方たちには、日本の目にする、その場の実態を十分に把握し、検討され、推測されたうえで、海外を含めた研究などを参考にし、目指す姿に合ったものを導入していくべきであると思います。手段のみや、見た目、突発性で、取り入れたものなどをみるととても残念に思いますし、一ブログならまだしも大手の新聞社などが、あまりにも偏ったスウェーデン現地情報を載せていると私もとても残念に思います。長くなりましたが、狙い、望む未来の姿をしっかりと描かないまま、導入される政策施策は私も効果が薄く失敗に終わる傾向が多いのではないかと勝手に推測しております。

      最後に、スウェーデンの今も、多くの人々の討論、議論、研究などがもとになり、何十年もかけて作り上げられてきたものなので、今の日本の状況がそこに住む人々の望む姿でない場合、そこに住む人がその手で変えていくものであると思います。一人一人がツイッターやブログ、いろんなところで声を上げている姿を遠くから応援してやみません。私も長文になってしまいました。コメントありがとうございました。また、お時間あれば、ぜひ、コメントくださいね。私ももう少しブログ更新するように頑張ります!

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コメントをありがとうございます。