久しぶりの更新です。1週間なんてあっという間という感じで、毎日が過ぎていっています。ここ数日、めっきり暗くなったなあと感じるスウェーデン。私も同僚達も、あくびがよく出たり、疲れ気味だったり、身体の不調の出やすい時期です。
先週だったと思うのですが、スウェーデンの学校局が教員免許の有無に関するレポート発表しました。スウェーデン、予想以上にひどい状況です。日本では考えられないことですが、スウェーデンでは、教員免許を持たない教員が教鞭をとっています。現場では、実力があればいいのではないかというような声も聞こえますが、私は、どんな職業にもプロ意識というのは重要であり、きちんと教員養成課程を経て教員になり、教員免許を有した上で、教育を行うというのは基本中の基本だと思います。なので、今のスウェーデンの状況、本当に心配なんですよね。何か本当に手だてをうたないと、未来を担う子ども達を育てる教師がいなくなると。
どんな状況か数字で見てみていきます。この数字は、学校局が何人教員がいて、そのうち何人が免許保有者かを調べたものです。
教員免許を有しない教員の割合
- スウェーデン全国:32,7%
- ストックホルムレーン(県レベル):38,3%
- ヨーテボリコミューン(市レベル):35,2%
- マルメコミューン :35,6%
ストックホルムレーンの中でも教員免許保持者率が低いコミューン
- ソデタリエ(Södertälje)コミューン:49,9%
- スンドビーバリイ(Sundbyberg):49,1%
- ボートシリカ(Botkyrka):47,8%
- ソルナ(Solna):45.3%
- シグチューナ(Sigtuna):45.3%
高校の教員免許保有者率:52% *職業科目の教師は免許がなくても教えられることになっているために保有者率が下がる傾向にあります。
就学前クラス(6歳児クラス)の免許保有者率:65%
教員免許制が導入されるにあたり、免許を持っていない教師、もしくは免許を持っていない教科を教えている有資格者に対して、免許取得の援助がされてきました。しかし、この援助が十分なものではなく、多くの教員が免許を取得しないまま現在に至っています。外国の教員養成課程を出た人に対するコースもありますし、特別支援教育に関するものもありますし、今まで働いて来た人々を優遇するコースもありますが、どれも、経済的な部分での援助がいまいちであり、特にその部分は各コミューンにまかされているために、コミューンや人によって大きな差があり、文句や批判を多く聞きました。そんななので、あまり効果があがっていない結果がここにも現れています。また、教員免許を有する教員の教職離れも問題になっています。10人に4人が教職を離れて別の仕事についているということで、免許所有者が教師として働いていない現状も問題があります。加えて教員になりたい人も少ないんですよね。。。
それにしても、30%を超える教員が免許を有していないというのは多いと思うのですが。せめて、大学で関連した内容を学んだ人であってほしいと思うのですが、全く関係のない分野の人が行っているとなると、スウェーデンの教育の低迷も何となく理解ができてしまったり。私が悲しいなあと思うのが、教育を学んだもの同士だからこそできる議論ができないことです。教育に長く携わっていればできることもあるとは思うけれど、やはり教育を学んだものだからこそできる話があるように思います。そういう議論がなく学校運営が行われるのは、何か欠如するようにも思います。
今回の結果を受けて、新聞でもニュースでも話題になり、国が何かしらの対策をうつようにしなければならないとあります。金曜日には、新内閣が発表されました。こういった学校関係の大臣は、予想通りのこのかたでした。
(環境党の広報の写真より)
グスタフ・フリドリーン(Gustav Fridolin)、環境党の党代表をでもある31歳。私は、娘さんが生まれたときに、ちゃんと育児休暇を取ったことにも好感をもったし、国民大学で教えていたという経歴にも興味を持ちました。19歳という若さで国会入りをした彼、若い頃から政治に関わって来ており、教育にもそれなりに関わって来た若手のホープ、どのようにスウェーデンの教育を采配していくのか楽しみです。ただ、1万クローネ教員のお給料あげるといったけど、実際の財政で賄えるのは2000クローネまでだったということが選挙論争でばれたし、環境党という右でも左でもない党で、不安定な連立政権では、どこまで何ができるのか本当に腕の見せ所だと思います。
読んだ新聞の記事:S vill kraftsamla mot lärarbristen, DN, 20140926