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フィンランドの次はポーランドだ!

クリスマス、いかがお過ごしでしょうか。我が家は、 「ありえないー」 と100回くらい叫びたいくらいの出来事があり、クリスマスイブは大変なことになっておりました。はあ。。。  気を取り直して、前回に引き続きPISAの学習到達度調査に関する話題を。前回の記事は こちら からご覧いただけます。  今回の結果で目を引き、話題となっているのが、実は、 ポーランド なんです。今までは、PISAといえば、フィンランドかアジア諸国でしたが、今回躍進したのが、ポーランドなんです。では、まずは、結果を。 読解力 2000年のテスト開始時には、スウェーデンは、516ポイント、OECD加盟国の平均が、500ポイント、そして、ポーランドは、479ポイントでした。これが、スウェーデンはこの12年間下降し続け、なんと、2012年では、483ポイント。そして、ポーランドは、518ポイントでした。OECD加盟国の平均は496ポイントなので、ポーランドはその上をいっています。順位で見れば、日本が1番、フィンランドが3番、ポーランドが6番、スウェーデンは、27番。 数学 ポーランドは2000年は470ポイントしかなく、スウェーデンは510ポイントありました。OECD加盟国の平均は500ポイント。これが2012年の結果では、逆転し、ポーランドは518ポイント、スウェーデンは、478ポイント、OECD加盟国の平均は、494ポイントとなっています。ここでもまたポーランドがぐっとこの12年で力を付けてきたことがわかります。順位でみると、日本が2番でフィンランドが6番。これに次いで、ポーランドが8番に付けています。スウェーデンは、28番。 科学 ポーランドは2000年は483ポイントあり、スウェーデンは512ポイントありました。OECD加盟国の平均は。やはり真ん中の500ポイント。これが、2012年では、逆転し、ポーランドは、526ポイントあり、スウェーデンは485ポイントとなっています。OECD加盟国の平均はあまり変わらず、501ポイント。順位でみると、日本が1番、フィンランドが2番、ポーランドが5番となっています。そしてスウェーデンは、27番。 今回ポイントが下がったフィンランドに取って代わって、メデイアで取り上げられているのがポーランド。やはり、この12年でポイ...

スウェーデンのピサの学力テストの結果と今後の選挙の行方

冬休みになり、やっと少し落ち着いた毎日になりました。年明けに控えたテストに向けて勉強を開始しなければと思いつつ、クリスマスらしくない外の風景を眺めています。(今年のストックホルムは雪がまだ積もっておらず、ホワイトクリスマスにはならないようです。)     今日は、いろいろ思うところのあるピサの学力テストについて書こうと思います。12月に入り、2012年のピサの学力テストの結果が発表され、話題になりました。12月の半ばの大学の登校日でもその話がでましたし、選挙を控えているスウェーデンでは、政治も絡み討論番組でもかなり取り上げられました。国営テレビの討論番組にはいろんな国の方々が参加されたものもあり、大変興味深く見させていただきました。日本人の方もでていらして、やっぱりそう思うんだなあと思いました。  ピサの学力テストについて少し書くと、テスト自体はそんなに古いものではなく、新聞の記事にこの立ち上げに関わった人のコメントが出ていたので調べてみると90年代後半につくられたもので、第1回目は2000年ということでした。その後、3年ごとに行われており、その人も、作成当時には、「 こんなにこの学力テストが騒がれ、政治的な判断を下すのに使われるようになるとは思わなかった」 とありました。スウェーデンの新聞やメデイアで昨年このピサの学力テストの名前が出されたのは、実に 459回 。その注目度はかなり高いです。  個人的には、このピサの学力到達度調査で出される結果に一喜一憂して、学校の制度を変えていくとか、教育を批判するというのはあまり好きではありません。特にスウェーデンと日本で教育に関わってきて、その国が求める能力、社会が求める能力には差があり、それにより作られている学校の教育は、こういった学力テストで計られる以上のものがあると思います。また、今年に入ってピサに関する研究が出され、子どもへのテストと同様に行われる校長へのアンケートに関しての不正が発表されています。そうなるとこのテストに関する信用性というのは、騒がれるほど高くないのではないかとも思います。  簡単に結果をみると、 読解力 2006年と2009年は韓国がトップでしたが、2012年は538ポイントで日本でした。OECD加盟国の平均ポイントは496ポイントで、スウェーデンはというと483ポ...

スウェーデンの学校給食

昨日も今日も秋晴れの気持ちのいい日でした。家のなかでひなたぼっこしながら昼寝という極上の贅沢を味わった週末です。木曜日と金曜日は大学の登校日だったので、とても充実した忙しい時間を過ごしました。今回の課題で出したレポートの書き方がいまいちだったということがわかり、「そうか、そういうことか。」と思いました。一応マスターレベルになっているので、論文の書き方などとても厳しいです。慰めですが、スウェーデン人の方でも同じ間違えをしていると安心している自分がいます。今のところ、なんとかついていけているのでよしとしましょう。    さて、今日は久しぶりに新聞の記事から、スウェーデンの学校給食について書こうと思います。まず、スウェーデンの学校給食の特徴をあげていこうとおもいます。 1、無料であること これ、重要なんです。新聞によれば、学校のランチを無料で提供しているのは、 スウェーデン、フィンランド、 そして エストニア のみとなっています。お隣の国、ノルウェーとデンマークは無料ではありません。デンマークは学校に行く(行かせる)義務ではなく、授業を受ける義務となっており、ホームスクールが可能なことでも有名であり、そうなるとランチの無料提供というのは考えにあがらないのだろうと思います。ノルウェーは、ランチ持参という話を聞いていて、移民でわたってきた子どもが変わったランチを持っていって恥ずかしい思いをしたというような話を聞きます。 無料であることはとても重要な点で、スウェーデンがおそらく誇りとしていることであると感じます。豊かな北欧のスウェーデンというイメージが強いのですが、貧困が問題となっており、学校で出される給食が1日の唯一の暖かいご飯だったという話を良く聞きます。すべての子どもに最低限の生活を保障する一面を今でも担っている給食というのは大変考えさせられるところです。 2、ランチの時間が10時半から12時過ぎ ランチルームで食べるため、ランチの時間にものすごく差があります。低学年のクラスは、実に10時20分頃から食べ始め、高学年になると12時過ぎというのも珍しくありません。このランチの時間を10時半以前にしないこと、11時をめどにすることという一応の目安はあるのですが、多くのところが守っていないのが現状です。早い子どもは6時半頃に学校に来て7時に学童で朝...

歩けるという可能性ー続編

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今日は、ある方からコメントをいただいたので、それに関して答えていこうと思います。まずは、コメントをくださった方、ブログを読んでくださり、コメントまでくださり本当にありがとうございます。また、9月中にコメントをくださった方、返事を書いていたのに公開するのを忘れていました。コメントの返事が遅れたこと、お詫び申し上げます。今後気をつけますので、これに懲りずに、コメントくださるとうれしいです。  前に書いたのは、こちら。「 歩けるという可能性 」  コメントでは、この「歩けるという可能性」に関して、具体的な子どもの姿やそこから引出されてくる人間的な行為のちがいを知りたいということでした。そこで、少しですが、書いてみようと思います。  少しその前に私の持っていたクラスの話をもう一度しておくと、5年間車いすを使用している生徒たちの担任をしていたのですが、現在は、歩行可能な生徒の担任をしています。 歩けるということは、自分の欲しいもののところへ行けるということ まずは、何と言ってもこれが大きいと思います。私が受け持っていた車いすを利用した生徒たちは、1名を除いて自分で車いすを動かすことができません。他の人が車いすを動かさない限り、その子たちはその場所にいることになります。その上、この子たちは、言葉を話すことができません。発語はあったので、数名の子はときどき大きな声で教えてくれることはありますが、それでも、誰かの手を借りないとその場にいることになります。 この点、今のクラスの子どもたちは、好きなところに行きます。音楽が聞きたいときは、CDプレーヤーのある場所にいきますし、ブランコに乗りたいときもブランコのそばに行きます。絵や写真を使ってコミュニケーションをとる段階に至っていない子どもでも、歩けることによって自分のしたいこと、欲求を伝えることができます。 前のクラスの生徒に4年かかって、車いすを動かす方法を教えました。彼女は、右手なら動かせたので、その手で少しずつ動かす方法を教えます。今では、多少なりとも自分の意志で車いすを動かせるようになりました。 現在のクラスの子どもたちは、勝手にどこかに行ってしまう可能性もあるので、目が離せないのは前の生徒たちと変わらないのですが、勝手に動いてくれるからこそ、言葉を話さない生徒たちが何を考えているのかよくわかり...

96%の学校が何らかの問題あり?!

 スウェーデンの学校は、定期的に「学校検査局」みたいなところによって、国が定めた学校法などに従って学校が運営されているかどうか調査が入ります。この調査によると、昨年何らかの不備があった学校は、 96%  745校のうち715校 にのぼりました。  私が働いている学校にもこういった調査が入ります。その度に、何らかの指摘をされているので、おそらくうちの学校もこの715校にはいるのかなと思っています。(でも、昨年は調査入らなかったようにも。。。毎年ではないのです。2、3年に1回の割合で調査が入ります。)  調査の目的は、最初にも書いた通り、定期的にスウェーデン中の学校を訪問して、学校法や決まり、カリキュラムなどがきちんと守られているかどうかを調べることにあります。訪問の前には、必ず、生徒と保護者に対してアンケート調査が行われます。うちの学校では生徒へのアンケートは困難であるために、毎回話題にはなり、可能である生徒にのみ行われます。訪問前に資料などを提出し、訪問が行われます。その際には、校長、職員、生徒へのインタビューや授業見学、学校見学が行われます。  調査には、長いチェックリストがあり、それを一つずつ見ていくので、何かしらで引っかかる学校が多いようです。これに関して、細かすぎるという批判も多少なりともあります。調査が終わり、「不合格」をもらい、何らかの問題点を指摘されると、資料などの再提出日が決められ、その期日までに不備をただすことになります。内容にもよりますが、最低でも2から3ヶ月はあるので、その間に対処をします。こういった対処をしないと最終的に罰金となる場合もあり、ストックホルムでも数校昨年の不備から罰金を請求された学校があります。    では、どういった内容で、再提出、不備、不合格となるかというと、 保護者に子どもの学校での様子や成績が情報が十分伝えられていない 男子と女子の間の成績に大きな差がある 教師の半分以上が教員養成課程を出ていない 特別な支援を必要とする生徒に支援が行われていない 教職員による差別的な行為や発言があった 生徒の実際の能力以上の成績がつけられていた 生徒が落ち着いた学びの環境ではないと指摘した などなどでした。(番号に意味はありません。) 一番多く指摘されるのが、1番の保護者に...

学級規模縮小案に対する反論から

忙しい1週間が終わり、週末になりました。今週末は、アイスホッケーの世界大会の決勝に加えて、昨日はユーロビジョンコンテストというヨーロッパの歌の祭典があり、テレビの前でだらだらしながら、過ごしています。フィンランドに勝ってほしかったけど、負けました。。。 三者懇談を3人終えて、残りは1人なので、だいぶ気が楽になりました。残り1ヶ月をきった今学期、やりかけたことがたくさんあり、なんとか、夏の休暇に入る前に終えてしまいたいと思うところです。    スウェーデン社会民主労働党が、 20億円を投入し、4000人教員を増やして学級の規模を小さくする という案を出してきました。これに対する批判意見が新聞に載っていたので、そこから思うところを少し書こうと思います。反対意見の中核は、 教員を増やすよりも、お給料を上げるほうが効果的だ というものです。最近よく名前を聞く、John Hsttieというニュージーランドの研究者によれば、「学級規模よりも(子どもの人数)能力のある教員のほうが意味がある」そうで、単純に教室の中の子どもの人数を減らしても、教員の能力がなければ、生徒の力は伸びないということですよね。これは、実際に教員として働いていて、この研究はもちろん読んでいませんが、納得できます。確かに子どもの人数が減ると仕事の量には多少差が出ますが、でも、教員の仕事というのは子どもの人数だけで左右されるものではないので、実際に人数が減ったからといって、仕事がぐっと減るとかいうことはありません。  それに、今のスウェーデンの学校の状態で、教員の増加を望んでも、応募してくる人たちの質ってどうなんだろうかと思ってしまいます。そんなにたくさんの先生を雇えるのかなとか思ってみたり。反対意見にもあったけど、もう少し、教員という仕事を魅力的なものにし、それなりに、お給料を上げない限りは、能力のある先生は増えず、無駄にお金を投入するだけのように思います。教員養成課程をでて、教員にならない人が増え続けているので、そういった人たちを教職にもどすのに最も効果的なのは、おそらくお給料だろうと思います。  面白いなあと思ったのが、ピサの学力テストで上位を占める国というのは、決して学級規模の小さい国ではないということです。日本もそうですが、上位の国々はスウェーデンに比べるとはるかに多くの生徒を...