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「優」が「不可」になるスウェーデンの成績

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スウェーデンで、教育関係のニュースで、ここ数日話題に上っているのが 「成績のつけ方」 についてです。  始まりは、学校検査局が行った国の統一テストの採点見直しをしたところ、担任が「優」とつけた成績が採点の見直しでは、「不可」になったという報道でした。  ちょっと詳しく説明していこうと思います。 スウェーデンでは、 子どもの能力を国中平等にみて成績をつけるために 、 国が統一して行う「Nationella Prov」 というのがあります。移民でこちらにやってきた方ならば、スウェーデン語クラスでの同様の試験を受けたことがあるかもしれません。同じような感じで、 小学校3年生、6年生、9年生、高校など において行われるテストです。  このテストとともに生徒の成績がつけられることになっているのですが、MVGという日本での「優」にあたる成績をもらった9人のうち1人の成績が、検査局の採点では「不可」になるということがヨーテボリの新聞に載ったのです。  これに加えて、2009年から2010年に62校の高校を対象に行った調査では、実に約半分がもともとついていた成績よりも低い成績になるということでした。  この調査自体は新しいものですが、話自体は大して珍しいものではなく、毎年のように出されるものです。教師側の言い分としては、この国の統一テストだけで成績をつけるのではなく、普段の授業の様子や提出物の内容などを含めて総合的に判断するので、こうなるというものが多いです。  また、スウェーデンは平等がすきなんだけど、教師が違うんだから、なかなか平等な同様な成績付け、評価は難しいのが現状であって、そういう面でも難しいと思うのです。  その昔の相対評価に比べれば、今の絶対評価はまだいいとも思います。この話、ものすごくその後盛り上がって、今では、平等な成績付けはできるのかできないのか、といったような問題にも発展し、どうやって今後の改革がすすむのかまで、話は進んでいます。今後の流れをまた書きたいと思います。

スウェーデン青年の大きな不満

先日いただいたコメントの中に書かれていた内容が、興味深いものだったので、私が思うところを書きたいと思います。コメントを下さったパンダ民さん、ありがとう!  コメントの内容はこちら。書き込まれた記事は こちら ですので、興味のある方はどうぞ! こちらのお話と関連性があるかは分かりませんが、あるバラエティ番組で街角インタビューされたスウェーデン人の青年が「もう絶対国には戻りたくない!」と個人的理由というより、自国への不満爆発といった感じで答えていました。 北欧は福祉や教育など国民をケアする制度は万全だというイメージがあるので、問題は当然あるにしても、こういった大きな不満感は意外な感じがしたのですが、スウェーデンではまた事情が違うのでしょうか? 質問は来日&滞在理由などの軽いものでした。レポーターが絶句してしまった為、詳細は分かりませんが、気になって思わず書き込んでしまいました。  この北欧に対するイメージは、一般的なものであると思います。北欧といっても、各国によって事情が大きく違います。私はスウェーデンのことしかわからないので、ここからは、スウェーデンということで理解していただけるとよいかと思います。私から見るスウェーデンの若者たちは、格差が広がっており、そのおかれた状況によっては、大きな不満がたまっても仕方がないかなあと思います。ニュースなどでよく取り上げられる問題がこちら。 若者の失業率の高さ 若いということは、経験があまりないということですが、経験重視、労働者の権利が強いスウェーデンでは、若者はなかなか仕事が見つかりません。大学進学率が50%をきっているスウェーデンでは、若者の半分以上が高校卒業後に仕事を探していることになるのですが、15歳から24歳までの若者の失業率は実に25%を超えています。4人に1人が仕事が見つからない状態ということで、かなり深刻です。 昨日も若者が「活動資金」というような名目のお金を政府からもらっている%がものすごく増えていると。これは、老人の年金のようなお金で、若者の年金と考えてもいいと思う。そうなると、そうやって 「働かない若者」「働けない若者」 が増えている現状をどうするかということが問題になるわけで、なんとか、若者を税金をもらう側から、払う側にしようという対策が立てられるようです。 日本...

社会性と感情のコントロールを訓練する・・・SET

今日は、仕事を13時半に終え、秋休みに入りました。木曜日と金曜日はお休みなので、ゆっくりしようかなあと思っています。  月曜日にあった講演会の内容が大変興味深かったので、紹介したいと思います。  近年、欧米社会では、若者たちの精神的な健康状態がよくないことが問題になっています。ここ、スウェーデンでも、10代の若者たちの精神的な不健康がよく取り上げられています。これに対応するためには、小学校の低学年から、早ければ早いほどいいといわれています。その中のひとつの方法としてここ数年用いられているのが、こちら。 SET Social och Emotionell Träning   社会性と感情のコントロールの訓練  話の始めは、危険因子と保護因子について。危険因子とは、たとえば、親がアルコール中毒だとか、うつ状態だとか、そういった子どもが危険に陥る可能性のある内容のことを指し、その数が多ければ多いほど、子どもの精神状態が悪くなる可能性が高いというもの。これに反し、保護因子とは、そういった危険から子どもを守ることができる内容を指し、たとえば、よい先生に会うとか、掃除のおばちゃんと親しくなってとか、近所にいい兄ちゃんがいるとかなどです。学校や先生は、この保護因子になれる可能性が高く、また、成績がいいとか、勉強で落ちこぼれないといったことでも保護因子になるため、先生の持つ役割は大変大きいという話でした。  このあたりの話がとてもスウェーデンぽいと思いました。理由は、スウェーデンが科学的に証明されることにかなり重きをおいており、日本では当たり前のような話でもえんえんと数字を用いて話がされます。こういう風だから、教育分野の研究が遅れるんだろうなあと想像しつつ、でも、科学的に証明されることは大変いいことでもあるので、じっと聞いていました。  予断ですが、同僚の何人かは、このあたりが退屈で脱落した方も。。。仕方がないですよね。夜遅かったし。  若者の精神状態が健康でないという事実の中に、アルコールの摂取に関する問題があります。スウェーデンでは、10人に1人が11歳からお酒を飲んでいるということで、その摂取量はかなりなものです。これは、どちらかというと、裕福な地域の問題であるようで、若者のアルコール問題が深刻なのは、スト...