2016年10月15日土曜日

ロボットにしたいわけではないが。。。

 1週間があっという間に過ぎていきます。今の学校に勤めてはや9年目です。いろんな生徒を見てきて、いろんな職員を見てきて思うのが、「こちらのいうことを聞くロボットを作成したいのだろうか」と。ブログといえども、日本語といえども、こうして書くのは少し気がひけるけど、特定の生徒というよりは、うちの学校でよくあるパターンということで、書きます。

時間割表どうりに動かず、一定の授業を受けたがらない。

これよくあります。時間割表には、例えば、体育と書いてあっても、体育館に行くのを嫌がり、行かせるのに実に時間がかかる。そうなると、最終的に先生がその授業をなくしてしまったりします。情報伝達には、生徒にあったものを用いているので、物や写真、絵記号で、体育や音楽ということを伝えます。もちろん文字で読めるこもいます。自閉の子どもで、写真で体育と伝えて、嫌がって走り回ったりすると、アシスタントから、「あの子は写真が分かっていない」というコメントをもらったりします。でも、私からすると、分かっているから、逃げるんだろうなあと思うのですが。

なんで参加したがらないのだろうかと考え、その子が参加できる形を探すことが重要であると思うのですが、そうならないことが多いです。簡単ではないことはわかるのですが。


大好きなことを上手に終わることができない。

あとは、プールなど、子供が大好きな授業で、行くのもプールに入るのも問題がないけど、活動を終えることができないという場合があります。プールが楽しくて終われない。よくあるパターンなんだけど、これもまた、最終的にその子の大好きなプールには行かないという判断になったりします。

好きなことだからこそ、その子が納得して活動を終わることができる方法を見つけてあげることが教育であり、活動を外して行くことばかりしていたら、その子ができる活動にものすごく限りができてしまいます。


で、自立を促すとか言って、カリキュラムにもあるし、色々やるわりには、私たちは、こっちの思い通りに動くロボットにしたいのだろうかと思ってしまいます。。。実際のところ、この子たちは、重い障害がありますので、他人の手を借りて一生生きていくことになります。そうすると、介護者や教育者など関わる人々が関わりやすい人になってもらうことは重要なのですが、障害ゆえに簡単ではありません。その子にあった、生活スタイル、関わり方を見つけてあげ、それが守られるようにしてあげることが重要ですが、それもまた、言うは易し、行うは。。。と言う感じで、実際にそれだけの教育費がかけられているかと言うとそうではありません。それでも、成長していく中で、いやだと言うことを覚えていく姿を見ていると、素晴らしいと微笑ましく思うのが私で、その次の段階に行けるように導いていければ、と思ってしまいます。自分の受け持ちの子どもには、色々手立ても打てますが、他の先生の担当の先生には、あまり突っ込んで何も言えませんので、意見の合う同僚と話をするくらいです。こういった先生同士の問題は、日本もスウェーデンも同じだなあと思います。

余談ですが、日本で働いていても、スウェーデンで働いていても、何年か働いて、言葉にもそれなりに不自由がなくなると、結局同じ問題にぶつかると感じています。ま、性格の問題というか。。。沈黙は金、雄弁は銀というアドバイスを主人がくれました。(笑)

良い週末を!




2016年10月8日土曜日

個人アシスタントの削減傾向

 すっかり秋らしくなり、着々と冬に近づいている、こちらスウェーデン、ストックホルム。今日は、8章まで一気に読んでしまうつもりでしたが、眠気には勝てず、結局6章どまり。明日残り読みきらなくては。。。


 先日の新聞に、一晩にして600時間の援助がなくなったという、個人アシスタントの削減に対する批判記事が載っていました。まず、個人アシスタントについて説明をすると、スウェーデン語では「Personlig assistans(パーショーンリグ・アシスタント)」と呼ばれる、パーソナルアシスタントのことで、障害を持った人に個人的に付き、その人の手となり足となり、援助をします。これは、LSSと呼ばれる「Lag om stöd och service till vissa funktionshindrade」という障害を持った人の支援援助の法律に基づいています。

 ここ数年、この個人アシスタントを不正に利用している人が増えているという報道があったり、増え続ける難民や移民に対する援助の増加により、個人アシスタントが削減傾向にあるという話をよく聞きます。不正に利用している人がいるというのは事実で、時々ニュースになりますが、増え続ける難民の援助がこれにいかに関係しているかは、私にはわかりません。

 新聞には、自閉症と知的障害を併せ持った兄弟の個人アシスタントの時間が削減されて、困ったとあります。記事によれば、2009年から新しい基準が適応されるようになり、基本的必要性が厳しく判断されるようになったとあります。自分でトイレに行けるかどうかとか、食事の介助とかの部分が、より一層厳しくなったようです。この兄弟は、歩けるようですが、一人はてんかん発作があるとありますし、自傷行為もあるようですので、目を離すことはできないのに、一気にアシスタントの時間が減ってしまい、理解に苦しむとあります。

 私の働いている学校の生徒の中にも、個人アシスタントが付いている生徒が多くいます。働き始めた頃は、子供達が保健局に出向くというようなことはなかったのですが、ここ数年は、定期的に担当者との面談があり、生徒が保護者や後見人と一緒に面談に出向きます。自宅への訪問もあるようで、親さんによれば、結構長い時間の面談をずっと本人も一緒に行うということでした。実際に生徒にあって、その必要性をしっかりと理解してもらい、正しいアシスタントの時間を割り振ってもらえればいいのですが、記事のように一気に減らされてしまったりすると、生活も一変し、大変であろうと思います。アシスタントの時間がどれくらいになるかは、本当にまちまちで、保護者の方からもいろいろと話を伺い、心を傷めることがあります。

 スウェーデンのユニークな福祉制度である個人アシスタント、必要な人がちゃんと利用できるシステムであってほしいと願うばかりです。

読んだ新聞記事:600 timmar stöd borta över en natt, SVD 20161003