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スウェーデンの義務教育が9年から10年になる?!

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こちら、スウェーデンでは、 Almedaren (アルメダーレン) と呼ばれる 政治週間 の真っ只中です。  これは、毎年第27週にゴットランド島で行われているもので、毎日1政党が割り当てられ、様々な政治の問題について話し合い、夜の19時にその党による演説が行われます。毎年大きくなりつつあるようで、今年もこの週にあわせて、多くの団体や機関がゴットランドを訪れ、同時に活動しています。今年はこれにかかる税金が多額だということで話題にもなりました。私は15時から、都合がつけば、できるかぎり、テレビをつけっぱなしにして聞いているようにしています。興味深いです。  さて、初日から、話題になっていたのが、こちら。 就学前教育・6歳児教育の義務化 です。現在のスウェーデンでは、 義務教育は小学校1年生から、9年生 (日本の中学3年生にあたります。)までの9年間です。幼稚園と小学校の間に、1年間の6歳児教育・就学前教育があります。幼稚園とこの6歳児教育は自由選択で義務ではありません。   就学前教育は、幼稚園と小学校の教育の方法の両方を用いて教育を行い、1日3時間、遊びと創造教育を中心とした教育を行っています。 ただ、どうしても幼稚園と小学校の間でカリキュラムなどもあいまいで、しかもいろいろ問題があります。  で、この6歳児教育を義務教育化し、義務教育を10年にしようという案があります。実はこの案、3月の半ばくらいに調査をしたグループの報告が新聞に載っていて社説でも大きく取り上げられていました。なので、結構早い段階で、政治案が実現化しそうだなと思っています。  なんで、こういった案がでてくるかというと、高校進学の資格をとって義務教育を終える9年生の率が、なんと75%にまでおちてきており、これにより、23歳の時点で仕事がなく、早期年金や活動援助金をもらっている若者が増えているという社会問題があるためです。これらを変えていくには、できるかぎり、よりよい学校生活をスターさせ、特別支援の必要な子どもにはできる限り早い段階でその必要性を見つけていこうという方向にあるのです。(関連記事: スウェーデン穏健党が出してきた、成熟度テスト )  これに関して、新聞やニュースなどをここ数日見聞きしていて、プラス点とマイナス点をまとめてみようと思います。 プラス点 ...

母国語教育の先生も教員免許必須!

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とってもよい天気の続いているスウェーデン、ストックホルム。住んでいる町で行われたフリーマーケットなどをはしごして、よい天気を満喫してきました。いくところ行くところで知り合いにあい、話も弾みます。  さて、今日の朝の新聞を読んでいて、大変驚いたのがこちらのニュース。 母国語教育の先生も教員免許  私はいろんな教育関係の新聞や雑誌、一般の新聞にニュースなどを割りとくまなく読み漁っているほうなので、こういった傾向があれば、おそらく分かったはずなんですけど、まったく予想外でした。  スウェーデンでは、外国から来た移民の子どもや家庭でスウェーデン語以外の言語を話し、母国語とする子どものために母国語教育が行われています。提供するのは、コミューンですので、 住んでいる市によって多少条件が異なっており、ストックホルム周辺の多くのコミューンの傾向としては、最低5人同じ言語で子どもがいることを条件 にしている場合が多いように思います。  こういった言語の教育は年々減っている傾向を見受けます。実際に統計を調べていないので分かりませんが、雑誌などで読む限りには、減少傾向にあるように思います。言語は、様々な言語があり、日本語もありますし、タイ語、フィンランド語、アラビア語などなど、ありとあらゆる言語で行われています。そうなると、こういった言語を話せる人はいても、教員免許をもっており、母国語としている人には限りがあります。こんな状況を受けて、現政府は、今回の教員免許制度導入に関わっては、母国語教育者を対象としていませんでした。それが、今回野党側の意見が通り、母国語教育の先生も教員免許を有することということになったようです。  教員免許制によって、教員のステータスがあがるのはよいのですが、実際に教育できる人が減るのは大問題です。特に母国語教育のような仕事では難しいと思います。多くの場合、1時間から2時間を複数校で掛け持ちして教える場合が多く、フルタイムの仕事にはなりにくいので、このために教員免許というのもやる気がおきにくいように思います。これによって、母国語教育の地名やステータスがあがるならばいいのですが、今までの傾向では削減縮小方向にあるように感じます。  おそらく、この決定で一番頭を悩ましているのが、教育関係の省庁の長であるJan Björklund(ヨ...

スウェーデンの学校選択自由化が招いた悲劇 その2

 先ほどの「 スウェーデンの学校選択自由化が招いた悲劇 」の続きを書こうと思います。  昨日のニュースで、これに関する興味深い内容を聞きました。新聞記事としては、まだ読んでいません。  先ほどの学校選択自由化に伴い、いわゆる移民の多い地域に住んでいる子どもが、移民の少ない、スウェーデン人の多い地域の学校に通いだしました。 (予備知識ですが、スウェーデン、ストックホルムは、移民の多く住む地域とスウェーデン人が多く住む地域とはっきりと分かれています。)  これによって、保護者は成績が伸びることを期待します。残念ながらどこが出した統計か覚えていないのですが、おそらく社会福祉関係の機関だと思います。ニュースによると、 子どもたちは成績が伸びるどころか、自分の持っているもの、おかれている状況を他の子ども比べて、精神的に不安定になり、結果的に成績は期待していたほど伸びない 傾向があるということでした。大変興味深い内容です。移民の多い地域から、登校時間に時間をかけて、わざわざその学校に通っているのに、そこにいる子どもと自分を比べて落ち込むなんて、かわいそうだと思ってしまいました。こうして、学校を変わる子どもの傾向として、 頭がよくて感受性が強い子ども が多いのかなあとも考えてしまいます。  お金のある裕福な家庭の子どもが多く住む、スウェーデン人の多く住む地域の子どもは、休みごとに外国にでかけたり、スキーにでかけたりと、比べる要素はたくさんあると思います。日本のように私立だから高い学費というのはスウェーデンではなく、 学校は無料 であるため、学校に通うことはできます。が、そうした「付属」部分にお金をかけられるか、かけられないかは、大きな差になってくるのでしょう。  住む地域によって学校がきまっていると、住む地域の地価があるので、それなりに割り振られた家庭の子どもが付き合うことになってきます。そういうのを飛び越して学校を選び通っているのですから、仕方がないといえば仕方がないのでしょうが、精神的に落ち込む子どもがいるのは残念ですし、本来ならば、伸ばせた力がこれによって伸びなくなるというのは残念なように思います。     それにしても、何でスウェーデンでこうした学校選択の自由化にいたったのだろうかと考えてみました。私が思いつくのは、 ...

スウェーデンの学校選択自由化が招いた悲劇

スウェーデンでは、 1990年代 に 「学校選択の自由化」 が行われました。1992年からは、公立と私立の学校の両方で選択の自由ができるようになりました。2012年の今、あれから 20年 がたち、これに対する 批判が多く聞かれるよう になりました。5月に入り、Skolverketという学校関係を扱っている機関も、学校選択の自由化のレポートを出し、それを批判したので、新聞でも大きくかかれるようになりました。  学校を自由に選択できることは、民主的であり、聞こえはとてもよいのです。この問題は、ここ数年よく聞かれるようになり、学校選択自由化に対する調査を行うべきだという声があったのです。政治家がこれを阻止しようとしたらしいのですが、結局調査は行われることになり、その結果が出できたのかなと思っています。  スウェーデンの学校選択自由化での問題をまとめてみたいと思います。 1.学校間の差が大きくなった。スウェーデンの学校の均等性がなくなった。  学校が自由に選べることになり、保護者の教育レベル、教育的関心が大きな意味を持つようになり、また、保護者が外国人であるかないかも大きな意味を持つようになりました。関心の高い親は、子どもが生まれた時点で小学校の順番待ちに並ばせるくらいの気合の入った方もおり、そこまでいかなくても、より良い学校に入れるためにがんばります。学校に入学してからも、クラスの雰囲気や教員、移民の子どもの人数などなどを理由に、学校を変わっていく子どもが大変たくさんいます。   私が聞いた例などは、こんな感じ。ストックホルム郊外の学校。スウェーデン人の子どもが多く通っている比較的落ち着いた学校だったそうです。それを聞いた移民の保護者が自分の子どもを通わせます。数名のうちはいいのですが、だんだんと増えてくると、スウェーデン人の親たちが自分の子どもを違う学校に変えていくと。たいていの場合は、ストックホルム市内の有名な学校などへ転入させるらしい。一人学校を変わると、それに伴って、数人のお友達たちが一緒に学校を変わっていく。  こういった話はよく聞くもので、学期途中でもお構いなしで席さえあけば、次々と生徒が転出転入してくるという現状に、教員は困ってしまう。上記では、スウェーデン人の親と書きましたが、これは、移民の親も同様で、熱心な移民の親も、自分の子ど...

スウェーデンの研修制度の不平等

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スウェーデンの教育制度の中で、 私が良くない と思っているものについて書こうと思う。 たくさんあるけど 、その中でも、おそらく教育の質を下げた大きな要因の一つになるのがこれだと思う。 研修制度の不平等!    日本の場合、新任で教員になると新任研修、3年目研修といった研修がついて回るようです。実際に受けたわけではないので、ここからは想像ですが、おそらく、市や県の教育委員会が中心となって行っていると思います。これらは、私の想像ではどの先生も受けることができる、と思います。(補足説明が可能な方、よろしくお願いします。)  これに対して、スウェーデンの研修で 不平等 だとおもうのが、近年Skolverketが出している様々な研修。大体、半年から数ヶ月前に募集がかかり、それに応募します。例えば、私が行く予定だった新しい学校法とカリキュラムに関する研修も応募したけど、抽選になり、結局 ボツ 。この間は、いじめとかに関する研修。これは私が行く予定ではなかったけど、これも抽選で ボツ 。   おいおい、教育の可能性を抽選でこの国は決めるのか!  望む学校のみではなく、(望んでもいけていませんが)全国すべての学校に同じ研修を行うべきではないのか!  ただでさえ、教育格差が広がる昨今、こんな風に格差を政府がつくってどうする! と叫びたくなります。  この制度いまいちだと思う。スウェーデンの教育の質をあげようとおもったら、今ものすごく不均等になっている教育の質をあげるために、できるかぎりこういった研修をすべての学校の教員に行うほうがいいのではないかと思う。  違うものの見方を書けば、こういった研修が行われるようになっただけでもいいのかもしれない。。。その昔は、こういう研修もまったく声をきかなかった。。。じゃあ、研修はどうなっていたのかというと、各学校が思うことをやっていたし、コミューンで何かあれば、それをとりあげるといった、まったく統一感のない研修を行っていた。これは今も同じで、自分たちの必要だと思う研修を受けられるのでよいのですが、予算があまりないのが欠点。国が行うというのは、予算のつき方が変わるので、大きい。  あとは、研修がない分、近年、配布される資料が半端じゃなくなった。ちょっと落ち着いたけど、ここ数年、何冊も政府関...

スウェーデンの研修制度の不平等

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スウェーデンの教育制度の中で、 私が良くない と思っているものについて書こうと思う。 たくさんあるけど 、その中でも、おそらく教育の質を下げた大きな要因の一つになるのがこれだと思う。 研修制度の不平等!    日本の場合、新任で教員になると新任研修、3年目研修といった研修がついて回るようです。実際に受けたわけではないので、ここからは想像ですが、おそらく、市や県の教育委員会が中心となって行っていると思います。これらは、私の想像ではどの先生も受けることができる、と思います。(補足説明が可能な方、よろしくお願いします。)  これに対して、スウェーデンの研修で 不平等 だとおもうのが、近年Skolverketが出している様々な研修。大体、半年から数ヶ月前に募集がかかり、それに応募します。例えば、私が行く予定だった新しい学校法とカリキュラムに関する研修も応募したけど、抽選になり、結局 ボツ 。この間は、いじめとかに関する研修。これは私が行く予定ではなかったけど、これも抽選で ボツ 。   おいおい、教育の可能性を抽選でこの国は決めるのか!  望む学校のみではなく、(望んでもいけていませんが)全国すべての学校に同じ研修を行うべきではないのか!  ただでさえ、教育格差が広がる昨今、こんな風に格差を政府がつくってどうする! と叫びたくなります。  この制度いまいちだと思う。スウェーデンの教育の質をあげようとおもったら、今ものすごく不均等になっている教育の質をあげるために、できるかぎりこういった研修をすべての学校の教員に行うほうがいいのではないかと思う。  違うものの見方を書けば、こういった研修が行われるようになっただけでもいいのかもしれない。。。その昔は、こういう研修もまったく声をきかなかった。。。じゃあ、研修はどうなっていたのかというと、各学校が思うことをやっていたし、コミューンで何かあれば、それをとりあげるといった、まったく統一感のない研修を行っていた。これは今も同じで、自分たちの必要だと思う研修を受けられるのでよいのですが、予算があまりないのが欠点。国が行うというのは、予算のつき方が変わるので、大きい。  あとは、研修がない分、近年、配布される資料が半端じゃなくなった。ちょっと落ち着いたけど、ここ数年、何冊も政府関...

ビタミンGのすすめ

今週の木曜日に2時間半の講演会にいってきました。内容は、 幼稚園や学校の園庭、校庭の教育的可能性 でした。主催者と講演のあった場所は、 Naturskolan(自然学校) と呼ばれるところ。スウェーデン全国に数箇所あり、日本からも見学者が訪れているところです。 この講演会の導入で、話されたのが、この ビタミンG  でした。知っている方、いますか?アメリカの研究者が話したそうですが、Gってなんだろうと思いますよね。Gは Green だそうです。森や自然、緑のあるところから、吸収するビタミンだそうです。もちろん、そんなビタミンがあるわけではなく、その効果に関する言葉ですよね。このビタミンGが与える影響が人にとって良いことは誰でも想像がつくように思います。 そんな導入からはじまったこの講演会。その昔、スウェーデンでは、学校の校庭には、決まりがあり、一人あたり22平方メートルだったとか。そのため、学校が建てられれば、自然に校庭の大きさも決まり、その校庭は、遊ぶところから森などの木々が植わっているところ、食物を植えて育てるところまでいろいろあったそうです。が、その後、この法律はなくなり、現在はものすごい緩やかで解釈しだいで何とでもなるような書き方になっています。そのため、ストックホルムなどの大都市では、幼稚園や学校など、校庭のないところ、せまいところなどたくさんあります。 先ほどの法律があったのが、70年代で、その後、校庭や園庭に対する考え方が低下し、ここ最近90年代後半から、その重要性、教育的効果が見直されるようになったそうです。 講演者の方たちは、同じ大学を出てこういった庭などの建築に関わっている建築者で、この片方の方がおこなった卒業論文を元に構成された話でした。 うちの学校の校庭は、広いし、森にも面していて、基本的な可能性は高いのですが、まったく手入れがされておらず、あんまりすることがない、つまらない校庭です。何とかしようという気持ちはあっても、教室を少し変えるのとはちがい、校庭は、大きな改革が必要となるため、何度話しにあがっても、消えてなんともなりません。特に車椅子でいける範囲には限りがあり、できることも限りがあります。こういった面に関していろいろと勉強していく必要があると感じたのです。 ...

教員免許制度の凍結

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先週のいつだったかに、 教員免許制度の無期限凍結 が発表されました。スウェーデンでは、このブログで何回か紹介したとおり、教員免許制度が導入され、これに関する改革が行われていました。現場の声は、 ああ、やっぱりね。 というものでした。いつ出てもおかしくない話だったので、驚きも少なく、批判もそこそこという感じです。これが出る数日前に、 特別支援学校の教員に対する教員免許制度を2018年まで延ばす という話がでたので、こっちも ああ、やっぱりね。 という反応。これは、私も同感で、組合の調査や他の話をまとめても、特別支援学校の教員免許制度が施行されてしまうと、現在の教員のうち実に80%が職を退くことになり、そうなると、スウェーデンの特別支援学校は回らなくなります。特別支援学校で働く教員の資格も実に不明瞭で、今回の改革で決まったけど、それも、今までの方針とは異なるために、またまた、教員不足や不透明化を深めただけでした。 また、うちの学校もだけど、ここ10年のうちに退職する教員が多いこと。高齢化が進んでいるんです。なので、資格を取り直すというのもねえ。  もともと計上された予算が少なかった上に、教員免許の申請開始から、発行、制度の開始までの時間設定がいかにも短い。申請された教員免許に対して、現在出されたのは、2000件のみ。文部科学省にあたるSkolverketも自分の省庁で処理できないために、アウトソーイングで他の会社に依頼したために、批判が殺到。まったく関係ない教科の教員免許が出たという話もあり、いつこうなってもおかしくない状況でした。  私の場合、ここ数年のスウェーデンの教員制度の不透明さから、大学にいくのをためらっており、現在、準備中ですが、来年の秋には大学に戻ろうと計画しています。一応、特別支援学校で働くための資格も指針がでており、現職教員は、大学のコースも優遇制度が研修第2計画で出ているので、待ったかいがあったかなと思っています。あとは、申請してある、教員免許がでることを待つばかりだけど、こっちは、凍結保存だから、どうなることか。。。 とりあえず、いろいろあって、英語力をもう1回上げなければと、英語のコースに通い始めました。地道に努力していくのみです。