2012年7月3日火曜日

スウェーデンの義務教育が9年から10年になる?!

こちら、スウェーデンでは、Almedaren (アルメダーレン)と呼ばれる政治週間の真っ只中です。
 これは、毎年第27週にゴットランド島で行われているもので、毎日1政党が割り当てられ、様々な政治の問題について話し合い、夜の19時にその党による演説が行われます。毎年大きくなりつつあるようで、今年もこの週にあわせて、多くの団体や機関がゴットランドを訪れ、同時に活動しています。今年はこれにかかる税金が多額だということで話題にもなりました。私は15時から、都合がつけば、できるかぎり、テレビをつけっぱなしにして聞いているようにしています。興味深いです。
 さて、初日から、話題になっていたのが、こちら。
就学前教育・6歳児教育の義務化
です。現在のスウェーデンでは、義務教育は小学校1年生から、9年生(日本の中学3年生にあたります。)までの9年間です。幼稚園と小学校の間に、1年間の6歳児教育・就学前教育があります。幼稚園とこの6歳児教育は自由選択で義務ではありません。
 就学前教育は、幼稚園と小学校の教育の方法の両方を用いて教育を行い、1日3時間、遊びと創造教育を中心とした教育を行っています。ただ、どうしても幼稚園と小学校の間でカリキュラムなどもあいまいで、しかもいろいろ問題があります。
 で、この6歳児教育を義務教育化し、義務教育を10年にしようという案があります。実はこの案、3月の半ばくらいに調査をしたグループの報告が新聞に載っていて社説でも大きく取り上げられていました。なので、結構早い段階で、政治案が実現化しそうだなと思っています。
 なんで、こういった案がでてくるかというと、高校進学の資格をとって義務教育を終える9年生の率が、なんと75%にまでおちてきており、これにより、23歳の時点で仕事がなく、早期年金や活動援助金をもらっている若者が増えているという社会問題があるためです。これらを変えていくには、できるかぎり、よりよい学校生活をスターさせ、特別支援の必要な子どもにはできる限り早い段階でその必要性を見つけていこうという方向にあるのです。(関連記事:スウェーデン穏健党が出してきた、成熟度テスト
 これに関して、新聞やニュースなどをここ数日見聞きしていて、プラス点とマイナス点をまとめてみようと思います。
プラス点
  • すべての子どもによりよい学校でのスタートをもたらすことができる。これはあるかもなあと思います。幼稚園での生活年数や6歳児教育を受けたか受けなかったかは、言語能力や数学の能力に影響があるという研究結果もあるようです。私も同僚やお母さん方と話していて、「この子は幼稚園もっと早く通いだすとよかったんだよね。性格的に。」という言葉をきくことがありました。社会性を見に付けるには、他の子どもと過ごすのが一番だと思いますし、その中で学ぶことが多いものもたくさんありますよね。
  • 分離している6歳児教育と小学校が連携すること。これもいいことだと私は思います。今の教育のシステムでは、この時期、幼稚園での担当者から、6歳児教育の担当者に変わり、1年後には小学校の先生に代わるということで、これはあまりよくないという見方がされています。6歳児教育が小学校に組み込まれることでこの点も改善できるかと思います。
  • 幼稚園教諭ではなく小学校教諭によって授業がされること。これに関しては、専門性からみれば、その通りで、6歳児教育は小学校教諭の資格を持った方によって行われたほうがよいと思います。今は6歳児教育は幼稚園教諭によって行われる場合が基本的です。
マイナス点
  • 今1年生が習っている内容を6歳児教育で教えるという形になり、0クラスができあがるのではという見方。これに関しては、今までどおり、遊びと創造教育を中心とした教育を行うとありますが、実際に始まってしまい、小学校の教員が教えるようになれば、変わる可能性もあるし、こういう不安があるのは当然かと思います。どんな内容を教えるのかについて議論が必要でしょうね。
  • 就学年齢が早い国(例えば、イギリスは5歳から)の傾向として、「発達の緩やかな子ども」たちにはよい効果が出ていないとあります。これについては、複数の声が聞こえました。子どもの発達は個人差が大きく、どの子も一律で6歳から学校と決めるのは問題があるのではないかというのは当然かと思います。障害の有無に関わらず、早生まれか遅生まれかだけでも大きく影響します。早く学校に行かせて教育をすればよいというものでもないのでしょう。今のように選択性にしておくことで、保護者が各種関係者とともにその子どもにとってもっともよいと思われる時期に学校に行かせるというのは、よい点もあると思います。

 今でもほとんどの子どもが6歳児教育にいくので、これが義務化することには違和感はないのですが、今後、どんな内容でどんなことを教えるかなど、カリキュラムが今よりも詳しくなっていくのかなあとか、現実的な部分が気になります。
 政治週間、おもしろいです!また気になることなど紹介していきますね!

2012年5月26日土曜日

母国語教育の先生も教員免許必須!

とってもよい天気の続いているスウェーデン、ストックホルム。住んでいる町で行われたフリーマーケットなどをはしごして、よい天気を満喫してきました。いくところ行くところで知り合いにあい、話も弾みます。

 さて、今日の朝の新聞を読んでいて、大変驚いたのがこちらのニュース。
母国語教育の先生も教員免許

 私はいろんな教育関係の新聞や雑誌、一般の新聞にニュースなどを割りとくまなく読み漁っているほうなので、こういった傾向があれば、おそらく分かったはずなんですけど、まったく予想外でした。
 スウェーデンでは、外国から来た移民の子どもや家庭でスウェーデン語以外の言語を話し、母国語とする子どものために母国語教育が行われています。提供するのは、コミューンですので、住んでいる市によって多少条件が異なっており、ストックホルム周辺の多くのコミューンの傾向としては、最低5人同じ言語で子どもがいることを条件にしている場合が多いように思います。
 こういった言語の教育は年々減っている傾向を見受けます。実際に統計を調べていないので分かりませんが、雑誌などで読む限りには、減少傾向にあるように思います。言語は、様々な言語があり、日本語もありますし、タイ語、フィンランド語、アラビア語などなど、ありとあらゆる言語で行われています。そうなると、こういった言語を話せる人はいても、教員免許をもっており、母国語としている人には限りがあります。こんな状況を受けて、現政府は、今回の教員免許制度導入に関わっては、母国語教育者を対象としていませんでした。それが、今回野党側の意見が通り、母国語教育の先生も教員免許を有することということになったようです。
 教員免許制によって、教員のステータスがあがるのはよいのですが、実際に教育できる人が減るのは大問題です。特に母国語教育のような仕事では難しいと思います。多くの場合、1時間から2時間を複数校で掛け持ちして教える場合が多く、フルタイムの仕事にはなりにくいので、このために教員免許というのもやる気がおきにくいように思います。これによって、母国語教育の地名やステータスがあがるならばいいのですが、今までの傾向では削減縮小方向にあるように感じます。
 おそらく、この決定で一番頭を悩ましているのが、教育関係の省庁の長であるJan Björklund(ヨーン ビョルクルンド)でしょう。これを実現化するためには、予算が必要ですし、いろいろな問題が山済みのように思います。おそらく、簡単な母国語教育者用の教育課程ができるようには思いますが、どうなるかわかりません。
 
 それにしても不可解なのが、何で、スウェーデン社会民主労働党などがこれを通したのか。この決定のために、SDと呼ばれるスウェーデン民主党が「赤と緑の政党集団」であるスウェーデン社会民主労働党や環境党のグループに賛成し、投票したことによって、今回の案が通りました。スウェーデン民主党は、極右系の党ですので、この母国語教育への教員の資格を厳しくすることによって、母国語教育自体の減少をねらうというような私でも想像できるような意図が思い浮かびます。しかし、スウェーデン社会民主労働党などは、なんでと驚きました。今後これに関する正当な理由が分かるとは思うのですが、教員の地位を上げるためなのか、何でなのか。。。

 前にここで紹介した教員免許の無期凍結は、その後野党側がきちんとした日付を決めるべきだと主張し、2013年12月1日より、教員免許制度の施行が決まっています。この母国語教育の教員免許、今後の行方が大変気になります。スウェーデン在住の日本人の中にも、母国語教育に関わっていらっしゃる方がたくさんいると思います。今後の行方などここでも報告していきたいと思います。

2012年5月20日日曜日

スウェーデンの学校選択自由化が招いた悲劇 その2

 先ほどの「スウェーデンの学校選択自由化が招いた悲劇」の続きを書こうと思います。

 昨日のニュースで、これに関する興味深い内容を聞きました。新聞記事としては、まだ読んでいません。
 先ほどの学校選択自由化に伴い、いわゆる移民の多い地域に住んでいる子どもが、移民の少ない、スウェーデン人の多い地域の学校に通いだしました。
(予備知識ですが、スウェーデン、ストックホルムは、移民の多く住む地域とスウェーデン人が多く住む地域とはっきりと分かれています。)
 これによって、保護者は成績が伸びることを期待します。残念ながらどこが出した統計か覚えていないのですが、おそらく社会福祉関係の機関だと思います。ニュースによると、
子どもたちは成績が伸びるどころか、自分の持っているもの、おかれている状況を他の子ども比べて、精神的に不安定になり、結果的に成績は期待していたほど伸びない
傾向があるということでした。大変興味深い内容です。移民の多い地域から、登校時間に時間をかけて、わざわざその学校に通っているのに、そこにいる子どもと自分を比べて落ち込むなんて、かわいそうだと思ってしまいました。こうして、学校を変わる子どもの傾向として、頭がよくて感受性が強い子どもが多いのかなあとも考えてしまいます。
 お金のある裕福な家庭の子どもが多く住む、スウェーデン人の多く住む地域の子どもは、休みごとに外国にでかけたり、スキーにでかけたりと、比べる要素はたくさんあると思います。日本のように私立だから高い学費というのはスウェーデンではなく、学校は無料であるため、学校に通うことはできます。が、そうした「付属」部分にお金をかけられるか、かけられないかは、大きな差になってくるのでしょう。
 住む地域によって学校がきまっていると、住む地域の地価があるので、それなりに割り振られた家庭の子どもが付き合うことになってきます。そういうのを飛び越して学校を選び通っているのですから、仕方がないといえば仕方がないのでしょうが、精神的に落ち込む子どもがいるのは残念ですし、本来ならば、伸ばせた力がこれによって伸びなくなるというのは残念なように思います。
  
 それにしても、何でスウェーデンでこうした学校選択の自由化にいたったのだろうかと考えてみました。私が思いつくのは、
「できる子どもたちに適切な教育が施されてこなかったから」
かなあと思います。スウェーデンは、下を救う、すべての子どもに一定限度の教育を保障する教育をしています。そうすると、集団で教育をする学校では、どうしても下に目を向けられがちで、できる子達がその力を最大限に伸ばす教育を保障してこなかったのかもしれないと思います。そう考えると、現政府になってから、最初に打ち出された「エリート教育」も理解ができます。学校を自由に選択させることによって、こういった子どもたち、強いては親の不満を解消しようとしたのかもしれないと。このあたり、詳しく調べてみないと分からないので、また、夏に時間があれば調べてみようと思います。
おそらく、学校選択を自由化することによって、メリットもたくさんあったし、期待されたメリットもあったと思います。でも、スウェーデンという国の考え方や歴史からみると、選択を自由にしたことは、あまりよい方向に出なかったのかもしれないとも思います。
 今後は、おそらくこのテーマ、内容で野党側がかなりの意見をだしてくると想像でき、今後どうなるか大変興味深いところです。

スウェーデンの学校選択自由化が招いた悲劇

スウェーデンでは、1990年代「学校選択の自由化」が行われました。1992年からは、公立と私立の学校の両方で選択の自由ができるようになりました。2012年の今、あれから20年がたち、これに対する批判が多く聞かれるようになりました。5月に入り、Skolverketという学校関係を扱っている機関も、学校選択の自由化のレポートを出し、それを批判したので、新聞でも大きくかかれるようになりました。
 学校を自由に選択できることは、民主的であり、聞こえはとてもよいのです。この問題は、ここ数年よく聞かれるようになり、学校選択自由化に対する調査を行うべきだという声があったのです。政治家がこれを阻止しようとしたらしいのですが、結局調査は行われることになり、その結果が出できたのかなと思っています。
 スウェーデンの学校選択自由化での問題をまとめてみたいと思います。
1.学校間の差が大きくなった。スウェーデンの学校の均等性がなくなった。
 学校が自由に選べることになり、保護者の教育レベル、教育的関心が大きな意味を持つようになり、また、保護者が外国人であるかないかも大きな意味を持つようになりました。関心の高い親は、子どもが生まれた時点で小学校の順番待ちに並ばせるくらいの気合の入った方もおり、そこまでいかなくても、より良い学校に入れるためにがんばります。学校に入学してからも、クラスの雰囲気や教員、移民の子どもの人数などなどを理由に、学校を変わっていく子どもが大変たくさんいます。
 私が聞いた例などは、こんな感じ。ストックホルム郊外の学校。スウェーデン人の子どもが多く通っている比較的落ち着いた学校だったそうです。それを聞いた移民の保護者が自分の子どもを通わせます。数名のうちはいいのですが、だんだんと増えてくると、スウェーデン人の親たちが自分の子どもを違う学校に変えていくと。たいていの場合は、ストックホルム市内の有名な学校などへ転入させるらしい。一人学校を変わると、それに伴って、数人のお友達たちが一緒に学校を変わっていく。
 こういった話はよく聞くもので、学期途中でもお構いなしで席さえあけば、次々と生徒が転出転入してくるという現状に、教員は困ってしまう。上記では、スウェーデン人の親と書きましたが、これは、移民の親も同様で、熱心な移民の親も、自分の子どもをより多くのスウェーデン人の子どもがいる学校に次々と変えていくために、同様の問題が起きてきます。
 こうして親の熱心さや背景などによって子どもが学校を選ぶようになり、学校間の差が広がっていきました。
2.登下校に時間がかかる
 上記のように学校を変わるため、だんだんと遠い学校に通うようになり、子どもたちは登下校に時間をかけるようになります。家の近くの学校に通い、友達が近くにいて、一緒に遊ぶというような感覚がへってきているようです。
3.不均等な子どものグループ、クラスができあがる
 この学校選択は、どちらかというと、成績のよい子どもがうまく利用しているようで、頭のいい子どもたちがより良い学校へと移っていきます。そういう子どもたちが集まる学校は、それなりに問題があるかもしれないけれど、それ以上に問題なのが、
そういった子どもたちが去っていったクラス、学校
なのです。学校の教育は、ある程度の均等性をもったグループで行われることによって効果が上がります。なのに、やる気のある子ども、よくできることもがどんどんと学校を変わっていってしまい、クラスに残った子どもたちへの教育がしにくくなるという問題です。これは、大きな問題だと思います。集団で学習する場合、やる気のある子ども、周りをひっぱっていってくれる子どもなど、大変大きな意味があり、集団での学習には欠かせないものです。それが、不均等になると、教師は、今までのやり方と大きく方向転換をする必要が出て、それができる方ならいいですが、できない場合は、そのクラスの子どもたちの成長にも大きな影響を及ぼすことになります。
 たいていの場合、公立学校などで、近くの子どもが通う場合、いろんなタイプの子どもが集まり、問題はないのですが、選択の自由化で移動が激しくなったことにより、大きな問題となってきているようです。
4.学校を変わると脅すような保護者が現れた
 スウェーデンの学校は子ども一人当たりによって、お金をもらい運営しています。そのため、ある程度の生徒が集まることが運営上大変重要になります。学校選択が自由になり、親たちは、学校に何か問題が起きると、その問題を直視し、何とかしようとするのではなく、学校を変わることで問題を解決したり、果ては、学校を変わると脅すようにまでなったということで、これは問題です。
 保護者がすることによって、教員たちが、子どもたちのとってよいと思えることができなくなっていく教育では問題だと思います。
5.学校選択の自由は、障害を持った子どもには適応されていない
 統計の出所をすっかり忘れてしまったのですが、障害を持った子どもの親の実に70%が学校選択の自由がないと答えています。学校選択ができるのは、健常な子どものみというのは、問題です。

 このほかにもいろんな問題があるのではないかと思います。学校局が出してくるレポート、大変興味があるので、ぜひ、読みたいと思っています。
 ツイッターでスウェーデンの政治家をフォローしているのですが、ある政治家がこれに関して今日のツイッターで、話し合いはうまくいかなかったというようなことを書き込んでいました。難しい問題なんだろうと思います。

 この問題、スウェーデンらしいといえば、スウェーデンらしいと思います。スウェーデンでは、
平等であること、同じであること
がきわめて重要です。男女平等にも見て取れます。だから、不平等であり、分離がすすむ学校社会を非難する声が多いのでしょう。
この問題、他にもいろいろあります。特に、じゃあ、何で自由化したんだという部分が気になります。そんなとことろをまた書こうと思います。

2012年4月10日火曜日

スウェーデンの研修制度の不平等

スウェーデンの教育制度の中で、私が良くないと思っているものについて書こうと思う。たくさんあるけど、その中でも、おそらく教育の質を下げた大きな要因の一つになるのがこれだと思う。
研修制度の不平等!
 
 日本の場合、新任で教員になると新任研修、3年目研修といった研修がついて回るようです。実際に受けたわけではないので、ここからは想像ですが、おそらく、市や県の教育委員会が中心となって行っていると思います。これらは、私の想像ではどの先生も受けることができる、と思います。(補足説明が可能な方、よろしくお願いします。)

 これに対して、スウェーデンの研修で不平等だとおもうのが、近年Skolverketが出している様々な研修。大体、半年から数ヶ月前に募集がかかり、それに応募します。例えば、私が行く予定だった新しい学校法とカリキュラムに関する研修も応募したけど、抽選になり、結局ボツ。この間は、いじめとかに関する研修。これは私が行く予定ではなかったけど、これも抽選でボツ
 おいおい、教育の可能性を抽選でこの国は決めるのか!
 望む学校のみではなく、(望んでもいけていませんが)全国すべての学校に同じ研修を行うべきではないのか!
 ただでさえ、教育格差が広がる昨今、こんな風に格差を政府がつくってどうする!

と叫びたくなります。

 この制度いまいちだと思う。スウェーデンの教育の質をあげようとおもったら、今ものすごく不均等になっている教育の質をあげるために、できるかぎりこういった研修をすべての学校の教員に行うほうがいいのではないかと思う。

 違うものの見方を書けば、こういった研修が行われるようになっただけでもいいのかもしれない。。。その昔は、こういう研修もまったく声をきかなかった。。。じゃあ、研修はどうなっていたのかというと、各学校が思うことをやっていたし、コミューンで何かあれば、それをとりあげるといった、まったく統一感のない研修を行っていた。これは今も同じで、自分たちの必要だと思う研修を受けられるのでよいのですが、予算があまりないのが欠点。国が行うというのは、予算のつき方が変わるので、大きい。
 あとは、研修がない分、近年、配布される資料が半端じゃなくなった。ちょっと落ち着いたけど、ここ数年、何冊も政府関係の資料を読んだので、こういうのを読んでいればそれなりに知識ははいるけど、実際に学校で生かしていく、教育に生かそうと思うと、もう少し工夫が必要かとも。

 それにしても、抽選で外れ続けているうちの学校は、どうなるんだろうか。うーん。


スウェーデンの研修制度の不平等

スウェーデンの教育制度の中で、私が良くないと思っているものについて書こうと思う。たくさんあるけど、その中でも、おそらく教育の質を下げた大きな要因の一つになるのがこれだと思う。
研修制度の不平等!
 
 日本の場合、新任で教員になると新任研修、3年目研修といった研修がついて回るようです。実際に受けたわけではないので、ここからは想像ですが、おそらく、市や県の教育委員会が中心となって行っていると思います。これらは、私の想像ではどの先生も受けることができる、と思います。(補足説明が可能な方、よろしくお願いします。)

 これに対して、スウェーデンの研修で不平等だとおもうのが、近年Skolverketが出している様々な研修。大体、半年から数ヶ月前に募集がかかり、それに応募します。例えば、私が行く予定だった新しい学校法とカリキュラムに関する研修も応募したけど、抽選になり、結局ボツ。この間は、いじめとかに関する研修。これは私が行く予定ではなかったけど、これも抽選でボツ
 おいおい、教育の可能性を抽選でこの国は決めるのか!
 望む学校のみではなく、(望んでもいけていませんが)全国すべての学校に同じ研修を行うべきではないのか!
 ただでさえ、教育格差が広がる昨今、こんな風に格差を政府がつくってどうする!

と叫びたくなります。

 この制度いまいちだと思う。スウェーデンの教育の質をあげようとおもったら、今ものすごく不均等になっている教育の質をあげるために、できるかぎりこういった研修をすべての学校の教員に行うほうがいいのではないかと思う。

 違うものの見方を書けば、こういった研修が行われるようになっただけでもいいのかもしれない。。。その昔は、こういう研修もまったく声をきかなかった。。。じゃあ、研修はどうなっていたのかというと、各学校が思うことをやっていたし、コミューンで何かあれば、それをとりあげるといった、まったく統一感のない研修を行っていた。これは今も同じで、自分たちの必要だと思う研修を受けられるのでよいのですが、予算があまりないのが欠点。国が行うというのは、予算のつき方が変わるので、大きい。
 あとは、研修がない分、近年、配布される資料が半端じゃなくなった。ちょっと落ち着いたけど、ここ数年、何冊も政府関係の資料を読んだので、こういうのを読んでいればそれなりに知識ははいるけど、実際に学校で生かしていく、教育に生かそうと思うと、もう少し工夫が必要かとも。

 それにしても、抽選で外れ続けているうちの学校は、どうなるんだろうか。うーん。


2012年3月21日水曜日

ビタミンGのすすめ

今週の木曜日に2時間半の講演会にいってきました。内容は、
幼稚園や学校の園庭、校庭の教育的可能性
でした。主催者と講演のあった場所は、
Naturskolan(自然学校)
と呼ばれるところ。スウェーデン全国に数箇所あり、日本からも見学者が訪れているところです。

この講演会の導入で、話されたのが、この
ビタミンG
 でした。知っている方、いますか?アメリカの研究者が話したそうですが、Gってなんだろうと思いますよね。Gは
Green
だそうです。森や自然、緑のあるところから、吸収するビタミンだそうです。もちろん、そんなビタミンがあるわけではなく、その効果に関する言葉ですよね。このビタミンGが与える影響が人にとって良いことは誰でも想像がつくように思います。

そんな導入からはじまったこの講演会。その昔、スウェーデンでは、学校の校庭には、決まりがあり、一人あたり22平方メートルだったとか。そのため、学校が建てられれば、自然に校庭の大きさも決まり、その校庭は、遊ぶところから森などの木々が植わっているところ、食物を植えて育てるところまでいろいろあったそうです。が、その後、この法律はなくなり、現在はものすごい緩やかで解釈しだいで何とでもなるような書き方になっています。そのため、ストックホルムなどの大都市では、幼稚園や学校など、校庭のないところ、せまいところなどたくさんあります。
先ほどの法律があったのが、70年代で、その後、校庭や園庭に対する考え方が低下し、ここ最近90年代後半から、その重要性、教育的効果が見直されるようになったそうです。
講演者の方たちは、同じ大学を出てこういった庭などの建築に関わっている建築者で、この片方の方がおこなった卒業論文を元に構成された話でした。

うちの学校の校庭は、広いし、森にも面していて、基本的な可能性は高いのですが、まったく手入れがされておらず、あんまりすることがない、つまらない校庭です。何とかしようという気持ちはあっても、教室を少し変えるのとはちがい、校庭は、大きな改革が必要となるため、何度話しにあがっても、消えてなんともなりません。特に車椅子でいける範囲には限りがあり、できることも限りがあります。こういった面に関していろいろと勉強していく必要があると感じたのです。

彼女たちの話は大変興味深く、多くの写真などで、様々な例を見せてくれました。のぼったり、はしったりという体力を発達させていく面での園庭校庭の意味は大きく、子どもたちには、何でそれをするのか、それをしたら、どんなことが待っているのかという、心意識とのつながりが大切であるというのもうなずけるところです。このトンネルを抜けると何か面白いものがあると思うから、子どもは走り抜けるのであり、これを上りきるとすごく楽しい滑り台があるとおもうから、上るのでしょう。そういう子どもたちの意欲を掻き立てるような、園庭、校庭の改革が必要であります。

あとは、彼女たちが行っているストックホルム郊外の市の校庭のプロジェクト。生徒と協力して案を出し、その後、夏休みの間の若者の仕事として、出された案を現実化していくというもの。面白い案がたくさんあって、興味深く、夏の間の若者の仕事にもなりいいなあと思いました。これをまねて、今年はうちの市でも同様のことをするとか。

この講演会の内容を学校でちょっと話して、なんとかうちの学校の校庭も改善したいなあと思うのです。まずは、ビタミンGを吸収しにでかけるかな。。。今日は雪に雨という大変春らしい天気。昨日は雹もふりました。こうやって、春が近づくのだと思います。みなさん、良い週末を!

2012年3月18日日曜日

教員免許制度の凍結

先週のいつだったかに、
教員免許制度の無期限凍結

が発表されました。スウェーデンでは、このブログで何回か紹介したとおり、教員免許制度が導入され、これに関する改革が行われていました。現場の声は、

ああ、やっぱりね。

というものでした。いつ出てもおかしくない話だったので、驚きも少なく、批判もそこそこという感じです。これが出る数日前に、
特別支援学校の教員に対する教員免許制度を2018年まで延ばす
という話がでたので、こっちも
ああ、やっぱりね。
という反応。これは、私も同感で、組合の調査や他の話をまとめても、特別支援学校の教員免許制度が施行されてしまうと、現在の教員のうち実に80%が職を退くことになり、そうなると、スウェーデンの特別支援学校は回らなくなります。特別支援学校で働く教員の資格も実に不明瞭で、今回の改革で決まったけど、それも、今までの方針とは異なるために、またまた、教員不足や不透明化を深めただけでした。
また、うちの学校もだけど、ここ10年のうちに退職する教員が多いこと。高齢化が進んでいるんです。なので、資格を取り直すというのもねえ。

 もともと計上された予算が少なかった上に、教員免許の申請開始から、発行、制度の開始までの時間設定がいかにも短い。申請された教員免許に対して、現在出されたのは、2000件のみ。文部科学省にあたるSkolverketも自分の省庁で処理できないために、アウトソーイングで他の会社に依頼したために、批判が殺到。まったく関係ない教科の教員免許が出たという話もあり、いつこうなってもおかしくない状況でした。

 私の場合、ここ数年のスウェーデンの教員制度の不透明さから、大学にいくのをためらっており、現在、準備中ですが、来年の秋には大学に戻ろうと計画しています。一応、特別支援学校で働くための資格も指針がでており、現職教員は、大学のコースも優遇制度が研修第2計画で出ているので、待ったかいがあったかなと思っています。あとは、申請してある、教員免許がでることを待つばかりだけど、こっちは、凍結保存だから、どうなることか。。。 とりあえず、いろいろあって、英語力をもう1回上げなければと、英語のコースに通い始めました。地道に努力していくのみです。