スウェーデンのSexköpslagenとは?「買う側」を罰する性サービス購入を犯罪とする法律

  また1週間が過ぎ、9月も終わりが近づいています。秋らしい日が増え、朝晩は冷え込むようになった、ストックホルムです。

 今週は、普段のSpecialpedagogの仕事とは少し違う仕事で、3日間、通訳としてスウェーデンのいくつかの団体などを訪問して、「Sexköpslagen 買春を罰する法律」について学ぶ機会に恵まれました。

 連日大変長時間の通訳を一人でこなして、正直なところ、かなり集中力が必要な仕事でした。でも、スウェーデンで暮らして、教育界でフルタイムで働いてきた私にとっても、改めて学ぶことや新たな視点が多く、とても興味深い3日間でした。今日はそこから、少し私が思ったことを紹介したいと思います。


「Sexköpslagen 性サービスの購入を犯罪とする法律」って何?

 まずは、「Sexköpslagen 買春を罰する法律」の法律について説明したいと思います。

 スウェーデンでは、1999年に性的サービスの購入を犯罪とし、販売する側は犯罪としないという法律ができました。

 性を「購入する側」というのは、日本でもスウェーデンでも男性が多いのですが、この「買った側」を処罰し、「性的サービルを提供した側」は罰せられないというのが、スウェーデンモデル、北欧モデルと言われるものです。

 この法律を世界で最初に導入したのがスウェーデンで、現在では、ノルウェーやフランスなどの国が同様の法律を設けています。

 スウェーデンでは、対価と引き換えに一時的な性的関係を得ることは犯罪とされ、罰金もしくは、最高1年の懲役となります。法改正が数回されており、現在はオンライン上でのものにも、この法律が適応されます。


なぜ、スウェーデンは「買う側」を罰するようになったのか?

 この法律を、なぜ、スウェーデンという国は、導入したのだろうか、その背景にあるものは何なのだろうかと私なりに考えてみたいと思います。

 売春を売ることも買うことも合法化している国もあり、例えば、ドイツなどは何度も話題に上ったのですが、そうではない道を選んだスウェーデン。よく語られるのが、法律の目的は、性的サービスへの需要を減らし、売春や性的搾取、人身売買のリスクを減らすといったものです。

 こうして語られる明確な目的の基盤にあるのが、「スウェーデンという国・社会が目指すジェンダー平等な社会」という大きな目標と理念です。この平等な社会という大きなこの国の価値観がとても明確にあらわれている法律であると思いました。

 男女は平等であり、どちらかが、どちらかの性を買うという行為・行動は、暴力であると、話されました。

 スウェーデンでは法律の策定などの際には、調査が行われるのですが、この法律の調査に関わった人にもお会いして大変興味深いと思いました。


日本とスウェーデンでは何が違う?

 日本とスウェーデンの大きな違いは、スウェーデンでは、性的なサービス・行為を購入した側が罰せられる点です。

 日本とスウェーデンでは、性やジェンダーに関する社会的な議論の積み重ねにも違いがあります。今回、実際にこの問題にかかわっている専門家の方々のお話を聞く中で、ジェンダー平等という考え方が、法律だけではなく、社会の様々な場面に関係していると改めて感じました。


法律だけではなく、支援もあるスウェーデン

 スウェーデンでは、ただ買った方を罰するだけではありません。売春や性的搾取、人身取引に関わる人への支援・保護もあります。

 自治体と警察が協力してアウトリーチを行ったり、福祉局との連携を強化したり、医療機関がトラウマ治療を行ったりと、幅の広い支援があります。加えて、買った側に対する支援もあります。

法律で罰するだけではなく、「なぜそうした状況にあるのか」「どう支援するのか」個人に寄り添って考えて行われていると感じました。

 また、多くの非営利団体など、こうした活動に関わっている女性運動団体があること、それらの団体が連携していることなども大事なところであると思います。


スウェーデンの学校で行われている「価値教育」の意味を考える

 今回の3日間を通して、私が考えたことは、学校で行われている「価値教育」のことでした。

 スウェーデンの学校では、民主主義、人権、平等、他者への尊重などを、様々な場面で学び話し合います。

 普段、教員として学校でこれらの内容を同僚と話し合い、そして子どもたちに教える内容として見ています。

 でも今回、Sexköpslagenについて学び、実際にこの問題にかかわる専門家の方々の話を聞いたことで、学校で学ぶ価値観が社会の法律や制度、成り立ち、そして人々の仕事と深くつながっていると改めて感じました。

 一つの法律を知るだけでは、その国の社会との考え方を理解することはできません。なぜこの法律ができたのか、この法律はどのように人を守ろうとしているのか、実際の支援などを知ることは重要であると思います。

 この法律は、単に「何をしたら犯罪になるか」という規定だけではなく、社会がどのような価値観を大切にするのかいうことと深くつながっているのです。

 性を買うことを犯罪として扱うという法制度の背景には、ジェンダー平等や性的搾取についてのスウェーデン社会の考え方があります。性を買った側が加害者となり、スウェーデンの社会によって罰せられる。法律の条文だけではなく、その法律のもととなる社会の価値観が実際に働いている人たちの言葉の中に自然に表れていたことが、とても印象的でした。

「暴力のない男女平等な社会(Unizon)」


 

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