2016年7月15日金曜日

スウェーデンの教員のキャリアアップ制度、第一教諭の現状

 何回かに分けて、私が2年前からなっている「Förstelärare(フォシタラーラレ)」について書こうと思います。名称は、前半部分の「Förste」が一番という意味で、後半は先生の意味の「lärare」になります。なので、Förstelärareになれなかった人のことを、「Andralärare(アンドララーラレ)」と言ったり、できる先生ではなく「Sistelärare(システラーラレ)」と呼び、あまり力のない先生にこそ、力をつけさせるべきであるという皮肉も聞かれます。そのため、この名称については、問題が多いという人も多く、名前を変えるべきだという声もあります。

 スウェーデンのキャリアアップ制度は、前にも書いたと思うのですが、2種類あります。私がなっているのが、第一教諭で教員免許を持っていることが条件で、その他の条件はコミューンによって多少変わりますが、私の場合は、4年以上教員としての良い実績があること、特に生徒の成績を伸ばした結果がることというのが条件でした。もう一つは、「Lektor(レクトル)」と呼ばれるもので、最低でもマスターの資格を持っている講師に当たる職業です。このLektorレベルになると、大学でも働けるので、実際に学校で働いている人に私はまだあったことがありません。特別支援学校に限っては、十人いないと聞いています。そのため、ここでは、第一教諭についてのみ書こうと思います。

 このキャリアアップ制度の実態を、実際に働いている人々にアンケートし、(私も参加しました!)それをまとめたものが出されました。その結果をもとに講演会が行われ、その時の資料より、少し現状をまとめてみました。


1、スウェーデンのキャリアアップ制度の目的は?

  • より多くの生徒が国の到達目標に到達することができるように、その可能性を増やしていく。
  • 上手な教師に、教師として授業を行いつつ、キャリアアップの可能性をもたらす。

 最初の目的は、私もよく聞かされることで、生徒の持っている力を最大限に伸ばすためにはどうしたら良いのかというのが私たちの大きな課題、仕事になります。2番目の目的は、スウェーデンでは教員を辞めていく人が多くいて、その原因が、ある程度年数を重ねると、キャリアアップする方法がなかったために、転職して学校去ってしまう人が出てきたためとされています。第一教諭になりたいという人は、向上心が旺盛な方が多いので、新しいことに挑戦したり、管理職になったりして、授業を行わなくなってしまうため、それを止めようとしたようです。

2、第一教諭の仕事とは?


  • 主の目的は、授業を行うことで、授業とそれに伴う課題を行う。
  • 最低でも全労働時間の50%をそれに当てる。

と、一応政府の方針はありますが、2番目の労働時間はかなりあやふやですね。私の場合は、以前からの仕事が減ったわけではなく、上乗せなので、かなり仕事量が増えました。


3、具体的にはどんな仕事を?


  • 新採用の教員と教員養成課程の担当
  • 他の先生の支援と援助
  • 教育的議論のリードとより良い授業をこなうためのプロジェクを行う。
  • 一つの科目の責任を持つ
などです。うちの学校は5つの分野を行うことと言われ、その5分野を一つずつ4人の第一教諭の先生と行ってきて、2年経った今、学校形態によって方針の違いが出てきています。小学校と特別支援学校では、やはり同じことをするのは難しかったりします。この辺り、私は、校長と副校長に内容を明確にして欲しいと交渉中で、不明瞭なため、同僚から仕事を押し付けられたり、心ないコメントを聞かされたりするし、私も自分の仕事の線引きが難しいので、なんとかもう少しすっきり明確にしたいところです。

4、現在の総数は?


  • 14200人


2016/2017年度には、1万7千人まで数を増やすことが目標だそうです。

5、平均年齢は?


  • 46歳

確かに私は周りより若い方になります。しかも外国人は、少ないかな。。。今の所、数少ないですが、出会った第一教諭で移民のバックグランドを持つ人にはあったことがないです。

6、平均給与は?

  • およそ37,900スウェーデンクローネ (日本円で約50万円ほど。レートは約13円)

第一教諭はお給料が5000クローネ、講師は1万クローネ上乗せされます。約50万といえば多いのですが、手取りは、税金を引かれるので、ぐーんと減ります。。。

7、男女比は?

  • 男性23% 
  • 女性77%

女性が多いですね。話には聞いたことがありますが、まだ男性の第一教諭にはあったことがありません。

8、学校区分での人数は?

  • 小中学校:8608人
  • 高校:2809人
  • 成人教育:206人
  • その他:265人

私は、その他の区分になるのだと思います。国の特別支援教育研究所みたいなところがあるのですが、そこでは、定期的に第一教諭を集めて、話し合いをしているのですが、参加者は十人前後です。



 ざっと、現状を書いてみました。この改革に対する批判も多く出ており、それらについても書いていこうと思います。


読んだ資料:第一教諭の会議の講演会の資料、2016年4月、数字は2015年度のもので、元々の資料は学校局のレポートになります。名前は次の通りで、学校局のホームページより読むことができます。

  • Vem är förstelärare?
  • Vad gör förstelärare?


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