2013年5月19日日曜日

学級規模縮小案に対する反論から

忙しい1週間が終わり、週末になりました。今週末は、アイスホッケーの世界大会の決勝に加えて、昨日はユーロビジョンコンテストというヨーロッパの歌の祭典があり、テレビの前でだらだらしながら、過ごしています。フィンランドに勝ってほしかったけど、負けました。。。三者懇談を3人終えて、残りは1人なので、だいぶ気が楽になりました。残り1ヶ月をきった今学期、やりかけたことがたくさんあり、なんとか、夏の休暇に入る前に終えてしまいたいと思うところです。
 
 スウェーデン社会民主労働党が、20億円を投入し、4000人教員を増やして学級の規模を小さくするという案を出してきました。これに対する批判意見が新聞に載っていたので、そこから思うところを少し書こうと思います。反対意見の中核は、
教員を増やすよりも、お給料を上げるほうが効果的だ
というものです。最近よく名前を聞く、John Hsttieというニュージーランドの研究者によれば、「学級規模よりも(子どもの人数)能力のある教員のほうが意味がある」そうで、単純に教室の中の子どもの人数を減らしても、教員の能力がなければ、生徒の力は伸びないということですよね。これは、実際に教員として働いていて、この研究はもちろん読んでいませんが、納得できます。確かに子どもの人数が減ると仕事の量には多少差が出ますが、でも、教員の仕事というのは子どもの人数だけで左右されるものではないので、実際に人数が減ったからといって、仕事がぐっと減るとかいうことはありません。
 それに、今のスウェーデンの学校の状態で、教員の増加を望んでも、応募してくる人たちの質ってどうなんだろうかと思ってしまいます。そんなにたくさんの先生を雇えるのかなとか思ってみたり。反対意見にもあったけど、もう少し、教員という仕事を魅力的なものにし、それなりに、お給料を上げない限りは、能力のある先生は増えず、無駄にお金を投入するだけのように思います。教員養成課程をでて、教員にならない人が増え続けているので、そういった人たちを教職にもどすのに最も効果的なのは、おそらくお給料だろうと思います。
 面白いなあと思ったのが、ピサの学力テストで上位を占める国というのは、決して学級規模の小さい国ではないということです。日本もそうですが、上位の国々はスウェーデンに比べるとはるかに多くの生徒を一度に教えています。スウェーデンの教育のよいところや目指すところを実現しようとおもうと、あまり大きなクラスは向かないだろうとも思うので、簡単に規模をどうレベルにすれば済むというものでもないので、なかなか難しいのですが。
 同様にして、反論を見ていくと、スウェーデンの学校でも、OECD各国の平均の学級規模にすれば、先生の数を少し減らし、今のお給料よりも月5000k増やすことができるとか。単純な計算であり、こちらも、スウェーデンの教育を考えると難しいものでもあるけれど、教員さえ増やせば、なんとかなるだろうという考え方には、私はあまり賛成できません。
 お給料を上げれば、じゃあいいのかというとそうでもないかもしれませんが、一つだけ思うのは、もしも、お給料が上がり、教員になる人が増えれば、競争が生まれ、よい人材の確保ができます。そのことにより、一緒に働く同僚の質が変わり、よりよい学校運営と教育が行えるだろうと思います。日本のように県などで採用されて移動があるわけではないスウェーデンでは、人材の確保、質の向上が大変難しいように思います。
 そろそろ、本格的に次の選挙に向けて、具体的な案がいろいろ出てくる時期かなあと思います。夏の政治週間なんかも注目だし、教員免許のあたりも多少案が出始めました。気になるところです。